もう一つのギルド   作:mshr

42 / 102
第5章2話 リ・エスティーゼ王国との会談

ゲヘナは漆黒のモモンを漆黒の英雄モモンと変え、その名声を利用して魔導国の支配を円滑にすると言う目的なので、モモンの立ち位置に他の者が入るとその時点で失敗になる。

 

と言っても、蒼の薔薇に傭兵NPCを送り込むとエントマなど確実に倒してしまう上、普通にヤルダバオトと互角で戦ってしまうから困ったことになる。

 

リ・エスティーゼ王国に展開する部隊は、正直言ってデミウルゴスの行動を縛る為の物で計画を立てるのは相当厳しい筈。

 

展開可能戦力が違いすぎるから、ゲヘナの対応で100人単位のLV100のNPCがやってくる可能性だってあるのだ。

 

多少の才があってもこの戦力差は何ともならない筈だよな。

 

更に進むと、ナザリックに侵入するワーカーの中に千年王国傭兵NPCがいる可能性だってあるのだ。

 

フォーサイトの代わりにLV100の傭兵NPC4人…モモンガさんだけで相手できるような戦力ではない。

 

つまり、マッチポンプで魔導国を建国するためには絶対に我々(千年王国)と連携を取らないと成功しないと言って良い…筈だよな。

 

そんな事を考えながらリ・エスティーゼ王国の待合で待っていた。

 

先程のような事を考えていないと、メイドの態度に切れそうになるからだ。

 

マジでここの貴族は終わってないか?

 

確か12名だっけ、リ・エスティーゼ王国が滅亡した時に残っていたのは。

 

大虐殺で死んだり、船長(ナイウーア)伯爵みたいな人もいたから、腐っていない貴族はもっと居たとは思うのだけれどもね。

 

この国な場合、ステータス偽装を解いた方が良かったのかもしれない…ガゼフでもダメだったっけ…

 

私がランポッサ王に会いに来る、つまり国のトップとトップが会うと言うのは事前協議が終わっていると言う事だ。

 

竜王国に続く三番目の国がリ・エスティーゼ王国だけれども、正直早く終わった理由は考えたくない。

 

鼻薬を嗅がせた結果だからだ。

 

先に交渉している国は現在交渉中であって私が訪問したのは何の要求も無かったスルターン小国だけなのだから、相当に早い。(大王国は知らん。)

 

スレイン法国は竜王国に援軍を送った事でシャンドラド千年王国本国との調整は終わっているけれども、エルフ伯国との講和条件でもめていて、まだトップ会談に至っていない。

 

バハルス帝国は現在皇帝ジルクニフとの日程調整中だ。

 

帝国とは事前協議でほとんど何も決まっていないのだから超トップダウンなのだろう。

 

他の国にも手土産は用意していたけれども、返礼が無い国はリ・エスティーゼ王国だけである。(あの大王国ですらあった)

 

いや、スレイン法国の紹介(初回訪問はスレイン法国のリ・エスティーゼ駐留大使が同伴した)が有って竜王国の紹介状が有るのに下っ端が袖の下を要求する事が可笑しい。

 

返礼が子供のお手紙だった国(竜王国の親書の事…返礼品を送る余裕がないことをお詫びしていた)とは状況が違うだろうが。

 

聴力強化無しでも「小国のくせ」に、とか「ぽっと出が」とかメイドが言っているのが聞こえるのだ。

 

国賓に言う言葉ではないだろう。

 

おかげで雰囲気が最悪だ。

 

アンネ、ズワース、フェデリー(元傭兵屋店主、中央区長兼外務大臣)、護衛の元傭兵NPCもいつ切れても仕方がないと思う。

 

いや、彼らが怒ればこの国の住民から考えるとかえって良いかもしれないから私自身が今一抑えが効いていない。

 

さっきから、「一回締めましょうか。」とか「分からせた方が良くないですか?」とか言ってくるのだが、「せめて国王に会ってからにしろ。」と言って止めるのが自分の中でも限界だったりする。

 

そう言えば昨日、鬼リーダー(ラキュース)がラナーに会っていたのは、シャンドラド千年王国の情報を聞くためだった。

 

何故知っているって?

 

ナザリックのシャドウデーモンにできるなら、我々にも出来るよ。

 

近衛兵に呼ばれて謁見の間に向かった。

 

流石に先ほどのメイドとは違いしっかりした対応で、確か近衛(王宮の)騎士は逃げださずに城の前で防衛線を張ったのだっけ?

 

メイド程は腐ってはいないようである。

 

彼らの嫁候補があれ(メイド)かと思うと少しかわいそうになってきた。

 

「シャンドラド千年王国、千年王、シルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム陛下、御入室。」

 

声と共に扉が開き、今回は文武百官つまり貴族や、御婦人や御令嬢までいる中を歩いて行った。

 

前二回の国家のように天変地異を目撃したり、強力な援軍を受けた訳ではないので、様々な視線を感じながら歩いて行った。

 

嫌な感じの視線がロリコン(セラブレイト)一人で済んだ竜王国とは訳が違う。

 

多分ラキュースだろう、少しきつめの美人の御令嬢が、少し青ざめた表情で息を呑み込んでいたのが印象的だった。

 

ステータス隠蔽をしていても昨日の一件を知っていれば、武装無しでも私達のだれでもここにいる人間の全てを1人でも制圧できることが分かっているのだろう。

 

正面に座っている王族の全員が息をのんで固まったのが分かった。

 

ラナーや国王の護衛のガゼフもだから相当なものだ…ラナーは演技かもしれない。

 

私を見てではなく、私の後ろを見てだけれども。

 

鎧兜を身に着けていないアンネは硬直のバットステータスを与えるらしい。

 

この国では帯剣無しでも鎧兜での謁見は認められなかったのだ。

 

護衛役である近衛隊長に認めないのは有りなのか?

 

シャンドラド千年王国が舐められただけかもしれないが。

 

モブ顔の私よりもアンネが女王ですと言った方が通じるのではないか?と言う疑問を感じながら私は指定位置で立ち止まり、私以外が跪いた。

 

硬直から溶けたランポッサ王が私に話しかけた。

 

「シルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム殿、遠路はるばるご足労頂き感謝する。」

 

「ランポッサ・イストリアン・レンテ・ライル・ヴァイセルフ殿、転移魔法で移動しているので待合で待っている時間の方が長かったくらいなのですよ。

お気になさらずに。」

 

この国は魔法軽視だったよな。

 

今のセリフで、最低でも、この国最高の魔法詠唱者(マジックキャスター)であるイビルアイに相当する魔法詠唱者(マジックキャスター)がいる事が分かる筈なのだけれども。

 

「スレイン法国や竜王国の紹介状との日付が可笑しかったのはやはりその為ですか。」

 

「各国への使節団は転移魔法で行き来していますので。」

 

状況証拠と先に私が転移魔法で来ることは伝えてあったから、前のセリフでそれ程驚いた感じでは無かったのはまだ分かるけれども、流石にイビルアイクラスがいっぱいいますよ。と言っているに等しいこのセリフに貴族たちのほとんどに反応が無いのには驚いてしまう。

 

そりゃ、ガゼフのアインズ・ウール・ゴウンの報告をほとんど無視する筈だよ。

 

「国としての承認と外交官の駐留、貴国の商会が我が国で商売を行う為の友好通商条約を認めよう。」

 

友好通商条約をはじめとする待遇処置はスレイン法国と同じ待遇だったりする。

 

でなければ、こんなに早く条件がまとまる筈がない。

 

「御認め頂き感謝いたします。」

 

その後、二か国語二部ずつの四部の書類にサインをした。

 

しかし、贈答用に送ったエルグリラ初心者用の武具改への感謝の言葉は無いのかね。

 

なにせ、マジックアイテムである事を無視してもミスリル、オリハルコン合金製なので、この世界では中々の価値の筈なのだが。

 

嫌な予感がしたが、

 

「こちらは先に貴国に贈呈しました品々の目録です。

お納めください。」

 

と、ランポッサ王に渡したところ。

 

「私は聞いていないが?」

 

「外務尚書にお渡ししたと聞いていますが?」

 

後ろを振り返り

 

「フェデリー間違いなく渡したのか?」

 

当たり前だけれども我が国に横領は無い。

 

「初訪問の際に外務尚書閣下にお渡ししています。

スレイン法国の大使も居られましたのでご確認いただければと。」

 

「外務尚書、これはどういう事だ?」

 

「申し訳ございません、私個人にあてた物と勘違いしておりました。」

 

恐らくはガガーランやクライム君が身に着けている鎧と同等クラスの鎧を5セットだぞ。

 

お試しでエルフの国のエルフにやらせたら魔化しただけだから、殆どサイズ調節機能だけとはいえ、この世界では相当な価値の筈だ。

 

横領してやがった、1セットならとにかく5セットはこの世界では個人相手に有り得ない物だろう。

 

そりゃあ、お礼も無ければ返礼品もない。

 

「どうやったら勘違いするのですか?

私達の調べではかなりの価値が有る筈ですが?」

 

エルフの書記官に書かせた目録を見たランポッサ王が絶句していた。

 

それが正しい反応だ。

 

「いえ、使節団の護衛の方の装備の方が良い物でしたので貴国にとっては大したものではないと勘違いしました。」

 

嘘は全く言っていないとは言え、そうなら我々への待合でのメイドの態度は何なのだ?

 

「使節団は見栄がありますから相応の見た目の物を用意しています。

ですが、贈呈の品の見た目はとにかく材質はかなりの物ですし魔化もしてあるので相当な価値のある物ですよね。」

 

「オリハルコン、ミスリル合金のマジックアーマー五領とあるぞ、それぞれの性能も書かれておるが。」

 

「そんなに凄いものだったのですか、普通の鎧と思っておりました。

私の確認不足です。」

 

元は初心者用武具だからな、見た目は確かに貧相だが調べろよ。

 

「外務尚書にも付け届けが必要だったのでしょうか?

でしたらこちらの調査不足です。

申し訳ございません。」

 

「いえ、そのような事はございません。

こちらこそ、勘違いいたしまして申し訳ございません。」

 

魔法を軽視しているのは知っていたけれども限界を超えてないか?

 

クライム君のような例外は兎も角、王国なら、騎士団長用の装備と同等クラスと思うぞ。

 

自身が魔法使い(マジックキャスター)なので王国の魔法軽視の事実を知ってあっけにとられてしまった。

 

その後、外務尚書が着服…保管していた鎧が持ち込まれ、魔術師組合長と鑑定用アイテムによってマジックアイテムである事が確認された。

 

しかし、ここでも恐ろしい事実が判明した。

 

マジックアイテムな事が分かっても、どのような物かが直ぐには分からないらしい。

 

「ところで、これはどれがどれの効果なのでしょうか?」

 

見た目は全く同じ量産品の兜と胸鎧と篭手のセットなのである。

 

材質と魔化が分からないと一般歩兵用と勘違いされても仕方がないと判断されてしまった。

 

結果、外務尚書の勘違いの理由が補填されてしまったのだ。

 

「これが、目録の1で、…です。」

 

それぞれの効果を目録と照らし合わせると、説明を書いた紙が張り付けられた。

 

「すいません、外交儀礼も知らない国かと勘違いしてしまいました。」

 

と外務尚書に謝られてしまった。

 

歩兵用の鎧を五領…そう思われても仕方がないのか。

 

本当に着服したつもりが無かったようだ。

 

そう言えば、ザナックの評価は補佐する人材には恵まれているだったか。

 

すると尚書クラスはそれなりの人材なのか。

 

「こちらも、これからはどのような物かを説明させます。」

 

メイドの態度が何故あんなだったか少しわかった…でも、あれはないよな。

 

「しかし困ったな、これほどの物を頂いたとなると、どのような返礼品が良いのか?」

 

ランポッサ王が困ってしまっていた。

 

手土産無しから急に高価な手土産持ちにジョブチェンジだ。

 

「名も知られていなかった国が、大国であるスレイン法国と同じ条件で国交を結んでいただくための物ですのでお気になさらずに。」

 

「そう言ってくれると助かるの。」

 

こうしてランポッサ王との会談は終わった。

 

急遽、最恵国待遇にかわり、宮廷晩餐会と宮中晩餐会、つまり立食パーティー兼舞踏会が行われることになった。

 

因みに、小国は宴会、竜王国は戦没者慰霊祭と戦勝祝賀会でダンスは踊ってはいない。

 

が、周りと全く同じ動きをするだけならできる…魔法でな。

 

因みに、ユグドラシルでは、この魔法を使って模倣をしたからと言って何かのスキルを得られるわけでも何でもない。

 

モンスターを使ってマスゲームをするなら便利である!……以上。

 

この魔法はラスターによってシャンドラド千年王国の建国式典で使われた可能性がある…揃いすぎだ。

 

と言う訳で、心配せずに挑むことにした。

 

その日の夜の宮廷晩餐会、つまり王族と側近だけでの会食だけれども、ここでやってくれた奴が出た。

 

立場上、ランポッサ王の次にお話した相手、一番興味が無かった相手ともいう。

 

バルブロだ。

 

「バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフですシルト殿。

そちらの美しい女性は近衛隊長との事ですが、容姿で選ばれたのですか?」

 

「バルブロ殿、彼女は魔法抜きでは我が国最強だからですよ。」

 

魔法込みなら否定の言葉が来るのは分かっているが、抜きなら来ないだろう。

 

何せ誰とやってもオッズが付かないのだ。

 

実際、アンネは軽く頭を下げているし。

 

「ほお、私も剣には自信がありましてな、一度お手合わせ願えればと。」

 

あほかと言いたい。

勝っても負けても問題がありそうだ。

 

「アンネ、バルブロ殿に訓練をしてさしあげられるか?」

 

「打ち込み練習からでしょうか?

私の最大の任務はシルト千年王陛下をお守りする事ですので、そのような時間は無いと思いますが?」

 

「は、何を言っている?」

 

「それくらいの差があるのですよ。

彼女の実力を知りたいと言うのでしたら、王国最強から順に100人くらい連れてきて一斉攻撃した方が分かりますよ。」

 

先日、王国最強の戦士と思われる、モモンガじゃなかった、モモンさんに指導をしたほどで。

 

公開していないから知らないだろうけれど。

 

「そこまで言うとは、相当信用されていますな。」

 

父親が助け舟を出してきたぞ。

 

「ええ、だからこその近衛隊長ですから。」

 

「余のガゼフも中々な者ですぞ」

 

「そうでしょうね、でも勝っても負けてもお互い問題が起こるでしょうしお手合わせは勘弁願えればと。」

 

バルブロ王子さんや、私の言いたいことを分かれよ。

 

「そうでしょうな、次にこちらは次男のザナックです。」

 

「ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフです、シルト千年王陛下。

千年王陛下やシャンドラド千年王国の千年の意味をお教え願えますか?」

 

と嫌味っぽく聞かれた。

 

「ザナック殿下、単に、私が不老不死化の魔法を使用しているからですよ。

確か、王国ではリグリットと言う方が同じ魔法を使用していると伺っております。」

 

「おお、そうでしたか。

ところでご結婚は?」

 

「未婚ですが永遠に近い寿命なのでのんびり構えていますよ。

ザナック殿下は?」

 

「私はこのような容姿でね、相手がいないのですよ。

良い方はおられますか?」

 

「いたら私が結婚しますかね?

そうだ、最近お会いしましたが、ドラウディロン・オーリウクルス竜女王陛下はどうですか?

興味がおありならお声がけ位はさせて頂きますよ。」

 

押し付けてみよう、某皇帝の結婚したくない女性第二位だ。

 

「既に先方からお断りが来ています。

私に食べさせる食糧がもったいないとかで。」

 

そうだよな、バルブロから見たら竜女王と聖女王はザナックを押し付けるのにちょうどいいからな。

 

多分、先方からのお断りもザナックが手をまわしたに違いない。

 

そのバルブロだけれども、私を見る目が少しきついぞ。

 

殿と言われたから殿で返したのであって、陛下と言われたら殿下で返していたよ。

 

それくらい分かれ。

 

「お互いに良い人がいたら紹介しあいましょう。」

 

王室の中では最後だ。

 

「末娘のラナーです。」

 

「ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフです、シルト千年王陛下。

お見知りおきを。」

 

人属なのにカルマ値-500位ありそうな女が現れた。

 

人間種の限界は-200なのだが。

 

「これは可愛らしいお嬢さんだ。

失礼、見た目の年齢はほとんど同じでした。

ラナー殿下、こちらこそお見知りおきを。」

 

小悪魔を通り越して悪魔のような女性である。

 

彼女を護衛(クライム君)付きで我が国にご招待する気満々である。

 

彼女はエルグリラ第六階層に封印するのが適切であろう。

 

彼女も然程は嫌がらないだろうし。

 

永遠に睦み合いたいなら、かなえてやるぞ。

 

何なら年齢操作も可能だからナザリックよりも楽しめるぞ…クライム君が干からびなければ。

 

「あら、可愛らしいなんて、そんな。」

 

そこからは、気合と根性で彼女に一目ぼれをしたかのような演技を続けて…何とかお茶会の約束を取り付けるのに成功した。

 

頑張ったよ( ノД`)シクシク…

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。