アンネは近づきがたい程の容姿を誇っている。
私が作った物では無い。
最初は私が製作した外観だったのだけれども、プロの方が良いので元々の私が作った物と、《ヴァルキリーの不寝番》の絵をデーターとして渡したら、こうなってしまった。
因みに製作費はギルド長特権で無料だった…嘘です、ごめんなさい。
アンネがNPC選手権で優勝したので宣伝広告費で無料になりました。
ユグドラシル時代は常時フル装備なので顔をまともに見たのが転移後のお風呂事件だったりする。
選手権の選手紹介や自身のステータス情報画面では見ていたけれども。
とまあ、容姿だけでも問題を起こさないか心配なのだけれども、これは兜で顔を隠せばよいからどうにかなるとして、戦士とて考えた場合は驚くほどに攻撃力が低いからだ。
素の物理攻撃力は帝国兵くらいはあるのだろうか?
なにせ、装備込みで考えた場合、私よりも物理攻撃のステータスが低かったのだ。
回復役がフェイスガード付きの兜をかぶっても良いのだろうか?
防御力と天使召喚に特化の彼女ではあるが、回復魔法も習得しているので問題はない筈。
そもそも、ゲームなら兎も角、
何れにせよ確認が居る。
因みに翼は出し入れ可能なのでその点は大丈夫だったりする。
そんな彼女が
「どなたからの
何か緊急事態でもありましたか?
その割にお話しされていた内容が可笑しいのですが」
エルグリラで私に朝からいきなり
「モモンガさんからだ、質問とお願いだよ。」
「確かシルト様の状況確認のために、私に確認して
手紙の書き方といい失礼な人ですね。」
「アレクの予想通り昨日の嘘がばれたから、その確認だよ。
だから、間を通したく無かったのではないかな?」
一応はフォローを入れておく。
「と言う訳で、ちょっとごめん。」
『承知いたしました。』
「もう一つは、エ・ランテルで、一緒に冒険者をすることをお願いされたよ。」
「シルト様が冒険者ですか?」
「情報収集には良い手だから、行きたいのは山々なのだけどもね。」
「時間的に無理がありませんか?」
「だよね。
一つ、アンネにお願いがあるのだけれども。」
「シルト様の願いであれば全力でお答えいたします。」
「明日から、朝起こしてくれないか。
モモンガさんのモーニングコールで起きたくない。」
「本当に宜しいのですか?
謹んでお受けいたします。」
いきなりの浮気だ、って違うか。
全部を放り出してエ・ランデルに行きたいのだよね。
転移した際に絶対にしようと思っていたことがある。
ナザリックの転移の100年後のように後なら無理だけれども、同時か前ならナザリックの世界征服を止める事だ。
理由はいくつもあるが理由の一つはそもそもモモンガさんが望んでいた事ではないからだ。
モモンガさんが望んでいるのならば、世界征服を止める為にはナザリックとの全面戦争しかない。
しかしそうではないのだ。
だから、止める方法はある筈だ。
最悪でも
ナザリック転移時点で先に転移したプレイヤーは居ない。と言うのが原作者様の話だったけれども何故全滅しているのか?
推定でしかないけれども、長命種は放置するとプレイヤーは日本人としての心を失っていくのではないか?
後ならあきらめると言ったのは、鈴木悟としての心を失ってアインズ様、つまりオーバーロードになり果てているのではないかと思うからだ。
概略しか分からないから確実でないけれども、スルシャーナや亡国の吸血鬼の例から考えれば、良い仲間が居ればオーバーロードでも人の心は保てることになる。
私はキーノになれるのだろうか?
前途多難だな。
朝の用意を終えると玉座の間に向かった。
そして、昨日は取り急ぎはないかと聞いたので、確かに昨日のうちに済ませていなくてはいけない仕事は無かったけれども、ばっちり仕事は溜まっていた。
どうやって冒険者をやるのだ?
「オックス、及び
アランの声と共に三人が入ってきた。
モモンガさんは人を殺してなんとも思わない自分に心の変化を感じていたが、ヤツメウナギを見てなんとも思わない事で自分の心の変化を感じた。
リアルで柵越しでもないのにこんなのを見たら、一目散に逃げる自信がある。
血の狂乱を起こしたら私に襲い掛かってくるのだろうか?と言うどうでも良いことを考えながらオックスに話しかけた。
「オックス、呼んだ理由は知っているのか?」
「いえ、見当もつきません。
シルト様が私に用事があるとしか聞いておりませんので。」
あの二人は前日徹夜をしていた訳ではない筈なので、報告書を書いてから昨夜は寝た筈だけれども、まだオックスまで昨日の話は行っていないらしい。
アンネを含めた三人の報告書を参照してまとめた物がまだできていないのからだろう。
「昨日、私たち以外に転移したナザリックに行ってきたのだけれども、ナザリックを拠点とするギルド アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターのモモンガさんはお前と同じオーバーロードだよ。
ああ、私以外はモモンガさんをアインズ様と呼ぶように。
名前を改名したらしく、旧知の私以外はそちらで呼んで欲しいとの事だ。」
オックスがオーバーロードなのは偶然でも何でもなくて、極力モモンガさんに合わせたためだ。
流石にテスト用の傭兵NPCにそこまで課金ができる筈もないしイベント報酬を与えられないのでかなり見劣りしているけれども、一応はエクリプスにもできた。
ステータス上は人間種<亜人種<異形種で転移後の世界でもこれは同じなのに、ユグドラシルでの実際の強さは人間種>亜人種>異形種だったのだが、実際プレイしてみると確かにそうなるな。と思ったものだ。
人間種と比べると異形種は各種制限や弱点属性が露骨なのだ。
同じマジックキャスターなのに、モモンガさんは魔法無しでは剣を装備できないのに対して、私は出来る。
理屈の上ではグレートソードもフルプレートメイルも装備可能だったりする…ステータスが低いのでステータス制限に引っかかってまともに動けなかったけれども。
要するに、装備以前にグレートソードなど、持ち上げるだけで精一杯で、モモンのように振り回す事は魔法で身体強化でもしないと無理な筈だ。
記憶を取り戻した後で、剣が装備できないのは職業レベルでは無くて
異業種動物園ではその辺りは確認が取れなかったのかもしれない。
なにせ自分達で確認しないと分からないことだらけなのだ。
最も、装備できても戦士系のスキルなどないから武装まで同じと仮定すると低レベルの戦士職と戦っても上位無効化スキルを切ったら下手したら負けるから誰もしないが。
つまり、装備の入れ替えによる状況対応能力は人間種が一番高かったのだ。
だからユグドラシルでは人間種が一番強く、マジックアイテムを揃えるなどほぼ不可能な転移後の人間種は弱かったのだ。
分かってしまえば何という事はない。
付け加えると、蟲系は素の防御力が高い代わりに鎧を装備できないのに、ワールドチャンピオンの報酬で鎧を装備するなよ。と第一回ワールドチャンピオン決定戦のアルフヘイム優勝者に対して思った私は悪くないと思う。
話を戻すと、モモンガさんはいくら課金してあれだけ装備していたのだ?と言いたい訳だ。
オックスもローブなら装備できるので、着てはいるけれども…受肉化した時に見えないよね?
ユグドラシル時代にかけた時にはタイツでも履いたみたいにつるりとした状態になった。
人間種も裸になると、男も女もマネキンみたいだったと言えば分かって貰えると思う。
しかし、転移して現実化したからな…課金していないオーバーロードはパンツを履けるのか?
仕方が無いので布で覆うか大浴場の更衣室で受肉化だな。
「ナザリックの守護者にサッキュバスとトゥルーヴァンパイアの守護者を確認している。
そこで、お前と、今回金貨召喚したサッキュバスとトゥルーヴァンパイアの間に子供をつくれるか確認したいのだけれども協力してもらえるか?」
こんな事はお願いでもほぼ強制になるのは分かっていても命令は出来ないよな。
「シルト様から下賜頂いた妻として大切させて頂きます。」
やっぱり私は卑怯だよな。
妻か…そう言えば使用人室がたくさん空いていたな。
オックスに一室与えることにして、そこで受肉化すればいいのか…生まれたてとは言えサキュバスだよね…あの声を聞くのか?私はどう処理すればよいのだろう?
多分、受肉化、活性化、異種交配で取り合えず大丈夫と思われるけれども、効果時間があるからな、トゥルーヴァンパイアはどうやったら着床して妊娠期間を過ごすのかが分からない?
連続して下腹部に活性化魔法(本来はゾンビの腐敗を加速してスケルトンにする魔法)を掛け続ければいいのか?
トライ&エラーだよな。
自分とラスターで色々試してみてって、ラスターでいいじゃないか。
鉱山復活のお仕事があるけれども、夜は夫婦でお愉しみな筈だから隣の部屋にして、そのままイチャイチャしてもらえば良いのか。
先に考えておけよと自分に突っ込みを入れながら
「オックスに使用人室を与えるから、そこで頑張って欲しい。
隣の部屋をラスターにするから、ラスターに魔法をかけて貰ってくれ。
ズワース、部屋の手配をお願いする。」
「「承知いたしました。」」
ズワースがオックス夫妻?を連れて玉座の間から出て行った。
結婚式も挙げたほうが良いのだろうか?
ひょっとしたら、
ワールドアイテム無しでアンデットを人間種に戻す方法は流石に分からないけれども。
次に昨日の成果品がやってきた。
取り敢えず、突っ込みたい。
キュアイーリムや、お前さんは人間嫌いではなかったのか?
「こちらのアイテムは
記憶が間違っていなければ、ツアー以外は人間には協力的では無かったと思う。
「
完全耐性や無効化スキルを無視します。」
なんで始原の魔法で作ったマジックアイテムがあるのかな?
これや
この世界では世界の守りが付いているのかどうかの確認が取りにくいのがもどかしい。
鑑定しても、アイテム名が《槍》としか出て来ないし、あえて言うなら《竜の秘宝「槍」》だろうか?
モモンガさんを刺すことができる上級アイテム相当の槍…誰が使うのだろうか?
ヴァルカン(おふざけアイテムも多いけれども)や政宗と火事場泥棒のおかげで
コレクションアイテムで宝物庫(ギルド用のアイテムボックス)行きかな?
その外のマジックアイテムもやってきた。
こういう時に人手が多いってなんて楽なのだろう。
「これらは何処から?」
「キュアイーリムの影響範囲内の軽度の隠蔽箇所、及びアンデットの町からの入手品です。」
きっと、国宝とか家宝だったのだろう。
「鍵とかはかかっていなかったのか?」
「スカウトの技術をもつ者と、マジックキャスターに鍵開けのスクロールを持たせて行かせました。
一か所、鍵がかかっていない宝物庫?がありました。」
多分、イビルアイが持ち出したのだろうな。
「それはどの町だ。」
「こちらの町になります。」
アランが示した場所はエルグリラとエナ多種同盟国の国境の中間あたりに位置していた。
ひょっとしたら、同盟構成国だったのかもしれない。
「珍しく、アンデットが殆ど居りませんでした。
多分、街に燃やされた跡がありましたので過去に火魔法で倒したものが居るのではないかと。」
元インベリア王国の首都でほぼ確定だろう。
マジックアイテムはそれなりの数だったけれども、取り合えず、宝物庫に入れておくように指示を出した。
今は価値が無いと思えても、マジックアイテムが作れなくなった現状ではどんな価値になるか分からないからだ。
この話を書き始めた理由をやっと書けた。
投稿する前に付けたタグはもっとあったのですが、ネタバレになる事が分かって最小限にしました。