ミリしらアーカイブ   作:こまごめピペット

25 / 27
早く多く文字が書けるようになる道具 出して

わ、わかんないッピ





アヴァンギャルド君

 目が覚めた。

 そこは香木が薫るクレーターの中。

 高温によってガラス化した砂粒が風に乗って舞っていた。

 

 

 悪夢を見ていたかのような現実感と緊張感に心臓が早鐘を打っていた。

 体に傷はないと分かっていながらも腹を見て少し落胆した。

 

「……くそ、まただ」

 

 3度目ともなると驚かなくなってきた。

 ただ死ぬのは慣れない。

 

 自死であろうが他殺であろうが死は死だ。

 幾度も奈落に放り投げて戻ってくるものでは無い。

 

 タダで戻って来れるはずが無い。

 何かきっと代償がある。

 

 

 それはそれとして……何時もよりも身体の違和感は無い様に思える。

 

 頭もよく回る気がする。

 

 あのマンドラゴラの葉を摂取すればより収まるだろうか。

 

 とりあえずシェルターに潜り、携帯を開けば日付は先に進んでいた。

 

 やはりと言うべきか、俺は同じ時間をやり直している訳ではない。

 

 

 映画とかで言うループみたいなものでは無いようだ。

 時間に置き去りにされている……のか? いやこれはまだ表現が浅いか。

 

 流石に休憩するか……人に揉まれ続けるのもいいが少し精神を休めて色々と考えてみよう。

 

 前にここに居た人物、多分この体の元の持ち主に倣って、昨日あった出来事を付箋に思い付く限り書いてみよう。

 

「しかし毎回こんな付箋だらけの机片付けて書いてたらキリないな……」

 

 思い返す様に思考し、付箋を以前並べた様にホワイトボードに貼り付け、書き出した。

 

「まずは銃火器への耐性だな……」

 

 あの狐面も撃ってきたが、痛いだけで済んでしまった。

 何故かキヴォトスに居る人は銃弾や爆破に耐えうる能力を持っている。

 

 前々回もあの犬の人や一昔前のスケバンみたいなやさぐれ学生も銃器を平気で人に向け、爆破にも無傷とは言えないが大きな怪我も無く耐えていた。

 

「ん? でも脇差みたいなのは普通に刺さったよな……」

 

 火器には耐性があるのに刃物は普通に刺さるという謎仕様。

 

 あとよく投げられている赤い小刀や鉄パイプも余裕で刺さっていた気がするし、逆に打撃などの物理にはめっぽう弱いとか?

 でも学生の握力や腕力って……

 

「あぁ、とりあえず要検証だな……他には……っ……背中かゆい……」

 

 背中にむず痒い感触が走る。

 無意識に腰に手を伸ばし触れば、少し柔らかい突起のようなものがあった。

 

「ん? なにこれ……」

 

 モゾモゾとシャツを脱いで見れば小さな羽……のようなものが見えていた。

 

「……黒いな」

 

 手鏡を使って器用に見ればそれは黒い翼の一部のようなものであった。

 そしてそれが自分の身体から生えている事実に気づきゾッとした。

 

「待ってくれ……俺の身体はどうなってるんだ……?」

 

 今までそんなものは付いていなかったのに急にひよこみたいな一対の翼と思わしきものを確認できたことに不気味さを感じる。

 

「なんだっけ……鳥類の羽って外骨格とかじゃなく、鱗の変異なんだっけ……じゃあ皮膚みたいなものか? だったら抜けるんじゃないか? 試してみるか……」

 

 自分でも信じられないほど冷静に対処しようとしているのが分かった。

 正直に言って、怖すぎる。

 けれど恐怖を通り越して興味の方が勝っている。

 人間の体では存在し得ない器官が増えた事に対する探求心。そして自身の身体で試す事ができる好奇心。

 

 これは実験だ。

 そう言い聞かせながらその羽を抜こうとする。

 

 

 

 ……結果から言うと小さな羽は抜けた。

 プチッと抜いてみれば悶絶するほど痛たかったが抜けるには抜けた。

 脊椎が近いせいか、髪を無理やりブチブチと抜かれたくらい痛かった。

 

 ……続きはよしておこう。

 

 この身体の変化についても要検証だな……つっても対照実験なんてもんはできないんだが……

 まぁなんとなく分かる範囲で考えていこう。

 

「あのプリンターもどきも調べておくべきだな……」

 

 先生に伝えるのをすっかり忘れていたがどうも中身はあの時地下で見たモノと同じ雰囲気を醸し出していた。

 

 手は出したくないが一応覚えておこう。

 

 

「……あの……ワカモって言ったか……意味深な事いってたな。不死鳥ねぇ……そんなんだったら何度もここで起きねぇよな……」

 

 気になるのはこんな所か。

 やる事は多いな……

 

 喫煙所に向かい煙草を巻いて一服する。

 

 

「はー……なんで……こんな事してんだろ……別に全部俺の知ったこっちゃ無いのに」

 

 キヴォトスの滅亡。

 ここで暮らす生徒と一般人の差異。

 この施設、この身体の謎とやり直しについて。

 

 

 どれもこれも別にどうだって良かった。

 

 自死した時点でハナからどうでも良くなっていた。

 

 

 別の姿を与えられても死ぬ。1度だけでなく2度、3度も死んだ。

 もう躍起になって外に出る必要も無い。

 総てがもう、どうでも良かったのに。

 

 

 何かが私を動かしている。止めさせない。

 

 死への恐怖がないわけじゃない。

 

 誰かに頼まれてる訳でも無い。

 

 縛りもない。

 

 

 それでも気になる。

 

 この私の中に生まれた微かなこの好奇心だけが私の脚を動かしているのだろう。

 

 

「よし、やるか……」




感想とか貰えたら……殺る気でます

銃何使うか決めてねぇや……

  • AR
  • SR
  • HG
  • SMG!
  • MG
  • SG!
  • GL
  • MT
  • RG
  • RL
  • FT
  • お前 近接でいいんじゃない?
  • 何も持たなくて良いよ……
  • グレネェード!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。