もう一つのギルド   作:mshr

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第1章5話 約束

玉座に座り、コンソールを出して状況の確認を開始した。

 

コンソールは玉座以外でも課金によって何か所かで出すことはできるようにはしてあるのだが、最優先設定はここであるし、アランをはじめとしてメンバーがここで作業をしている関係上ここで確認した方が良いと判断したためだ。

 

一応、3時頃に寝て7時頃に起きたらしい。

 

らしいと言うのは、転移後の世界が地球と同じ時間かどうかが分からないからだ。

 

NPCリストを確認したのだが、守護者達、拠点NPCの登録はあるが傭兵NPCの表示はなかった。

 

傭兵モンスターリストも存在した。がここにもいない。

 

当たり前ではあるがPOPモンスターリストにも存在しなかった。

 

一方、都市運営リストを確認すると傭兵屋情報があり、そこには貸し出し用の傭兵NPCのリストが存在していた。

 

ブルーカラーの貸し出し中のNPC表示に切り替えて確認したところ52体のNPCが貸し出し中となっていた。

レッドカラー(死亡)やイエローカラー(レンタル期間を過ぎでも何かしらの事情で帰ってきていない)が無いのだが、戻ってくるのか?

 

 

2138年(終了年)になった時に最大貸出期間を一週間にしていたので、モンスターがノンアクティブ状態なのに終了日超えでレンタルされていたのが52体もいたと言う事実にあきれ返ってしまう。

 

好奇心で昨日返却分を確認したら150体超だったのには何と言ってよいやら。

殆どが1日レンタルだったとは言え。

 

うちのギルドは愛されていたのだなと感心してしまった。

 

とは言え、一番肝心の自身の傭兵NPCリストが存在しない。

 

リストが無いと完全消滅した場合、ワールドアイテムをもってしても蘇生不可能と言う事になってしまう気がした。どこだ?

 

ギルドメンバーリストを出してみた。

 

当たり前なのだが『ギルド長 シルト・クレーテ』と表示されたものしかなかった。

そう、ログインしなくなって自然消滅した人などいない。残りの全員が引退しているのだ。

 

ナザリックのコンソールではモモンガさん以外のログインしなくて自然消滅した3人のアインズ・ウール・ゴーンのメンバーが表示されているのかもしれない。

 

だとするとモモンガさんが他のメンバーを探し、至高のメンバー捜索隊が編成されたのも理解できる。

 

何処にあるのだ?と思いながら何となく自分の表示をクリックしてみた。

NPCならば彼らのデーターが表示されるのだが、メンバーに関して言うとギルド脱退処理、ギルド長の場合、追加でギルド解散処理及びギルド長任命処理、以外の表示は出て来ない筈だった。(ブラックアウトした場所なら入会処理)

 

しかしそれらの表示は出ずに自身の傭兵NPCリストが出てきた。

自身が所持していた全傭兵NPCが出てきたわけではない。

あの瞬間に出していた5体だけだ。

 

ここにあったのか、マジか…少し驚愕してしまった。

 

 

更に『アンネ・レンブラント』をクイックすると彼女のデーターが出てきた。

設定文の項目も出てきたのでクイックすると、

『親衛隊隊長』

とのみ記載されていた。

 

色々と、どこから突っ込んでよいのか自分でも分からなくなってきた。

 

傭兵NPCに本来設定文は無かった。即ち空白だった筈である。

 

新規に記載も出来ない。

 

思わずの他のNPCの設定文も確認したところ普通に役職のみになっていた。そう役職のみだ。

なので、どのような設定文が書かれていたのかはもはや分からない一方、役職を任命すればここに記載されることになるらしい。

 

転移したことで色々と仕様が変更しているのは理解しているつもりではあったのだが、まだまだ甘かったのかもしれない。

 

これはアイテムの効果も調べる必要があるな?

 

と考えていたところ、

 

「シルト様、全市民の避難が完了いたしました。防衛機構の作動をお願いいたします。」

 

アランから声をかけられた。

 

「もう完了したのか?早いな。」

 

コンソールで色々やっているうちに一時間たったようだ。

 

都市防衛機能を呼び出し、第二階層の防衛機構を発動した。

 

また、第一階層の攻略条件設定の入れ替えをしたのち、4か所の転移門を閉じた。

 

この世界にアリアドネの監視はない筈なのだが、このような防衛システムを稼働しようとするとユグドラシル金貨を消費するようだ。

 

ユグドラシル時代からどの程度の消費なのかは、実際に実行して消費量を確認しないと分からないと言う中々の鬼畜仕様だった。

 

かなり色々試したから大体の消費量は把握している。

 

攻略条件設定を変更せずに転移門を閉じた場合、エルグリラ攻略が不可能となりとんでもないペースで金貨を消費するはずだ。

 

転移したことで変化があるかもしれないが現状それを試している状況にはない。

 

コンソールに表示されているギルド保有の金貨消費量は目立って変化が無いことから問題はないようだ。

 

「ガンダルフィーにワールドの防御指示を。近江にワールドアイテムを持ってくるように指示を。」

 

組織運営上、直接の指示は不味いと考えてアランに指示を出した。

 

「ガンダルフィー様への指示は承知いたしましたが、近江への指示はシルト様が直接行っていただけるようにお願いいたします。

他の件ならいざ知らず、ワールドアイテムの持ち出しはシルト様が直接行われませんと。」

 

そりゃそうだ。

 

「確かに。では近江に今から向かうと伝えておいてくれ。」

 

「承知いたしました。」

 

私は玉座の間(転移魔法が出来ないようになっている)から出ると倉庫に向かった。

 

倉庫、第六(居住)階層の秋エリアのことである。

 

ワールドアイテムが置いてあってですらこの名前のエリアは学校をイメージして作られており、建物が図書館、美術館、博物館と言った形で作られていて、要するに倉庫の名前は一種の引掛けの為に名付けられていて名前との実体との間にかなりの差があった。

 

「シルト様、お待ちしておりました」

 

テレポテーションを使用したからそれほどの時間はたっていないのだが、これは単なる挨拶だろう。

 

「近江、お前に預けているワールドアイテムを渡して欲しい。」

 

「錬成賢者の釜はシルト様からお預かりしているだけの物ですのでご必要とあらば何時でも。」

 

見た目が招き猫の彼が恭しく壺を差し出してきた。

 

怪しい宗教ではないぞ。

 

ワールドアイテム 錬成賢者の釜、毎日一定数の消費アイテムを素材無しで手に入れることができると言うアイテムだ。

 

正直、ユグドラシル時代にはワールドアイテムとしては微妙ではあったが転移後の世界ではぶっ壊れ性能と言っていい。

 

第10位階魔法を込めれる羊皮紙やらワンドが手に入る、と言えば分かってもらえると思う。

 

「状況が落ち着き次第、再度お前に託す。

もう一つは神社の神域にあるな、直ぐに向かおう。」

 

この領域唯一、ギミックが存在する神社に向かった。

 

ギミックと言っても大したことはない。

 

普通にお賽銭を入れて二礼二拍手一礼をして「千年王国(ミレニアム)の繁栄を」口に出して祈願するだけである。

 

そうすると神域への転移門(ゲート)が現れる。

 

何というか、うちのギミックはコロンブスの卵的なものが多い。

分かってしまえば何という事はない。と言うやつだ。

 

神域、ナザリックの霊廟に近い場所である。

 

要するに引退したメンバーの最終装備品が飾ってある場所だ。

 

あちらのようにしっかり作った訳でない。

 

元ギルド会議室だったりする。

 

最も装備品を飾り神域と名前を変えたのはメンバーが私一人になってからであるが

 

椅子の後方で装備品を飾っているのは装備できるゴーレムである。

 

この辺りも変わらないが稼働条件は全く違う。

 

この部屋で戦闘行動をとる事、つまりはギルド武器を破壊しようとするもの。

 

座る資格のない(ギルドの指輪をつけていない)者が椅子に座るまたはアイテムを取ろうとすると攻撃を受けることになる。

 

中央にギルドの紋章である鶴が描かれた巨大な円卓、各メンバーの紋章入りの椅子、その後ろの円卓の一番奥には4つの物が置けるようになっているが、その内3つは持ち出されているのでほとんど意味が無い。

 

使用していないときは、ギルド武器、スタッフ・オブ・ミレニアムが奥に手前にギルドの三つのワールドアイテム、ファウンダー、錬成賢者の釜、そして世界樹の雫がある。

 

要するに世界樹の雫以外は大抵ここにはない。

 

二つは私が装備しているし、錬成賢者の釜は使わないと意味が無いからだ。

 

スタッフ・オブ・ミレニアムの置き場所になっている関係上、リング・オブ・ミレニアムがあると入れない。と言ったような侵入不可な場所にもなってはいない。

 

逆に、リング・オブ・ミレニアムを装備していてもいきなりここには転移できないようにはなっているのだが。

 

世界樹の雫を手に持ち、その効果を確認する。

 

転移して以来、魔法が攻撃範囲や威力がなんとなくわかるように、アイテムを持つと何となくどのように使えるかがわかるのだ。

 

引退したメンバーの複製体は作れないが、傭兵NPCは復活させられるような気がする。

現状全て生存を意味するホワイトカラーかブルーカラーだから何とも言えないが。

 

二つのワールドアイテムをもって玉座の間に戻ると住民の避難が終了して職務が終わっているのだろう、かなりの数の守護者と親衛隊メンバーも玉座の間に来ていた。

 

彼らが一斉に胸に手を当て頭を下げた

 

「お疲れ様、頭を上げてくれ。とりあえず市民の避難が終わったようで何よりだ。ガンダルフィー、世界の守りは既に発動しているのか?」

 

「シルト様、既にギルドは外部でワールドアイテムの発動があった場合の影響は起きないようにしてあります。現在ワールドアイテムであっても、第二層以降の探査、攻撃は不可能です。」

 

「よくやってくれた。」

 

世界樹の雫をアランに渡した。

 

「アラン、世界樹の雫をお前に渡しておく。私に何かあった場合、これで蘇生可能か?」

 

「まず可能と思います。」

 

「後、これであの隠蔽は突破可能か?」

 

装備アイテムでなくてはいけないって事はないよな?

 

「可能です。これより取り掛かります。」

 

モモンガ球を外したら見れなくなった。とあったから装備アイテムでなくてはいけない可能性も考慮していたのだがそんなことはないようだ。

 

遠隔視の(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)の一枚の画面が切り替わり、最大縮小状態だった風景が拡大された。

 

「突破します。」

 

アレンの言葉と共に山に巨大な洞窟が現れた。その奥にドラゴンのようなものが見えた。

 

「ドラゴンなのか?」

 

思わず口にしてしまった。

 

ドラゴンと言うにはなんだか違う。

翼が無いようにしか見えないからランドドラゴンのような見た目と言えば見た目だ。

大きさは全然違うのだが…

 

「大量のゾンビが集まっているようです。」

 

一気に拡大した状態では大量のゾンビがドラゴンの形のように集まっている。と言うのが正しいのではないかと感じてしまった。

 

ドラゴン?の頭が持ち上がりこちらを見た。

 

ゾンビたちの奥に赤い瞳が見えた。

 

「ドラゴンの表面に鎧のようにゾンビが貼り付いているで合っているのか?」

 

あの竜王の可能性が高まったな。

 

どれだけ貼りついているのだったか、確か100万体?

 

本体よりもゾンビの体積の方が大きいよな。

 

これではろくに動けないのでは?と言う疑問を感じた。

 

超位魔法の発動時間を稼げそうな気がする。

 

黒き豊穣への貢(イア・シュブニグラス)で一気に表面のゾンビを剝がしてしまうのも一つの手か…アンデットには|あらゆる生あるものの目指すところは死である《The goal of all life is death》と併用しないと効かないからだめだ。

 

失墜する天空(フォールンダウン)では効果範囲よりも巨体だ。

 

単に低レベルのゾンビの集合体ならば、祝福のオーラか希望のオーラ辺りを効果範囲にして発動すれば事足りるはずだが…効くと断言できないのがな。

 

やっぱりあれを使うしかないのかな?

 

「あれをどうにかする方法について何か意見を述べて欲しい」

 

「私から宜しいでしょうか?」

 

「アレク、お前は最善の答えを出すと思っている。本音を言えば、だからこそ他の者の意見が出てからにしたいのだがな。他にはいないのか?」

 

だれからも意見が出ない…マジか?

守護者、親衛隊の見て回ると、

 

「よろしいでしょうか?」

 

「アンネか、別に守護者でなければ意見を出してはいけない、とは言ってはいないが?」

 

不安そうな顔をしながら答えた。

 

「可能な限り短期で、と言う事でよろしいのでしょうか?

複数回攻撃を仕掛けてよいのであれば召喚した天使隊による波状攻撃が一番良いかと。

単なるゾンビの塊であるなら私が赴き、祝福のオーラⅤの発動で片付きます。

ただ、あの中にいるものが、絶望のオーラ乃至、恐怖のオーラと言ったものを発動すれば相殺されてしまいますので、恐らく気付かれずに接近しての奇襲的発動を行わない事には効果はないかと。

正直、より確実に、短期間に処理する方法は皆も分かっている事とは思いますが、口に出すのも憚られるので。」

 

私が戦うのが一番いい、と言うのはNPCの口からは言いにくいと言う事か。

 

「他にはないのか?」

 

(それがし)から、よろしいでしょうか。」

 

「フェンデルか、かまわない。」

 

「先ほどのアンネ殿の意見ではないですが、ゾンビのみを相手にする、であれば某にもできる。

天使のアンネ殿のオーラの発動のみで終わる。と言うような効率は無いので討伐時間は負けるのだがな。

これは某のみでない、他の者にもできるだろう。

だがあれほどの数のゾンビを盾としているワールドエネミー相当の者を倒すとなるとシルト様の手を煩わせずにと言われると思いつかない。

ゆえにアレク殿の意見を聞きたいのだが?」

 

一斉に皆の首が縦に振られた。

そうだよね、私でも自身が出て行ってあれを使う以外の手を思いつかないのだよ。

 

「ではアレク、お前の意見を聞きたい。」

 

「では改めて、私が提案したいのは魔封じの水晶を持たせたゴーレムやガーゴイルの特攻です。

封じ込める魔法は核爆発(ニュークリアブラスト)が宜しいかと。

9階位魔法としては威力が低いですが効果範囲は最大です。

中にいる何かには効かないかと思いますが外のゾンビを剥がすのには十分かと。」

 

思いつかなかったな、と言うか核爆発(ニュークリアブラスト)って放射能汚染はないよね?

 

「その後、集団で赴き撃破します。実際にゾンビを剥がさないとどのようなものかがわかりかねるので。」

 

ほぼあの竜王だろう、ここは情報共有すべきだろう。

 

私の扱いが更に神格化しなければ良いのだけれども。

 

「そうか、アレクの考えは解った。だが戦闘後に何かしらの影響がないかを考えると躊躇してしまうのだよ。」

 

「あれの影響範囲は半径250km程とされていますのでそれに比べれば少ないかと。

又、エルグリラは180㎞離れておりますので、ほぼ影響はないかと考えていますが?」

 

「これは、お前たちがリアルと呼ぶ世界で得た知識だから知らないだろうが、私はあれの正体について心当たりがある。

吸血鬼の竜王だった筈だ。

吸血の竜王は他にもいるらしく別の名前で呼ばれていたはずだが?

我々の使う位階魔法とは別の系統の魔法を使う。

これはMPではなくHPで使用する魔法だ。

これはワールドアイテムと同等の効果がある。

最大の攻撃はロンギヌスと同じ相手を完全に消滅させるブレスだ。

他の竜王は1発しか使えず、使ったら自身も死ぬらしいが、魂を強奪してその魂をささげることで複数回使えるようにしていた筈だ。

防ぐにはワールドの防御が必要。

先ほど言った魂の強奪ができる範囲が半径250km、これも世界の守りが必要になる可能性がある。

他にもあるが、正直、私が戦う以外で勝つ方法を思いつかないのだよ。」

 

「シルト様、そのブレスはそう何回も使えるものでない、で宜しかったでしょうか?」

 

「魂を使う関係上、生命の精髄(ライフ・エッセンス)で判断できるはずだ。

使用前後で減少したHP以下になれば使用できない。」

 

「そのブレスはワールドの防御、つまりファウンダーを装備しているシルト様には効かないと言う事で宜しかったでしょうか?」

 

「逆に無い場合は防ぐ方法はないが?」

 

「であれば使わせる方向に持ち込むべきかと。

召喚天使部隊を送り込みブレスを使うように仕向けるのです。

魔法を使えば使うほどHPが減るのであれば使わせるのです。

それによってその竜王のHPを削ります。

ブレスを使えなくなった段階で後は物量で押しつぶすのが…」

 

「お話し中申し訳ありません。エルグリラが何かしらの攻撃を受けました。」

 

ガンダルフィーが声をかけてきた。

 

「確認いたします。

生命感知(ディテクト・ライフ)

エルグリラ周辺の生命の反応が消失しています。」

 

アランが答えた。

 

「消失?周辺はアンデットだらけだったのでは?」

 

「いえ、アンデット以外にも動物や魔物は存在していましたが反応がありません。

それどころか、木々や草も全てです。」

 

「例の魂の強奪か?」

 

植物まで影響があるって聞いてないぞ。

 

魔樹ザイトルクワエの話の時にドライアードがおびえていたからこうなるのか。

 

「時間が無いな、私が出る。と言ってもお前たちの意見も参考にする。

召喚天使部隊を用意して共に出る。

アンネ、召喚天使の用意をお願いする。

ブレスを使用した場合、追加で送り込んでくれ。

ワールドの守りが無いと突破できない障壁を作る可能性がある。

その場合、錬成賢者の釜をもって障壁を破り送り込め。

追加戦力は金貨を使用した召喚を行う事も許可する。

他には」

 

全員が跪くなり

 

「承服いたしかねます。」

 

と言ってきた。

 

はっ?NPCにとってギルドメンバーは絶対ではなかったのか?

 

「我々守護者一同、千年王国(ミレニアム)及び創造主たる至高の御方をお守りする事こそが最大の使命であります。

シルト様に万が一の事があった際に我々が誰一人として命を捧げていないなどと言う事は有ってはならない事です。

再度、伏してお願いいたします。」

 

世界樹の雫が無しでは蘇生不可になるのだぞ。

 

それすら確実と言えないのに。

 

今回ばかりは自分以外が出撃した場合、損害が馬鹿にならなすぎる。

 

「あのブレスはお前たちの実力云々以前の話だ。分かってほしい。」

 

「せめて、せめて私だけでもお連れになってください。

私は、この世に存在して以来常にともにありました。

まだ私も、シルト様も弱き時より常にともに。

私はシルト様に文字道理この身をささげてまいりました。

せめて、私のみでも。」

 

アンネ・レブラント、彼女とは本当に長い付き合いだ。

 

何せギルドメンバーよりも古いのだから。

 

ユグドラシルで最初の課金がクリエイトツールで、二番目の課金が彼女だった。と言えばその古さが分かってもらえると思う。

 

他のNPCから言えばあまりにも図々しい願いではあっても、最古参である、と言う事実の前に黙るしかないのだろう。

 

NPC達にはユグドラシル時代の記憶があったはずだ。

 

とするなら私を守るために100回以上死んで来たと言う事実も覚えている筈である。

 

なにせ、あまりにも私を庇って死んだので、特殊なスキルを所得したほどだ。

 

そんな彼女の言葉の重さを分からない訳ではない。

 

ここはモモンガさんを見習うしかないか…同じセリフは使えないが。

 

「アンネ、別にお前を見捨てているわけではない。

実際、世界樹の雫でも蘇生できるかは試してみないと分からない。

完全に消滅する可能性があるのだ。」

 

「シルト様をお守りする為に消滅するならそれで本望です。」

 

「今回に関して言うと、私には効かない、なので完全に無駄死にになるのだよ。

それにお前を頼りにしていない訳ではない。

お前が召喚した天使を連れて行くのだ。

それでは不服か?」

 

「その言い方は卑怯です。

それにブレスや魔法に頼らない通常攻撃は如何されるのですか?」

 

これを言われると困るな。

 

正直ステータスはかなり低いからな。

 

物理防御は紙装甲と言っていい。

 

アンネの防御スキルに頼り切ってきた弊害がもろに出ているよな、これ。

 

「じゃあ約束する。一回でも攻撃を食らったら戻ってくる。

あくまでも、あの竜王に魔法を使わせるのが目的だからね。

アンネだけではない、それでよいか?」

 

「お約束ください、死なずに戻ってくることを」

 

アレンが代表で言ってきた。

 

「約束しよう。生きて戻ってくることを。」

 

 

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