もう一つのギルド   作:mshr

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閑話 竜王国

「女王陛下、シャンドラド千年王国なる国からの使節から面会をしたいと言う話が来ています。」

 

「何じゃ、聞いたことが無い国だのう。」

 

「スレイン法国からの紹介状を持って来ていますので会わない訳にはいけませんね。」

 

「スレイン法国か、金だけとりおって、陽光聖典を引き上げた代わりの援軍もよこさないとは。」

 

「陽光聖典の代わりにエナ多種同盟国辺りで傭兵でも雇って送ってきたのでは?

シャンドラド千年王国は傭兵団の名前かもしれません。」

 

「紹介状を持って来ておるのじゃ、そうかもしれんの。

スレイン法国が支払いをしてくれて、使える戦力なら大歓迎じゃ。

とりあえず会ってみるとするか。」

 

~~~~~

 

「某はシャンドラド千年王国軍総司令官フェンデルと申す。

此度は竜王国使節団長及び調査団長として参りました。

お見知りおきを。」

 

(※当たり前ですが最高司令官はシルトで、国防大臣兼参謀総長がアレク)

 

「使節団長は理解できるのですが、調査団長とは?」

 

「スレイン法国との契約で此度は竜王国に援軍を送る事になりましたのでどの程度の戦力をどの程度の期間を送るのかの調査であります。」

 

「余が竜王国女王ドラウディロン・オーリウクルスじゃ。

そうかそれはよう来られたのじゃ。

シャンドラド千年王国とは聞いたことは無いのじゃが何処にあるのじゃ?」

 

「スレイン法国とエナ多種同盟国の間になります。」

 

「確かアンデッドの巣窟だった筈では?」

 

「そこにある山脈の最北端付近に都市ごと転移しまして、先日建国しました。」

 

「そんなことがあるのでしょうか?」

 

「して、そなた達も戦ってくれるのか?」

 

「我らが戦うと過剰戦力になるとの事でシルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム千年王陛下より止められております。」

 

「たった数名で過剰戦力とはこれまたオーバーですね。

で、そのシルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム千年王陛下からはどの程度の戦力なら良いと言われているのですか?」

 

「その為に竜王国の現状を調べてくるように言われておりますので。」

 

「そうか、宰相、教えて差し上げるのじゃ。」

 

「我々竜王国は長きに渡ってビーストマンとの係争に明け暮れておりました。

ビーストマン達は人間を食料と思っているようで、少数で何人かの国民を攫っていくのでその撃退を繰り返しておりました。

最近までは最大でも1000にも満たない数でしたので多くの国民が犠牲になってはいましたがギリギリで何とかなっていたのですが、今年に入って一か所で1万を超える数で押し寄せてまいりまして、二都市が陥落いたしました。」

 

※陽光聖典の引き上げとビーストマンの攻勢が重なった事もあって二都市が陥落したがスレイン法国の援軍は公然の秘密なので表立っては言えない。

 

「実際に地図や戦況図を見せて頂けませんか?」

 

「では別室で」

 

「よろしく頼むのじゃ」

 

~~~~~~~~~~~~

 

「宰相、でどうじゃった?」

 

「フェンデル殿が言うに恐らく陥落した都市の奪還までは認められても、ビーストマンの国を亡ぼすところまでは認められない、と言っていましたが。」

 

「ビーストマン国を亡ぼすとか本気なのか?

大言壮語もここまでとは天晴じゃな。

して、シャンドラド千年王国とやらはどのくらいの戦力を用意できそうじゃ」

 

「なんでも本国に帰って千年王陛下と相談して決めると言っていましたが。」

 

「千年王と言うのもなかなかの大言壮語じゃな。

しかし今から本国に帰って相談するとは援軍が来るのは何時位になるのじゃ?

 

「転移魔法で即時に戻れるらしく、援軍も転移魔法で送るそうです。」

 

「転移魔法じゃと。

どの位階の転移魔法なのじゃ?

第三階位の転移魔法は戦場で少し移動できる程度と聞いておるのじゃが?」

 

「少なくとも第五階位の転移魔法でしょうね。

とすると、彼らは少なくともアダマンタイト級の強さがある事になります。」

 

「もしかするとビーストマン国を亡ぼすと言うのもブラフではないと言う事かえ。」

 

「可能性はあります。

実際に申し訳なさそうに言っていましたので。」

 

「信じられないのじゃ。

と言う事は、セラブレイトに媚を売らなくても良くなるのかえ。

あいつの全身を嘗め回すような眼を見ているとぞっとするのじゃ。」

 

「当面はするしかないです。

お手紙で安く動いてくれるなら良いではありませんか。

今日もかわいい子供が書いたようなお手紙を20枚はお願いしますね。」

 

「酒を持って来てくれ。

素面では書けん。」

 

~~~~~~~~

 

「ドラウディロン・オーリウクルス女王陛下、陛下の御承諾を頂ければ即座に実行が可能です。

宰相閣下からもすでにご内諾は得ております。」

 

「本当に可能なのかえ。

数が余りにも少ないのじゃ」

 

「こちらは遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)と言いまして遠き場所が見えるマジックアイテムです。

こちらでご確認いただければと。」

 

「陛下、私も斥候も送っておりますので、帰還すれば真実か確認できます。」

 

「承認しても損は無いからの。

奪還予定の都市を見せてくれるかえ?」

 

「承りました。」

 

そこには、ビーストマンと共に、今まさに食べられようとしている人間が映っていた。

 

「今すぐに、大至急実行するよう伝えるのじゃ。」

 

「承りました。」

 

スクロールを使うと、フェンデルは話した。

 

「竜女王陛下の御許可が出ました。」

 

伝言(メッセージ)の魔法で女王陛下の御許可を伝えました。

直ぐに転移させる筈です。

画面を切り替えます。」

 

鏡に映る画面が切り替わり、そこにはゴーレムが転移してきたのが確認された。

 

「儀式魔法でビーストマンを都市から追い出し、そこに突撃させる予定です。」

 

「しかし、どうやってビーストマンを都市から追い出すのですか?」

 

「宰相閣下、人間種の間では印象が悪いと考えて隠しておりましたが、魂喰らい(ソウルイーター)を召喚いたします。

一定時間で消滅しますし、万が一制御を失い竜王国側の門から出ても、ゴーレムで処理しますので竜王国に御迷惑は掛からないとの判断です。

ただ、捕虜となっている方々ごと死ぬことになるので、その点はお詫びしておいて欲しいとシルト千年王陛下から言伝を貰っております。」

 

魂喰らい(ソウルイーター)ですか、それはまた。」

 

「確かにビーストマンには効果的じゃの。

魂喰らい(ソウルイーター)なら即死じゃろ。

ビーストマンになぶり殺しにされて食われるよりはずっとマシじゃ。

シルト殿には気にしないで欲しいと伝えて欲しいのじゃ。」

 

「シルト千年王陛下には私より御伝えいたします。」

 

「あのゴーレムも大きさが可笑しくありませんか?」

 

「宰相閣下、なんでも、ビーストマン連邦がミノタウロスの国との戦争で使用した物を模したとの事です。

ビーストマンにはかなりの効果があるとシルト陛下は判断されておりました。」

 

「なるほど、作戦書では、戦力はゴーレム三体となっていましたがそのような物を。」

 

「なんでも200年ほど前に八体でミノタウロスの国を追い詰めたそうで。」

 

「最近転移してきたばかりと言うのに、よくそこまで調べたのじゃ。」

 

「右も左も分からない状況でしたので、周辺国に人を送って噂話でも何でもとにかく情報を集めた結果です。」

 

「よくもそのような物を用意できましたね?」

 

「見た目を模しただけで実際の強さは同じか分からないそうですが、見た目でビーストマンには効果があるだろうとの事でした。」

 

「そうじゃろうな。」

 

「都市からビーストマンが出てきましたね。」

 

「そろそろゴーレムを突入させるはずです。」

 

~~~~

 

「終わってみれば一方的じゃったな。」

 

「速やかに軍を送るように手配します。」

 

「シルト千年王陛下がおっしゃるには戦力的には互角でも、士気が崩壊すれば戦果は一方的になる。との事です。

明日も、都市を奪還する予定です。」

 

「シルト殿が言われる事は理解できるのじゃ。」

 

「そちらへの軍の移動も指示を出しておきます。

今日の状況を見る限り、奪還は確実でしょうし。」

 

「では、某はこの辺りで退座させて頂きます。

明日の作戦時間の前にまた伺いますので。」

 

「そうじゃ、我が国の難民の為に食糧を送ってもらえるようにエ・ランテルのアダマンタイト級冒険者にお願いしたのもシルト殿と聞いておるのじゃ。

シルト殿に感謝すると伝えて欲しいのじゃ。」

 

「シルト千年王陛下に先の言付と共にお伝えいたします。」

 

「この戦力は、二都市を奪還した後で貴国へ戻すのでしょうか?」

 

「宰相閣下、スレイン法国との契約ではそのようになっておりますので。」

 

「どうにかお譲りいただけないでしょうか?」

 

「某は軍人ですのでその辺りの交渉は文官にお願いいたします。」

 

「フェンデル閣下は使節団長ではありませんか?」

 

「そのような意向がある事はお伝えいたします。」

 

「よろしくお願いいたします。」

 

 

~~~~~

 

「宰相、シルト殿の提案をどのように思うのじゃ。」

 

「竜王国が無くなってしまうこと、本当に直ぐに生活可能なのかと言う疑問を除けば、国民にとって魅力的な提案ではありますね。」

 

「そうなのじゃ、この提案を呑むならゴーレムのレンタル費用も有り得ないほど安いのじゃ。」

 

「事実上の自国防衛と見做しているからでしょう。

防衛用の人員も派遣してきそうですし。」

 

「使節団は最低でもアダマンタイト級じゃったか。

ビーストマンの国を亡ぼせると言うのも大言壮語では無かったのじゃ。」

 

「滅ぼしてもそのまま大陸中央諸国と戦争になって、結局は永遠に戦争し続ける事になる。と言うのがシルト千年王陛下の言い分のようですね。」

 

「実際にその通りなのじゃ。

しかし、千年王国のメリットは何なのじゃ?」

 

「あるとして、スレイン法国への心象はよくなりますが、その程度ではないでしょうか?」

 

「まさに、それが理由かもしれんの。」

 

「使節団の中にリザードマンも居ましたからね。」

 

「亜人もいるとするとそれが理由じゃろうな。」

 

「とりあえず、戦争難民の受け入れを打診してみましょう。」

 

「しかし、移民は半年分の食糧とセットなのじゃ。

食糧はどうするのじゃ?」

 

「移民ではなく難民ですのでそこは千年王国と交渉します。

どのみち、このままでは飢餓が発生しますのでやらないよりはましでしょう。」

 

「そうじゃな。

今決断しても、大規模な移民の開始は秋の収穫まで待たなくてはいけないから、難民を送って様子を見るのも一つの手じゃの。」

 

「千年王国と交渉出来たら難民の中から希望者を募ります。」

 

「そうしておいてくれ。」

 

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