第3章1話 モーニングコール
ナザリックからエルグリラにステラと戻ってきたところ
「この度はありがとうございます。
しかし、あのような女を、清楚ビッチと言います。
シルト様が誑かされるとは思いませんがあの手の女は男を平気で裏切ります。
お気を付け下さい。」
預けていた指輪を受け取り、魅惑のオーラではなくて同族嫌悪の可能性も?と思いながら都市長城館を後にした。
土壇場でモモンガさんが設定を変えなったらステラの言う事は正しかったのだよね。
あながち間違いではないのがなんとも。
既に日が暮れ、夕食の時間になっているのだが、食事、睡眠、疲労のバットステータスを防ぐアイテムで眠気も空腹も感じなかった。
頭にかぶっている冕冠(ベンカン…中国皇帝の冠)がそれで、偉い人は不眠不休で働け、と言う製作者(多分ヴァルカン)の皮肉なのだろうか?
今外すとそのまま寝てしまう可能性あるので、そのまま玉座の間に入った。
「アラン、いない間に何かあったか。」
「取り急ぎお伝えしたいことが。
本日、周辺無人地帯の隠蔽がある場所を探索させまして、ワールドアイテムを2つ入手しました。」
「2つもか。」
「他にもいろいろ入手しましたが、この2つは取り急ぎと思いまして。」
既に用意していたのだろう、皐月が巻いた布と本を持ってきた。
「こちらでございます。」
上位アイテム鑑定をしたところ、片方の巻いた布が両界曼荼羅、もう一つが…見なかったことにしたかった。
もう一つは無視して確認すると、どうも両界曼荼羅は山河社稷図のような異空間を作るアイテムだった。
あれほど巨大ではないので携帯は便利だろう。
「アンネ、持っておいてくれ。」
「私で宜しいのですか?」
「元々、アンネ用に探すと言っていただろう。
もっと良いものがあったら交換するから。」
「ありがとうございます。
これで、シルト様の元に片時も離れずにお守りできます。」
問題は、もう一つだ。
ぶん殴って、踏みつけて、放り投げたくなった。
「これは何処から見つかった?」
「シルト様がご指摘した
恐らくですがキュアイーリムが確保していたのではないかと。」
私が、このワールドアイテムを親の仇のように思っているのを説明するためには、燃え上がる三眼事件を話さなくてはいけない。
燃え上がる三眼がばらしたワールドアイテムは50種類だったのだが、実際、プレイヤーが入手していたワールドアイテムは当時51種類だったのだ。
そしてこの本は51種類目、つまり燃え上がる三眼が持っていたワールドアイテムだったのだ。
その名前を
ギルドやプレイヤーが持っているアイテムなら何でも記載されている本だ。
プレイヤーが好き勝手にアイテムを作れるユグドラシルで、余りにもアイテムが多いので全てを見るとか記載するなど不可能と言う訳で本当に記載されている訳ではなく、要するに検索をかけると適合した物のリストが出てくるので、そこから選ぶとそのアイテムの詳細が分かると言う物である。
逆に言えば、ワールドアイテムに絞るとか、ギルド武器に絞った場合は、恐るべき結果となった。
これはあくまでも所有しているアイテムなので、未発見や消費して無くなってしまったアイテムは出て来ないので、未発見のワールドアイテムを探す、といった使い方は出来ないが、ファウンダーを見てみると、その性能と所有者シルト・クレーテと出てきた。
ふざけるなよ運営め、デメリットや装備条件も出すようにしておけ!!と本気で思ったものだ。
何故知っているかと言うと、燃え上がる三眼を潰した時に見たからだ。(その後、参加した各ギルド長の協議の上、所有したり、隠し場所をばらしたりしたら、そこのギルドを潰すと言う相互監視の中で隠蔽処理を施して隠した)
何故、スタッフ・オブ・ミレニアム(偽)が大量生産されたかと言うと、このアイテムを少しでも欺くためだった。
ギルド武器にはギルド名が付くので検索にギルド名を使う。
なので、同じ名前の物を大量生産する事にしたのだ。
これを使えば、アインズ・ウール・ゴウン所有のワールドアイテムもばっちり分る筈だが、それ以外にも、この世界にあるワールドアイテムの持ち主もわかる事になる。
見てみたいが厄介ごとになる気がしてしょうがないのだ。
燃え上がる三眼の最後を考えるとアンタッチャブルなアイテムに思えてしまう。
「これは封印だ!一切使わない!神域に置いておいてそこから出さない!」
「シルト様が言われるのでしたらそのように致しますが、理由をお聞かせ願えますか?」
「ギルド、燃え上がる三眼を知っているか?彼らが持っていたワールドアイテムだよ。
私達も潰しに行ったが、燃え上がる三眼の最後を知っていると
取りに行ってくれてご苦労だったが、私は使う気はしない。
けれども、他人に使われても困るから、封印してしまいたい。」
若干気持ちを落ち着かせながら答えると、私が切れ気味になった理由が分かったからだろう。
ほっとした顔をした皐月が
アランに預けていた
こういった変更も出来なくなったのだな。
なんだかしんみりと思ってしまった。
まあ、世界樹の雫以外はおかれていないから場所はあるか。
「ハサン、ナザリックの守護者に対する印象や、今日モモンガさんから聞いた事をまとめて報告書を仕上げてくれ。」
「分かりました
直ちに取り掛かります。」
「ズワースも同じく頼む、二人の報告書を突き合わせて整合性を取りたい。」
「畏まりました。」
アンネは私に張り付いているのが仕事だと思ったのだけれども。
「私は書かなくても良いのでしょうか?」
と聞いてきた。
「アンネは私を守るのが仕事で時間はあるのか?」
「お部屋をお貸し頂ければ、シルト様が就寝中に書きますが?」
そう言えばアンネは睡眠不要で居室もワンルームでは無かった。
「では、お願いするよ。
アラン、他に取り急ぎの事は有るのか?」
「本日は有りません。」
「では、明日の朝でいい、オックスを呼んでおいてくれ。
アンデットの使役は現場に居なくてもできるのだろう?
後、金貨召喚でサッキュバスと女のトゥルーヴァンパイアを用意しておいて欲しい。
ダークエルフは…召喚できないか。
市民からだれか見繕って…まだ子供だからそこまで焦る必要はないか。
オックスとの間に子供が作れるか実験したい。
強制的に夫婦にするようで申し訳ないのだけれども。」
「オックスはハーレムOKなのですか?」
「ズワース、本気で言っている訳ではないよね。
なぜこんな事をするのか分からない?」
「なら、あのメイドの面々も用意しては?」
「流石にそこまでしなくても良いだろう。
では、食事を取って寝るから後を頼む。」
自室に戻り、夕食を食べ(他の場所で一人では食べたくない)服を脱ぎ、冕冠を外すと、急速に睡魔が襲い泥のように眠りについた。
朝、とんでもないモーニングコールで起きた。
『シルトさん、おはようございます』
アンネを経由して欲しいと言った筈ではなかったっけ?
想像つくだろう、恋人のモーニングコールなら兎も角、オーバーロードのモーニングコールかよ。
私は24時間稼働のアンデットではないのだよ。
声も、昨日聞いたアインズ様モードの低い声ではなく鈴木悟モードの高めの声だ。
「おはようございます、モモンガさん
どうしましたか?」
『一つお聞きしたいことがあるのと、一つお願いがありまして。』
聞きたいことは分るよ。
パンドラがドッペルゲンガーの能力(模倣した者の思考を読み取る)を使って確認していたようだし、それ以前にデミウルゴスは気が付いたよね。
「どのような事でしょう。」
『昨日の報告書に嘘がありませんか?』
「有りますよ。
やっぱり気が付きましたか。」
私は平然と答えた。
『どうして嘘をついたのですか?』
「偵察隊の後の部隊は録画していなかったので証拠が無かったのと、私がアンネを連れて行かないのは不自然だと指摘されたからですよ。」
『やっぱりデミウルゴスが言ったことが…』
「デミウルゴスは、なんといっていましたか?」
『シルトさんが戦う前に守護者で攻撃したのではないかと言っていましたが。』
「正解ですよ、デミウルゴスはすごいですね。
正しい報告書を持っていかせましょうか。
と言っても、その点と、それに伴い損害が変化するだけですが。」
驚いたような声で私は答えた。
報告書(偽2)はナザリックに行くより前にアレクに相手がどう考えているのかを予想させたものを作成させているので今すぐでも大丈夫だ。
ナザリックと違って、こちらは侵攻を受けていないから、居住階層を除けば、第二階層闘技場以降の状況をメンバー以外は知らないし、したがって守護者も分からないだろう。
消された者の名前が、実際に転移しなかった私の傭兵NPC3人とハサンでハサンに世界樹の雫を使った事になっているのだから、そこまで嘘ではないのがなんとも。
『できればお願いします。」
「もう一つお願いとは?」
『ナザリックの守護者が、人間を下等生物とか虫けらとかゴミとかおもちゃとか思っているので何とか変えていきたいのですよ。
協力してもらえればと。』
そう思っているのは知っているけれども、私では無理じゃないか?
「私も思われているのですか?」
『そうなのです。
先ずはシルトさんから変えていけないかと。』
流石に私は別枠だと思っていた。
あの
よく考えたら、LV1のメイドですら同じだったっけ?
「あの映像を見ても変わらないとなると
影響範囲が大きすぎて余程の事が無いと使いたくないのですが?」
何せ半径10KMの球形範囲だ。
『流石にあれをして欲しいとは言いませんよ。
ナーベラルから変えていきたいので、エ・ランテルで冒険者を一緒にしませんか?』
本気か?
24時間稼働なら昼は冒険者、夜は執務も出来るかもだけれども?
都市層を抱え込んでいるのでモモンガさんよりもやる事が多いのですが?
「非常にやりたいのですが、状況が落ち着かないと。」
本当にやりたいのだよ、でも今は無理。
「シャルティアとアウラなら手が無い事も無いですが?」
アウラはそこまで酷くはなかったはず。
『どのような手が?』
「シャルティアの双子が居るのですよ。
アウラの戦闘AIは私が作った物が基本な筈です。」
アウラは確信しているけれどもマーレは多分が付くが…きっとアウラと連携させなくてはいけないからセットで同じだろうな。
『はあ~~~~~~』
気持ちはわかるよ。
資料室にシャルティアの画像データーがあったので、メイドの一人の外観を変更したのだよ。
こちらは偽乳では無いけどな。
『アウラは兎も角、なんでシャルティアの双子が?』
「シャルティアを書いたイラストレーターが、
何でもぺロロンチーノさんのお姉さんと知り合いらしくて。」
知った時には驚いたけれども、世の中こんなものである。
ユグドラシルを副業にして稼いでいる人が集まればね…そりゃ、そうなるかもだけれども。
「一種の博打なので、激怒する可能性も否定はできませんが。」
乳が偽物ではないからな…
『会いたいかを一応は聞いてみます。』
その後、毎日、予定が無ければ同じ時間に連絡を取り合うことを決めた。
因みに、途中で
しかし、オーバーロード(♂)の恋人ができたらしい。
私は
原作で予想はしていたけれども、
モモンガさんは仲間とか同格の相手に飢えている。
本気でエ・ランテルで冒険者になる事も検討しよう…アンネはなれるのか?
声を聴いて起きたのを察したのだろう、部屋に入ってきていたアンネを見ながら思った。
偽2の存在は第2章8話に伏線があります。
凡人(シルト)が考えた嘘(偽1)などはあんな程度。
アレク考えでは人は自分が信じたいものを信じるから、後で自分の予想通りの結果の報告書が出たら信じる、と言いうもので、アルベドとデミウルゴスを知っているシルトは信じないのでは?と考えています。
この話のネタバレを第2章11話感想の返信で書いていた…訂正まで10分ほどだから気が付いたかどうかは分かりませんが。