もう一つのギルド   作:mshr

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第3章6話 任命式

「モモンガさん、式典は疲れますね。

お付き合いいただき本当にありがとうございます。

これで、市民にもナザリックとの協力関係にある事を示せました。」

 

最悪と思える状況でも希望があるのなら耐えられるのが人間だ。

 

最もこれを利用して誘導する洗脳もあるがそういう事ではなく、食料や酒類の制限も終わりが見えているなら不満は起きない…そもそも、現在のエルグリラ市民に私に対する不満が発生するのか疑問だけれども。

 

この後は、市民に振る舞い酒が用意されている。

 

蒸留酒が温存されているのは、こういう時の市民に対する慰撫に使う為と報告書にあった。

 

蒸留酒なのだから絶対量は少なくともアルコールの量的には多いのだろう、水割りにすれば増えるので、実際に振る舞い酒は水割りになるのだけれども。

 

こういうことをすると言う事は、私にはなくてもステラには不満が発生する可能性があると言う事なのだろう。

 

苦労を掛けている。

 

「市民や町があるのは本当にすごいですね。

こうして人々が集まったのを見て改めて驚きました。」

 

「私も初めて見た時は驚きました。」

 

NPC達は認識していたようなので、私たちにしか分からない会話だよ。

 

「ギルドマスターと言ってもたいした事は無かったのですけれどもね。

正直、皆の反応に戸惑ってばかりです。」

 

「シルトさんもですか、私もです。」

 

「モモンガさんは何故ギルドマスターに?」

 

「当時のメンバーの総意でしたので仕方がなく、シルトさんは?」

 

「私は押し付けられました。」

 

NPCに聞かせてよい内容なのか?と思いながら話していた。

 

初めてギルド設立申請書の巻物も見た時は絶句したものだ。

 

後日変更不可が多すぎたのだ。

 

それだけでない、ギルド長にしかできない事も多かった。

 

拠点を落とす前なら解散して再結成すれば変更できるので良いと言えば良いけれども、拠点を落とした後は早々そんなことはできないので押し付け合いが発生したのだ。

 

ギルド長が引退したり、INしなくなったらどうするつもりだ?

そうでなくてもギルド長がINしていないとできないのは色々難しいだろう?

 

ギルド長に絶対的な権限があると言えば良いけれども、要するにギルド長はゲームに縛られてしまう訳だ。

 

運営に色々と問い詰めたい気持ちが発生した。

 

ユグドラシルと言うゲームが衰退し始める前から問題が発生して、流石の運営も仕様変更したくらいだ。

 

初期からあるギルドのギルド武器がギルド長用に調整されているのも道理で、そもそもギルド長にしか装備できなかったのだ。

 

そして装備しないと拠点の仕様変更ができないとか言う鬼畜仕様だった。

 

後に、メンバーが持っていれば拠点の変更を出来るようにしたり、ギルド長を変更できるように仕様変更したと言う訳だ。

 

その事を知っている二人で思わずため息をついた。

 

「メンバーの総意と言う事は人望があって良いですね。」

 

「そんなことはないですよ。

殆ど調整役のようなものでした。

しかし、押し付けられたと言うのは?」

 

「メンバーの一人がリアルで頭が上がらなくて、しかも、リアルを知っているから、仕事的にINしやすいだろうと言われてしまって。」

 

ほぼほぼ、ガンダルフさんの押し付けと言って良い。

 

私の仕事は24時間自宅勤務で実労働時間は少ない(拘束時間は長いと言うか一日中)仕事だった。

 

これで、個人事業主ではなく給料所得者だったのだからどう言って良いのか。

 

ニューロン・ナノ・インターフェイスを使った仕事なのでちょっとした改造で、ユグドラシルと仕事を同時にやっていた事もある。

 

攻撃魔法をクリックしながら、仕事の指示を行うって完全に狂っていたな。

 

パソコンを二台用意して、片方でゲームをして片方で仕事をしていたと思ってもらえば大体あっている。

 

内容は無人工場の遠隔操作による運営管理だよ。

 

何事もなく順調なら暇と言えば暇だけれど、問題発生は時間を問わない訳だ。

 

なんで交代勤務でないのだ?と前世の記憶を取り戻した私は思ったくらいだ。

 

正直、同時に致命的な問題が起きなければ三交代勤務で三工場(ライン)の管理も余裕できたと思う。

 

そうすると、責任の所在が分からなくなるからとか言う理由だった筈だけれども、家からまともに出れないって本当に勘弁してほしかった。

 

回想はよしておこう。

 

NPC達が創造主の頂点とか言う存在はこの程度の者だってことだ。

 

ギルド長だった者にしか分からない共感をしながら次の話題に話を変えた。

 

「この後、模擬戦をするのですけれども、モモンガさん達が出るなら組み合わせを変えますが?」

 

「は~い、私が出るでありんす。」

 

「シャルティアが~?暴走しない?」

 

シャルティアが出るならアンネをぶつけよう。

 

泥仕合は確定だけれども。

 

「訓練用の武器で、適当なところで試合を止めますよ、魔法もスキルもなしです。

それでも良ければ。」

 

「そんな中途半端なのでありんすか?

なら出ないでありんす。」

 

「すいませんねシルトさん。

私達は見ているだけで。」

 

私達は都市長城館で昼食を取った。

 

昼食は、アウラとマーレにお子様ランチだったけれども意外と好評だった。

 

シャルティアには血を使った料理を出した。

 

暴走するなよ。

 

一応、先行して何が良いかの確認は近江を通じてしてあったらしい。

 

現状、食べる必要が無い奴には飯はだせないのでモモンガさんは飯抜きだ。

 

大変申し訳ございません。

 

笑って許してくれたけれども。

 

昼食後、第二層闘技場の貴賓室に来た

 

「ところで本当に私たちが見ても良いのですか?」

 

「先ほども言いましたが全力ではないので。

この試合は勝敗よりも実際の強さを見たいだけなのですよ。

拠点NPCはプレイヤーよりも強かったですよね。

この世界ではどうなのかを知る為に行うのです。」

 

全くの同じスペックとした場合、拠点NPC>プレイヤー>傭兵NPCだった。

 

まあ、アンネのように例外はいる。

 

拠点NPC>プレイヤーなのはユグドラシルがゲームだったからだ。

 

例えはナザリックに侵攻したとしよう。

 

第二階層、階層転移門の前の屍蝋玄室でシャルティアは待ち構えている訳だが、ここにプレイヤー一人で来るだろうか?

 

LV100の6人編制のパーティーと仮定しよう。

 

普通なら幾らシャルティアが強くても一方的に攻撃して終わりである。

 

何せPOPモンスターでしかない吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)など居ても居なくても同じである。

 

ゲームとしてそれはどうなの?と言う訳で、守護者は守護室でバフがかかっていた。

 

だから拠点NPC>プレイヤーなのである。

 

なので、アウラとマーレのように二体設定をすると、バフが弱くなる。(連携用の戦闘AI を組めば相乗効果があるので結果として強くは出来る)

 

あくまでもゲームとしてのバランス調整なのだ。(これも確認した)

 

追記すると領域守護者は正解ルートではない部屋に守護者設定したNPC(つまり戦わなくても良いNPCなので一応、リドル(謎解き)などで正解すれば戦わない設定をするなど、できない事も無い)だったりする。

 

転移した世界でその設定は有効なのかどうかの確認である。

 

「なるほど。」

 

他のメンバーは意味が分からないのかきょとんとしていたが、モモンガさんは即座に理解したようだ。

 

「とすると、拠点NPCと傭兵NPCの組み合わせですね。」

 

モモンガさんは、ユグドラシルに関しては頭がまわる。

 

「その通りです。」

 

市民にも告知して解放していたので、客席はほぼ埋まっていた。

 

観客をゴーレムで誤魔化すまでもない。

 

「第一戦は、ここの守護者だったフェンデルと、傭兵NPCのクスタフです。」

 

転移前ならやるまでもなく結果が見えている組み合わせなのだ。

 

互角で戦えるなら十分である。

 

試合が始まった。

 

結果はクスタフが押してフェンデルが負けた。

 

まあ、フェンデルが竜化すれば勝敗が変わっていた可能性があるが、それにしてもである。

 

「これは、バフは無くなったと見てよいですね。

傭兵NPCが多いので助かりました。」

 

何とはなしにそう言った。

 

「そう言えば先ほどの任命した兵士ですが、市民から募集したのですか?」

 

「元傭兵屋の傭兵NPCですよ。

レンタル中でエルグリラに居なかったものは転移しなかったようですけれども。」

 

モモンガさんが驚愕の表情になった。

 

ここで表情を出すのは…もともと王族とかではないけれども営業マンとしても表情が出すぎじゃない?

 

それよりも気になったのは技量が明らかにクスタフの方が上だった事だ。

 

戦闘AIを組んだだけで実戦経験のないフェンデルよりも外で戦い続けていたクスタフの方が経験が多い、と言う事なのだろう。

 

そうすると傭兵NPC>拠点NPCになってしまっている可能性が高いと言う事だ。

 

エリュエンティウの都市守護者の事を思い出しため息をつきたくなった。

 

モモンガさんは別の意味でため息をつきたいのだろうが。

 

拠点NPCは現状、モモンガさんが言う所のステータスに頼るだけの存在にすぎないのだから。

 

次はアンネと元傭兵屋のNPCである。

 

百戦錬磨の盾役対普通の物理アタッカー、最早、結果は見るまでも無い。

 

飛行禁止にしていたけれどもそんなレベルでは無かった。

 

まあ、これは後で出場者にアンネからのダメージがどの程度だったかを聞くための物だったので別に構わない。

 

私よりも低い筈の物理攻撃力がどうなったかの確認である。

 

因みにこの組み合わせは賭けが成立しなかったらしい。

 

と言うよりもアンネとの戦いでは誰でも賭けが成立しないと言っていた。

 

試合なので、実際の物理攻撃力が低くても当てれば良いのでどうにもならない。との評価だった。

 

そもそも、たっち・みーさんと適当な誰かを正面から戦わせるようなものである。

 

そもそもが間違っているのは分かってこの組み合わせを設定したし、理由は二人に説明したから大丈夫…だと思う。

 

相手は典型的な物理アタッカーだけれども、それにしても痛そうにしているのは演技なのだろうか?

 

相手ががアンネに治癒魔法を使ってもらって終了した。

 

これはノックバックさせられるのにダメージが無いとか理解不能な武器も、一度確認する必要があるな。

 

手の内を丸ごとさらけ出すほどでは無いけれども、個人的にも知りたかったし、ばれても良い事だったりするから。

 

モモンガさん達はここまででお別れです。

 

「今日はありがとうございました。」

 

「「ありがとうございました」」

 

三人娘?達も意外と大丈夫だった。

 

拠点にいる時に拠点や私を馬鹿にしたり見下したりしたらどうなったか分からないので少々不安だってけれどもおおむね成功だろう。

 

少しはナザリック勢の人間蔑視を薄くするきっかけにはなったと思う。

 

シャルティアもシューレに

 

「また会いに来るでありんす。

可愛がってあげるどすえ。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

シャルティアの可愛がるってどういう意味だ?と言う恐怖心を残して帰っていった。

 

特にアウラから469名の高レベルNPCの戦力を伝えて貰えればと思う。

 

デミウルゴス辺りが勝手に何かをする抑制としては十分に機能するはずだ。

 

エリュエンティウの都市守護者ですら恐怖を抱いている私からすると、私がモモンガさんの立場なら千年王国(ミレニアム)は絶対に手を出したくない相手だ。

 

頑張れモモンガさん。

 

さて、実はまだまだ長い。

 

全守護者と親衛隊の任命式があるのだよ。

 

千年王国(ミレニアム)の守護者は全員何かしらの役職が付いているので、中々なものである。

 

以下が、領域守護者の内訳である

 

第1~第16区の区長、中央区はステラが兼任だったからこれは別途、傭兵が居なくなったので傭兵屋のマスターを任命。

冒険者ギルド、教会、娼館、宿屋、酒場、飯屋、武器屋、防具屋、アイテム屋、ポーション屋、スクロール屋、特注受付、不動産屋、衛兵隊長、監獄、以上の32人の領域守護者がいる筈…非戦闘区画だったよね。

 

第二階層が農園、草原、鉱山、工場の4人、これまた非戦闘区画

 

第三階層…いない

 

第四階層…いない

 

第五階層…1人

 

第六階層…いっぱい。

 

防衛用の区画がスカスカなのが領域守護者を見てもわかる配置となっています。

 

実際に、あれらが無ければそこまで攻略は難しくはないだろう。

 

最後のいっぱいですが、メイドや執事も各居室の領域守護者となっております…なんで守護者にしているのかね?

 

メイドや執事も任命するらしいので、100名以上の任命式だったりする。

 

18禁ゲームに娼館?と言いたいのだが、ギルドメンバーの圧倒的多数の圧力により作られた…ステラは元々はここの領域守護者として生み出されたのでサッキュバスだったりする。

 

意味のない施設の領域守護者をLV100にするなよ!とまあ、当たり前の文句を言って階層守護者に変更した。

 

意味が無いと思っていたけれども、意外とここでお金を落とすプレイヤーがいてびっくりした。

 

御触り禁止だけど…表情データーや行動、会話のAIがかなり凝っていた。

 

労力とデーターの使い方を間違っていると思ったのは私だけだろうか?

 

結果、ユグドラシル金貨で利用できる個室キャバクラになっていたのだ…私が間違っていたのだろうか?

 

因みにユグドラシル時代には第一階層や第二階層は衛兵LV1でもLV100に勝利できる不思議仕様でした。

 

(運営)が定めた規約違反だからね。

 

強制的に敗北して規定日数の監獄(脱獄不可能)行きだったと言う…ナザリックの監獄とは意味が違うのですよ。

 

このようにどう考えてもNPCポイント2300では不足したのは分かって貰えると思う。

 

課金(娼館分は全て課金)だけでなく攻城用ゴーレムを守護者にしていたナザリックと同様、NPCポイントを使用しない傭兵モンスターやゴーレムや自動人形(オートマトン)を衛兵や街区長に大量に用意しています。

 

これらは町づくりゲーム用なので、攻略難易度には何にも影響は無かったが金貨の収入には影響があったのさ。

 

玉座の間で任命式の為に私の前に跪いているNPC達を見ていた。

 

守護者統括の筈のアランより手前に八人のNPCがいた。

 

一番手前の三人

 

元第五階層のオアシス領域守護者だった彼を任命した。

 

「ガンダルフィー、お前を首都防衛司令官に任命する。」

 

首都しかないのは気にしてはいけない。

 

「政宗、お前を産業大臣に任命する」

 

元第二階層工業領域守護者だけれども、元が元だからな…好き勝手に色々なものを作りそうで怖い。

 

「ズワース、お前を内務長官に任命する」

 

要するに、今は第六階層の責任者に任命した訳だ。

 

NPCでないメイドや執事の教育なども任せる予定だ。

 

元は話すと軽口をたたくような奴だが、やる事はやってくれる奴でもあった。

 

この三人に関しては、NPCは役割を与えられて上下が出来ているだけで平等と言う考えではないのだろう。

 

何せ元メンバーの化身だ。

 

徳川御三家のようである。

 

二列目の五人に任命していく。

 

「アンネ、お前を近衛隊長に任命する。」

 

国王になったので親衛隊から近衛に名称変更した。

 

千年王国って名前だったとかは言わないで欲しい

 

だったら誰が国王だったのだって話だよ。

 

~~~~~

 

最後のメイドに1人まで任命を終えた。

 

玉座に戻ったところで

 

「「「改めて、シルト様に絶対の忠節を」」」

 

見事と言うほかないくらいに揃って言われた。

 

次に、一時的な役職である使節団の団長の任命を開始した。

 

これまでは人数が多いから、それぞれの者の所に行って任命してきたが、ここからは前に出てきてもらう。

 

「スレイン法国への使節団長としてエレア・ステラを任命する。

今回派遣する中では一番重要な使節団長になるからよろしく頼む。」

 

「全力で当たらせていただきます。」

 

「エルフの国への使節団長としてレイラを任命する。

この段階では意味が分からないと思うが、先の指示は必要になると思うから覚えておいて欲しい。

問題が有ったらすぐにでも連絡してくれ。

最悪、私が向かう。」

 

「承知いたしました。」

 

「パ・ピグ・サグの大王国への使節団長としてオックスを任命する。」

…。

 

因みに全て、任命する、の所でギルド武器(スタッフ・オブ・ミレニアム)で肩をたたいている。

 

この使節団の最初に結論が出るのはエルフの国だろう。

 

結論が全然でないのではないか?と思うのがエナ多種同盟国だったりする。

 

良くも悪しくも圧倒的な個人をトップにしている国は早いので。

 

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