もう一つのギルド   作:mshr

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第6章5話 ツアレニーニャ・ベイロン

セバスとソリュシャン、ツアレの三人が入ってきた。

 

「遅くなりまして申し訳ございません。」

 

「よい、気にするなセバス、これは連絡なしに来た私の落ち度だ。」

 

「しかしシルト様迄おられますので。」

 

「転移魔法で急いできたから先に付いただけですよ。」

 

「そのようなところで頭を下げていても仕方がないだろう、早く部屋に入ってこい。」

 

ナザリックの階層守護者と私と普段は隠している翼と天使の輪(エンジェル・ハイロゥ)を展開しているアンネまでいるので中々の圧迫面接だ。

 

セバスは汗をかきながら、ツアレは怯えながら部屋に入ってきた。

 

「ひざー」

 

「よい、デミウルゴス、私を前に逃げない勇気を称えナザリックの支配者たる私の前での無礼を許そう。

ところで、何故、私やシルトさんがここにいるのか説明する必要はいるか?」

 

「いえ、必要はございません。」

 

「先ずは名乗るとしよう、私はアインズ・ウール・ゴウン、そこにいるセバスの支配者だ。」

 

「私は彼の盟友であるシルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム。

この屋敷にいるメイドは私の手の者です。」

 

「あ…わたし…」

 

「よい、お前の事は有る程度知っている。

お前も呼んだ理由は後程分かるからそこで黙って立っているがよい。

さて、セバス。

シルトさんと話したのだが、お前がこのペットをかくまった時点で今回の一件は避けられなかったと判断した。」

 

セバスが私の方に視線を向けた。

 

「彼女を早期に開放したとしても逆に亡くなっていたとしてもあの手の連中が納得する筈がないと話しただけです。」

 

「お前には目立たないように行動しろと言った筈だな?

確かにこうなる事を予想できなかった私にも落ち度はあるが、くだらない女の為に厄介ごとを招いた、違うのか?」

 

何というか、物語の強制力は中々に変わらないらしい。

 

「はっ、間違いございいません。

私の浅慮がアインズ様の御不快を招いたことを深く反省し、このような事が二度と起こらないよう十分な注意を重ね…」

 

「よい、失態は誰にでもある事だ、セバス、お前の失態を私は許そう。」

 

「アインズ様、感謝いたします。」

 

「ところでセバスさん、なんで彼女を助けたのですか?」

 

「シルト様?」

 

「原因が分からなければ、また同じ失態を繰り返すと思います。

理由を教えて貰えませんか?それとも何も理由が無いと。」

 

「いえ、たっち・みー様ならお見捨てにならないと思い、彼女を助けました。」

 

これで、少しは流れが変わらないかね。

 

「それならば、尚の事お前を許そう。

確かにたっち・みーさんが見捨てるとは思えないな。」

 

あの名場面は消滅してしまった。

 

まあ、ここにいるのはパンドラでないのだから、殺せ、などと言う筈もないのだけれども。

 

「さて、その人間の女の処分についてだが、当初の予定通りシルトさんのエルグリラに送るで良いのか?」

 

「ツアレさんの希望も聞いてはどうでしょう?

エルグリラはスレイン法国を超えた先にありますのであのような者達に狙われる心配はないことは私が保証しましょう。」

 

「私はセバス様と一緒に暮らしたいです。」

 

「ツアレ、エルグリラは私も一度行きましたが悪い所ではありません。

あなたは人の世界で生きるべきです。」

 

「セバス様はどうされるのですか?」

 

「私はナザリックに帰還する事になるでしょう。

貴方とは別の道を進むことになります。

嫌な思い出もアインズ様かシルト様にお願いすれば消して貰える筈です。

覚えておいてもいい事は無いでしょうから。」

 

「いい事って何ですか?

私の幸せはセバス様と一緒の所にあります。

ですから連れて行ってください。」

 

ええと、二人だけの世界に入らないでくれないかな?

 

隣でモモンガさんもあたふたしているし。

 

「こほん。

いいかな、人の世界よりもセバスさんの所の方が良いって事ですか?」

 

「そうです。

あの時に死ぬだけだった私に温もりをくれたセバス様と共に生きたいです。」

 

「だそうですが、どうしますか?」

 

「セバスはどうしたい?」

 

「ツアレ、もう一つだけ確認を。

人の世界に未練はないですか?」

 

「…妹に、会いたいという気持ちは少しあります。

でも、もう昔を思い出したくないという気持ちの方が強いので…」

 

「アインズ様、宜しければツアレをナザリック地下大墳墓内で働かせていただけないでしょうか?」

 

「セバスよ、メリットは何だ?」

 

「はい、まずツアレは食事を作れます。

現在ナザリックで食事を作れるのは料理長と副料理長のみ。

今後のナザリックの事を考えるともう少し料理が作れるものが居た方が宜しいかと。

更に、人間が働いているというテストケースを作る事も十分にメリットが考えられます。

人間でもナザリックで働けるというメリットは非常に良い前例として使えるのではないでしょうか?

他にも…」

 

「わかった、分かった、セバス。」

 

私に配慮して劣った生き物と言うのが消えたね。

 

設定文のおかげで食事が作れる執事やメイドだらけのエルグリラとは違うから食欲旺盛なホムンクルスだけで41人分の食事を作る料理長(シホウツ)は苦労しているだろうね。

 

「しかしアインズ様、彼女はナザリックに相応しい料理は作れるのでしょうか?」

 

「その言はもっともだな。

ツアレ、どうなのだ。」

 

「私が作れるのは家庭料理だけですが教えて頂ければ作れるように頑張ります。」

 

「私は家庭料理が好きですけれどもね。

何時も贅沢な料理と言うのは飽きる物です。」

 

デミウルゴスからにらまれたが、助け舟を出してやったぞ。

 

「ツアレ、お前に質問する。

私に偽りを言えばそこで話は終わりだし、私の望んだ答えでなくても話は終わりだ。

お前のフルネームを聞こう。」

 

「ツアレニーニャです。」

 

「下の名前は?」

 

「ツアレニーニャ・ベイロンです。」

 

「なるほど、なるほど、お前の願いはナザリック地下大墳墓、つまりは我らが支配地に行きそこで暮らすと言う事で良いのか?

こちらのシルトさんの支配地であるエルグリラは人も暮らしている場所だ。

シルトさんにお前の事を悪いようにしないように私の名前で頼むこともできるが。」

 

「お返事は変わりません。

セバス様と共に過ごしたいです。」

 

「よかろう、我が(しもべ)よ、アインズ・ウール・ゴウンの名において、ツアレニーニャは今後保護される。

ナザリック地下大墳墓の客人待遇として迎えても良いが、お前の希望は?」

 

「セバス様と働かせてください。」

 

「では、ツアレニーニャをセバス直轄の仮メイドとする。

セバス、彼女に相応しい仕事を与えよ。

同時にプレアデスをプレイアデスへと移行し規定通りチームリーダーを変更。

とは言え、彼女の仕事上、リーダーの務めを果たすことは難しいからユリ・アルファにリーダーを代行させる。

それと、ナザリック地下大墳墓の全ての者にツアレニーニャはアインズ・ウール・ゴウンの名で保護したことを伝えよ。

それと同時にお前達と共に働く者だと。

デミウルゴス、私の決定に異議はあるか?」

 

「何一つございません。」

 

「シルトさんもそれでいいでしょうか。」

 

「彼女の希望ですので。

でも、デートでエルグリラに来ていただいても構いませんよ。

で、これからこの館を撤収するのですよね。」

 

彼女がナザリックの一員になる事で、ナザリックNPCの人間種に対する見方も変わる筈だから引き止めない。

 

このために八本指をこれまで潰すのも支配下に置くのも止していた位だ。

 

「情報も十分に集まりましたからここに留まる理由は無いので。」

 

「ツアレさんは下がって下さい、この先の話は貴女が聞くべきではないので。

ああ、セバスさんは聞いておいて欲しいのでこのままいて貰えませんか?」

 

ソリュシャンがツアレを連れて出ていった。

 

「今回彼女を攫った八本指を襲撃したいのですがどうでしょう?

協力し合いませんか?

正直、こちらも色々とされているので。」

 

はっきり言うとこの為に私はここに来ているのだが。

 

「色々ですか?」

 

「エルフの件は、まだ私達がエルフの国を制圧する前からの話なのでそれだけで潰そうとは思わないのですが、麻薬を売り込みに来るは、警備の押し売りに来るは、人さらいをしようとするは、暗殺しに来るは、あそこの密輸部門から嫌がらせを受けるはとさんざんでして。」

 

案の定、ハニートラップや酒や借金で内通者を作ろうとしたり引き抜きをしようとしたりと中々だったが誰も引っかからないのでかなり直接的にも来られた。

 

最近は小競り合いがしょっちゅうなので大本を直接的に叩き潰したかったのだが他国で勝手な事は出来ないし、全て未遂で終わらせたので証拠がないのだ。

 

ツアレの件を無視して、八本指を全てエルグリラにご招待して教育する事も考えたほどで。

 

今回はクライム君が絡んだことでラナーと言う錦の旗が使えるようになるので堂々と制圧するつもりだが、どうせどこかで起きるなら、こちらの手の中でゲヘナをおこして貰いたい訳です。

 

そうすれば、モモンガさんに互いの戦力を抑止力とした冷戦作戦を伝えられるので。

 

要するに、私の能天気な生活の為に究極のマッチポンプを行う為だ。

 

「デミウルゴス、どうだ?」

 

「お話を聞かせて頂きたいですね。」

 

のってきたぞ。

 

じゃあ、始めようか…ってかっこよくいってみた物の一応台本は作ってあるのだけれども、デミウルゴスを相手に直接って荷が重いのだよな。

 

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