もう一つのギルド   作:mshr

53 / 102
第6章4話 娼館との話し合い(物理)

ゲヘナが始まった。

 

厳密には違うがその発端となる出来事がソリュシャンお嬢様邸に派遣されているメイドからもたらされた。

 

衰弱した女がソリュシャンお嬢様邸に運ばれたのだ。

 

原作とは完全に違う展開なのは、この時点でモモンガさんに情報がもたらされた事だ…私から。

 

他にも違う点があるとすれば、デミウルゴス牧場に既に食糧が提供されている事だろう。

 

最終日に送ったのは荷馬車などの偽装が出来ない以上、転移門(ゲート)の魔法で送ると、怪しまれるので原作ではゲヘナのどさくさに紛れて送るしかなかった為らしく、原作とは違い転移門で容赦なく竜王国やらシャンドラド千年王国に食糧を輸送する商会があるので、一部がナザリックに送られても何も疑問に思われないので可能になった為である。

 

最初はモモンガさんに食糧をお願いしていたのに今は逆に私達がナザリックに食糧を送っているのだから不思議なものである。

 

なので、撤収の際に麦を購入する話は確実に消える。

 

セバスが集めた情報は合法的に私も入手しているのだけれども、よくもここまで細かいところまで報告するものだ、と感心したくなるものである。

 

表からは商会や冒険者として、更には皐月の密偵部隊を送り込んでいる千年王国(ミレニアム)の情報でも抜けているような情報もあったのだ。

もっとも、情報が集まりすぎで私の元に届くまでに(ふるい)に掛けた結果かもしれないけれども。

 

ソリュシャンがツアレの事を報告しないのは可笑しいと疑念を抱いたのは当然と言って良い。

 

が、今回はこちらから漏れると思ったのか普通に報告しているのだ。

 

寧ろ、デミウルゴスの動きの方が困る。

 

彼の報告は全てが終わってから一気に報告する形の上、嘘をついていないが本当の事も言っていない、更には隠語で誤魔化しているところも多いのだ。

 

聖王国両脚羊(アベリオンシープ)が良い例だろう。

 

こちらの内容は、モモンガさんとの雑談からの推測ではあるけれども。

 

原作よりも亜人との交配実験は過激になっているようだ…誰のせいだ?

 

モモンガさんは普通に動物の品種改良くらいに思っているのだ。

 

アベリオン丘陵を実質的に支配下に置いていたのもコキュートスがひょうたん湖地帯の亜人たちを支配下にしたようにナザリックの戦力強化の為と普通に報告してきたようだ。

 

因みに、異種交配魔法による子供は絶対に母体側の子供が生まれてくるので半亜人は生まれてこない。

 

これは、例えばだけれども、3M超の巨人と50CMの妖精との間でも子供が作れてしまうので、母体側に合わせた子供でないと母体への負担が大きくなりすぎるからではないかと推測している。

 

と言っても、間違いなくその夫婦の子供らしく、前に見たエルフ♂とオーク♀の子供はオークとは言えエルフの夫の外見も間違いなく引き継いだ容姿だった…つまりオーク的視点では不細工な容姿だ。

 

一度、教会でまじまじと神 器(スタッフ・オブ・ミレニアム(偽))を見ていた赤い背広の悪魔が確認されたけれども、その点が気に入らなかったらしく盗まれる事は無かった…盗んだら普通に戦争だからモモンガさんに釘を刺されていた可能性はあるけど。

 

他にも変更点があり、アダマンタイト級冒険者チーム漆黒は何と4名パーティーになっている…二人増えたのは誰だ(棒)

 

普段は顔を見せない白銀の女神ミネルバと、ぱっとしない山伏(レンジャー)の少年ゲンブが追加である。

 

実はモモンがパンドラの時があるように、この二人も別人の事が多い。

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導国の建国迄には2名に戻るけれどもな。

 

こんな状態でツアレが保護されたので、セバスからのお願いもあって、元気になったらエルグリラで引き取る事になったけれどもそうは問屋が卸さなかった。

 

せっかく妹もいるのに…。

 

ソリュシャンお嬢様邸にカ モ(サキュロント)ネ ギ(スタッファン)がやってきた為だ。

 

さて、漆黒の4名だけれども、後発の二人はアダマンタイト級では無かったりする…実績が少ないので仕方がない。

 

厳密には二つのパーティーが一緒に依頼をこなしている形なのだ、モモンとナーベが漆黒の剣に誘われたのと同じ状態と思ってもらえば良い。

 

ゲヘナに呼ばれそうには無いので当日は別のメンバーとして参加しよう。

 

と言う訳で

 

「セバスさんお久しぶりです。

クライム君も元気にしていましたか?」

 

「これはシルト様。」

 

「シルト陛下、何故ここに?」

 

「ちょっとそこの娼館に用事がありまして」

 

「ラナー様に声をかけながらラキュース様や護衛のアンネ様にも色目を使っていましたよね。

その上娼館ですか。

貴方と言う人は?」

 

「そう言うクライム君も娼館に用事があるのでは?

あと、もう一人を紹介してもらえないかな?」

 

「ブレイン・アングラウスだ、そう言うあんたは。」

 

「私はシャンドラド千年王国で国王をしているシルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム。

こちらが近衛隊長のアンネ・レンブラントです。」

 

「はあ、お前が国王だって。」

 

「アングラウス君、本当です。」

 

「アングラウス様、間違いないです。」

 

「そう言えばクライムが陛下って言っていたな。

なんでこんなところに他国の国王が?」

 

「娼館に用事があるって言いませんでしたっけ?

正確には娼館を経営している人に用事があると言うべきですかね?

多分、あなた達と同じような理由だと思いますよ。」

 

「シルト陛下、何をおしゃって?」

 

「つまり、シルト様も娼館を襲撃するおつもりだったと言う事ですか?」

 

「エルフの国が我が国の傘下に入っている事はご存じで?」

 

「いいえ存じ上げませんでした。」

 

「そのように主人から聞いております。」

 

「セバスさんが知っているなら話は早い。

エルフ奴隷を返して欲しいのですよ。

もう、奴隷ではないと言っていますが実態は同じなので自国の国民保護ですね。」

 

「国王陛下自ら乗り込むって本気なのですか?」

 

「アングラウスさん、何か問題でも?

配下の者が話に行ってもだめなら、私が直接乗り込むのが良いのでは?

と言いたいところですが、他国で直接的な行動をするのに躊躇っていまして、セバスさんが動かれるようなのでちょうど良いと思い、顔見知りの私が来た、と言うのが真相です。

今回、私が用事あるのはアンペティフ・コッコドールなのですが、他の八本指の方とも色々ごたごたがあるので、同行したいのです。」

 

「つまりお手を貸していただけると言う事ですか?」

 

「そうです、と言っても私達が表立って動くと国際問題になるかもしれないのであなた達に表に立って頂きたいのですが?」

 

「何故、セバス様が動くと分かったのですか?」

 

「それはセバスさんが分かっている筈なので他人の詮索する事ではないと思いますが?」

 

「その通りです。

それでシルト様とアンネ様が同行されるので?」

 

「別の者が良ければ今すぐに呼びますが?」

 

「どうやって呼ぶのですか?」

 

「アングラウス様、シルト陛下は転移魔法で別の人を呼ぶ筈です。

シルト陛下、私が勘違いして罵倒した発言をどうかお許しください。」

 

「同じ童貞仲間ですし構いませんよ。

娼婦を買いに来たのも本当の事ですし。

購入費用がお金から労力に変わっただけです。

まあ、本来の意味とは違いますが。」

 

「童貞ですか?」

 

「ガガーランさんにからかわれていますよね?

私も言われましたので。

で、どうします?」

 

「先ほど襲撃してきた暗殺者の話ではこちらに店舗とあちらに脱出用を兼ねた入り口があると聞いています。」

 

「では二手に分かれましょう。」

 

「では、セバス様とシルト陛下達は正面から、俺とクライム君があちらの入り口から攻めます。」

 

「アングラウス様、中に入ったらどうしましょう?」

 

「…そろそろブレインと呼んで欲しいな。

セバス様やシルト陛下にもそう呼んでいただけると嬉しいです。

それで、安全を考えるならともに行動するべきだが他にも隠し通路があるかもしれない。

セバス様が正面から敵の注意を引いている間に建物の中を早急に探索する必要があるな。」

 

「内部で二手に分かれるという事でしょうか?」

 

「危険を承知の上で踏み込む以上最善の結果が出るように行動すべきだろう。」

 

「では、内部の捜索は私よりも強いアンー…ブレイン様にお願いしても構いませんか?」

 

「それが良いですね、クライム君にはそちらの出口をお願いしましょう。

それと、敵はできる限り捕虜としますが、抵抗があった場合は容赦なく殺していきます。

問題はないですよね?」

 

「こちらは少人数なのですから、ある程度は仕方がないかと…

ただ、八本指の幹部らしき人物がいた場合はなにとぞ捕縛していただけますでしょうか?

捕まえて尋問にかける事で今後被害が少なくなります。」

 

「私は別に殺人鬼ではありません。

別に皆殺しに来たわけではないのですからご安心を。」

 

「失礼いたしました。」

 

「私達もセバスさんと同じように行動しますが宜しいですか?」

 

「シルト陛下もよろしくお願いいたします。」

 

「では、中で合流しましょう。」

 

セバスと共に建物を制圧して彼らの後ろを付けていった。

 

この二人を倒さないのはクライム君には成長して欲しいからだったりする。

 

彼の戦いを特等席で見させていただいたよ。

 

しかし、ブレインってエルヤーより弱いって話だったけれども普通に強いな。

 

ああ、弱いのは御前試合に出場した頃の昔のブレインだったっけ?

 

領域を展開しているブレインなら空斬も切りそうだ。

 

多分レベル的にも、持っているスキルや武技もさほど変わらないと思うけれども、切磋琢磨した訓練した人と才能だけで強さを持った人の違いが分かる。

 

レベルとかスキルでは分からない強さが今のブレインにはある。

 

言い方を変えれば腐っていた時のブレインならエルヤーに負けただろうし、盗賊団に居た時のブレインはエルヤーに負けたかもしれないって事だ。

 

「「お見事です」」

 

一撃で済ませたブレインに私は拍手を送った。

 

セバスはコッコドールを気絶させていた。

 

「驚かせてしまいましたね。」

 

「驚きましたか?」

 

「いつの間に?」

 

「つい今しがたです。」

 

「お二人がサキュロントとの戦いに集中されていたので邪魔しないように気を付けていましたから。」

 

「そ、そうでしたか?」

 

ブレインが驚いた顔をしているのが分かる。

 

「ここに囚われている人達は助け出して、同じ女性なのでアンネに面倒を見て貰っています。

クライム君良いですか?」

 

私は治癒魔法を行使した。

 

「シルト陛下は神官だったのですか?」

 

「4系統使えるので、神官と言うのは少し間違っていますね。

治癒魔法は近衛の他の者の方が余程使えるのですよ。

アンネもその一人なので女性と言う理由以外でも囚われた人の面倒を見て貰っているのですよ。

ああ、セバスさんもある程度までならけがを治せる筈です。」

 

「そうなのですか?」

 

「そうですよ。」

 

「ではセバス様も神官だったのですか?」

 

「シルト様と違い魔法ではなく気力を流し込むことで傷を治すのです。」

 

「なるほど、修行僧か。」

 

「で、これからします?」

 

「まず、私が詰め所に行って兵を借り受けようと思います。

その間、お三方にはこの場の保持をお願いしたいのです。」

 

「乗りかかった船だ、最後まで付き合うぜ。」

 

「私も構いません…ですが私の事はご内聞に願いますか?

この国には商売の為に来ておりますので。」

 

「私も先ほど言ったように内密にお願いできないですか?

あと、私はここではなくアンネの元に行ってあちらの建物の保持をしますが宜しいですか?」

 

「俺はどちらでも構わないが一応俺の保証人はストロノーフでということで頼む。

ストロノーフには俺から言っておく。」

 

「なるほど畏まりました。

シルト陛下もよろしくお願いいたします。

申し訳ないですが少しだけお時間頂きます。」

 

私は娼館のある建物に戻り兵たちが来るのを待った。

 

生き残っていた店員とサキュロントは全員捕縛、囚われていたもの内、エルフの女性二名を確保した。

 

本当は全員を確保したかったのだけれどエルフ以外は理由がない。

 

彼女たちの帰る場所が無いのなら移民として受け入れるとは言ったけれども、その他は彼女達以外は殺害される前に暗殺者を始末するよう隠密に命令を出すのが精いっぱいだった。

 

ラナーがメイドへのタレコミをした結果、彼女たちは殺害されたわけだ。

 

この件の彼女たちの殺害は正直納得がいかない、ラナーの好きにはさせない。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。