「何もないようでしたら私はシルト様の護衛の任につくために失礼させていただきます。」
「あら、親衛隊隊長さん。あなたがシルト様の寝こみを襲ったりしないでしょうね。」
「ステラさん、どういう意味でしょうか?私がシルト様を傷つけるような真似をすると?私にケンカを売っているのでしょうか?私と戦ってあなたが勝てると思えないのですが?」
「襲うの意味を間違えていらして?私が言っているのは夜這いですわよ。」
ステラの設定文にはこう書いてあった。
都市長の事を愛しており代行としてお支えする事に喜びを感じている。サッキュバスらしくいかにも男遊びをしていそうな言動や色気のある雰囲気だが、実際には一途である。
「よ ば い ですか。何という事を言うのですか。私は天使です。そのような事は致しません。流石はサッキュバスの発想です。
もちろん、シルト様に求められればその時は応じますが。」
「やっぱりその気はあるのではないですか。シルト様に襲われるような恰好をしてわざと。」
ステラがこんな事を言うから後で…
因みに傭兵NPCであるアンネに設定文は存在しないが、彼女が作られて以来、ギルドメンバーなどの仲間が出来てですらパーティーから外したことが無かった為、仲間からシルトの彼女扱いされていた経歴がある。
「何を言っているのですか。そのような事をするのは貴女の方でしょう。大体こんな非常時に」
「と言う事は落ち着いたら望まれると言う事で良いのですかね?私は譲る気は有りませんが。」
「お二方とも、シルト様と事に及ばれる際は私の許可を取っていただきませんか。」
皐月の設定にはこう書いてあった。
同じ人類種で最強の男と子をなすことを望んでいる。
設定を書いたメンバーは剣士や戦士を想定していたのだが…NPCの彼女にとって最強の男とは最強の
「皐月、あなた何を言っているのですか?」
「私は皐月の許可がいる理由を知りたいですね。」
「決まっています。私がシルト様の正妻になるからです。私はシルト様と同じ人間種。私こそがシルト様に妻となれと作られた存在です。」
あの設定文では、そう判断するのは仕方がない。
「あら、サッキュバスである私もシルト様の御子を授かれますよ。人間種だから正妻になれると言うのはおかしくなくて?私の方がシルト様に満足させられますは。」
あの設定文では、彼女はシルトの妻か恋人になれと言われたようなものだ。
「貴女も経験は無いように見えますが。天使は乙女かどうかが分かるので。条件は一緒では?」
本音ではそんなことは思っていない。
何せ
「はぁ、こんな時にそのような話はやめてもらえないかな。誰が正妻になるかは時機を見てシルト様がお決めになれば良いことでしょう。」
シルトに決めてもらえとアランの意見は正論であるので女性陣も黙ってしまった。
アランはその設定(エルグリラで起こる殆どの事を把握している)上、アンネがシルトの彼女扱いされていた事は知っていたが、それをテレもせずに否定するシルトも知っていたのでどこまでが本当なのか?疑問を抱いていたので、シルト様が選べばよく下々の者が勝手に色々するものではない。と考えていた。
「アンネさんは護衛の任についてください。
皐月も部屋に戻って休んでください。夜更かしは美容の敵では?起きるまでにはある程度の地図を作っておきますので。
ステラは、アレクと防衛計画を練ってください。最初に攻撃を受けるとしたらあなたの階層でしょう。
市民の避難計画もお願いします。
攻撃があった場合、第二層に市民を誘導する必要があります。
フェンデルと調整を行ってください。
ステラ、貴女はあんな事で絡んでいる暇はないと思うのですが」
「あのように言っておけば流石に襲わないでしょう。念のためです。と言ってもエルグリラができるより前から至高の方々共にあり、エルグリラの外で共に戦っていたあなた方、親衛隊に含むところがない訳ではないのですが。」
基本的に守護室にいた拠点NPC達から見たら、シルトと一緒に外に行っていた傭兵NPCが羨ましくて仕方が無いのである。
「どういう事でしょう?私達から言えば、すべてを至高の方々に作られたあなた達守護者が羨ましいのですが。
皐月さん、ちなみに私も人間種です。」
傭兵NPC達から見れば、種族、職、スキル、魔法のすべてが創造主から与えられた拠点NPCが羨ましくて仕方が無かったりする。
「エレアさんは妻の座を狙わないと?」
「私は至高の御方の一員であるガリア様に育てられシルト様を守護するよう命ぜられた身。ガリア様から妻になれと言われた訳ではありませんので。もちろんシルト様が望まれればお断りは致しませんが、積極的に目指すものではないかと。
ところで私のお役目は?」
これの半分は本音である。
エレアは傭兵NPCだったため設定文は存在しなかったのだが、流石に最古参のアンネを差し置いてシルトと妻になろうとするのは違うのでは?と考えているだけで、実際の所、守護者に対しては遠慮する気はなかった。
要するにアンネ派なのである。
「とりあえず休んでもらえないかな?私の魔力が足りなくなったら譲渡してほしい。」
「承りました。ではおやすみなさい。」
「残りの親衛隊はアレクの指示で防衛の任についてくれ、後、フェンデル、ラスターを私の方に回して貰えないかな。日が明けてからでかまわないけど。
誠に恐れ多いことですがシルト様からあれを貸して頂ければ魔力問題は無視して地図の作成ができるので。」
「承知した。朝になったらアレンの元に行くように指示を出そう。どこに向かわせればよい?」
「私は玉座の間にて地図を作るつもりだ。万が一の際に防衛機構を作動させる為にはここにいないとできないのでね。」
「承知した。」
シルトは転移する事を前提としていたので職やスキル、魔法には多少の変更をしたが、皆で話し合って分業制で作り上げた本質に当たるNPCの外見や設定文に手を加えるのを良しとはしなかった為、変更はしていない。
彼の担当は戦闘行動AIの設定だったので設定文をじっくりとは読んでいなかった。
結果、直接的にシルトを愛している。などとは書かれていなかった為、その対象が自分になってしまうとの認識もしていなかった。