もう一つのギルド   作:mshr

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第2章10話 モモンガさんとの会談

伝言(メッセージ)がやってきて、アンネ、ハサン、私、ズワースの順に転移門をくぐった。

 

私達がくぐると、先ぶれで来ていた(しもべ)がゲートをくぐって戻っていった。

 

LV100の者に対しては様々な上位無効化スキルによってダメージを与えることはできない(しもべ)であっても、付き添い人数で相手から責められる可能性があるからね。

 

既にモモンガさん、守護者統括のアルベド、階層守護者の内、シャルティア、コキュートス、アウラ・ベラ・フィオーラ、マーレ・ベロ・フィオーレ、デミウルゴス、プレアデスからユリ、ルプスレギナ、シズ、エントマが居た。

 

セバス、ナーベラル、ソリュシャンが居ないので、千年王国(ミレニアム)の転移がナザリックの転移よりも若干遅い可能性がさらに高まった。

 

同時なら、モモンガさんは最初の数日引きこもっていた筈で、星空事件の前だったのだが…

 

状況的に分かっていたとは言え改めて残念に思ってしまう。

 

手紙の名前がアインズ・ウール・ゴウンの段階で覚悟を決めていたので良かったが、覚悟を決めていなかったらこの場で頭を抱え込んでしまったかもしれない。

 

「ナザリック大地下墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウンです。

シルトさん、ご足労頂きありがとうございます。」

 

ん、可笑しいぞ?

 

この段階で私は疑問に思った。

 

「私の記憶が正しければ、アインズ・ウール・ゴウンはギルドの名前で、ギルド長はモモンガさんだった筈では?」

 

「最近改名しまして、アインズ・ウール・ゴウンと名乗る事に致しました。」

 

「それはまた何故ですか?」

 

「モモンガよりもアインズ・ウール・ゴウンの名前の方がユグドラシルでは知られていたからです。

アインズ・ウール・ゴウンの名前を広めれば、同じようにユグドラシルから転移したものが居れば、何かしらの接触があると思いまして。

改名しなくてもシルトさんとは会えたようですが。」

 

「そのような事情だったのですね。

改めて、私が千年王国(ミレニアム)のギルド長シルト・クレーテです。

こちらが私の護衛のアンネ・レンブラントとハサン、執事長のズワースです。

前に千年王国(ミレニアム)の居住階層で会っているかとは思いますが。」

 

名前を上げると、一人ずつ会釈をしていった。

 

「ではこちらも、守護者統括のアルベド、守護者のシャルティア、コキュートス、アウラ・ベラ・フィオーラ、マーレ・ベロ・フィオーレ、デミウルゴス、メイドのユリ・アルファ、ルプスレギナ・ベータ、シズ・デルタ、エントマ・ヴァシリッサ・ゼータです。

どうぞお席にお座りください。」

 

ナザリック陣営も名前を呼ばれると会釈していた。

 

「では、私は遠慮なく、お前たちはどうする?」

 

直感では八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)影の悪魔(シャドウ・デーモン)辺りが周りにいる。

 

POPモンスターはこちらが送り返した(しもべ)と同じく相手にもならないから無視するがハサンは何処にいるのか気が付いているのだろう。

 

ハサンの方を見た時に目でサインをしてきた。

 

「我々は執事や護衛ですので後ろで立たせて頂きます。」

 

ズワースが代表して言ってきた。

 

どう考えても座る筈が無いのはナザリック陣営も理解できる筈なので様式美と言うやつである。

 

「そうか、では私だけ。」

 

私が席に座るとモモンガさんも席に座った。

 

「元々、知り合いでしたしモモンガさんと御呼びしても?」

 

「シルトさんはかまいませんよ。」

 

ズワースは元メンバーのコピーなのでカマをかけようかと思ったのだが止しておく。

 

「だそうだ、お前たちはアインズ様と呼ぶように。」

 

「「「畏まりました。」」」

 

「と言う事で宜しかったでしょうか?」

 

「そうしていただけると助かります。

所で他のメンバーの方は?」

 

「残念なことに私だけです。

モモンガさんは?」

 

「こちらも私だけです。」

 

「こうして、出会えたのですから仲良くしていただけると助かります。

ところで、モモンガさんの真名は?

私は亀井隆です。」

 

「真名とは?」

 

やっぱりそうか、パンドラズ・アクターかよ。

 

お茶の用意をしていたユリを始め、その場の全員が私の方を見て固まったのが分かった。

 

アンネ達もだ。

 

嘘をつくと言っていただろう、なんで固まる。

 

これは後で知ったのだが相手に合わせたそうだ…平然としていたら私が偽物と思われるって…本当か?と疑問に思ったのだがリアルに別の名前があると言う事実は知っていたとの事だった。

 

アンネとズワースが言うには、ガンダルフさんが口に出した事があったからだ。

 

確かにあったなそんなことが。

 

ズワースは私がフルネームを出したことにびっくりして驚いたからだと白状したので信用した。

 

話を戻す。

 

私は席を立ちあがり、冷たい視線を浴びせながら

 

「私はギルド アインズ・ウール・ゴウンのモモンガさんに会いに来たのであって、偽物と会う気はない。

中々に役者(アクター)だな、二重の影(ドッペルゲンガー)か?かなり高レベルの。」

 

と強い口調で嫌味を言った。

 

アンネとハサンが武器に手をかけズワースは私の手を引っ張り後ろに下がった。

 

ナザリック陣営も身を構えてアイテムボックスから武器を取り出し始めた。

 

一触即発である。

 

転移でモモンガさんがペストーニャを連れて現れた。

 

モモンガさんが頭を下げながら

 

「申し訳ない、こちらの落ち度だ、私の顔に免じて許してくれないだろうか。

お前たちも武器をしまえ。」

 

ナザリック陣営は武器をしまい、構えを解いた。

 

「再度、お聞きしますが真名は?」

 

「真名は本名で良いのですね。

鈴木悟です。」

 

「本人のようだ、お前たちも構えを解け。」

 

私は肩をすくめながら

 

「最初に不用意にナザリックに近づいたのは私たちの方です。

これで貸し借り無しと言う事で。」

 

「そうして頂けると助かります。」

 

デミウルゴス辺りの提案で分かっていてやった可能性も有るよな。

 

本当に食えない。

 

「先ほどのやり取りは聞いていましたか?聞いていたなら省略しますが。」

 

「聞いていました。こちらがパンドラズ・アクター、シルトさんの言われた通り二重の影(ドッペルゲンガー)です。

こちらがメイド長のペストーニャ・S・ワンコです。

ペストーニャ、お茶の用意をユリと変われ」

 

「わかりました、ワン」

 

この場合はメイドのトップがやるのが普通だよな。

 

「では改めて、お久しぶりですねモモンガさん。」

 

「シルトさん、こちらこそお久しぶりです。」

 

違和感の正体はこれだ。

 

本人ならこのようなあいさつになる筈だからだ。

 

「座ってください、お茶とお菓子を用意しましたので、私は食べられませんが」

 

「では遠慮なく」

 

わたしはペストーニャの用意したお茶を躊躇せずに飲んだ。

 

信用している事を態度で示すためだが…毒など多分効かないだろうし効くとも思っていないだろう。

 

「お手紙に2日前に転移したとありましたが本当ですか?」

 

「そうなのですよ、手紙は昨日ですから3日目ですが状況確認だけでもばたばたで。」

 

「よく、ナザリックが分かりましたね。」

 

「この近くで高度な魔法かスキルを使った戦闘の跡を確認して周辺を探索させたら偶然見つかったみたいで。」

 

「近くに転移したのですか?」

 

「かなり離れているのですけれどもね。

ズワース、地図を出してくれないかな。」

 

「承知いたしました。」

 

ズワースが机に地図を広げるとナザリック陣営が騒がしくなってこちらを見る目が厳しくなった。

 

そうだろうな、2日半で作った地図には見えないからな。

 

「騒々しい、静かにせよ」

 

ここであれが見えるのか、ちょっと感動した。

 

「どうやってこのような地図を。」

 

遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を大量に使って写したものです。

最大縮小で利用したので荒い所はありますが。」

 

「あれを直ぐに使えたのですか?

使うのにかなり苦労したのですが」

 

「守護者や(しもべ)に使わせたら普通に使ったので。」

 

モモンガさんは苦戦したのだっけ。

 

実の所、自分は使い方が分かっていない。

 

表情は分りにくいが、あっけにとられているのは何となく分かった。

 

「自分で使い方やよく分かっていない事も守護者や(しもべ)は知っていたりするので私も驚いていますよ。

なので、周辺状況を確認するために先ずは地図を作るように命じました。

それで現在までに完成したのがこの地図です。」

 

「それはまた…そのような使い方があったのですね。」

 

「それで、ここが千年王国(ミレニアム)の拠点のエルグリラでここがナザリック地下大墳墓です。」

 

私は指で指しながら答えた。

 

「地図が随分北に偏っていますね、ナザリックは無いような?」

 

「何か隠蔽をしていませんか?

地図に無いので偵察隊が情報確認をするために接近したのですよ。

で、ここが先ほど言った戦闘の跡です。

エルグリラは都市拠点だったことは知っていますよね。

都市住民が4万人以上いて食糧問題が発生したのですよ。

ですので、砂漠の地図の製作は後回しにさせました。」

 

「なるほど、って、住民がいるのですか?」

 

「ユグドラシルではデーター上の存在だったのですけれども、ちゃんといるのですよ。

現在、合法的に食料を手に入れる方法の模索を基本的には優先にしています。

略奪して連鎖的に世界中と戦争とか考えたくは無いので。」

 

「それはまた大変ですね。

何かお力添えできると良いのですが。」

 

「そうだ、忘れていました。

手土産を持ってきたのですが、ズワース出してくれ。」

 

ズワースが中級羊皮紙(ミドルグレードスクロース)20本を取り出した。

 

「未記入ですので、7位階の魔法までなら込められます。

つまらないものですが。」

 

「大変助かります。

この世界の羊皮紙(スクロール)では第1位階の魔法までしか込められないようでして。

同じ羊皮紙(スクロール)で現地の住民はもっと上位の魔法を込めているようなのですが現在研究中なのです。

それも3位階までのようで。」

 

「そうなのですか?

4位階までの羊皮紙(スクロール)ならばいくらでも、と言うのは言いすぎですがかなりの数を用意できますよ。」

 

「それは何故用意できるのですか?」

 

「エルグリラの第二階層のPOPモンスターのドロップ品だったからですよ。

先ほども言いましたが食料不足なのでPOP限界まで倒して肉にしているのです。

従って皮は余る計算になりまして。」

 

デミウルゴスの表情が微妙に変化したのが分かった。

 

そうだろうね。

 

聖王国両脚羊(アベリオンシープ)は3位階な上に、こちらでも量産されている訳だ。

 

最も、研究は止めないだろうが。

 

羊皮紙(スクロール)の供給を千年王国(ミレニアム)に握られるのは困るだろうから。

 

「ですので、無償で、と言うのは困りますが食料と交換なら私達もありがたいのですが。」

 

「どれくらいの量との交換になるのでしょうか?」

 

「まだ、この世界のスクロールの値段が分からないので。

その金額で用意できる小麦などの穀物と同量なら喜んで交換いたしますよ。

場所を指定してもらえれば引き取りもこちらで行います。」

 

「どの程度まで必要なのですか?」

 

「一日50トンは必要です。」

 

「一日50トンもですか!」

 

「全量をモモンガさんに用意してもらおうなどとは考えていませんよ。

その内の一部でも手に入ればと考えただけで。」

 

「検討します。アルベド、お願いできるか?」

 

「承知いたしました。」

 

ぶっちゃけ、その半分の量でも期間限定でOKするつもりだったのだけれどもな。

 

値切らないのか?

 

「前向きに検討をお願いいたします。」

 

モモンの稼ぎが更に消えるな、お疲れ様です。

 

「ところで、ここにも戦場跡と思える場所があるのですが?」

 

「そこは、私が戦った戦場跡です。

ワールドエネミー並みの竜王が居まして、拠点からの距離の問題で戦う事になりました。

戦闘報告書の写しも持って来ましたが、読んでみますか?

ズワース、渡してくれ。」

 

「こちらです。」

 

ズワースが私の書いた報告書(偽)と水晶を渡した。

 

水晶は私の戦闘映像を入れてある。

 

主に異なる点は、私がいきなり乗り込んだのではなく偵察隊が戦闘して敗北した後に向かったとなっている点とアンネがあのブレスで消された事になっている点だ。

 

この二点を変更しないと、キュアイーリム戦が逆におかしな事になるからだ。

 

まあ、簡単に言うと、キュアーイーリムの事を何故知っていたのだって事だ。

 

モモンガさんが読んでいるのを見ながら私はお菓子を食べ、お茶のお代わりをお願いした。

 

読み終わると

 

「他の物に読ませても構いませんか?」

 

「構いませんよ。

この水晶にはその際の遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)の映像を入れてありますので見てみますか?」

 

「ぜひお願いしたいのですが。」

 

「見るのは他の者が読んでからにしますか?」

 

「この報告書を貸して貰えますか?」

 

「お渡ししますよ。

写しですから。」

 

「それはまたありがとうございます。

お待たせするのも悪いので先に見せてください。」

 

「そうですか、ズワース、起動させてくれ。」

 

例のごとく、私は起動方法が分からない。

 

「承りました。」

 

映像が始まるとナザリック陣営はあっけに取られていた。

 

いきなりの大災厄(グランドカタストロフ)は衝撃だろうと思うよ。

 

使った本人が驚いたのだから。

 

その後の展開も無茶苦茶すぎる。

 

「ナンナノダ。」

「絶対におかしいでありんす。」

「お姉ちゃん」

「あの竜王もおかしいけれども、この人も十分おかしいよ」

「あの魔法発動速度はどうなっているのですか。」

「あれはもしかして大災厄(グランドカタストロフ)なのですか?

もしそうなら、本当に大災厄(グランドカタストロフ)を二回使っています。

二人いたの間違いではないのですか。」

 

残念、実に48回なのだな。

 

後、私にこの人は不味いな。

 

後ろから殺気を感じるよ。

 

「うちのアウラが申し訳ない。

子供のする事なので許して貰えないだろうか。」

 

「私はかまいませんよ。

と言っても他の者が許すかどうかは分かりませんが。」

 

「ごめんなさい。」

 

「シルト様が良いと仰られるなら私どもの申す事は有りません。」

 

「素直に謝れて偉いね。

モモンガさんは、呼び捨てにしてもため口でも良いと思うのですよ。

こちらもそうするだけですので。

でも、下の者にそれは無いですかね。

それが分かって貰えれば良いですよ。

で、良いよな。」

 

「はい」

 

一応、殺気は収まった。

 

「ありがとうございます。

デミウルゴスからこれを読んでみろ。

シルトさんいくつか質問があるのですが宜しいですか?」

 

「構いませんよ。

全て答えられるかは分かりませんが。」

 

「書いてあったことですが、アンネと二人で挑んだのですか?」

 

「正確には金貨召喚した天使も居ましたが。」

 

「他の守護者達は。」

 

「最大戦力で挑むと言う話もあったのですが、住民の避難や転移後の混乱も有ったので、取り合えず傭兵モンスター以外では二人で挑みました。

結果、損害は最小限で済みましたので。」

 

「最小限ですか、金貨25億枚を超えていますよね。」

 

損害も割り増しで、本物の報告書は金貨4億4000万枚である。

 

偵察隊分と第二陣の天使を足さないと計算があわないのだ。

 

実際の映像は私とキュアーイーリムが中心で全てが映っておらず、チェックもさせたが矛盾はないそうだ。

 

「後はワールドアイテムを一つ消費しました。

二回目ですね。」

 

アンネはユグドラシルでロンギヌスを食らって、世界樹の雫のお世話になっている為だ。

 

「申し訳ありません。」

 

背後で頭を下げた気配がした。

 

「気にするな。私はアンネが居ないと恐ろしくて外に出られない。」

 

「あの話は本当だったのか。」と小さな声が聞こえた。

 

アンネもそれなりに有名だったからな、多分モモンガさんは知っている。

 

情報板のロンギヌスの情報にも書かれていたからね。

 

その後も普通に存在した訳で真偽不明となっていたけれども。

 

「書いてあった、ワールドアイテムでしか蘇生できなかったと言うのは本当なのですか?」

 

「嘘を書いても意味が無いでしょう。」

 

嘘を書いてあるがな。

 

実際、傭兵モンスターの智天使(ケルプ)は通常の方法では蘇生出来なかった。

 

嘘は真実に若干混ぜる程度で良い。

 

そして、真に知られたくないものを隠すためには、知られても大丈夫なものをギリギリ気付かれるように隠すべきである。

 

デミウルゴスがいるんだ、気付いて混乱してくれるよね。

 

「他にも同じような存在がこの世界には居ると。」

 

「居ないと考える方が不自然ではないですか?」

 

「こちらも同じような事がありまして。

こちらのシャルティアが精神支配を受けまして。」

 

「申し訳ないでありんす。」

 

「えーと、確か真祖の吸血鬼(トゥルーヴァンパイア)でしたっけ?

精神支配無効なのでは?」

 

下調べしていない筈が無いので知っていて当然の情報だったりする。

 

「なので、ワールドアイテムと考えたのですが、この世界にはそのような魔法を使う者がいてもおかしくはないと思いまして。

一応確認しますが、シルトさんはシャルティアを精神支配していないですよね?」

 

「そのような存在は確かにあり得ますね。

2日半で何時そんな余裕が?と言いたいのですが証拠を出せと言われると?

ところで、どうやって取り戻したのです?」

 

「精神支配した後で何かしらの理由で命令を出されずに放置していたのですよ。

星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)でも元に戻せなかった事もワールドアイテムを使われたと考えた理由の一つです。」

 

「放置ですか?

命令できなかったとして、私が放置状態でそのまま残していくと?」

 

「確かにそれは無いですね。

疑って申し訳ない。」

 

「私もモモンガさんと同じ状況なら間違いなく私を疑いますね。

ですので問題は無いですよ。

何故、警戒されていたのか理解できてすっきりしました。」

 

肩を竦めて問題ないポーズを取った。

 

「ところでどうやって元に戻したのですか?」

 

「一回シャルティアを倒して、その後金貨で蘇生しました。

シルトさんが見つけた戦場跡はその物ですよ。」

 

「そうだったのですね。

伝言(メッセージ)を使っても良いですか?」

 

「構いませんよ。」

 

「シルトだ、あの戦場跡付近の偵察隊を撤収させろ。原因が分かった」

 

『承知いたしました』

 

「話の最中に申し訳ない」

 

「詠唱もスクロールもなしで、即座に魔法を使うファウンダーはすごいですね。

所でまだ偵察を」

 

「あのような事があったので警戒していたのですよ。

明日の食事の心配も今日を生き延びてこそですから。」

 

「それはそうですね。

情報を貰ってばかりでは申し訳ないので、アルベド、エ・ランテルの冒険者組合で手に入れた地図を。」

 

「畏まりました。」

 

アルベドが地図をアイテムボックスから出して机に置いた。

 

「これは写しです、原本は文字が違っていて読めないので可能な限り書き直しています。

シルトさん、持って帰っても良いですよ。」

 

「それはありがたい。

うちの北にある国はスレイン法国と言うのですか。

持ってきた地図よりも北や東や西もありますね。

助かります。」

 

スレイン法国を知らないふりをした。

実際、(前世の知識を除けば)国の情報は殆ど掴んでいないので、教えてもらうのは助かる。

 

「スレイン法国は…」

 

モモンガさんは色々教えてくれた。

私は知っていたし、その内に分かる事とは言え良くも簡単に、と思うのだけれども、ナザリックの内部情報ではないからな。

 

後ろの三人はかなり真剣に話を聞いていた。

 

「…という感じで、私もまだまだ分からない事も多いのですが。」

 

「本当に助かります。

所でずっと気になっていたのですが、メイドの名前と言うか名字はギリシャ文字ですよね。

とすると、ベータとイプシロンが飛んでいますが、何かありましたか?」

 

これは聞くべきではなかったのかもしれない…NPCの自慢をされた。

ちゃんと戦闘スペックは分からないようにした上で、かつてのメンバーとこのような出来事があって、みたいな感じだ。

 

孫の自慢をする爺さんのようだったと答えておく。

 

最後に、伝言(メッセージ)の魔法が使える事を確認して

 

「シルトさんなら何時でも伝言(メッセージ)して貰って大丈夫です。」

 

「私もいつでも伝言(メッセージ)をして頂いても、と言いたいところですが人間種なので寝ていたりするのですよ。

アンネは常時そばに居ますのでアンネにメッセージを入れて頂ければ折り返ししますよ。

モモンガさんもいつでもエルグリラに来て下さいね。

精一杯歓待させていただきます。

 

後、実務者の間でもホットラインを作りたいのですがどなたが宜しいですか?」

 

「アルベド、頼まれてくれるか。」

 

「承知いたしました。」

 

「では、一度来ていただいて、都市長代行のステラと会って下さい。

今日連れてきたかったのですが、仕事が混みすぎで同行する余裕が無くて」

 

第一階層守護者と言ったら気にすると思ったので、役職の方で答えた。

 

どうも、この世界で一回は会わないと伝言(メッセージ)が通じないようなのだ。

 

ステラを更にオーバーワークに追い込んでしまうが…許してくれ。

 

私達の帰還に合わせてアルベドを都市長城館に連れてきて、本当にステラと本当に顔合わせだけでアルベドはナザリックに帰還した。

 

この事を予想していたので、出迎えはステラのみにするように指示を出していたとは言え、エルグリラの情報を集めようとか思わないのだろうか?

 

因みに、中級スクロールのお返しのお土産(モモンガさんにとっては毒…中級治癒ポーション)もちゃんと頂きました。

 

モモンガさんから見たら、この世界では手に入らない貴重な品なのだよね。

 

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