俺のグレートマンスクール   作:鳥居幾人

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今回こそちょっとは戦闘してくれぇ皆ぁ!

描いてる途中からどんどん先頭から離れて行ってしまう、すみませぬ。


11話 学級委員決定戦・集団戦の部3

 

「うわぁ~、何だこれ」

「これは完全に防御の構えですね」

 

 特に襲撃もなく、森を抜けた先にあったのは自然の要塞に手が加えられた堅牢な砦だった。

 岩だらけのふもとには大量の鎖が張り巡らされ、山肌には無数の穴があけられておりその全てが繋がっているのだろう。

 

「兎山さん、中の音とか拾える?」

「えっと……おそらく5人分の話し声や移動音がします」

「ってことはあっちで戦ってる機胴を含めて全員いるな、どうする紅陽?」

 

 おそらく『お宝』は機胴が持っている、そして彼の個性を考えると自身の身体に取り込むのが最も安全だ。

 でも彼はそうしない。

 確かに機械みたいに感情が無いように見えるが、彼の目はちゃんと熱く燃えていた。予想通りの性格なら、作戦は絶対刺さる。

 

「よし、機胴を攻める」

「なら私があの武士を止めます」

「はいストップ辿佳ちゃん、君はしばらく待機だ。あの2人は俺が止める、『お宝』奪取は濡木くんだ」

 

 ふんすと鼻息荒く拳を握った辿佳ちゃんをなだめ、濡木くんに胸ポケットに入ってもらう。

 

「本気か紅陽?最初の作戦じゃ機胴だけを相手する予定だったよな?」

「ほんとにやるの~?、僕手加減苦手なんだけど~?」

 

 訝しんでいる鼓拍に笑顔でこたえ、渋っている濡木くんを問答無用で押し込んだ。

 

「ダメなら全力で逃げる!それでイナサと合流しよう。大丈夫、ちょっかい出したくらいで追いかけてはこないでしょ」

「わかりました。私たちは周囲を警戒しつつ待機でいいですか?」

「うん、逃げるときは森に注意ね、あと辿佳ちゃんは戦う相手が来るまで我慢してよ?」

「……仕方ないですね」

 

 渋々頷いた辿佳ちゃんの姿につい苦笑いがこぼれるが、ちゃんと俺を尊重して作戦通り動いてくれるだろうから不安は無い。

 

「んじゃ、行くか!」

 

 旗を強く握り戦闘中の機胴達に突っ込む。

 当然奇襲にはならず、2人の攻めを旗を使って受け流した。

 

「……何の真似だ」

「狙いは一緒だろ?相乗りさせてほしくてね」

 

 怒りを露わに連続で斬りつけてくる太刀川。

 振り下ろした右手刀を躱したと思えばさっきまで峰だった場所が刃に変わり跳ね上がって斬りつけてくる。

 そんな変幻自在の刃を持つ刀が両手足の4本分、それらが間断なく襲い掛かってくるのには参ってしまう。

 

「何人で来ようが振り落とすだけだ」

「そのお言葉に甘えさせてもらおうかなっ!」

 

 太刀川からの攻撃が機胴にも向くように意識して位置取る。

 これで俺が斬られる可能性が下がったと安心してはいけない、例え機胴の背後に回ったとしてもその背中からは何の前触れもなく武器が飛び出してくるのだから。

 決して気は抜けない。

 

「ははっ!強っ!!」

 

 2人の振るう武器に比べると俺の旗は攻撃にも防御にも数段劣る。

 しかし使い手の技術では引けを取っていない。

 守るときは逸らして、弾いて、受け止めず。

 攻めるならば潜って、誘って、正確無比に。

 そうすれば次第に慣れて余裕も出てくる。

 

「ちっ、小癪な」

 

 太刀川の刃は縦横無尽だがリーチ自体は伸びたりしない。使ってくる戦闘術も剣術じゃないな、土台は空手でテコンドーを組み込んでるのか?

 要は触られたら一発アウトの近接格闘戦だな。死ぬわ!

 

「この実力、どおりで決闘を挑むわけだ」

 

 機胴の武器は多種多様だが同時に扱う練度にムラがある。刀や槍、盾等の連携は流石だが合間に挟んでくる槌や鎌のマイナー武器は怖くない。

 練度の高い刀をいなし続け不意に口から撃たれる弾も避けないとね。だから死ぬって!

 

「ちょっとちょっと!!2人して俺の事しか見て無くないか!?」

 

 俺が分析すればするほど、対応すればするほど三竦みの関係は崩れて俺VS機胴&太刀川の構図へとなってくる。

 

「……」

「気のせいだろう」

 

 そりゃ俺だって、個性も性格も合わさってこの戦いを楽しんじゃってるけどさ?

 このまま決着つけるまでやり合ってみたいとな~なんて思っているんだけどさ?

 

「じゃあこれも避けられるよなぁ!!??」

 

 俺はずっと、ちゃんとやってるんだぜ?集団戦をさ!

 

「才羽っ!取られるっ!!」

「助言が遅いぜ響音さん」

 

 仕掛けてきた太刀川を入れ替わるように回避してそのまま尻を蹴っ飛ばし、更に持っていた旗を思い切り投げつけた。

 響音さんの声で攻勢をひかえ、素手になった俺を観察しようと動きを止めたのを見計らい一気に距離を詰めて機胴の両手を掴んで拘束する。

 

「お待たせ濡木くん」

「待ちくたびれた~」

 

 俺を迎撃しようと機胴の胸から生えてきた銃弾ごと覆い尽くした濡木くん。

 そのままあっという間に機胴の身体をまさぐって俺の胸ポケットへと戻ってきた。

 それを確認し、地面に転がっている旗を掴んで森へと駈ける。

 

「ミッコリ~」

「ふはっ、それミッションコンプリートってこと?」

 

 一瞬の出来事で何が起きたか分かっていない太刀川はすぐには動けなかったが、機胴はすぐに俺を追いかけてきた。

 

「逃がさないぞ」

 

 その追撃をしのぎながら兎山さんたちを視界の端で捕らえる。

 

「くっ!兎山さん!!森は!?」

「いけます!」

 

 忙しなくうさ耳を動かしながらそう返事をした兎山さんに向けて一度だけ頷きを返して胸ポケットの濡木くんに呼びかける。

 

「濡木くん!」

「オッケ~、それ~」

 

 触手状に伸ばした腕を一度振ってその先から『お宝』を放り投げる濡木くん。

 まさか無防備に投げると思わなかったのか、機胴の陣営は誰もが唖然としたままそれを見送る。

 ここまでは想定以上に順調に進んでいる、あとはこれを受け取ってもらえればいい。

 

「ラッキー!これで2つ目もゲットだ!」

 

 俺と兎山さんのちょうど中間。

 木の影から飛び出してきた驚箱が空中で濡木くんが投げた『お宝』を横取りしていく。

 

「やはり小悪党は来ると思ったのです!私達の『お宝』返すのです!」

「へっ!誰が返すかよ!」

 

 そして驚箱を視認した瞬間飛び出した辿佳ちゃんによって森に逃げ込むのを阻止し、そこから2人の付かず離れずでの追いかけっこが幕を開ける。

 かと思われた。

 

「逃がすか!」

「うおっ!?」

 

 砦の上に立って戦闘の様子を見ていた遠手が動く。

 サポートアイテムだろうゴーグルで目元を隠し、驚箱に向けて伸ばした左手が空中で握られた瞬間に驚箱の動きが止まった。

 

「ナイスです地味男!」

「誰がだっ!多鎖っ!!」

 

 左手は相変わらず驚箱を捉えたまま、反対の右手を森の方へと向けて何か掴んで思い切り引っ張る所作をし始める。

 

「おっっっっっらぁ!!!」

 

 そしていつの間にか砦の外に出ていた多鎖が遠手と連携して手元の鎖を力いっぱい引っ張っており、その行動に不穏なものを感じずにはいられない。

 

「こりゃまずいかな?」

「だね~」

「逃げるか兎山!?」

「当たり前です打出さん!脱兎のごとく逃げますよ!」

 

 遠くから鉄のこすれる音が響き始め、それは徐々に近づいてくる。

 

「大漁じゃあああぁぁぁ!!!」

 

JANGLEEEEEE!!!

 

「ちょっ!?ふざけんな!!」

「なんで私もなんですか!?」

 

 鎖で出来た大津波が森から押し寄せ先程まで戦闘を繰り広げていた場所が削られていく。

 音が聞こえた瞬間に退避していた俺達はともかく、まさか自分まで巻き込まれると思っていなかった辿佳ちゃんは驚愕といった表情で驚箱と共に捕らえられてしまった。

 

「~~っ!」

 

 しかし彼女は声にならない声でなんとか怒りを抑え込み、鎖でえぐれて不安定な地面を何とか移動していって。

 

「あっ!?」

「せめて小悪党は制裁するのです」

「てめぇっ……!」

 

 驚箱の手を思い切り蹴とばし、その中にあった『お宝』を手放させてみせた。

 

「濡木くんは辿佳ちゃんのフォロー!兎山さん!鼓拍!取って!!」

「遠手は『お宝』確保、多鎖は支援だ。索敵班は引き続き厳戒態勢」

 

 すかさず指示が飛び交い、その指示通りに人が動く。

 驚箱と共に鎖に捕らわれた辿佳ちゃんと濡木くんが合流して、力を合わせて戦い始める。遠手の個性から『お宝』を奪取する為に奮闘する兎山さん、それを邪魔する多鎖をこれまた阻止している鼓拍。

 そして俺は機胴と太刀川が他の人員の邪魔をしないように足止めだ。

 

 まだ状況は落ち着かないが多少シンプルにはなった。

 俺達は驚箱から自分たちの『お宝』を取り返したうえで機胴陣営の『お宝』も確保する。

 機胴陣営は驚箱の手放した自分たちの『お宝』を全力で手に入れる。

 

「そんで太刀川は驚箱助けなくていいの?」

 

 互いに邪魔をさせない為に俺と機胴が戦うのはわかる。

 しかし太刀川まで驚箱の支援も『お宝』争奪戦もほっぽって俺達と戦とは思わなかった。

 

「アイツは最初から孤軍、俺が手を貸す義理は無い」

 

 バッサリと言い切りながら俺に向けて右足の刃を思い切り振りぬいてくる太刀川。

 それを受け止めずに大きく後退して避ければ、そこを狙って機胴が槍を突き出してきた。それを棒高跳びの要領で旗の柄を地面に突き刺し、さらに大きく後退して躱す。

 

「俺としてもお前をここに留めておけるのは行幸だ」

「それならお互い様だ」

 

 標的を距離の離れた俺から近くの機胴に変更して左手を突き出す。

 それを盾で受け止めた機胴に向けて繰り出された追撃の右足の蹴りは強烈で、機胴もたまらず後ずさった。

 

「こうしてお前たち2人をここに縫い留めておけば森に行かせずに済むからな」

 

 確かに太刀川が言う通り、彼の大振りで強い右足での攻撃はまともに受けられず距離を取らざるを得ない。

 

「どういう意味だ」

「なんだ!?」

「きゃっ!?」

 

 機胴の疑問に太刀川が答えることは無く、耳に届いたのは遠手と兎山さんが驚く声だった。

 確認せずにいられず、視線を向けた先には森から出てきた着物を着た女子が1人。

 

「えらい皆欲しがっとったさかい、つい手ぇ出てもうたわ。かんにんえ?」

 

 何の興味も無さそうに『お宝』を弄び、笑っている口元を扇子で隠していた。




もうなんか
ごちゃっ!!
としてしまったかもしれぬ。

読みずらかったらごめんね……

久しぶりに後書きがすっきりしたな、心地良い。
ではまた次回。
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