英雄たちの墓参り   作:アズマオウ

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更新遅れました!!アズマオウです!!今回はキリアス要素が入ります。

それと時系列について明記しておきますが、現在は2025年5月で、ALO編が終結したあたりです。

評価、ありがとうございます!!頑張っていきますのでよろしくお願いします。


二人目:閃光

「いらっしゃい」

 

 一人目の来訪者が来てから翌日、二人目の来訪者がカウンターへと立っていた。秋山は声をかけ、カウンターに頬杖をつく。

 来訪者は、白のブラウスに赤のスカートを身に付けている。髪の色は栗色っぽく、ヘイゼルの瞳が、童貞官僚の心を鷲掴みにした。服装も、アインクラッドに存在していたギルド《血盟騎士団》の制服ににている。

 

「はじめまして。ここがSAOサバイバーのお墓ですか?」

 

「ああそうだ。もうアンタが誰かは見当がついているが、一応プレイヤーネームを頼む」

 

「ええと、《アスナ》です」

 

「本名は一応いってくれ。アスナなんて名前はネトゲじゃごろごろ転がってるからな」

 

「はい、結城明日奈です」

 

 秋山は、スマホをぱっぱとタッチして認証を行う。見事に合致していた。

 

「確かに、アンタはアスナだ。閃光のアスナだ」

 

「はは……どうも」

 

「しっかし、やっぱリアルでも可愛いのか……くそ、あのビーター野郎羨ましいぜ」

 

 秋山の文句で聞こえたビーターという言葉にアスナは目を細める。そして驚きに満ちた顔になった。ビーターといえばあの男以外にはほぼいない。

 

「え? き……じゃなかった和人くんも来ていたんですか!?」

 

「昨日な。そもそもお前ら二人一緒じゃないのか?」

 

 たしかこの二人はSAO内で結婚していたはずだ。リアルでも付き合っているのかと思ってたが間違いかもしれない。わんちゃん俺と……。

 

「ええ、全然そんな話聞いてないです。昨日デートしたときもそんなこと一言もいってませんでしたよ」

 

 爆発しろ。俺の淡い期待を返せ。脳内に浮かんだ言葉はこれだけだったが、さすがに自制する。

 

「そ、そうなんだ。隠し事はよくないと思うんだけどな」

 

「そうですよ。けど、和人くんもきっと理由があったんだと思うので詮索はしないでおきます」

 

「できた嫁だな……あいつにはもったいねえ。……結構話それちまったな。んで、誰の墓に行きたいんだ?」

 

 秋山は、がさごそとそばにある団ボール箱をあさり、携帯型端末を取り出す。

 

「ええと、クラディールです」

 

「ほう? スペルは?」

 

「Kuradeelです」

 

「なるほどな……こいつは恐らく英語の¨揺りかご¨が由来だな」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。スペルは若干、どころかかなり変えてあるけどな。cradleと書いて、クレイドルって読むようだ。んなことはいいとして、あるぜ。2024年の10月末に死んでるな」

 

「そうですか。分かりました。場所は?」

 

「場所は、この端末が示してくれる。受けとれ」

 

「ず、ずいぶん凝ってますね」

 

「そうでもしねえと国の許可が降りねえんだ。ま、俺が考えた案だけどな」

 

「なるほど……」

 

「一人だけでいいのか?」

 

「はい」

 

「じゃあ100円だ。制限時間は10分で頼む」

 

「分かりました!」

 

 誰もが興奮してしまう笑顔を向けて、小銭をおきながら明るく叫んだ。この笑顔だけでとりあえず一回ヌケルかもしれない。

 

 そんな秋山の下衆な思考など知らず、アスナはくるりと美しい神……ミスった、髪を翻してテクテクと目的地へと向かった。

 

「……さて、カップラーメンでも食うかな」

 

 アスナの姿が見えなくなって静寂が訪れる。

 一人残された秋山は小さく呟き、よく食べる「超究極アルティメットウルトラハイパー激辛ラーメン! モテたいならこれを食え!!」という、ネーミングセンスがあまりにも崩壊しているラーメンのカップを開けてお湯を注いだ。カウンターにはもう、秋山一人の姿しかなかった。

 

「これ食ったら、マジでモテんのかな……」

 

 3分後、出来上がったラーメンを見つめ、割り箸を割って食べた。一縷の望みをかけていたかどうかは、誰も知らない 。

 

 

 

                 ***

 

 

 アスナは、端末に映し出された地図をたどって歩いていく。曲がり角をいくつも曲がり3分後、ようやく目的の墓についた。墓の傍にある端末リーダーに端末をそっと置いてくださいと傍の標識に書いてあったので、アスナはそれに従う。すると、読み取り機に付随されている画面に電源が入る。

 

『≪Kuradeel≫の墓です。墓参しますか?』

 

 その下にYes/Noボタンがあったので、アスナはイエスを押す。すると、認証しましたというメッセージが画面に表示され、お墓の前にあったゲートバーがグイッと上に上がる。

 一体このお墓を作るのにどれくらいのお金をかけたんだろうと疑問に思ったが、とりあえず今はお墓参りだなと、その疑問をひとまず押しやる。

 

 左腕にぶら下げている手桶を地面に置いて、手杓で水をかける。一応お墓参りは何度か言ったことがあるので作法はだいたいわかる。

 

 ただ、墓石には何も刻まれていないというのが、普通と違う。個人情報の漏えいを防ぐという目的があるのは知っている。けれど、どこか寂しさというか、物足りなさを感じてしまう。

 アスナはその後何度か水をかけ続け、手桶の水を空にした。その後、煙臭い線香を3本ほど添えて手を合わせた。その後、すっと目を閉じる。

 

 

                  ***

 

 クラディールという男は、あの世界で殺されてしまった。アスナの恋が実を結んだあの日の昼に、アスナの愛する人キリトと、殺人に飢えていたクラディールの激闘の末、辛くも生きたキリトの技によってHPが0になった。

 

 クラディールは、アスナが副団長として所属していた≪血盟騎士団≫に、アスナの護衛役として所属していた。しかし、彼は護衛という地位を利用して、アスナの自宅の監視などを頻繁に行っていた。

 また、キリトに対しても異常なほどの敵意を向けていて、アスナとパーティを組んだとき、デュエル(1vs1)を申請するほどだった。結果は、キリトの見事すぎる技の制度によって、武器を叩き折られて敗北したが、クラディールは諦めていなかった。

 

 キリトが、≪血盟騎士団≫の団長であり、のちの茅場晶彦であるヒースクリフに敗れ、血盟騎士団に入団させられた時、偶然――今となっては故意かもしれない――キリトの所属したパーティの中にクラディールがいたのだ。

 

 最初は何も起こらなかったが、食事休憩の際、クラディールを覗く他のパーティメンバーに麻痺毒が盛られた。その瞬間クラディールは本性を現して、キリトを除く他のメンバーをためらいもなく殺した。

 

 キリトは必死に打開策を考えるも為す術もなくHPバーを削られていく。もうだめかと思ったその時。アスナが助けてくれたのだ。

 

 アスナは凄まじい剣技でクラディールを追いつめていく。しかし、あと少しでクラディールのHPが0になるところでアスナはためらってしまった。無理もない。HPが0になった瞬間に本当に死んでしまうのだから。

 

 クラディールはそこを付け狙い、アスナへと襲い掛かった。何のためらいもなく振り降ろされた殺意の塊が、アスナの体に触れる瞬間、回復したキリトが動いて、体術スキル≪エンブレイザー≫でとどめを刺した。

 

 クラディールは、こうした経緯によってアインクラッドからも、現実世界からも退場した。

 

 

                  ***

 

 

 目を瞑り終えたアスナは、静かに手を降ろす。

 アスナ自身は、クラディールの死に関しては後悔はしていない。ああするしかなかったと思っている。

 

 けれど、アスナには、後悔があった。

 それはあの時、殺害の罪をキリトに負わせてしまったということだ。無論現実世界では、SAO事件での全責任は、首謀者である茅場晶彦に擦り付けられたので彼が実際法廷において罰せられる心配はないのだが、それでも彼の心に残る罪はぬぐえない。いや、だからこそかもしれない。誰も彼をさばいてくれる人はいない。

 

 あの時、自分がクラディールを殺せばよかったのだ。あの時、彼のように強くあろうとすればよかったのだ。そうすれば、ただでさえ苦しんでいる彼の心を、さらに苦しめることはなかった。

 

 アスナはその場に立ち尽くす。このお墓に行けば、自身の後悔を解決できるのではないか。そう思っていたのだが何の解決にもならなかった。

 

 これ以上いても無駄だなとアスナは思い、帰る支度をした。メールなどの確認をしようと、携帯端末の電源を入れた。パスワードを解除しようと指を繰ったが――。

 

『アスナ様ぁ……どの面下げてここにきているんですか?』

 

 突然どこからか声がしてきた。誰!? と不審に思い周囲を見渡す。だが、そこには誰もいない。

 

『私はここですよ? アスナ様……ようやく二人きりになれましたねえ』

 

「その声って……ま、まさか……」

 

『そのまさかですよお。クラディールですよ』

 

 そんなばかな。彼は死んだはず……。頭では分かっていても、ギンギンと彼の汚い声が響いてくる。体中から冷汗が飛び出てきて、体が凍っていく。

 

「うそよ……うそよお!!」

 

 つい取り乱してしまう。涙がこぼれてくる。恐怖となって涙が零れていく。折角いなくなったのに。

 

『まあ、せっかく二人きりになれたんですから。楽しみましょう。ねぇ……』

 

「い、いやあ!! 喋らないで!!」

 

 いつの間にか、クラディールが私の目の前にいた。ユニフォームはちぎれていて、醜く目が剥けられている。そして舌を舐めずり、アスナに接近する。後ずさりしようにも、体が動かない。

 

『――ひゃあああああ!!』

 

「いやああああっ!!」

 

 私はあらん限りの絶叫を上げたが、クラディールは私の肩を掴んできて揺さぶってくる。その瞬間、ぷつんと私は意識を失ってしまった。暗闇に落ちる前に誰かが手を差し伸べてくれた気がするが、つかめなかった。

 

 

                 ***

 

「ん……?」

 

 日の光が私の目を射る。一度目を細め、そこからゆっくりと受け入れていく。先程と全く変わらない青空と――中性的な顔をした少年がいた。その少年は、整った顔をゆがませてアスナの顔を覗き込んでいる。

 

「アスナ! 気づいたか……」

 

「き………りと……くん?」

 

 アスナがかすれ声で名前を呼ぶ。それを聞いた少年、キリトは一瞬顔を綻ばせて、アスナの体を起こす。

 

「俺も墓参り行こうとしたんだけどさ、アスナの悲鳴が聞こえたからここに来たけど、一体何があったんだ? 俺が来たときにも俺の顔を見ながらすごい悲鳴あげてたしさ」

 

「そう、だったんだ……ごめんね」

 

「いや、アスナがだいじょうぶならいいさ。けど何があったら教えてくれないか?」

 

 しゃがみこんだ視線でキリトは見つめ続ける。アスナはそれだけでも嬉しく、また恥ずかしくもあった。

 先程は尋常ならざる恐怖に打ちのめされたが、彼がいるだけできれいさっぱり忘れられる。

 

 けれど、話さないわけにはいかない。アスナはキリトに先程起こったことを話した。

 

 すべて聞き終えたキリトは、神妙な顔をしていた。けどすぐに笑顔を向けた。そんなバカなと否定している顔ではない。大丈夫だよと言ってくれる無敵な笑顔だった。

 

「そんなことがあったんだな……。アスナの思い込みの強さのせいなんだけど、無理もないよな……けど、俺がクラディールに見えたのは少しショックだけど」

 

「ご、ごめんね。その時ちょっとパニクっちゃってたからさ」

 

「いや、まあいいんだけどさ。とにかくよかったよ。無事でいてさ」

 

「迷惑かけちゃったね」

 

「全然迷惑じゃないさ。彼氏として当然のことをしただけだ」

 

「もう、そこは普通に大丈夫だよっていうところだよ」

 

 アスナはぷくっと頬を膨らませてキリトにどつく。キリトは、いつものアスナに戻ったと安心して笑顔を見せる。とりあえずこのお墓にはもう用はないので、カウンターへと戻ることにした。

 

「それで、なんでまたクラディールの墓に行ったんだ?」

 

 キリトは、出口へと歩きながらアスナに問う。アスナは、少し俯いたが口を開く。

 

「……私の罪と向き合うため」

 

「え?」

 

 キリトは僅かに目を丸くして驚きを見せる。

 

「だって……アスナは何も悪くないだろ? 悪いのはクラディールだし、罪を背負わなきゃいけないのは、アスナじゃなくて、俺の方だ――」

 

「違うの!」

 

 キリトの言葉を、アスナは、悲しさがはらんだ声で遮った。キリトは、何かを再び言いかけたが、ぐっと口をつぐむ。

 

「私にも、罪はあるの。……キリト君にクラディールを殺させたことだよ」

 

「え……」

 

 キリトは驚きで言葉が詰まる。何かを言いたいが浮かんでこないのだろう。アスナはそのまま言葉をつづけた。

 

「あの時、私がクラディールを殺せば、私が殺せば、キリト君が、本来巻き込まれるはずのなかったキリト君が余計な罪を追わなくて済んだの……。これは私の問題だったのに……私があそこで躊躇ったせいで、君に……君に……」

 

「違う!!」

 

 アスナの切れ切れになっていく言葉を、キリトが大きな声で遮る。アスナは俯きかけた頭をはっとあげる。

 

「あの時はああするしかなかったんだ。アスナが殺せなかったことなんて俺は何とも思ってないし、むしろそれでよかったと思う。君は人を殺したことなんてなかった。だから……君がそれを背負う必要もないんだ。背負うのは俺一人で……」

 

「そんなのだめだよ!!」

 

 今度はアスナが叫び返す。アスナの顔は涙でぬれている。けれど、涙の奥に光るそのヘイゼルの瞳には、強い意志が込められている。

 

「そんなの、だめだよっ! 君はいっつもいっつも、一人で背負おうとして、全部一人でやろうとして……っ……」

 

 ぽたぽたと涙が零れ落ちていく。それを拭おうとするも、溢れ出してしまって止まらない。

 

「わたしは……君の……パートナーなんだよ!? だから……だから……私も一緒に背負いたいよ!!」

 

 そのあとの言葉はもう出なかった。嗚咽を漏らし、ただ泣いているだけだった。キリトの顔がくしゃっと歪み、アスナから目をそらす。だが、その直後、キリトはアスナを抱きしめた。

 

「……!」

 

「すまなかった。君がそんなことで悩んでいたなんて、思いもしなかった。ダメなやつだよな、俺」

 

「……ほんとだよ……」

 

「……わかった。二人の悩みや傷は、二人で背負おう。一生をかけて、俺はアスナの傷を背負い続ける。一生傍にいるから」

 

「……」

 

 キリトのその言葉を聞いたアスナはキリトの胸に顔をうずめながら顔を赤らめる。

 

「ん? どうした? 俺なんか変なこと言ったか?」

 

「それって、プロポーズ、なの?」

 

「え……」

 

 キリトは、どうしてそうなるのか、必死に頭をフル回転させる。数秒考えてようやく自分が爆弾発言をしてしまったということに気づいた。

 

「あ、い、いやそういう意味じゃ無くてな!……いや、そういう意味もちょっとはあるけど……要はアスナを守りたいなっていうことだけで……」

 

「はあ、全く。君はいつもそういうことを素で言っちゃうんだから。だから私は不安なんだよ?」

 

「何が?」

 

「なんでもないよ」

 

「そうか。じゃあ、行こうか」

 

「うん」

 

 キリトは、抱擁を解いてアスナの左手を握る。アスナもしっかりと握り返してくる。二人はにこっと笑いあい、そのまま出口へと歩いていった。

 

 

 

                 ***

 

「んで、なんで手ぇ繋いでここにきてんだ?」

 

 アスナとキリトが、墓場のカウンターに戻ってきたときに、秋山に浴びせられた第一声がこれだった。

 

 アスナは、なんでそんなこと聞くのというように、意外そうな表情を浮かべて答える。

 

「だって、私たち恋人同士ですし……」

 

「イチャラブ見せつけられるこっちの身にもなりやがれこのクソリア充がぁ!!」

 

 秋山はもはや悲鳴に近い叫び声を上げた。そしてカウンターの机に突っ伏した。キリトは、以前にもこうやって誰かに嘆かれたなとデジャブを感じた。

 

「俺だって彼女欲しいってのによお……」

 

「アンタだって、高級官僚なんだろ? だったら女が寄ってきてもおかしくないんじゃ……」

 

「世の中そんな甘かねえんだよ小僧がああ!! だいたい大人には敬語使えってんだよおおおおこの廃人美少女攻略組がああ!!」

 

 罪人の断末魔のような叫びをあげてキリトに怒鳴りつける。

 

「そこまで言わなくてもいいだろ……」

 

 キリトが呆れ顔でいうが、ビシッとアスナに指を突き出された。

 

「そうだよキリト君。敬語使わなきゃダメでしょ?」

 

「……分かったよ」

 

「なんで彼女の言うことは素直に聞くんだよテメエ!!」

 

 秋山の叫び声をキリトはスルーして、ガサゴソと、バイクのキーを取りだす。秋山は怒りの顔を収めてはあっと息を吐き出す。

 

「んま、末永くお幸せにな。そんで、アスナさんよ。けじめつけられたか?」

 

 秋山は真面目な口調でアスナに問う。アスナもコクッとゆっくり頷いた。キリトはアスナの肩に触れ、口を添える。

 

「何があっても、俺はアスナを守ります。そして、二人で背負うつもりです」

 

 敬語になったキリトを秋山はにやりと笑ってみる。そして、拳を突き出して、合わせた。

 

「まあ、俺の命令に従わず真っ先に駆け出したから嘘じゃねえだろうな。今回は許してやっからがんばれよ、剣士さん。けど、あんま人前でイチャラブすんなよ?」

 

 アスナの悲鳴が聞こえたとき、キリトは真っ先に、秋山の制止を振り切って駆け出していった。蒸し返されたキリトは顔を赤くする。

 

「はは……分かりました」

 

「気を付けて帰れよ」

 

 キリトは頭を下げて、アスナの手を引いた。そして、あのやかましいバイクにアスナを乗せて、大地が震えるような騒音を立てて去っていった。

 

                  ***

 

 再び静寂を取り戻した。秋山は伸びをして、時刻を確かめる。現在午後の3時だ。あと一時間で家に帰れる――開場時間は朝の8時から夕方の4時だ――なと思い、パソコンを取り出した。とりあえず部下の送ってきた報告書の添削しないとなと思い、電源を入れる。

 

 その直後、電話がけたましく鳴った。舌打ちしながら番号を見る。非通知だ。戸惑いながら受話器を取る。

 

「もしもし、SAO死亡者の墓の秋山ですが?」

 

「おお、秋山カ」

 

「……その声は」

 

 秋山ははあっと息を吐いた。緊張したのが損だった。

 

「明日、会わないカ? 俺っち明日暇なんダナ」

 

「全く。そう言っておきながら情報盗み取る気なんだろ?」

 

「心外ダナ。まあいいニャ。とりあえず、銀座のあの喫茶店に8時に来てくれナ」

 

「わかった」

 

 それだけ言って秋山は電話を切った。

 

「鼠は健在かよ……夢と魔法の王国だけにしてほしいぜ」

 

 秋山は再びため息をついた。最期に明日が若干怖くなってきたのはいつだろうなと、どうでもいい疑問が浮かんできた。




えー、最後の人物はもうお分かりかと思いますが、ここからは独自設定で行きますので。無論、一話完結なのは変わりないですが。どんどん墓参りゲストも登場しますが。

いきなり大物を出しましたが、ちゃんとネタは考えてあるのでご安心ください。

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