ミリしらアーカイブ   作:こまごめピペット

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ホシノサクサク

 此処に来てから二週間が経った。

 

 トイレやシャワーはぎこちなく、何とか済まし、一着しかない服を洗濯しつつ、4日位は先生のシャツとズボンを借りて何とか過ごした。

 

 先生の性癖をメモリブレイクしている気がしなくもないが……この身長じゃ合う服が男物しかなぁい! 

 とはいえ先生の買ってきた尾てい骨辺りに穴の空いた小さい服なんて恥ずかしくて着れるわけが無い。

 

 連絡はしばらくしないと啖呵をきってしまったが、まさかもう頼る事になるとは……。

 

 アビドスの皆へ、服が無くて困っている旨をモモトークで連絡するとホシノさんが任せてと言った。

 

 

 しばらくして届いたダンボールを開けると出て来たのはシャツ、ブレザー、スカートが3着ずつと水色のネクタイ。

 

 柄や色は見覚えのある物ばかり。とりあえずマジメそうなアヤネに聞くと特注で仕立ててくれたそうだ。有りがてぇ……ちゃんと金は(先生が)払うよ。

 

 スカートは……まぁ我慢というか慣らしていくしか無いだろう。

 股下を風が通る度身震いしてしまうが。

 

 鏡越しに写真を撮り、アビドスの皆のグループに送ると褒めちぎられ、先生には無言で親指を立てられた。

 なんだよそれ……

 

 最終的にブレザーは袖を入れるだけ、ネクタイは少し緩く首に掛けるだけと、だらしない感じに収まってしまった。流石に息苦し過ぎた……

 

 

 ◇◇◇

 

 先生にタバコバレした日から毎夜、目覚めると乾燥したマンドレイクの葉を持っていた。

 

 仕方なく自分で巻いて静かに喫煙する。

 喫煙する度に、自身とこの身体を違和感を消し、馴染んでいく。モヤのかかった頭は良く回り、少しの高揚感まで溢れてくる。

 

 出来るだけ臭いは消して誤魔化し、先生らに不快感を抱かせないように努めた。

 学生が喫煙していると言うだけでぶちギレモノだろうが、先生は他の生徒の前では喫煙しないようにと注意だけして受け入れてくれた。

 特例措置だそうだ。普通に違法なのだろう。

 

 

 

 さて、未だ右も左も分からない私に現状のキヴォトスの状況を先生は掻い摘んで話してくれた。

 現在、キヴォトス全生徒を代表する連邦生徒会長が失踪。

 トップが消え、宙ぶらりんになった連邦生徒会。仕事そっちのけで会長の捜索のリソースを割き、学園都市が機能不全で荒れ放題。

 そこで現れたのが正義のヒーロー先生。このシャーレを1人で運営し、助けを求める学校を救い続けここまでやってきた。という事らしい。

 

 

 ……なかなかにHARDだぜコイツは……

 

 精神が強靭、いや狂人じゃなきゃ出来ない仕事ではないか。

 少しだけ尊敬の念が湧き上がってくる。

 

 

 

 


 

 

 

 

 サラサラと紙の上をペンが走る音。

 先生が仕事を始めると俺はその隣で書き上げた書類に目を通す。

 誤字脱字衍字等が無いかのチェックだ。

 

 こういうのは書いた本人ではなく、第三者に見せるのがのいい。

「これは大丈夫、……先生、ここ違います……」

 "ごめんね、ありがとう。ホムラ"

 

 如何にもつまらないといった表情で書き直し、次いで溜息もついた。

 事務仕事は先生の仕事だ。心は痛むが私が代わってやれる事は無い……。

 ちょこちょこシャーレに居ない事も把握はしている。明らかな過労で、正直何時倒れるか分からない。

 自己批判せず自分を労わって欲しい物だ……。

 

 

 然し……何故書類のルールが分かるんだ? ……うーん……いや、どうでもいいな。 仕事せず食っちゃ寝の時よりはマシになったか。

 

 

「先生、少し休憩しましょうか。あまり根を詰めても能率が上がりません」

 "うん、そうだね。ちょっとだけやる事があるから先に休憩しておいて"

 

 先生は立ち上がり、そう言い残してオフィスから出ていってしまった。

 

 それを俺は見送りつつ……

 

 見送り……どこ行くのか、気になるよなぁ……

 好奇心は猫を殺すと言うが、生憎私に猫耳はなさそうなので尾行してみる。

 

 とにかく息を殺す。

 NINJAの末裔でもなんでもないが、気配を消し、足音も立てずに先生を追う。

 

 先生は……地下に……シャーレに地下なんてあったんだ……階段を降りると大きめの部屋があった。

 入口手前で寝そべり、こっそりとロフトから見下ろすと目立つように明かりが当たる物があった。

 

 ……なんだ……あれ? でかい……モノリス? 

 薄暗くてよく見えないが、何やらSFチックな装置に見えた。

 

 なんだか……気持ち悪い、気味が悪い。

 

 

 これ以上居るのは危険か……

 

 

 

 そそくさと地下室から去り、2人分のインスタントコーヒーにお湯を注ぎ、ミルクと砂糖を置いて、先生の椅子に座りコーヒーに口をつけながら待つ。

 あのモノリス……唯のオブジェでない事はわかった……先生は……あの装置で何をしていたのだろう。

 見覚えがある様な無いような……

 まぁ、自身の素性も探しているのにこんな事調べてる暇無いな。

 

 私はふぅ、と軽く息を吐き、コーヒーを啜る。

 ……前世の苦汁よりか甘いが、目の冴える味なのは間違い無いな……。

 

 何の未練もなくコーヒーを流し捨て、スマホを開いた。

銃何使うか決めてねぇや……

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