さて、大変に頭が痛い問題があった。
各国に送る使者である。
もっとはっきり言うと、エルフの王国に送る使者と言うべきか…書面で上がってきた時もどうしようか考えてしまって答えが出なかったりする。
第二階層農園領域守護者、農園管理官のレイラを送る事になっているのだ。
一般常識から言って間違っていないのだけれども…どう考えても戦争である。
デケム・ホウガンがレイラを襲わないとは思えないのだ。
ラスターを送れば良いのだけれども…エルグリラで抱えている仕事がレイラでは代行できないけれども、逆は出来る事が問題で、結果的にレイラを送る事になっているのだ。
私が記憶を取り戻す前は違ったのだけれども、一応のエルフの王国対策でオッドアイにしておいた。
レイラ本人は兎も角、護衛に付ける元レンタル傭兵NPCのエルフはデケムよりも強いと思うから制圧は可能と思うのだけれども。
もうね、知っていると侵略する気が満々としか思えないのだよ。
かといって、エルフの王国に使者を送らない、という選択肢は取りづらい。
「…と言う人員で使者を送る予定となっております。」
「一つ質問だけれども、エルフの国は距離的には兎も角、間をスレイン法国が挟まっているから、使者を送るのは少し遅らせた方が良くないかな?」
必殺、問題の先延ばしである。
因みにエルグリラからエルフの国の領域と目されているエイヴァーシャー大森林の端までは300Kmほど、首都と思われる場所でも450Km程しかない。
「ですが現在スレイン法国とエルフの国は戦争しているのではないかと言う、うわさ話や痕跡を見つけております。
スレイン法国の一方的な言い分を聞くわけにいかない以上、使者を送らない訳にはまいりません。」
この事も報告書に書いてあったから知っているので再確認だ。
私は、少なくともスレイン法国の上層部は人属至上主義ではない事は知っているし、エルフ側はデケムだけが悪いことは知っている。
高々数日、影の中から確認した民衆の噂話程度ではそんなことは分からないのだ。
報告書では戦争理由は不明となっているから、当然の処置と言える。
もしこれをしなくて良いなら、パ・ピグ・サグの大王国への使者も要らない。
因みにこちらは、ほぼ失敗すると思われているので期待値自体が高くない。
砂漠の周辺国すべてと交戦中なのだ。と言うより、
そもそも、大王国となっているけれども、報告書を見る限り、各集落の族長が王様で、一番の勢力を持っている者を大王、と言っているだけのようなのだ。
外交とか云々以前の話でどちらかと言うと使節を送りましたよと言うパフォーマンス的な意味合いが強い。
エリュエンティウに向かうキャラバンは彼らの餌を用意して、それを渡して(逆の立場では貢物らしい)向かうようなのだ。
人口密度も低いのでそもそもそんなに会うものではないようだし。
大王国がそれなりに調べてあるのはアレクのスレイン法国の要請で戦争になる可能性の指摘の為だ。
大王国は勝手に攻撃を受けそうなので、スレイン法国と共に戦うのに問題はないけれども、エルフの国はそんな訳に行かないだろう。と言うの本筋がだったりする。
正規の外交使節団長のレイラが襲われて反撃、デケムを押さえてスレイン法国に引き渡せば万事が解決するか。
その後のエルフの国がどうなろうが知った事ではないし。
と思えたら楽なのだけれどもな。
モモンガさんからアウラかマーレを借りるか。
世界征服が進むのだから問題はないだろう。
レイラ自身がオッドアイな事を棚に上げて無責任な事を考えながら私は答えた。
「そうだよな、使節を送らない訳にはいけないか。
レイラに、兄妹でそのような事はいけません。とでも答えるように言っておいてくれないか?」
「どう言う意味でしょうか?」
「実際にそう言う事になると思うから言っておいてくれ。
多分、どこかでこのセリフを言う事になるのかは分かるから。」
オッドアイなのだから騙されて襲うのをやめてくれると良いのだけれども…孫と思っても襲おうとした奴には通じないだろうけれども。
そもそも、二人を孫と思ったと言う事は、ひょっとして兄弟はいないのだろうか?
親の真似してハーレムを築いて子供をつくりまくっているのだから普通はいると思うのだけれども。
階層守護者達の不思議そうな顔を見ながら
「親の名前を聞かれたら、九郎判官と答えてくれ。
多分あっている筈だ。」
「シルト様はエルフの王の親を御存じなのですか?」
「キュアイーリムやモモンガさんと違ってほぼ知らない。
モモンガさんからの直接頂いた情報だよ」
モモンガさんごめん、利用した。
因みに、九郎判官と言うプレイヤーの記憶はないから、合っているかどうかはわからない。
引退者や脱退メンバーの代わりに新規で入ったメンバーを含めると何人いたかも分からないので魔法職傭兵ギルドのメンバー全員を知らないのだ。
当たり前だけれども、どのギルドもメンバーを一々公表してはいないので調べること自体が出来なかった。
心の中でため息をつきこの話を終えた。
翌日、数日ぶりに
今日の式典に招待しているから、その為だね。
と言う訳で、
「モモンガさん、数日ぶりです。」
「シルトさん、おはようございます。
今日はご招待ありがとうございます。」
毎日、
私の時と同じく、付き添いは三人だ。
プレアデスの誰かが一人いるのを予想していたのだけれどもね。
付いてきたのは、シャルティア、アウラ、マーレの三人だ。
アウラは偽ナザリックを作るのに忙しいのでは?と疑問に思ってしまった。
因みにパンドラの可能性は流石に殆ど無い。
前回私がナザリックに行っているのに、ここで本人が来ないと言う選択肢をモモンガさんは取らないからだ。
この人の一番恐ろしい点は主人公補正だろう。
勝手に都合よく物事が進んでいくからだ。
現在のエルグリラは、よそ者が入り込む余地がないからこのほかのメンバーが入り込んでいる可能性も全くない。
少なくともエルグリラの城壁より内側でばれないなどは有り得ないからだ。(ワールドアイテムを使えば違う意味で分かる)
この時期は部屋で引きこもっていて役目が無いので護衛として絶対に来ると思っていたシャルティアは兎も角、アウラとマーレか。
因みに私はシューレも連れてきているのでシャルティアとご対面だ。
「宜しくお願いでありんす。
しかしわらわと本当にそっくりでありんすね。」
「胸は似てないと思う」
アウラがボソッと言った。
恨むならぺロロンチーノさんを恨む事だな。
「アウラ、何を言って居るでありんすか、そっくりでありんしょ。」
シャルティアとアウラが口喧嘩を始め、マーレが間でおろおろしていた。
「お前達、よそ様の拠点でそのような…」
「モモンガさん、いいじゃないですか。
子供は少しくらい元気な方が。」
シャルティアも容姿は中学生くらいだからセットでお子様扱いでいいだろう。
大体、中身はとてもじゃないがマーレを除けば子供ではない。
マーレは、幼児にありがちな残虐さがあるので少し怖い。
殺気無しで攻撃してくる気がするのだ、ある意味では暗殺系よりも恐ろしい。
原作知識なしでもそう感じてしまうのだ。
しかし、どうやってあの物理攻撃力を達成したのだろう?
ステータスと職などの割り振り方が気になる。
(単に杖で殴った相手が弱すぎただけかもしれないが)
「シルトさん、そう言ってもらえると助かります。
しかし大きいですね。」
城館の外に出て馬車止めにあるキュアイーリムの頭を見てもモモンガさんは言った。
「まあ、体が大きかったので、攻撃は当てやすかったけれども、大きすぎて攻撃が効いているのかどうかが良く分からなくて困りました。」
流石の三人娘?も口喧嘩をやめていた。
「アインズ様なら余裕だよ。」
「アンデッドならわらわの敵ではないでありんす」
とか言っているが、シャルティアは私の報告書を読んだのか?ワールドアイテムを持っていなかったら即積みだよ。と心の中で思っていた。
ワールドアイテムを持っていたら、シャルティアなら余裕と言った考察が出ていたけれども、戦った身としてどう考えても余裕ではないと断言しておく。
あんなのと接近戦をしてはいけない。
足やら尻尾が光った攻撃は、直感では装備や防御魔法の魔法効果無視でダメージを受けそうな気がしたから、あの攻撃を直接受けるのはアンネでも厳しくないか?
確かプラチナ鎧との戦いでも、パンドラが偉そうに殴打耐性を付けるアイテムを装備しているから効かないと言った後、世界断絶障壁とのサンドイッチとは言えダメージを受けてフラグを即回収していたよね。
案の定
「シャルティア、ちゃんとシルト様が書いた報告書を読んだ?」
とアウラに言われてしまっている。
キュアイーリムの体はパレードでお披露目するには大きすぎる。
体を丸めても客席込みの闘技場と大きさと同じくらいあるのだ。
野球場のグランドよりも大きいと言った方が良いのか。
ナザリックの闘技場がローマのコロッセオと同じ大きさなら、ナザリックの闘技場でも入らないのではないのか?
なので、顔だけ切り離しているのだが、今日乗るオープンタイプの馬車?よりも大きいのだからその大きさが分かると思う。
ゾンビがまとわりついていた時はもっと大きかったのだ。
LV的にはアウラが使役するドラゴンとそんなに変わらない筈だけれども、どう考えてもLV95の強さじゃないだろうと強く言いたかった。
ワールドエネミー相当の強さと言う表現に誇張は無かったのだ。
今日の予定では、遊園地のパレードのように都市部を一周廻る予定になっている。
ゴブリン軍楽隊から始まり、ステラ、フェンデル、モモンガさん、私の順に進み、最後にキュアイーリムの頭である。
ゴブリン軍楽隊は某アイテムから出てきたものではない。
非戦闘地帯である都市部に配備できる街の雰囲気づくり用のモンスターの一種類にすぎなかった。
ゴブリン軍師とゴブリン天候予測士は見た事も無いのだが、あのアイテム専用のゴブリンなのだろうか?
モモンガさんは驚いていたけれども、確か一緒に見ていたアルベドは驚いていなかったようだったよな。
NPCなら真の効果の出し方を知っている可能性が高いのだよね。
一気に5000人の市民が増えるのは助かるから食糧事情が改善したら教えて貰おう。
曇り空だったのが太陽の光が差し込み、都市長城館エリアの城門が開き、パレードが街に出始めた。
都市部の責任者であるステラや、生産部の責任者であるフェンデルは市民から認知度も高いのか、かなりの人気があるようで市民は大騒ぎだ。
事前告知が効いているのか、アインズ・ウール・ゴウンの旗が振られて「アインズ様~」といった声も聞こえた。
後ろから見た感じでは三人娘?も上機嫌のようだ。
馬?(ゴーレムなので違う気もしないでもないが)に乗ったクスタフとオックスがぞれぞれ、鶴(千年王国の紋章)と亀(私の紋章)の旗付きの槍を構えて(オックスも持つだけならできる)出ていき、私の馬車(ゴーレムで引いている馬がいないので車?)も市街地に出ていった。
本物の馬ではないのは騎乗スキルが無いと乗れても操作ができないことが判明したからだ。
本当にスキルか説明文に書いていないとできなくなるのは止めて欲しい。
ああ、職やスキルが無くても説明文に掃除、洗濯、料理、育児は得意と書いてあったメイドや執事はそれらをできることが判明している。
例えばバフ付きの料理は作れないので職を持たせた意味がない訳ではないけれども、
私も城館前広場に出たのだが何も言われないのだ。
完全に静まり返り、次々と頭を下げ始めた。
お祈りを開始している人や土下座の恰好をしている人までいる。
市民に手を振ろうとしていた私は少し固まってしまった。
同じ馬車の横に乗っているシューレに思わず聞いてしまった。
「どうなっているの?」
「どういう事でしょうか?」
質問を質問で返されてしまった。
「いや、私だけ明らかに態度が違うのだけれども。」
「当然ではありませんか?」
何が当然なのだろう?
後ろで立って周辺を警戒しているアンネとエレアも何も言ってこない。
いや、何となくは分かっているのだ。
第二次世界大戦以降の国民に近い王室では無くて、中世位の王様への反応なのだろうか。
エ・ランデルでアルベドやメイドが住民の態度に怒っていたが、NPC達にとってこれが正しい反応であると考えていると言う事なのだろう。
絶対に改善してやる。
私が通り過ぎ、キュアイーリムの頭を見ながら、「
街を一周して都市長城館エリアに戻ってきた。
城館前広場では次のイベントの準備を開始しているので少し時間が出来た。
「シルトさん凄いですね。
話は聞いていましたけれども、市民が本当にいるのを見て驚いてしまいましたよ。」
「こちらこそありがとうございます。
これで、
「これからも遊びに来て構いませんか?」
「第一階層であれば都市長城館エリアを除いて何時でも構いませんよ。
旅人の客人扱いで良ければですが。
都市長城館エリアや居住階層はこちらも準備が要りますので事前に連絡をして下さいね。」
第三階層から第五階層に入れるつもりは全くないが、それはモモンガさんも同じだろう。
居住階層以外でもひょっとしたら、第六階層は闘技場以外が攻略には無関係な筈だから入れてくれる可能性はある。
その程度だろう。
入ると、閉じ込められて謀殺や実験台にされる可能性があるから、最低でもモモンガさんと一緒でなければ無理だが、その辺りも同じだろう。
モモンガさんは信用出来てもNPCは信用できないのだ。
モモンガさんは私を使って実験や検証をしたいと思っているだろうがそれもお互いさまでだからこそ、支配者ロールをする限りはしないと断言できる。
国と国の関係などこんなものだろう。
「他の者たちにも休みの際は遊びに行っていいと言いますね。」
なるほど、NPCに休みを与えたがっているモモンガさんらしい発想だ。
なにせ休みに何をして良いのか分からないとか言う返事が返ってきたのではないか?
街に出て楽しむ事を教えたいのだろう…ナザリック以外を見下しているのに来るのだろうか…ああ、人間種蔑視の意識改善に使うのね。
多分、何も考えていないけれども、主人公補正で勝手にこうなるのだろう、そんな気がした。
「ぜひ来てください。
ところで、今日の三人を選んだ基準は何ですか?
今後の参考までに聞きたいのですが、言いたくなければ別にいいです。」
予想、子供だから。
「いえいえ、大した理由ではないのですよ。
シャルティアは、先日の件で落ち込んでいまして気を紛らわせればと。
アウラとマーレは子供なので色々と経験を積ませたくて連れてきました。」
恋人のように思考を読めてしまう。
恋人とちゃうねん。と自分で勝手に突っ込んでおく。
アウラは大きく失敗せずに常識的な見方をするので連れてきてくれたことはGJだよ。
しかし、76歳児ねえ。
うちのエルフも年齢はほとんど変わらないのだが設定が違っていても同じ種族なのだろうか?
20歳くらいまで人属と変わらない成長をしてその後は老けない設定なのだよ。
この世界のエルフは人属の1/10バージョンと直ぐに大人になるバージョンのどちらなのだろうか?
デケムを捕まえれば確認できるか。(ほぼ決定事項と思っている)
シューレが用意した飲み物を飲んでいる双子を見ながらそんな事を考えていた。
しかし、アウラはシャルティアを煽るよな。
そう仕向けた自分が言うのもなんだけれども。
まあ、お互いに本気ではないのは見ていてもわかるのがなんとも。
悪口を言い合っているけれども、本質的には仲の良い姉妹の姉妹げんかなのがわかるのだ。
私は今一咎める気にもなれない。
「用意が終了いたしました。」
ズワースが用意が終了したことを告げた。
私はズワース、ステラ、フェンデルとハサンを除く親衛隊を引き連れて城門前広場に設置された台に上った。
ハサンはどこかに隠れて警戒している筈だ。
ずらりと並ぶ新兵とその周りに市民が取り囲んでいるのが見えた。
「市民の皆さん、頭を上げてください。
兵士諸君も休め。」
市民が頭を上げ、兵士が胸に右手を当てる敬礼を解いた。
私の後ろにいる者たちも敬礼を解いた音がした。
因みに略礼で、本来は剣や武器を持って行うのが正式だ。
所謂剣礼から変化したものだと思えばいい。
跪くのは私が取りやめにしたので当初は跪いていた筈だ。
この敬礼を決定したのも私だったりする。
「この度、都市ごと転移すると言う前代未聞の事態が発生し、また、その場所がワールドエネミーに匹敵する程の相手の攻撃範囲だったと言うエルグリラが出来て以来と言って良い未曽有の危機に瀕したがそれも取り除かれた。
せめて、交渉の余地があれば良かったのだがいきなり攻撃を受けた為に打倒した。
先ほど頭だけとは言え皆さんが見た竜だ。
現在、同格の存在を確認しているがかなり遠方で、動く気配もないのでとりあえずは安心して欲しい。
周辺には知的生命体の集団、つまりは国を確認している。
彼らが都市ごとの転移などと言う事を信じて貰えるかは分からないが、明日にでも、使節団を派遣する。
交渉は困難である事が予想されるが交易が始まれば、食料不足も解消される事を確信しているので余り不安にならずに過ごして欲しい。
彼らと交渉するにあたり、単に一都市と言うのは厳しいことが予想される。
従って、ここに、建国を宣言する。
国名はシャンドラド、以降シャンドラド
シャンドラドはエルグリラの都市名の元になった、シャングリラとエルドラドの使われなかった部分を使用している。
シャンドラドの名前を快く受け入れて欲しい。」
兵士と市民が喝采を始めた。
少なくとも兵士は仕込みだろう、と言うより全員仕込みでもびっくりしない。
ある意味では共産主義国よりも質が悪いからな。
喝采が止むのを待ってから私は話し始めた。
途中で止めないで待つのは、とある皇室も採用している。元は某ドイツの独裁者の手法だったりする。
「建国に当たり、新たに新兵を任命する。
人数が多いので代表の者はここへ」
言うまでもないが、従来の軍はPOPモンスター(第二階層の冒険者ギルドイベント用を除く)及び傭兵モンスターである。
代表者はどうやって決まったのだろうと思ったら、どうも年功序列らしい。
と言うのも、私が初めてレンタル用に登録した育成傭兵NPCだったから流石に思い入れがあるので覚えていた。
彼、シュバルツより先任は要る筈だけれども、出来合いタイプか他のメンバーの育成傭兵NPCだったから彼が代表になったのだろう。
昨日確認したらイエローカラー(契約期間が終わったのに戻っていない)にはなっていなかったのだ。
当初ブルーカラー(レンタル中)だったから気にしていたけれども。
イエローカラーは、余程の事が無い限り永遠にイエローカラーだろう。
100年後とかにひょっこり帰ってくるかもだけど。
シュバルツが私の前に来ると跪き、下に居た新兵も一斉に跪いた。
「そなた達をシャンドラド千年王国軍の兵士に任命する。
これからよろしく頼む」
そう言うと、ギルド武器を肩にあてた。
「我ら、シルト様とシャンドラド千年王国に絶対の忠誠を」
「「「絶対の忠誠を」」」
同じ移転した拠点か真なる竜王以外は一人で国を蹴散らすことができると思われる新兵469人が正式に戦力として組み込まれたはずである。
今日は戻っているけれども、正式任命の前に何人かは既に各国に赴いて活動しているのだよね。
肩をたたくのが剣でないのは今一締まらないと思うのは私だけなのだろう。
市民が歓声を上げ後方にいる側近たちが拍手を始めた。
「起立せよ」
何だか泣いている人がいるように見えるけれども大丈夫か?
卒業式と言うよりも入学式だろうに。
代表の彼も台から下がり元の位置に戻った。
「次に最初の同盟者を紹介する、ナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウン様だ。」
流石にこういう場でモモンガさん呼びはしない。
モモンガさん達が台に上ってきた
「ご紹介にあずかりました、ナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウンです。
同じくユグドラシルから転移してきたものとしてシルト・クレーテ様と共に協力していければと考えています。
今日の歓待を嬉しく思います。」
私がモモンガさんと握手をすると、またもや歓声が上がった。
モモンガさんの表情は分らないが、アウラの顔が引きつっているのは感じた。
そうだろうな、同格の存在が追加で469人だ。
マーレはおどおどするのが標準でこれまたよく分からない。
シャルティアは…何にも考えていなさそうで、単純に市民の「アインズ・ウール・ゴウン様万歳」と言った声に喜んでいる。
モモンガさんは何となくシャルティアと同じように感じるのだけれども、そう見せているだけの可能性は…あんまりなさそう。
「アインズ・ウール・ゴウン様はギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターだったが、自身の名前よりもギルドの名前の方が有名なので、同じような存在を探すために改名されたそうだ。
それに倣い私も改名しようと思う、と言っても名前が長くなるだけだ。
今日以降、シルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアムとする。
レイ・デ・ミレニアムはミレニアム国王と言う意味なので省略してもかまわないし、何ならシルトだけでも構わない。
また、省略して千年王でも構わないので好きに呼んで欲しい。」
「「「シルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム千年王陛下万歳」」」
これは絶対に仕込んだのだろう、揃いすぎている。
市民からの歓声が鳴りやまない中、私は都市長城館エリアに戻った。