こ~れは長丁場になるぞ~(白目
「それじゃあ改めて。俺の名前は志揮紅陽、知っての通り推薦入学者だ。投票してくれてどうもありがとう」
まず初めに集団模擬戦を行うことが決まり、あっという間に演習場が手配された。周りにあるのは岩場や池、森等の自然が広がる場所で人工物は先生たちのいる統裁所兼救護所だけだ。
ほぼ円形のこの演習場で学級委員候補の3つの陣営は均等に距離を取り、20分間の作戦会議の時間を与えられた。公平を期すためにクラスメイトの情報は共有されている。
試合ルールは単純。所要時間10分で、それぞれの陣営は自分達の『お宝』を守りつつ他陣営から『お宝』をどうにかして奪う。最終的に所持している『お宝』の数がそのままポイントになる寸法だ。殺傷能力の高すぎる戦闘や妨害は針向先生が直々に止めるが、それが無ければどれだけやってもいいとのこと。
「個性は『士気』って言って、簡単に言うと俺や周りの人間のやる気を高めることが出来るって感じかな」
俺を含めて陣営は6人。その全員が事前に受け取っていた各々のコスチュームに着替え済みだ。
要望通りの白い応援団服と足元をしっかり保護してくれる白足袋を着用し、ナックルガード付きの白手袋越しに握っている長さ5mの旗には俺の髪の毛で作られた旗生地が巻き付けられている。
「それでよく一対一をやろうなんて言えましたね……」
「紅陽の熱い気持ちわかるっス!!まさに漢の中の漢!!それでこそヒーローっス!!」
俺に投票してくれた兎山さんとイナサも一緒に戦ってくれる。まぁ、俺の個性を知ってからは兎山さんは若干呆れ、イナサは一層うるさくなったが。
兎山さんのコスチュームは動きやすさ重視のコンパクトなタキシードで半ズボンとローファーを履いている、色合いも奇抜さは無く基本色に近い。蹴りを多用するからか足回りの武装は厚く、サポートアイテムを入れているのだろうニンジン型の腰ポーチが可愛らしい。
イナサのコートは防寒性能が高そうで首回りに羽で出来たファーが目立つ、そしてそれよりもさらに目につくのはところどころから突き出ている噴出口とあえてアンバランスな左腕の装甲だろう。彼のガタイも相まって威圧感マシマシだ。
「はっは!やっぱお前イイな!!他2人はノリが悪そうでよくねぇ」
そう言いながら俺の肩を強引に引き寄せて笑う男子、
とはいえ、俺と彼は2人ともプレゼントマイクのファンということで意気投合しており、彼の身に付けている戦闘用のコスチュームにはヘッドフォンやサングラス等プレゼントマイクのグッズが組み込まれている。肌の露出も多くまるで私服のようなコスチュームによってその出で立ちは海外のDJのようにも見える。
なぜ士傑に来たのか疑問になり聞いてみたところ、雄英でプレゼントマイクから授業を受けるのはファンとして恐れ多いかららしい。
「確かに~、宝獣院くんと機胴くんの2人は志揮くんと違ってなんか厳しそうだもんね~」
1匹のスライムが俺の肩によじ登りながらそう同意する。彼は
集合場所にコスチュームを着て来なかった時も驚いたが、自己紹介と同時に制服を残して溶け出した時は急なホラー展開に驚きすぎて声も出なかった。
今は全裸(?)であるらしい。
「あの、本当にその軟体形態で大丈夫なんです?」
おどおどしながら濡木くんに話しかけるのは
そんないかにも無害そうな見た目や雰囲気に反して彼女のコスチュームは軍用迷彩訓練服を意識しているようでかっちりとしており、ブーツもサバイバル仕様だ。上着にもズボンにもポケットが多く着いており、そこには彼女の個性を活かすためのサポートアイテムが入っている。
俺に投票した理由も宝獣院たちが怖かったからじゃなく俺が一番面白そうだったからで、投票後に俺が2人に対して切った啖呵を大層気に入って投票して正解だったと言っており意外と血の気が多いらしい。それを証明するように彼女の大きな瞳には強い意志が感じられる。
「平気平気~それより志揮く~ん、作戦で聞きたいことあってさ~」
「そんな詰めなくてもノリでよくねぇか?それより俺は紅陽とプレマイについて語り合いてぇ!」
「流石にそんな余裕は無いですよ打出さん、ただでさえ連携不足なんですからね」
「そうっスよ!!俺達は今!!紅陽を学級委員にするために集まってるんっスから!!」
「イナサくんの言うとおりです、傲慢獅子と能面機械に率いられるのはまっぴらですよ」
濡木くん、鼓拍、兎山さん、イナサ、辿佳ちゃん。この個性豊かな5人が俺の最初の仲間となる。
手綱を握ろうとしたならば何とも御しにくい集団となってしまった。
「あっはっは!頼もしいなぁ!」
しかし共に歩むのならば文句のつけようもない最高の仲間達だ。
──────────
『それでは、30秒後に開始の合図を出す。各々全力で臨むように』
変身した際に採取した俺の毛で作った蛮族のようなコスチュームの着心地を改めて確認していると、演習場全体に担任の声が響き渡った。
それを聞いた俺は陣営の人員に目を向け、準備に移るように促した。
「あの馬鹿を止めなくて本当に良かったのですか?」
俺の傍にいるシンプルなナース服のコスチュームを着た薬師寺が不安そうに尋ねてくる。
俺達と腐れ縁のあの自由人の行動は、生真面目な彼女にとってあまりに危うく突飛に感じられるのだろう。
「事前の行動を禁止されてはいないのだ、直接の接触さえなければこの位で咎められることなど無い」
「ですが……もし失敗すれば獅雄様の足を引っ張ることに……」
「案ずるな、最初から驚箱は作戦に組み込まれていない。成功したら儲けものくらいに考えておけば良い」
『時間だ、模擬戦開始』
薬師寺はまだ何か言いたそうだったがそれを言う前に担任の声によって遮られた。
そんな状況でこれ以上食い下がるつもりもないのか彼女は完全に口を噤み、模擬戦へと意識を切り替える。彼女のいつも通りの姿を確認して視線を他の人員へと移せば問題なく準備が終わっており、開始の合図を待つのみだった。
「予定通りだ。俺は迎撃に集中する、攻めは任せた」
「わかった」
「ほなね」
部分的に甲冑の要素を取り込んだ武士のようなコスチュームの
口元を扇子で隠して微笑む千紬妃十重も裾の長い着物を地面に引きずらずに、まるで滑るように音もなく森へと姿を消した。
「こちらも突貫だが十分なものはできた。振り落とされないようにしっかり掴まっておけよ薬師寺」
木を倒しそりへと加工した物を引きずって現れた
袖の無い羽織が上半身を覆っており、下半身は無地で厚手のズボンと腰につけた長めの鞭のみで足は裸足という出で立ちだ、まるで精強な戦闘部族のような頼もしさがある。
「ありがとうございます──きゃっ!?」
薬師寺がそりに乗り込むのと同時に突風が吹き荒れた。
危うく彼女が飛ばされるところだったが万馬が壁となり何とか防ぐ。
「宝獣院獅雄!!あんたに聞きたいことがあるっス!!」
声の主はさらに強い風を纏いながら上空で腕を組んでそう問いかけてくる。
「あんたはヒーローになりたいんっスか!!??」
何を当たり前のことを聞くのだコイツは。
「当然だ、俺はヒーローになる」
宝獣院家の跡取りたる俺がヒーローごときなれぬわけがない、これ以外の答えを持ち合わせているわけがないだろう。
なんのための問答かは全く分からないが、問うてきた夜嵐はそれ以外何も言わずに俺の目を見てくるだけだった。
「ヒーローになって当然、か……あんたも似た目をしてるんっスね」
「なんだ?まだ何か聞きたいのか?」
風の音でよく聞き取れなかったが、何かに似ていると言ったか?
だとしたら心外だ。俺は俺だ、他の何にも侵されない唯一無二なのだ。
「もういいだろう、1人で来たお前へのサービスも打ち止めだ」
個性を発動し臨戦態勢を整える。
体躯はむくむくと巨大化し口から牙指先から爪が顔を出す、それに伴って腹の底から湧き出てきた野生の本能が頭の中の理性とせめぎ合いを始めた。
「やっぱり冷めた奴っスね」
夜嵐の周りを轟轟と音を立てて吹き荒れる豪風が生み出す真空の刃が周囲を切り裂き、その瓦礫を体に取り込むかのように巻き上げ強固な壁になる。
「俺はその目が嫌いだ、だからあんたが俺の上に立つのは絶対許さないっス」
「好きに喚けばいいが、結果が出た後に駄々をこねてもお守はせんからな?」
腹立たし気な烈風砦の主と傲慢に牙を露わにした百獣の王。
この戦い、最初にして最も激しい戦闘が幕を上げた。
ちょっとシリアス目なイナサくんにこの戦いの口火を切ってもらったでよ。
次回こそ!
次こそは戦闘描写頑張ります……
てなわけで今回の新登場キャラです。
まず1人目オリ主陣営、プレマイファン、男
呪術のミゲルと被っちまった
名前:
性別:男
身長:185㎝
性格:チャラくてナンパ、純情少年の心も忘れていない。
個性:『ビート』
リズムに乗ることで身体能力が上がる
自分で生んだリズムでもそうじゃなくてもいい。
本人の戦闘センスと相まって肉弾戦が強い。
2人目オリ主陣営、スライム、男
名前:
性別:男
身長:174㎝(スライム形態時:80㎝)
性格:のんびり屋
個性:『軟体生物』
あらゆる姿に擬態できる。
サイズの応用の幅が利き潜入などがとても得意。
攻撃手段がえぐいものしかなくて困っている。
3人目オリ主陣営、軍服女子、女
名前:
性別:女
身長:161㎝
性格:繊細だが戦闘狂。
個性:『変換』
手で触れたものの性質を変化させる。
機能はそのままに物質的な変化も調整可能。
1度に変えられるのは1つで上書き式。
4人目宝獣院陣営、武士、男
ワンピのダズ・ボーネスみたいな個性です。
名前:
性別:男
身長:182㎝
性格:無口で冷静、女性への耐性が低い。
個性:『刀身』
あらゆる体の部位を刃物に出来る。
強度と切れ味はその日の体調に左右される。
あまり使わない部分の刃物は錆びる。
5人目宝獣院陣営、戦闘民族、男
名前:
性別:男
身長:226㎝
性格:子供好きで優しく大人しい
個性:『馬力』
前進する力が尋常じゃなく強い。
500㎏は引けるし防具次第で車の衝突にも勝つ。
日常生活を努めてゆっくり過ごさないと事故る。
といった感じですね。
こっから先5話くらいでまとめられたらいいなぁ……
もうちょっとお付き合いください。