エリュエンティウに向かう事の反対はほぼなかった。
逆の立場なら、私に会うのに
ナザリックと言う前例がある事が一点。
とは言え全く反対がなかった訳でもない。
「シルト様と分かったら襲われませんよね?」
「その時はアンネが守ってくれるのだろう?」
そう、その筆頭はアンネだったりする。
そもそも魔法職傭兵ギルドと私や
ファウンダーを狙ってPKを仕掛けてきた人達の所属ギルドは何処だったのかと言う話だ。
当然全員では無いけれどもそれなりの人数が魔法職傭兵ギルドメンバーだった。
そこまでで終わらない。
ギルド戦争の援軍で、魔法職傭兵ギルドが雇えなかった側が援軍要請してきたので、魔法職傭兵ギルドと魔法で殴りあったことが何回かあるのだ。
ある一定ラインは引いていたので、そこまで恨まれているとは思いたくないけれども。
一定ラインは、
後、どれだけ働くかはお金と友好度(大雑把に言って現在またか過去にエルグリラに拠点を置いていたギルドの場合は割引があった)次第だけれども。
ギルド戦争でこのギルドが付いた場合、そちら側の勝利が確定すると言われたのに戦況をひっくり返したのは、ワールドチャンピオンによる突撃によって接近戦で崩すかワールドアイテムを使うかの二択に近かった。
因みに、あくまで彼らも傭兵なので、100人全員が出てきた訳ではないからね。
とは言え、ファウンダーに対するクレームはかなり多かったと聞いている。
1パーティーで魔法職傭兵ギルド1レギオンに打ち勝ったからな…
ファウンダーは、かなり初期段階で入手していた事、ワールドアイテムの中でも特に分かりやすくバランスブレイカーだった事、ワールドエネミーまで倒した事、他のワールドアイテムより特に大々的に使用していた事。
それはクレームも多くなろうと言う物である。
〈バランスブレイカーすぎるのではないか〉というクレームに対して〈世界の可能性はそんなに小さくない〉の回答なのだから〈運営狂っている〉となるのも個人的に理解できる。
何せ、ワールドエネミーは流石に困ったらしく〈もう一回やったら修正する〉と警告が来たのだから。
まあ、やったら、ギルド武器に
脱線したけれどもそんな感じで、余り敵がいなかったと言うより作らないようにしていた
それを知っている古株としては反対するよね。
「その言い方は卑怯です。」
私も卑怯だと思います。
とは言っても、この世界の事を知らない訳にはいけないのでエリュエンティウに行くしかない。
住民がいるのだから、都市階層で襲われる事も無いだろう。と言う現実的な理由もある。
天空城に招かれたら脱出が困難なのでどうするか?
流石に、あそこを数人で攻略できるとは思えないし、そもそも、ギルド武器があそこに無い。
悩んでも仕方が無いので、アンネ、ハサン、クスタフ(使節団長だった)、昨日赴いた傭兵NPC達と共にエリュエンティウに転移した。
クスタフの先導でエリュエンティウにやってきた。
町の外にある耕作地帯まで囲う魔法障壁はどうやって展開しているのだろうか?
魔法結界を境に明らかに別世界だった。
概算で直径8KM位か?相当農業生産力が高いな。
人口にもよるけれども恐らく余るほどの農業生産量があると思われる。
ステラが外壁から2KMのアンデッドを取り合えず処理したけれども、実際問題その範囲が畑になれば秋以降の食料は相当余る計算だった。
流石に4kM近くを歩くのも大変なので、再度転移した。
城壁があるのにこちらには魔法結界は無いらしく、中央近くの館前まで来れてしまった。
中央でないのは城から水が注ぎこむ池があるからだ。
その池を背景に館がある。
都市型拠点なので、一応来た事は有るけれども、同じく、やはり住民がいることに感動したけれど、エルグリラと比較して人間種の割合が明らかに多かった。
まあ、この都市が転移した時からの住民は殆どいないのだろうから、単に繁殖力の違いかもしれないが。
クスタフが館の衛兵に
「昨日訪ねてきたものだ。
主殿を連れてきたので面会したい。」
「伺っております、どうぞお入りください。」
と言って簡単に入れてしまった。
まあ、本拠は上空にあるのであまり気にしていないのかもしれないが。
案内役と思われる執事がやって来て、先導されて付いていった。
「こちらの部屋でお待ちください」
応接室と言うよりも会議室みたいな部屋だった。
一応、立って待つことにした。
しかし、プレイヤーとNPCをどうやって見分けるのだろうか?
ノックが入り、メイドがお茶を持ってきた。
「お座りになってお待ちいただいても良いのですが?」
「時間がかかるのですか?」
「何人かは用意できているのですがまだ来ていないものが居りますので。」
まさか、30人全員が集まるのか?
「では、座らせていただきます。
他の者も宜しいでしょうか?」
「どうぞ構いません。」
「では座ってお茶を頂こう。」
そう言うと、皆が席に座った。
メイドが部屋から出た後
「ハサン、先ほどのメイドの話は本当か?」
「かなりの強さの者が数人います。
今も誰かが来たようで。」
30人からの圧迫面接はよして欲しい。
暫くして、部屋がノックされた。
「お待たせいたしました。」
入ってきたのは八人だった。
八欲王だから人数を合わせたかそれぞれプレイヤーの
案の定、不死種だらけだった。
私達は立ち上がって出迎えた。
「それほど待っていませんので、美味しいお茶をありがとうございます。
私が
「確かにあなたは主人達と同格の者のようです。
どうぞお座りください。」
どうやって分かった?
「では失礼して。
ところで、
私達に対して思う所は無いのですか?」
「いざこざがあった事は知っていますが、シルト様が気にされないのでしたら私どもから何かする事は有りません。」
「そうですか。」
そこからはお互いの自己紹介だった。
「ところで本題に入るとして、今の紹介でもありましたが、こちらの拠点は500年前にユグドラシルから転移して転移した日時は同じだった、で間違いないのですか?」
「間違いありません。」
「魔法職傭兵ギルドメンバーもあの日のあの時間に拠点に居たのは8人だけだったと言う事ですか。」
少し寂しそうに言った。
ギルド長も居なかったとは。
「拠点外には何人か居られたようですし、転移した時間まで居られなかった方もいるようですが。」
そうだよな、巨大ギルドでも拠点内にあの時に居ると言う条件では中々いなかったのだろう。
私も前世の記憶が無く、都市型拠点でないのなら最終日イベントがあった運営の町に居た可能性を否定できないのだ。
もしくは、ヘロヘロさんみたいに最後まで居なかった可能性だってある。
こうして考えると拠点ごと転移は都市型拠点の方がまだ可能性が高いのか。
モモンガさんが変わっているのだよな。
彼らの主人達も実際には都市部に居たらしいし。
「ところで、食糧はお困りでないですか?」
「実際に困っていますが、周辺を耕作すれば、何とかめどは立ちそうです。」
実際に収穫が始まるまでなら金貨消費でもなんとかなる。
「それは羨ましい話です。
私達も転移した時に都市住民の食糧不足が問題になりました。
ディ・グォルス帝国なる国の真っただ中に出たのですが、この国は異形種の国で人間は餌か奴隷だったのです。
ですので、ディ・グォルス帝国とは交渉が出来ない為、周辺を耕作する事も出来ませんでした。
どころか、食料と奴隷…つまり人間種を要求してきました。」
「あなた方の主人にも人間種がいたのでは?」
少なくともあのデケムの親はエルフだ。
「八人の主人の内、半数の四人は人間種でした。
残りの方も人間種にそのような意識を持たれた方はおらず、むしろ人間種を擁護されていました。」
「ディ・グォルス帝国とは?」
「戦争です。
食糧問題もありますがディ・グォルス帝国の要求と人間種の主人に対する態度は全守護者、全エリュエンティウ住民が宣戦布告であるとみなしました。」
主人たる人間種のメンバーを奴隷や食糧扱いしたらそうなるに決まっている。
「結果は?」
「我々が彼らを撃退し、食糧と耕作地を確保すると共に、近隣で虐げられていた者たちも保護しました。」
文字通りのレベル違いだったから圧倒的だったのだろうな。
「虐げられていた人間種を保護した結果、ご主人様達は一つの決断をいたしました。
人間種に力を与える、肉体が弱いなら魔法の力を与えることを。」
「それまでは使えなかったのですか?」
「我々転移した者は使えたのですが、この世界の者は使えなかったのです。
後に竜王は別の系統の魔法を使えた事が判明しましたが。」
「差し支えなければ何を使ったかを教えて頂けますか?」
「ワールドアイテム、五行相克を使って位階魔法をこの世界に広めました。」
消費型だったからもうないのか?エリュエンティウは再入手したのだろうか?
この世界で再入手を目指すのか?転移で変更が無ければ入手方法の予想は出来ている。
何せ私も保有して使った事がある…超位魔法をNPCに教える事が出来るように要請したと言えば分かるかな?
アンネの為に、もう一個、消費型のワールドアイテムを使用していたりする…彼女が超位魔法の待機時間に動いたり他の魔法を使用したりできるのはその為だ…誰が
どうでも良いことだけれども、ワールドアイテムを消費して失うと、ギルド順位が容赦なく下がったのでギルド順位にワールドアイテムの所持の影響はかなりあった筈だ。
「つまりこの世界の住人が位階魔法を使えるのはその為ですか。」
「我々が知らなかった魔法も開発されているようでご主人様の思惑以上ですが、人間種だけには限定できなかったのが痛恨の極みだと申していました。
何でも、新しく生まれた竜が竜の魔法が使えなくなったとかで、竜王達の逆鱗に触れたのです。」
五行相克でアンネに超位魔法を使えるようにして欲しいと運営に要請を送ったら、却下されたのだよね。
魔法システム全体に関する物なので個別には出来ないと運営から返ってきた。
だから人間種に絞れなかったのではないか?
竜の魔法は始原の魔法の事だろう。
「竜王達と戦ったのですか?」
「ご主人様も我々も、連日のように戦いました。
その際、失われた
蘇生が出来なかったのです。
この脅威に対抗する為、ご主人様達は竜王達の攻撃範囲外から圧倒的な攻撃をする決断を下しました。」
実に半径10KMの範囲を砂に変えてしまう魔法だろう。
攻撃半径が大きすぎて、他の魔法と比較して射程がおかしなことになっている。
「
「シルト様、貴方も竜王を倒すのに使用されたようですが。
貴方には
「分かるのですか?」
これで判断した訳だ。
ワールド・ディザスターの職によるものでは無く、ファウンダーによる物だけれども言う必要はないだろう。
「確認できるアイテムがありますので使用させていただきました。
どのようなものかは教えられませんが。」
何となくは分かるぞ。
アイテムの効果を弾いたのだろう。
「とすると、周辺の砂漠はその時の物で?」
「北に元々の砂漠もありましたが、ほとんどはこの際の戦闘によるものです。
何体の竜王と戦ったのかも分からない程で。
ディ・グォルス帝国は我々と竜王との戦いの余波で亡びました。」
ディ・グォルス帝国の遺跡は…無いだろうね。
「周辺が砂漠になったとすると、また食糧問題が発生したのでは?」
何せ、地下深くまで砂なので、ちょっとやそっとの地形操作では水を保水する土壌にならないと報告があった。
「その通りです。
その為、我々は近隣を耕作できるようにすると共に、そこから作物が取れるまでの食料を求めました。
その結果、現在のスレイン法国と接触したのです。
より正確に言えば、我々の先に転移したスルシャーナ様と言うべきかもしれませんが。」
「スルシャーナ様?」
オーバーロードのエクリプスである可能性が高い彼は、確か八欲王によって殺されたのではなかったか?
と言うのに様付け?
「なんでも6人で拠点ごと転移されたそうです。
御主人様達と同じく、人間種を守るために奮闘されていたようですが、残りの五人が亡くなって相当苦労されていたようです。
その五人が亡くなったのは我々が倒した竜王によるものらしく、竜王の殆どが死滅したのを確認して、倒した相手を確認する意味も込めてご主人様達と接触したそうです。」
六大神の五人って寿命で亡くなった訳ではなかったのか?
「あなた達の主人達は五行相克の使用によって竜王と交戦する事になったのではないのですか?」
「それ以前に、我々のような転移者を汚物と呼んで敵対していたようです。
我々の戦いは砂漠を作りましたが、彼らの交戦は大地に大きな溝を生み出したようで、それを使って人間種の領域とそのほかの種族の領域を分けたようで、と言っても徹底は出来なかったそうですが。」
「大きな溝って何処に?」
「あなた方の拠点の北東に北西から南東に伸びる湖ですよ。
元々低地ではあったそうですが。」
「どうやったらあの大きさの湖を作れるのですか?」
「これだけが原因でないそうですが、
一発でないとしても、あの湖は800KM×200KMはあるぞ。
と言う事は、六大神はやっぱりネコさま大王国じゃないか。
なんで、アンティリーネは
流石にワールドチャンピオンのスキルは彼女のタレントでも使えなかったと言う事か。
一柱分の装備が無いようだからそれなのか?
「何と言うか、とんでもない威力ですね。
私が言うのもなんですが。
しかし、砂漠と言い、湖と言い、どれくらいの数の竜王がいたのですか?」
幾ら威力が大きくてもどちらも範囲が大きすぎるだろう。
何回使用したらこんな事になるのだ?
「戦闘で確実に仕留めた訳でなく、負傷状態で逃げられて再戦した竜王も居ましたので、六名の方々も同じでは無かったかと。
なので、どちらも何回使ったのかも分からないほどで、スルシャーナ様達は百年近く戦っていたようなので。」
「はい?あんなのを何体も相手に100年ですか?」
「私達程の頻度ではなかったようですが。
私達は魔法を改変したことで余計に攻撃が激しかったようで。」
「スルシャーナさんは、汚物と言われて攻撃を受けた身に覚えは無いのですか?」
「スルシャーナ様達は転移した直後には現地の方の言葉が分からなかったそうですが、しばらくしたら言葉が分かるようになったそうです。
恐らく何かしらのワールドアイテムが使われたようです。
後になるのですが、廃墟になった海上都市を発見いたしまして、恐らくその拠点の者が使用したのではないかと考えられます。
ここからは、ご主人様達の予想ですが、我々が魔法と言うシステムを破壊したように、彼らは言語と言うシステムを破壊したことが原因で攻撃を受け、同じように転移者であるスルシャーナさん達はとばっちりを受けたのではないかと考えておられました。」
「言語と言うシステムの破壊ですか?」
「この世界の住民も種族によって言葉が違うのに言葉が通じるようになったようで。
実際に書面は文字も文法も違うのです。」
「その説では、竜王は、我々以上にワールドアイテムを危険視しているのではないですか?」
「その可能性はありますが実際にはわかりかねます。」
「スルシャーナ様は先に逝った仲間のもとに行きたいとかでご主人様達が殺しました。
その際に人間種を守る事、拠点に安置する事を遺言されました。
今でも彼らの拠点のある平野ではアンデッドが出ますが、スルシャーナ様の遺体の影響なのではないかと。」
多分カッツェ平野の事だよな。
「その後、私達は種族間のバランスをとる為に世界中に戦争を仕掛けました。
人間種のご主人様は、スルシャーナ様が子孫の中に強者が生まれる話を聞いて、子供をたくさん作る事を決めました。
長きに渡り餌や奴隷だった為に当時の人間種はかなり卑屈になって居たので人間種優位思想を人間種の国や子供にひたすら話しておいででした。」
世界征服とハーレムの話がつながったよ。
スレイン法国の人間種至上主義はそこから来たのか…あと、その成果があのくそ
あんな奴とスレイン法国が協力体制だったのは元は八欲王の成果だったのか…スレイン法国が八欲王を悪く言うようになったのはデケムのせいじゃないだろうな?
「この戦争の結果、スレイン法国の北に人間種の国が生まれました。後に分離しましたが。」
王国と帝国の事だよね。
「ある程度の亜人や異形種を間引いたところでご主人様達の間で意見対立が発生いたしました。
人間種の御主人様はもっと異形種と亜人種を殺すべきとお考えで、亜人種、異形種のご主人様達はこの辺りで止めて様子を見てはどうかとお考えになりました。」
八欲王の欲ってこんな事だったのか。
「結局、どうなったのですか?」
「亜人種と異形種のご主人様達が勝利され、後を追われました。
我々残ったNPCに人間種が亡びそうになったら蘇生せよとのご命令と共に。」
「実際に亡びそうになった事は有るのですか?」
「200年前に六人の転移者たちのギルド武器が破壊されて、僕のモンスターが各地で暴れまわると言う事件がありました。
その際に我々にも協力要請は有りましたが。」
「協力したのですか?」
「それを嫌がるものが居まして。
我々の力は強すぎてバランスを崩しかねない、との事で、我々も、極力このエリュエンティウとご主人様の亡骸を守りたいので交渉になりました。
彼に人間種に友好的に接して他の竜王を押さえてもらう代わりにギルド武器を託しました。
ギルド武器が破壊されて同じ事態を招かないようにと言う意味と、我々も外部に妙な行動をしない為の人質としてです。」
「色々と驚くことが多かったです。
六人の転移者と海上都市、あなた達、我々以外に転移者はいないのですか?」
「おおよそ100年毎に複数の転移者が居るようですが、知られずに亡くなっている者も居ますし、竜王に殺された者もいるようです。
私達と同じ時に転移した者もいて、その者のワールドアイテムよって、エリュエンティウは快適で農業生産も順調にできるようになりました。
ですが、シルト様達は拠点ごと転移したのは我々に次ぐ4例目ですので拠点ごとは中々ありませんね。」
実際にはナザリックがあるので少なくとも5例目だよな。
ナザリックの地上部分から考えて、地上部分がミニマムで知らないうちに自滅している拠点があるかもだ。
前世の記憶が無かったら、そうなっていてもおかしくないし…原作ではそうなっていたのか、ひょっとして。
あのエリアなら、ゾンビの徘徊する町なら紛れ込んでしまう。
それにしても余りの情報に頭がオーバーヒートしそうだった。
「この世界に来たばかりの私に多くの情報をありがとうございます。
この情報の代価は何でしょうか?」
「私達の主人達の願い、人間種の守護です。」
やっぱりそう来たか。
「あなた達も十分に強そうに見えますがあなた達ではだめなのですか?」
「私達は主人の亡骸を守るのみ、先ほども言いましたが竜王との約束で、破るとギルド武器を破壊される可能性があるので」
「あなた達はギルド武器を破壊されたらどうなるのですか?」
十三英雄の魔人は傭兵モンスターと言ったよな。
「モンスターは制御を失いますが我々守護者は影響を受けません。」
「逆にNPC、そう呼ばれていた者たちは大丈夫なのですか?」
「恐らく、主人の遺体を完全に失った段階で後を追う事になるでしょう。
我々も暴走した傭兵モンスターによってそうなる可能性が高いので。」
マジかよ!
エレアが当たり前のように言った言葉が思い出された。
知ってしまった、文字通りNPC達にとっては主人こそが全てなのだと。
転移前、ユグドラシル時代はモンスターも拠点NPCもギルド武器に縛られていた。
恐るべきことに破壊すると拠点関係のそれらは全て消えていたのだ。
要するに運営が用意した状態にリセットされていたのだ。
「一応確認しますが、転移前のあなた方は拠点に縛られていましたか?」
「縛られていませんでした。」
傭兵NPCか。
「縛られていた者たちも同じですか?」
「同じです。」
「例えば、今、私が拠点の者たちを置いて一人で世界のどこかに行った時に亡くなって蘇生できなくなったら、その場合は?」
「私達は主人の存在を感じる事が出来ますので完全に失われた段階で気が付きます。」
ああ、亡国の吸血姫のナザリック陣営はモモンガさんの気配を感じ取って探すために暴走したのか。
何故、スルシャーナのNPCが暴走しなかったのかも分かった。
「先ほどのお返事は少し考えさせて下さい。
今の私にとって人間種の存亡よりも拠点の者たちの方が大切なのです。」