「これでギルドが出来たな。」
ガンダルフさんにギルド設立申請書の巻物を書かされた私は運営を呪った。
「運営め、狂ってやがる。」
ギルドになれないクランがゴロゴロ存在する理由は理解した。
これはゲームだぞ。
いや、現実でもトップが変更できない組織なんてないだろうに。
しかも、トップがいないと機能不全になるとか可笑しくないか?
後に多くが変更されたのも理解できると言うものである。
しかも、ギルドメンバーは重複できないのにクランメンバーは重複可能だったりするし人数制限もない。
末期には一人しかいないギルドは存在できても一人しかいないクランは存在できないと言う妙な事態になるとの想像はこの時点では出来なかった。
この妙な設定の結果、ギルド連合と言うクランが存在したり、ギルド主体のクランメンバーが別の敵対ギルドに所属していたりと言う事態が発生し、燃え上がる三眼事件のように大混乱が発生するのだけれども、多分運営は分かってやっていたのではないかと思う。
まあ、最悪は解散して再結成すればよいか?と考えていたら、
「よし、拠点を取りに行くぞ。」
「え、この人数で行くのですか?」
何を考えているのだ、このおっさんは。
正気を疑ってしまった。
何せ、ギルドメンバーはたったの八人しかいない上に一人は戦力外である。
「せっかくギルドを作ったのだ、拠点は欲しいよな。」
ギルドを作る最大のメリットは拠点を持ててそれをいじって遊べることだけれども、幾らなんでも人数が少なすぎる。
「城型の小規模拠点ですか?」
NPCポイント1000以下位と思われる場所なら攻略できなくもない。
下手な大型拠点を狙うよりも一発クリア報酬を狙ってそちらの方が良いまである。
「そんなのを取ってどうする。
狙うなら都市型拠点だ。
最近新しく出現しただろう、あれだよ。」
は?
一瞬何を言っているか分からなくなった。
思わず他のメンバーを見渡したが一人を除いて私から目をそらした。
その一人は戦力外(ヴァルカン)だったので単に興味が無いのだろう。
だれも止める気が無いと言うか、止められないと言うかそんな雰囲気だ。
私もこの人を止められないが、他の人も同様なのだろう。
「できると思っているのですか?」
「お前ひとりでレギオンよりも火力があるのだからボス戦は問題ないだろう。」
「あくまでも魔法火力だけですよ。
物理火力はどうするのですか?
範囲攻撃の罠で下手したら全滅しますよ。」
正直、アンネのおかげで私は生き残りそうな気もしないでもないのだけれども、私だけが生き残っても他のプレイヤーが残っていなければ意味が無いだろうに。
「どうにかなるだろう。
俺がいるのだし。」
「一回だけですよね?
それともその場で魔力回復まで、ほぼ丸一日待つのですか?
一回勝てばいいPVPのパーティー戦ではないのですよ。」
ワールドガーディアンの
その辺りはワールドディザスターに通じるものがある。
「やってみなければ分からないだろう。
それに、攻略出来たらメンバーも集めやすくなるし商売もやり易くなる。」
その通りとは思うけれども、一ヶ月前に九つのサーバーにできた、九つあるこのタイプの拠点に挑んだ全挑戦者が第一階層を突破できていないようなのだ。
(初のワールドエネミー討伐で出来た、ワールドエネミーに食べられた世界に有った町と言うコンセプトらしい。)
「やるだけやってみましょう。
ではパーティー編成はどうしますか?」
「2人,5人で良いだろう。残りは傭兵NPCで。」
元々、私とガンダルフさんの二人で遊んでいた時は二人で四体の傭兵NPCを使っていたから出来ない事は無いけれども。
私は、ハサンとシュバルツを出し、ガンダルフさんがクスタフ、ガルトさんが
エレアを出した。(アンネは出しっぱなし)
「なあ、回復役はやっぱり女じゃないのか?」
シュバルツ(闇神官)を見てガルトさんに言われた。
「人それぞれではないですかね?」
この人は恐らく、ゴブリンに襲われる女神官が好みなだけだ。
自身がゴブリンだったりするので多分間違いはないだろう。
そんなこんなで、たったの2パーティーで、しかも傭兵NPCだらけのパーティーで挑むことになった。
行くのは難しくない、と言うか初級者でもたどり着くことができる場所なのだ。
この環境で、第一階層すら攻略出来たものが全くいないと言う不気味さである。
廃墟の都市に突入した。
事前情報通りゾンビが徘徊している。
と言っても、どう見ても低LVのゾンビである。
そもそもダメージを受けるとも思えないのだけれども、なんで攻略できていないのだろうか?
「とりあえず無視して進みましょう。」
「倒さないのか?」
メンバーに聞かれてしまった。
「何だか怪しいと思うので。」
何もせずに都市内を進んでいった。
何故か攻撃を受けなかった…なんで?
「普通に歩いて行けるな?
何かバグっているのか?」
メンバーの一人が聞いてきたが
「よく分かりませんが、適当に歩いてみましょう。」
運営の町を歩くがごとくである。
ゾンビが何故かお店を開いていたりしたのだけれども何かを買える事も無かった。
物もあるのだけれどもどう買うのかもわからなかったのだ。
あるお店に入るとゾンビではなくレイスがカウンターの向こうに並んでいた。
「お仕事をお探しでしょうか?ご依頼でしょうか?」
なんと、レイスがしゃべったのだ。
思わず。
「仕事を探しています。」
と言ったら
「でしたらこちらのお仕事があります。」
と言って仕事が出てきた…なんだって。
とりあえず、《牧場のヤギの肉の納入、一頭分》
という依頼を受けた。
私達は書かれた指示通りに階層転移門を潜り牧場に来ていた。
「ヤギ、たしかにヤギだけれども。」
「こいつらって肉をドロップしたっけ?」
「通常モンスターとして見るのは初めてだから自信が無い。
柵に中に黒い仔山羊がいたのだ。
「一体だよな?とは言っても柵に中に入ったらボコボコにされないか?」
軽く数十体いるのである。
「柵から出て来ないのだから外から攻撃すればよくないか?」
「試しにやってみるか?」
結果は一方的に攻撃できた。
こんな感じで、第一階層と第二階層を行ったり来たりしてクエストをこなしていった。
途中、他のギルドかクランが都市攻略にやってきたのか第一階層で戦闘音が聞こえたけれども、何と戦っているのだろう?
「こちらが今ある最後のお仕事になります。」
と言って、《仕事内容は都市長に話を聞く事》と言うクエストが出てきた。
一パーティー限定だったので、私とガンダルフさんのパーティーはこの依頼書を持って中央にある城館に向かった。
衛兵のゾンビに依頼書を見せたら中に入れてしまった。
城館に入ると
「この先にいる死者の王を倒しこの都市の住民を成仏させて欲しい。
だが、お前たちの実力は見させて貰う。」
都市長はファントムだった。
…まあ、結果は分かるだろ。
負けるわけがない。
そこから、ガンダルフさんが
因みに、第三階層の敵がエロ系で、
この、ログアウトのせいで一発クリアとみなされなかったので、+500ではなく同タイプ初クリア報酬+300になってしまったけれども、こうしてギルド
因みに、他のサーバーの同型拠点が次に攻略されるのが実に一年後だったりする。
第一階層のギミックである、ゾンビと戦ってはいけない、物を取ってはいけない、を守れなかったギルドだらけだったと言うだけなのだが…モンスターを倒す、アイテムは拾うと言う概念から中々抜け出せないらしい。
しかもギルドメンバー全員に徹底させなくてはいけないので大人数程、難易度が上がったと言うおまけ付だったそうだ。
第二階層以降もパーティーごとに強制的に分断されるので、普通なら十分に難易度が高かったそうだけれども。
キュアイーリム戦でも使用した聖王国で行われているの儀式魔法だったりする。
私の設定では、聖と火のダブル属性なのでアンデットにはとってもよく効く。