もう一つのギルド   作:mshr

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第2章3話 朝食会も結局報告会

朝食は夏エリアのテラスで食べることにした。

 

本当にリゾート地のようだ…ほかに人はいないので寂れているように感じないでもないが。

 

「今日はここで食べよう。

朝食を食べるものは一緒に座って?

食べなくてもステラも座ってね。」

 

「ここに座ってよろしいのでしょうか?」

 

「じゃあどこで食べるの?」

 

「ここは、至高の方々か、そのお客人しか座ってはいけないのでは?」

 

ユグドラシル時代にはここで商談したこともあったし、メンバーでなくても仲の良い人とおしゃべりしたこともある。

 

モモンガと言うオーバーロードもここに来たことがあるのだよね。

 

私もいくつかのギルドの居住用階層に招待されたこともある。

 

ナザリックはないのだけれども、ナザリックの自慢をするなら呼んで欲しかったよ。

 

彼はうちの傭兵屋の顧客だったりする。

 

原作でも他のメンバーが居なくなってから維持費を稼いでいたとなっていたけれども、うちの傭兵NPCを借りて稼いでいたらしい。

 

顧客リストに名前を見つけて会ってみた、と言うのが真相である。

 

それはさておき

 

「その理屈では、転移した今ではここは私しか使えなくなってしまう。

使われないのは悲しい事ではないかな?

遠慮せずに座ってくれ。」

 

「ではお言葉に甘えまして。」

「シルト様が良いと言われるのでしたら」

「某にこのような栄誉を」

 

ん?なんで座らないのだ?

 

「朝食を一緒に食べるって言ったよね?

エレアとクスタフ、ズワースは座らないのだ?」

 

「私たちは護衛ですので。」

「執事が主人と共に座るのは。」

 

「護衛はアンネとオックスも居るよね。

いくら何でも過剰だろう。

一緒に食べよう。

ズワースは…確かに職務放棄になるのか。」

 

流石に執事長がこの状態では無理か。

 

レストランの店長に一緒に座れって言っているようなものだし。

 

「承知いたしました」

 

みんな、恐る恐る席に着いた。

 

メニューは、トーストとゆで卵、サラダ、ドリンクで所謂、喫茶店のモーニングセットだった。

 

ズワースは申し訳なさそうにしていたけれども、転移前の基準ではかなり豪勢な食事だよ。

 

前世ではありふれたメニューだったけれどもね。

 

ステラはドリンクのみだったけれども。

 

本当に、食糧事情は最優先課題だね。

 

「ステラ、傭兵屋は開店休業になると思うけれども、どうなっている?」

 

「昨日、避難の際に21人の所在は確認できましたので行方不明は31名です。

恐らくはユグドラシルに取り残されたのではないかと。

21名の内9名は現在雇用契約中ですが、雇用主とは音信不通になっているようです。」

 

多分21人はレンタルした人の最終ログアウト地点がエルグリラだったのだろう。

 

レンタル中だったものの内、外に連れ出さられていたと推定される。31体の傭兵NPCは永遠に失われたと認識した。

 

愛着があるNPCでなければ良いけど。

 

自分の所有していた傭兵NPCも3体が失われている。

 

事前の予定外戦力だから良しとしなくてはいけないのだろうな。

 

こうなってみると割り切れないものがあるが。

 

「傭兵たちは千年王国(ミレニアム)の直属軍にできるか?」

 

「一応確認いたしますが、シルト様のご提案を断るものはいないかと。」

 

「傭兵からも募るとして死霊術師は足りるのか?」

 

「ゾンビの数はかなり多いので不足する可能性が高いかと。」

 

オックス一人でも恐らく単純命令なら万単位で支配できるとは思うけれども、開墾作業をさせるのだよね。

 

そんな数に命令を出すのが厳しいか。

 

「何体か用意するとしよう。

最低でも中位のアンデットか死霊術師がいるよね。

オーバーロードも許可するから必要数を金貨召喚してくれ。

事後報告でいいよ

オックス、この食事の後は護衛の任は外れてもいいからステラを手伝ってくれ」

 

「ありがとうございます。」

「承知いたしました。」

 

馬鹿みたいにオーバーロードを用意しないよね。

 

「ゴーレムと自動人形(オートマトン)の数は大丈夫なの?」

 

フェンデルに聞いてみた。

 

「早急に必要なのは開墾用かと考えますが。それならばゴーレムの不足分の生産はさほどかかりません。」

 

「開墾用のゴーレムなら?」

 

「戦闘用となると厳しい事になります。

農業用のゴーレムなら材種も石か鉄で魔法付与も要りませんので。

細かい作業は自動人形(オートマトン)でないと厳しいかと」

 

「手空きの市民はいないのか?」

 

「城壁外が無くなりましたので、元農民なら手空きですので、開墾した農地を分ければ問題ないかと。」

 

「余り市民の職を奪わないようにゴーレムや自動人形(オートマトン)の生産量は他の守護者と調節してくれ。」

 

「承知いたしました。」

 

ストーンゴーレムやアイアンゴーレムなら、普通に十分に戦力になりそうな?

 

この世界の戦力基準を理解したら世界征服とか言い始めないよね。

 

「皐月、傭兵団とか言っていたけれども、偽装してその身分は入らないのか?

偽装商会でも構わないけれども」

 

「傭兵団を確認したのは同盟国と小国です。

同盟国に入り込むのはかなり容易と思いますがその他の小国、法国と大王国は厳しそうです。」

 

「どうして?」

 

「同盟国以外は人種がほぼ統一されているのです。」

 

「情報収集は同盟国を中心に行うとしよう。

直属軍にした傭兵から選抜して送り込んで欲しい。

出来れば偽装商会も作りたい。

情報収集と共に現地通貨を稼いで食料を入手できるようにしたい。

できるか。」

 

「シルト様のご期待に添うよう努めさせていただきます。」

 

「ところで、お前たちに趣味とか楽しみはあるのか?」

 

「某の趣味は鍛錬ですな。楽しみは、出来ればシルト様の御世継ぎのお顔を。」

 

「まて、それ以前に結婚していないだろうが。」

 

一瞬、女性陣の目つきが変わったのは気のせいと思いたい。

 

「僭越ながらシルト様」

 

何故かズワースが声をかけてきた。

 

執事がここで話しかけてきていいのか?

 

「結婚しなくてもお手を出していただければ良いのですよ。

出来ればメイド全員をお手付きにしていただいてですな。」

 

メイドハーレムってお前の元が作りたがっていたやつだろう。

 

お前が作るのじゃないのか!

 

「なんなのだ、その節操無しは、お前の趣味かそれとも、俺をそのように思っているのか?それは。」

 

「私にそのように設定されたのはシルト様ですよね。

それを相手にされないところまで。」

 

絶対に意味が違うだろう!

 

「ズワース、お前、分かって言っている訳ではないよな?」

 

「いえ、千年王国(ミレニアム)の一員として、一つの提案をさせて頂いた迄です。」

 

いかん、名前も見た目も完全に元メンバーなので、思わず素が出てしまった。

 

と言うか、絶対にあいつの過去ログデーターも影響しているよな。

 

後で、他の二人もあわせて確認しないと。

 

「私は不老不死だぞ。

そんなに慌てなくても。

それに、周辺情勢次第だけれども、王族なり貴族の娘を妻にする可能性を仄めかす必要もあるだろうに。」

 

一瞬、イビルアイの事が頭によぎった。

 

この辺りの領有を主張するのに彼女は非常に都合が良いからだ。

 

「それは、政治的な必要性によっては、外部から妻を娶る可能性もあるという事でしょうか?」

 

皐月が食いついてきた。

 

「その辺りは情報不足だよ。

結婚のルールすら全然違うかもしれないし。」

 

「周辺国のルールに気を使う必要はないのでは?

エルグリラにおいて、シルト様こそ法でありルールであります。

妻も一人とは言わず、何人でも。

ズワース様ではないですが、(シモベ)の女性全員でも構いませんが。」

 

ステラ、なんという事を言うのだ。

 

「それはない。特にレイラは有り得ない。寝取りは趣味ではない。」

 

話を変えねば。

 

「クスタフ、お前の趣味は何かないのか?」

 

無難な男性に聞いておこう。

 

「武器を破壊する事ですな。

特にランクの高い武器ほどいい」

 

おい、お前はドワーフだろう。

 

確かにお前にギルド武器を破壊させていたけれどもさ。

 

思わず横にスタッフをクスタフから遠ざけた。

 

「主様、流石に吾輩も分別はついております。

千年王国(ミレニアム)の者の武器の破壊はしないですよ。

敵の武器を破壊した時の表情はたまりませんな」

 

絶対にカルマ値がマイナスカンストだろう。

 

ドワーフにカルマ値-500はないが、本当は-500ではないのか?(※実際のカルマ値は-50)

 

ギルド武器を破壊させまくったら何かレア職に就けるのではないかとやらせたのがまずかったのだろうか?

 

多分、ギルド武器の破壊で手に入れた職は、武器破壊者(ウェポンクラッシャー)なるもので、武器破壊(ウェポンブレイク)なる相手の装備品の耐久を削るスキルを持っている。

 

「私からお願いがあるのですが宜しいでしょうか?」

 

「内容によるよ。」

 

ステラか、結婚して欲しいとか、子供を仕込んでくれなんて言わないよな。

 

「できれば市民にお顔を拝謁させて頂きたく。」

 

真面目な話だった。

 

「普通に街に出るつもりだけれども?」

 

「どういう意味でしょうか?」

 

「現状を把握したいから、街でお店巡りをしたり、話を聞いたりだけれども。

何か問題でもあるのか?」

 

「私のお願いは凱旋パレードでして。」

 

「それは今日いきなりではないよね。」

 

「例の竜も市民に見せたいので、準備がございますが告知を含めて早くて3,4日後には行えるかと。」

 

「かまわないよ。

ああ、先ほど次に集まるのは一週間後と言ったけれども、パレードの前日に変更しよう。

その時に国名を宣言したい。」

 

「ご配慮いただきありがとうございます。」

 

パレードの準備をお願いしたけれども、ステラはオーバーワークにならないかな?

 

心配してしまう。

 

ユグドラシル時代、都市型拠点のメリットは、税収として収入がある為、拠点維持が楽だった一方、デメリットとして防衛力が低いことがあげられる。

 

理由は簡単で、都市として設定されたエリアは運営の管理する町と同じ設定が適応されるからだ。

 

要するに戦闘禁止エリアだった。

 

クランの拠点を置くこともできたし、転移魔法や死亡時の復活ポイントも都市に設定できるから、ナザリックのようにたどり着くのも大変、と言う事も無かった。

 

第一階層がほぼ、防衛用には使えないし、都市管理用NPCを配備するとNPCポイントを消費するのに防衛用には使えないのだから非都市型拠点の防衛力に劣ってしまうのは最早仕様である。

 

都市管理のシステムを構築しないと人口は増えないし、拠点NPCを店主として配備しないとギルド直営店の運営も出来ないので収入と防衛力のバランスのとり方が中々に難しかった。

 

エルグリラに関して言うと、第二階層も基本戦闘禁止エリアだったりするからより質が悪かった。

 

まあおかげで、ワールドアイテムをNPCに持たせることができたのだから、良かった点もあるのだが…正直、裏技に近い。

 

当然、この戦闘禁止設定は転移後の世界では適応されないだろう。

 

 

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