もう一つのギルド   作:mshr

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第3章7話 パレードに行ってきました。

~~~モモンガSIDE~~~

 

「シルトさんからエルグリラで建国式典とパレードをするから来ませんかとお誘いがあったので行ってくる。」

 

「アインズ様、罠ではありませんか?

行くのはお控えください。」

 

「前回、シルトさんはナザリックに少数で来たのに行かなくてはアインズ・ウール・ゴウンの名が泣こう」

 

「では護衛の者を選抜いたします。」

 

「いや、既に決めているのだ。

シャルティアとアウラとマーレにしようと思っている。」

 

「またどうしてその三人を?」

 

「シャルティアは少し落ち込んでいるようだからな、外に出れば少しは気が晴れるだろう。

アウラとマーレもまだ子供だ。

外の事を知っておいた方が勉強になるだろう。」

 

「しかし、三人では少なくありませんか?」

 

「シルトさんの時も三人だったからな。

シルトさんは、何なら守護者全員でもどうぞって感じだったけれども。」

 

「そうなのですか?」

 

「都市型拠点の都市エリアは外と変わらないのだよ。

エ・ランテルに行くのとそこまで変わらない。

それに、エルグリラは私の目で見ておきたい」

 

「そこまでおっしゃるのでしたら。」

 

「アルベド、留守を頼んだぞ。

お前がいるからこうして外に出られるのだ。」

 

「ありがとうございます。」

 

~~~~

 

「シャルティア、マーレ、アウラではいくぞ。」

 

「「は~い」」「はいでありんす」

 

上位転移(グレーターテレポーテーション)

 

シルトさんが座標を送ってきた場所に転移を行った。

 

転移すると

 

「モモンガさん、数日ぶりです。」

 

「シルトさん、おはようございます。

今日はご招待ありがとうございます。」

 

シルトさんはアンネとクレリックと思われる女性、シャルティアとそっくりなメイドを連れて出迎えてきた。

 

「前に伝言(メッセージ)で話していたメイドのシューレです。」

 

そのメイドは紹介されると見事なカーテシーを行った。

 

シャルティアはそのメイドに興味を持ったのだろう。

 

シューレと紹介されたメイドに向かい

 

「宜しくお願いでありんす。

しかしわらわと本当にそっくりでありんすね。」

 

と言った。

 

そもそも外装データがほぼ同じなのでそっくりに決まっているのだけれども、設定部分は大きく異なるのだろう。

 

「胸は似てないと思う」

 

アウラが余計な事を言って口喧嘩が始まってしまった。

 

よそ様の前でと少し頭が痛くなった気がした。

 

「お前達、よそ様の拠点でそのような…」

 

「モモンガさん、いいじゃないですか。

子供は少しくらい元気な方が。」

 

シルトさんはにこにこしながらそう言ってきた。

 

全然気にしていなさそうだ。

 

「シルトさん、そう言ってもらえると助かります。

しかし大きいですね。」

 

丁度、城館から出て見えた竜の頭を見た。

 

それにしても大きい。

 

体全体はどんな大きさだったのだろう?

 

「まあ、体が大きかったので、攻撃は当てやすかったけれども、大きすぎて攻撃が効いているのかどうかが良く分からなくて困りました。」

 

大災厄(グランドカタストロフ)以外にも数百発の攻撃魔法が当たっていた筈だ。

 

戦闘報告書でも、HPが多すぎて効いていたのだかどうなのかが良く分からなかったと書いてあったほどで。

 

「アインズ様なら余裕だよ。」

 

「アンデッドならわらわの敵ではないでありんす」

 

とか、軽口をたたいているけれども、俺も転移して殆ど何も分からないまま、拠点を守るために逃げる事も出来ない状況で戦いたいとはなかなか思えない。

 

「シャルティア、ちゃんとシルト様が書いた報告書を読んだ?」

 

とアウラに言われてしまっているが読んでないだろうな?

 

世界(ワールド)の守り無しでは必敗と結論付けられていた。

 

少し対応を間違えていたら、今日見る町の住民はアンデッドでもなければ全滅していたらしい。

 

城門からアインズ・ウール・ゴウンの旗を掲げた騎乗兵の後ろを私たちが乗ったゴーレム馬車が進んでいった。

 

本当に住民がいる。

 

千年王国(ミレニアム)が用意したNPCやゴーレム、自動人形(オートマトン)、モンスターしかいなかった街を覚えている身としては驚きを隠せない。

 

思わず感情抑制が入ったほどだ。

 

アインズ・ウール・ゴウンの旗を振りながら声をかけてくる多種多様な住民たち。

 

シャルティア達も楽しそうにしている。

 

この街の中だけは文字通りユグドラシルそのものだった。

 

街を一周して戻った後

 

「シルトさん凄いですね。

話は聞いていましたけれども、市民が本当にいるのを見て驚いてしまいましたよ。」

 

「こちらこそありがとうございます。

これで、千年王国(ミレニアム)とナザリックが協力関係にある事を市民に周知できたと思います。」

 

「これからも遊びに来て構いませんか?」

 

「第一階層であれば都市長城館エリアを除いて何時でも構いませんよ。

旅人の客人扱いで良ければですが。

都市長城館エリアや居住階層はこちらも準備が要りますので事前に連絡をして下さいね。」

 

と快く受け入れてくれた。

 

他の者たちにも一回行かせよう。

 

「他の者たちにも休みの際は遊びに行っていいと言いますね。」

 

 

「ぜひ来てください。

ところで、今日の三人を選んだ基準は何ですか?

今後の参考までに聞きたいのですが、言いたくなければ別にいいです。」

 

「いえいえ、大した理由ではないのですよ。

シャルティアは、先日の件で落ち込んでいまして気を紛らわせればと。

アウラとマーレは子供なので色々と経験を積ませたくて連れてきました。」

 

「そうだったのですね。

うちの者たちにも経験を積ませたいものです。

そうだ後、物価が明らかにおかしいのでその点だけは気を付けてください。」

 

「どういう事です?」

 

「この街では現在ユグドラシル金貨しか使えないのですよ。

銀貨や銅貨が存在しないので、金銭感覚がユグドラシル時代のままなのです。」

 

困ったようにシルトさんは答えた。

 

その意味を後で思い知る事になった。

 

「用意が終了いたしました。」

 

シルトさんは執事に呼ばれて城門から出ていった。

 

「アインズ様達は今しばらくお待ち下さい。」

 

後で同盟者として紹介されると聞いているのでそこで出てきて欲しいらしい。

 

「何度か歓声が聞こえた後、アインズ様方こちらへ。」

 

執事に先導されて城門をくぐり台の上に上がっていった。

 

「次に最初の同盟者を紹介する、ナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウン様だ。」

 

シルトさんが俺を紹介する声が聞こえた。

 

「ご紹介にあずかりました、ナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウンです。

同じくユグドラシルから転移してきたものとしてシルト・クレーテ様と共に協力していければと考えています。

今日の歓待を嬉しく思います。」

 

シルトさんが手を差し出してきたので握手をすると市民たちが歓声を上げた。

 

「シルト様万歳」「シャンドラド千年王国万歳」「アインズ・ウール・ゴウン様万歳」

 

「シャンドラド千年王国とは?」

 

「今日建国して国名を決めたのですよ。」

 

シルトさんは答えた。

 

兵隊のような者たちもいてすごく凝っている建国式典だな。

 

このイベントを楽しんでいた。

 

アインズ・ウール・ゴウンも建国しても良いかもしれない。

 

シルトさんも俺に倣ってギルド名を名前にする事にしたらしい。

 

完全に改名するのではなく追加する形なので全く同じでは無いのだが。

 

こうして式典が終わった。

 

都市長城館に戻ると

 

「モモンガさん、式典は疲れますね。

お付き合いいただき本当にありがとうございます。

これで、市民にもナザリックとの協力関係にある事を示せました。」

 

 

「市民や町があるのは本当にすごいですね。

こうして人々が集まったのを見て改めて驚きました。」

 

「私も初めて見た時は驚きました。」

 

その後はギルド長あるあるで盛り上がった。

 

午後の模擬戦の前に昼食となった。

 

俺は食べられないけれどもアウラとマーレシャルティアは喜んでいた。

 

「なかなかいい血でありんすね」

 

「血なのですか?」

 

「うちのヴァンパイアに聞いて用意させました。」

 

暴走の話が出た後に血を出すのか?

 

「血の狂乱は血を浴びて発動するとかで食べたり飲む分には発動しないとか。」

 

何でも血のゼリーらしい。

 

「そう言えば、シルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアムでしたっけ、レイ・デとは何ですか?」

 

「スペイン語で国王を意味します。

レイ・デ・ミレニアムでミレニアム国王。

ミレニアムは英語で千年王国、シルトクレーテはドイツ語で亀なので、言語がごちゃごちゃですが。」

 

「シルトクレーテってそういう意味だったのですか?」

 

「そうですよ、真名から来ています。

亀とモモンガで動物つながりですね。」

 

その後、地下闘技場に来た。

 

ここにはギルドメンバー以外は誰も来たことが無いそうだ。

 

「ところで本当に私たちが見ても良いのですか?」

 

「先ほども言いましたが全力ではないので。

この試合は勝敗よりも実際の強さを見たいだけなのですよ。

拠点NPCはプレイヤーよりも強かったですよね。

この世界ではどうなのかを知る為に行うのです。」

 

「なるほど」

 

シルトさんは実験をするようだ。

 

俺が戦えば遠慮するからできないし、ナザリックには傭兵NPCが居ないから確かめる事も難しい。

 

「とすると、拠点NPCと傭兵NPCの組み合わせですね。」

 

「その通りです。」

 

賭けも行われているらしく、意外にもオッズはあまり開いていなかった。

 

「第一戦は、ここの守護者だったフェンデルと、傭兵NPCのクスタフです。」

 

シルトさんが教えてくれた組み合わせは、転移前なら既に勝敗が決まっているような組み合わせだった。

 

NPCはプレイヤーが知らない事を知っている、と最近シルトさんに教えて貰ったので先ほどのオッズが気になってしょうがなかった。

 

結果は予想とは逆になった。

 

俺から見ても試合として力を押さえていても手を抜いているとは思えなかった。

 

「これは、バフは無くなったと見てよいですね。

傭兵NPCが多いので助かりました。」

 

シルトさんが言ってきた。

 

傭兵NPCが多い?

 

全部で最大5体ではないのか?

 

何となく気になり

 

「そう言えば先ほどの任命した兵士ですが市民から募集したのですか?」

 

「元傭兵屋の傭兵NPCですよ。

レンタル中でエルグリラに居なかったものは転移しなかったようですけれども。」

 

何だって、先ほどの兵士は全員が傭兵NPCだと~!

 

驚愕の余り感情抑制が何回も入る事になった。

 

あの数の高レベルNPCがいると言う事か。

 

「先ほどの兵士の全てがこれくらいの強さがあるでありんすか?」

 

「シャルティア、気が付かなかったの。

アインズ様は前から気が付いていたよ。」

 

そういう事にしておこう。

 

「そうだぞシャルティア、千年王国(ミレニアム)の凄さが分かったか?」

 

「なんで、アインズ様が人間なんかに気を使っているのか分かりんした。」

 

デミウルゴスがナザリックの威を示すために全力で迎えましょう。と言っていたけれども、何倍返しだ?

 

シルトさんが全く平静なままだったのは、アンネが居た事もあるけれども、あれだけの戦力があればそもそも威圧を感じなかったに違いない。

 

シルトさんが全く戦い方を隠そうとしなかった理由はこれか!

 

ナザリックに籠れば別だけれども、外に出る事を出来なくするくらいは出来てしまう。

 

敵対したら第8階層のあれらを警戒して第7階層までを制圧するぐらいはやれそうだ。

 

その後、アンネの戦いを見たが、驚くほどに一方的だった。

 

選手権の時よりもはるかに強くなってないか?

 

9年も経てばそうなるのか。

 

試合の後、城館の外に出て帰る段取りをつけた。

 

「今日はあまり良いおもてなしをできませんでしたが。」

 

「いえいえそんな事は有りません。

今日はありがとうございました。」

 

「「ありがとうございました」」

 

シャルティアが双子のようなメイドを気に入ったらしく

 

「また会いに来るでありんす。

可愛がってあげるどすえ。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

「では帰るぞ。

上位転移(グレーターテレポテーション)

 

ナザリックに帰った俺は、敵対していなくてよかったと肩をなでおろした。

 

デミウルゴスとアルベドにも報告して見に行くように言わなくては。

 

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