~~~デミウルゴスSIDE~~~
千年王国の対処法は決まっていた。
どれだけ戦力が有っても、結局のところギルド武器を破壊するかシルトを殺してしまえばそれで片が付く。
アインズ様が負けるとは思えないが、マジックキャスターである以上、アインズ様がおっしゃる通り暗殺に弱いのだろうから、そこを突けばいい。
最も、間違いなく対策はしているから、それに対する対応はしておかなければならないが。
…
しかしだ、ワールドエネミーが確認されたと聞いて、その撃破方法を調べたところ、余りにも難しいことが判明しました。
基本的に挑んだ者が全滅しているのです。
ワールドエネミーにはほとんどの攻撃が効かない。
しかも変態する毎に弱点が変化するから、それに合わせた装備に変更して戦うのが基本でありそれを調べるために何回も戦って確かめる必要がある。
倒せた場合も唯一の例外以外は、
となっていた。
我々の御主人様達である、かつてもアインズ・ウール・ゴウンメンバーでも同じように戦い、そしてやはり半壊して一回だけ勝利を収めたことが有るような存在である。
そんな中、初回、しかも一人も犠牲を出さずに倒した事例が存在した。
それがギルド
しかも、
それをどうとって良いのか分からなかった。
何かの事情で弱っていたのか、それとも、
(例えデミウルゴスでも、単体で考えてアインズ様とシャルティアの戦いように相性の問題は理解できても、根本的にアインズ・ウール・ゴウンメンバーより千年王国メンバーが勝るかもしれない、と言う考え方はしない、と言うか出来ないと思う)
「困りましたね~。」
思わず独り言が出てしまった。
今回はその弱いマモンだからとにかく、他のワールドエネミーも転移してきている可能性が有るのだから。
合計で600名近い者が用意できる千年王国と違い、アインズ様を含めてですら11名しか用意できないのだからレギオン編成には程遠い人数に過ぎない。(当然LV100の者限定)
「これは実際に戦われたアインズ様にお聞きするしかないですね。
大変恐れ多い事ですが。」
…
「…と言うのがワールドエネミーです。
今回戦う七つの大罪のワールドエネミー、強欲のマモンについては情報がほぼ有りません。
唯一有った情報が
私は集まった仲間たちに対して説明をした。
「ここまでで質問は有るかね。」
「デミウルゴス、マモンが特別に弱かったのかしら。」
アルベドがそう判断するのは理解できる。
私もそう思ったのだから。
「アインズ様にお伺いしたところ、そんな事は無いだろう、との事でした。
当時の
ワールド・ガーディアンの防御が行われていたなら、死者も出なかったのはその為と考えられるので例外中の例外と考えていいそうです。」
「私からも補足しよう。
シルトさんが、
その件も併せてお前たちの意見を聞きたい。」
「アインズさま~、マモンを倒した時は何回の
「アウラ、シルトさんが言うには実に300回以上だったらしい。
流石にオーバーキルだったそうだが、少なくとも単にワールド・ディザスターを36人集めて一斉に
こちらは別のワールドエネミーに対して実際に魔法職傭兵ギルドが行ったらしいのでその情報の裏付けでしかないのですが。
シルトは本当の事を言っているのでしょうか?
倒したのなら居るのは可笑しいのでは無いですか?
余りの話に、仲間たち全員が半信半疑な表情だった。
「ワールドアイテムハコウカハアルノカ。」
「ワールドエネミーにも世界の守りが有るそうだ。
従って、相手に影響が有るような物は効果がない。」
つまり、自分の戦闘力を上げるような物でなければ意味がない。
例えばシルトが持つファウンダー、コキュートスが持つヒュギエイアの杯、私が持つ幾億の刃ならば意味があるが、それ以外は意味がないと言う事です。
ワールドエネミーの攻撃によっては世界の守りが有ると無いとで影響が出たり出なかったりするようなので、全くの無意味ではないようですが。
…
その後も説明したのだが、余りの強さに全員が半信半疑になっていました。
至高の41人でも勝てないような相手なのだとアインズ様がおっしゃっていましたが、想像を絶します。
結局、本当にマモンであるとして弱点を確かめるために一度攻撃して直ぐに退却する事になりました。
外に出てきて暴れるようならシルトが
千年王国では何故、倒した筈のマモンが居るのかを調べたようで、何でも運営、そう呼ばれる者に蘇生されたとの情報を確認していました。(後で確認したところ本当だった)
つまり、最悪、この世界には32体のワールドエネミーの全てが居る可能性が有ると。
その後、共同でマモンと戦ったのですが…強すぎる。
ワールドエネミーは確かに強かった。
ですが、それ以上に驚きなのは千年王国勢、特にシルトとアンネの強さは信じがたい強さだった。
アンネ、ワールドチャンピオンよりも強い可能性がある事はアインズ様から指摘を頂いていました。
リ・エスティーゼ王国でも、聖王国でも全力を隠していたのは理解していたけれども、ちょっと想像を超えています。
兎に角、尋常でないくらい速い。
タゲ取りもヘイト管理もしないのに
暗殺者ではないのだからどうなっているのだ、と言いたくもなる。
これはシルトにも言えることです。
魔法使用時の硬直も魔法陣も詠唱も何も存在しないので、ただ、逃げ回っているようで魔法を使用している、と言うのはキュアイーリム戦の映像でも見ていたのですが、実際にその光景を見たらどうなっているのだ、と言いたくもなります。
同じ魔法を同じ場所にほぼ同時に大量に使用して威力を高めているのも確認しました。
通常なら絶対に不可能な方法です。
この二人は例外としてもそのほかのメンバーも我々ナザリックの者よりも全般的に強いのが確認されました。
その強さの違いは個々の強さの差ではありません。
一対一で戦うなら、それほど強さに差がある訳ではないようなのです。
決定的な差は連携が取れているかどうかにあります。
アインズ様に連携の大切さを言われていましたので、意識してはいるのですが、それにしても差がありすぎます。
しかしこれほどに差が出るとは。
アインズ様の慧眼には頭が下がる思いです。
アインズ様からは
「お前たちはばらばらにナザリックを守ってきたのに対して、シルトさんの近衛は、それこそずっとパーティーを組んできのだから、一朝一夕にあのように戦えないのは仕方がない。
今後、さらに研鑽に努めるように。」
とのお言葉を頂きました。
しかし、千年王国の戦力とシルトの戦闘力を上方修正する必要が出てきました。
シルトを少数で引っ張り出して、二重で奇襲をかける事で倒す、この作戦も、シルト本人があれほどまでに回避力が高いと成功するか今一度検討が必要ですね。
魔法使用を探知できない以上、地雷系の魔法で知らないうちに取り囲まれている可能性も出てきました。
何と厄介な。
取り合えず、こちらの正当性を示すために、評議国に詰問状を送りました。
千年王国は知っていても、周辺国にも正当性を提示しないと、結局千年王国に援軍要請が出て挟み撃ちに会う可能性を否定できないからだ。
評議国、ツアーからの返事が返って来て、各国に提示したところ、千年王国から、かなり困る返信が来た。
千年王国自体は中立を守るけれども、エリュエンティウの守護者に背後を突かれる可能性を指摘する内容だったためだ。
確認が必要、と言う事で、大急ぎでエリュエンティウに赴き確認をしたところ、評議国の国民に一定以上の被害が出た場合、ツアーが盟約を履行できなかったと判断して、我々を攻撃する用意があると守護者に言われた。
「…以上から、評議国に宣戦布告いたしますが、その対象はあくまでもツアーであって評議国ではない、との内容にしております。」
「デミウルゴスが言うのならそれが正しいのだろうな。」
「デミウルゴス、千年王国が中立を宣言するのなら、エリュエンティウの守護者が千年王国を通過する事を認めないようにはできないかしら。」
「アルベド、それ自体は可能だろう。
だが、転移魔法で飛び越えてくる可能性はどうだい?
かつて八欲王は世界中を支配して居た、と言う逸話がある。
であれば、ツアーと合流する可能性、エ・ランテルに転移してくる可能性も考慮しなければならなくなる。」
「デミウルゴス、エリュエンティウの戦力はどれくらいあると想定される。」
「私がエリュエンティウに赴いた感想ですが、我々の倍の戦力が有るかと。
半数が拠点であるエリュエンティウの防衛に回るとしても、かなりの戦力からの攻撃に備えなければいけません。
千年王国の判断では、100名以上の
上空の天空城に居る戦力が未知数の為です。
その場合、ナザリックを利用せずに迎撃するのはかなり困難かと。」
「
「アルベド、エリュエンティウはツアーが問題なのではなく、エリュエンティウの亜人住民の子孫の安否しか気にしていないのなら、デミウルゴスが言うように、ツアーのみに対象を絞り敵に回さないのが正解だろう。
実際に、評議国の住民迄恨みがある訳ではないからな。」
「「畏まりました」」
「ところでだが、千年王国やエリュエンティウと戦争になった場合は勝てるのか?」
「アインズ様に勝利を捧げて御覧にいれます。」
そうは言ったものの、その厳しさ自体は実感していた。
「デミウルゴス、勝利したとしてどの程度の損害が出る。」
「それは…。」
ツアー、千年王国やエリュエンティウを各個撃破したとしてもおそらくは半壊するのではないか。
シルトを仕留めたとして、アインズ様以外の殆どが無傷では済まないであろう。
寧ろ、持久戦になる可能性が高い。
至高の41人が集められた膨大な金貨と宝物が有るから最終的には勝利できたとしても、その被害は甚大なものになるだろう。
「やはり答えられないのか、デミウルゴス。
私は確かに、世界征服なんて面白いかもしれない、そう言った。
だがお前たちが傷つき倒されるのなら全く面白くは無いな。」
アインズ様は私達
「アインズ様、私達一同が不甲斐ないばかりに。」
「アインズ様に完全な勝利をお約束は出来ないこの非才の身をお気遣いなさりませんよう。」
アインズ様の優しさに触れ、なお一層の忠義を誓う事にした。
「まあ、何だ、特にシルトさん率いる千年王国とは敵対しないよう。
シルトさんは道理を通す人だ。
我々の事をないがしろにするようなことはしないから。」
このようにしていると、千年王国からシルトの結婚式の招待状と、評議国の代表との交渉の場の設置の用意がある事。
また、千年王国としての魔導国、評議国との仲裁案を提示してきた。
シャルティアとアルベドがブーケを巡って暴走すると言う、恥ずかしい場面もあったが、評議国との交渉の場に臨む事になった。
アインズ様は、千年王国、と言うよりもシルト様の仲裁案なら全面的に呑むことを決定された。
この仲裁案をツアーが断った場合、面目を潰された千年王国も評議国戦に参戦する可能性が高い。と言う判断をされた為だ。
千年王国が参戦した場合、少なくともエリュエンティウの戦力は千年王国が完全に抑えるだろうとも。
千年王国を味方につける為に、提案を呑んだふりをする、と言う作戦は素晴らしいもので流石はアインズ様である。
実際、交渉の場ではツアーの条件は呑めないがシルトの案であれば要求を受け入れる姿勢を示された事からシルトはアインズ様側寄りで一点を除きアインズ様よりの提案をして、逆にシルトは評議国の大使に対して不満感を出していた。
披露宴ではアインズ様はシルトの受肉化の魔法で食事を堪能されていたのは私にとっても喜ばしい事であった。
あの魔法だけでもなんとか入手できないだろうか?
料理長もさぞや喜ぶだろう。
結局、ツアーは千年王国の提案を呑んだそうだ。
その方法が、二体目のワールドエネミーを倒すことによっての恫喝に等しい威圧によるものであるようだ…二体目を倒したのですか?
余りの強さにアインズ様が最低でも千年王国と敵対するのは無謀である、と考えた理由は理解できましたが、何か付け入る隙は無いか、不肖このデミウルゴス、アインズ様に世界を差し上げることをまだ諦めておりません。
そのシルトがあけみちゃん様のワールドアイテム、獣帝のアミュレットをツアーから貰ってきたとの連絡がありました。
「ツアーが神竜は制御できないと言っていましたが。」
「制御できるのなら倒して欲しくは無いのですが、無理でしょうか?」
「本当に制御できるならその方が九曜の世界喰いとの戦いで戦力になるのでその方が良いのですが、だめなら使役していても意味が無いと思いますので撃破しますよ。」
シルトとアインズ様がお話になられているのを聞きました。
意外な事に、シルトは必ずしも神竜を倒さなければならないとは考えてはいないようです。
ツアーとの約束を破るつもりなのでしょうか?
九曜の世界喰いと言うワードが気になったのですが、アウラが神竜を呼び出そうとしたことで状況が一変した。
「O, wonder, how many goodly creatures e there here! How beauteous mankind is! O brave new world, that has such people in'it!!」
アウラがそう話し始めるとほとんと同時に、アインズ様が「アウラ、召喚を止めろ。」と命令を下されたがそれは召喚された。
その竜が具現化するのとほぼ同時にその体が
アインズ様も
「ヴリトラだ、こちらを敵と認識している、
攻撃を開始しろ。」
アインズ様の御命令と同時に、私も攻撃を開始した。
レイドボスとはこれほどまでに強いのですか?
それでも多勢に無勢だ。
私達が攻撃していると、ヴリトラは耐えかねたのか上空に逃げ出した。
私達に向かってブレスを放とうとしたヴリトラが、首を急に違う方向に向けて明後日の方向に放った。
アインズ様も、
次の瞬間、ヴリトラの体が歪み、バラバラに分割されて倒された。
この戦いの結果、この世界に転移しているのかどうかは兎に角、九曜の世界喰いがこの世界に何らかの影響を与えている事は確実であると考えられた。
そして、他のワールドエネミーを倒して見せる千年王国、厳密に言えばシルトでも九曜の世界喰いだけは倒せない、そう言ってきたのだ。
シルトもアインズ様も九曜の世界喰いがこの世界に来ないようにワールドアイテムの二十を使用しようとしたが、どちらも弾かれたらしい。
その後、シルトが九曜の世界喰いの存在を確認して、戦う時に備えることになった。
「アルベド、貴女何人目ですか?」
「良いじゃない、子供は多い方が良いわ。」
いくらなんでも限度と言う物が有るのではないだろうか?
今、アルベドのお腹の中に居る子は、実に52人目になる筈だ…双子でなければ。
片方は夜の回数で、片方は子供の数でマウントを取っているのを見ると…どう言って良いのかが分からない。
最も、ナザリックではアインズ様の御子はアルベドが子供を独占的に生んでいるけれども、シルトは嫁が複数いるので軽く100人を超えていた筈だ。
コキュートスやセバスも子供がいるのだが…私にも子供がいる。
まさか、私が種付けをすることになるとは思いませんでした。
嫌がる女に子供を産ませるのも一興です、と言いたいところですが、即座に無理やりはよせ、と千年王国から横やりが入りました。
異種交配は千年王国の手を借りなければならないので一回で諦めました。
非常に残念な事です。
シルトからは、「お前がそんなだからデミウルゴスはちょっとないです、と言われたんだ。」と意味不明なクレームが来ましたが何の事なのでしょうか?
戦力として、強い子孫を産むスピードも千年王国にその方法を握られている以上、圧倒的に数に差が出てしまいます。
しかも、この100年で、奇襲や暗殺と言った手段も、シルトにはほぼ効かないことが判明しました。
子供の件と言い、あの膨大な規模の魔法使用と言い、アインズ様がおっしゃられるように、シルトとはそれなりの関係を築くしかないのでしょうね。
少なくとも九曜の世界喰いを撃退する方法がないのに倒した場合、世界征服をしても意味がない可能性があります。
ファウンダーを奪っても使える者が無ければ意味がないですし。(実際にアインズ様が装備条件を確認された。)
余りにも強い上、絶対に存在自体が必要な相手と言うのはどうにもなりません。
アインズ様の御命令もありますし、世界征服は諦めるしかないのでしょうね。
私の中で閑話の中で一番出来が悪いと思っています。
ナザリック陣営が世界征服を諦めていく過程を書こうとしたのですが…どうもうまくいていないと思う。