もう一つのギルド   作:mshr

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第6章6話 ゲヘナ

私はアランとアレクと皐月の存在を隠している。

 

最も、モモンガさんもオーレオール・オメガとニグレドを隠している。

 

ルベドは第八階層のあれらと一緒に1500人侵攻の動画に映っていたのだよね。

 

とは言っても、ルべドはどのように対処して良いのかの想像が出来ない。

 

ワールドアイテムを使った自動人形(オートマトン)かゴーレムである事の想像は出来るのだけれども。

 

さて、アレクを表に出せない為にデミウルゴスと自力で相対する事になる。

 

凡人がデミウルゴスに踊らされない方法は一つしかない…モモンガ(同じ凡人)さんを巻き込むことだ。

 

と言う訳で、少なくともゲヘナに何も知らずにモモンさんが参加する事が無くなった。

 

因みに、原作のツアレの誘拐は恐らくはデミウルゴスの仕込みだ。

 

と言うよりもあえて見逃している。

 

館の護衛の撤収命令が出ているのにセバスやソリュシャンについている護 衛(シャドウデーモン)が残っていたからだ。

 

館や二人の護衛はデミウルゴスの配下なのだからセバスがツアレを囲っていた事も知っていたよね?

 

麦の購入でセバスとソリュシャンが外に出るように仕組んだのもデミウルゴスだ。

 

どれくらいデミウルゴスが裏で手をまわしていたのかが分かると思う。

 

しかし今回は、レベルの内容が、恐らくコックとかスウィーパな気がしないでもないけれどもLV15相当のメイド4名(スキルと武技を無視したらクライム君よりも強いと思われる)も待機しているので私にも裏から手をまわさない限り彼女達だけでもツアレを誘拐するのは六腕が直接攫いに来ないと相当厳しいと思う。

 

と言う訳で、モモンガさんが帰った後もデミウルゴスとの話が続いた、というよりもデミウルゴスに任せてモモンガさんが帰ったという方が正しい。

 

ツアレの誘拐がモモンガさんを激怒させてゲヘナに繋がったのだから。

 

「つまりは、八本指が誘拐しに来た場合はわざと見逃せというのですか?」

 

「そういう事です、動くにも大義名分が要りますので。」

 

「それくらいなら先行してメイドを引き上げますよ。

無傷でいたら、確実にモモンガさんに恨まれるので。」

 

前に合法的にセバスの報告書を入手していると言っていたけれども、彼女たちを派遣した本当の報酬はセバスの報告書だったりする。

 

流石に食費だけで派遣した訳ではない。

 

セバスが情報が千年王国(ミレニアム)に漏れると言ったのはこの事だ。

 

「気を失う程度で済ませておきますよ。」

 

それはお前のサディスティックな趣味の為だろう。

 

「意味もなく自分の国民が傷つけられるのは我慢できないので。」

 

予想通り、デミウルゴスは我 々(千年王国)の存在を無視してマッチポンプをすることが出来なくなっていた。

 

多分、私がモモンガさんと言うストッパーが居なくなったら容赦なくナザリックを潰すつもりなのは分かっているのだろう。

 

彼ほどの才があれば智謀も策謀も実際の戦力が違いすぎると何ともならないと言う事が分からない筈がない。

 

戦力差も士気や裏切り、大軍ゆえの油断で崩れて敗れる場合も有るけれども、NPCに限って言うとそれは殆ど無いというのは彼自身が痛いほどわかっている筈だから。

 

千年王国(ミレニアム)を潰すとしたら、私を一点突破で撃破するしかない以上、こうして私の情報集めをしたいというのも理由の一つなのだろう。

 

「では、明日の朝にはメイドを引き上げて頂けますか?」

 

「明日中にはナザリックに引き上げるのでしょう?

セバスさんとソリュシャンさんが引き払う挨拶に出るなら引き上げても不自然ではないので引き上げますよ。」

 

「それでお願いいたします。」

 

「ところで、アベリオンシープをリ・エスティーゼ産で増やすのですか?

素直に我 々(千年王国)に頼ればいいのに。」

 

羊皮紙だけではない。

 

こちらはサッキュバスが妊娠したからね。

 

異種交配も意味がないのでは?

 

「それにはお答えしかねますね。」

 

殆どはデスシリーズやエルダーリッチになるのだろうけれども。

 

「ところで、今のあなたをアインズ・ウール・ゴウンのメンバーが見たらどう思うのでしょうかね?

セバスさんはたっち・みーさんを思い出してぼろぼろの女性を助けましたが。」

 

「シルト様、貴方はアインズ・ウール・ゴウンの何を知っているというのですか?

何も知らないのに適当な事を言わないでいただきたいですね。」

 

「デミウルゴスさん、あなたはギルド、アインズ・ウール・ゴウンがどのように出来上がっていったのかご存じですか?」

 

「貴方は知っているとでも?」

 

「ギルド、アインズ・ウール・ゴウンは元々たっち・みーさんがリーダーをしていたクラン、ナインズ・オウン・ゴールが始まりですがご存じで?」

 

「知りませんね、興味があります。」

 

「ユグドラシルでは異形種は不遇でね、人間種や亜人種に虐げられていたのですよ。

なので、9つある世界の中で異形種に有利な世界、ニヴルヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイムの3つの世界に閉じこもっていたのです。

それを良しとしなかったのがたっち・みーさんで他の世界に冒険しに行った。

そこで虐待されていた異形種の人達を助けて、仲間が9人になった所でクラン、ナインズ・オウン・ゴールが作られました。

たっち・みーさんが弱者救済の為に作ったクランがナインズ・オウン・ゴールなのです。

デミウルゴスさん、あなたが今まさにやっている事は弱者の虐待では?」

 

「いかにもたっち・みー様らしい。

ですが、私を生み出したのはウルベルト・アレイン・オードル様であり、今の主人はアインズ様ですが?」

 

「モモンガさんは、クラン、ナインズ・オウン・ゴールの最初の9人の1人です。

たっち・みーさんの考え方に共感するのでは?

モモンガさんがギルドマスターになったのは、二人のワールド職、たっち・みーさんとウルベルト・アレイン・オードルさんが衝突した為、中立的な調整役としてなった筈です。

そのウルベルト・アレイン・オードルさんもたっち・みーさんの偽善的な所が気にいらなかっただけで、弱者を守るために虐待している者を倒しても結局は悪であるという考え方のような気がしました。

まあ、外から見ていただけなので何処まで正しいかはモモンガさんに確認して欲しいですが、それほど間違っていないと思いますよ。」

 

「だからと言って、羊皮紙の供給を、あなた達、千年王国(ミレニアム)に頼り切るのは危険ですし、戦力強化を図るのは当然では?」

 

「必要悪とでも?」

 

「その通りですよ。」

 

「皮を麻酔抜きで剥ぎ取るとか、母親に自身の子供の皮を剥がさせて、母子の苦しむ様子を楽しむとか、子供の丸焼きをその子供の母親の目の前で他の母に食べさせて、その母親の子供の丸焼きを、逆に母親に食べさせるとかはどう考えても必要がないのでは?」

 

「貴方に私のしている事をとやかく言われる筋合いは有りませんね。」

 

「一応警告はしましたよ。

こちらから戦争を仕掛ける事は余程ありませんが…この10年、私達はこれでも売られた喧嘩で負けた事は無いのですよ。

まあ、今回は協力しましょう。

ナザリックも表に出た方が良いというのはさほど否定はしませんので。」

 

「11年前には負けた事があると言う事ですね。

覚えておきましょう。」

 

鏡のように凪いだ水面に一滴の水滴が作った波のように私は種をまいた。

 

その小さな波はそのまま消えてしまうのか、それとも津波のように大きくなるのかは分からない。

 

虐殺が止まるかどうか分からないが、デミウルゴスが少しでも自分の行為に疑問に思えばそれでいい。

 

私のNPCではないのだ、これ以上はモモンガさんの仕事だろう。

 

こうして、デミウルゴスとの話し合いが終わった。

 

翌朝、私はラナーの元に行った。

 

転移した私の前にはラナーとザナック、レエブン侯が居た。

 

「来ましたね、協力者の1人です。」

 

「なっ」「シルト陛下?」

 

「驚かれなくても転移魔法で移動しただけですが?」

 

「六腕に関しては、蒼の薔薇以外にもシルト陛下にも動いて頂くことになっています。

これで、すべての個所で襲撃をかけられる筈です。」

 

「いくつか条件付きですけれどもね。

他国で戦力を動かす事になるので隠蔽は必要です。」

 

「既に、冒険者として兵を潜り込ませていますよね。」

 

「ええ、ですので蒼の薔薇から声をかけられたかと言う偽装が欲しいですね。」

 

「ちょっとまて、なんだそれは?」

 

「過去を詮索されないものですから簡単に潜り込ませられますよ。」

 

「他には?

貴殿がリスクを冒して戦力を動かす理由が知りたい。」

 

「ラナー王女を私にくれませんか?」

 

「それを俺が信じるとでも?」

 

「バルブロ王子は騙せてもザナック殿下は騙せないですか。

クライム君付きですよ。

事実上の隠居先に指定してもらえれば。」

 

「シルト陛下のメリットが見えないですね?」

 

「何時でも、リ・エスティーゼ王国に侵攻できる御旗が手に入る、と言う所ですが。」

 

「お前、ふざけているのか?」

 

「ザナック殿下が王位に付けばそんなことはしませんよ。」

 

ラナーをナザリックの手に渡さない為と、住民の大虐殺を止める手札が欲しいだけなので、嘘は一言もついていない。

 

「ちっ、ますます王にならなければならない理由が出来たな。」

 

~~~~~~

 

さて、ゲヘナの炎が上がった。

 

裏から手をまわしたのでエントマとガガーランの接触がこの世界では起きていない。

 

何せ、八か所同時襲撃なので、エントマが物資や書類を運び出す時間自体が無かった為だ。

 

代わりにゲート(転移門)で一気に頂いた組織があるが…どこだ?

 

ナザリックは倉庫エリアの物資を丸ごと持っていくのだから少しくらいは遠慮して欲しい。

 

どこぞの国の商会は転移で即移動させているので、そもそも物資がリ・エスティーゼの倉庫には無いとだけ言っておく。

 

なのに、ヤルダバオトと蒼の薔薇の衝突は発生した…イビルアイのポジションがラキュースで別にモモンに惚れていないのは良かったのだが、結局ゲヘナでヤルダバオトに突撃するのは私とアンネ、モモン、ナーベ、イビルアイなのはどうしたものか?

 

「…と言う訳なの。」

 

「その強さが本当なら、モモンさんに相手をお願いしたいですね。

ヤルダバオトを倒せるレベルの魔法を使うと、周辺の被害が甚大な事になりかねませんので。」

 

「リーダーが持っている魔剣のような威力なのか。」

 

「一番強力な魔法は半径10KM程が消えますね。」

 

「冗談だろう?

王都が丸ごと消し飛ぶぞ。」

 

「だから私では倒せないと考えたのですよ。」

 

「イビルアイ、そんな魔法があるの?」

 

「かつて八欲王が竜王に使った魔法が似たような威力だったという伝承は有るが信じられない。

リーダーの魔剣もそのような物なのか?」

 

「そ、その話はまた今度ね。」

 

私達の相手として、LV100のヴァンパイアとLV80の魔将が用意される筈だ…遊軍だった筈では?

 

「そちらの近衛隊長はどうなのです?」

 

「相手の頭数次第ですよ。

前衛無しで戦おうとするイビルアイさんにびっくりです。

寧ろ魔法詠唱者(マジックキャスター)として悪魔の軍勢を相手した方が良いのでは?」

 

「馬鹿を言うな、仲間をやられたのだ、私もついていくぞ。」

 

……

 

こうして、作戦が開始されたわけだが…原作よりも冒険者も兵隊たちも戦いやすいのだろう。

 

悪魔に対していきなり大量の攻撃魔法が空から降ってきたからだ。

 

隣でイビルアイが絶句した感じで私の方を見ていた。

 

「こんなに魔法を使って魔力は大丈夫なのか。」

 

「どうせ大規模な魔法は使えませんから、ヤルダバオトとの戦いはアンネだよりになりそうですね。」

 

「聞きしに勝る凄まじさですね。」

 

魔法蓄積(マジックアキュリレイション)でも使ったかのような勢いで放ったからな。

 

モモンガさんもファウンダーを知識や動画では知っていても、実際に実感したのは初めてだろうから驚くのは分かる。

 

恐るべきことに、建物などの被害を抑える為に制御したので全速では放っていない。

 

気が付いているのな?

 

私の集団化飛翔(マスフライ)で私達はヤルダバオトの元に付いた。

 

モモンさんの見せ場を奪ってごめんよ。

 

「糞!ヤルダバオトの持つ戦力を侮っていたか?」

 

「残りは任せます、行くぞ、デ、デーモン。」

 

「手前の五人よりも後ろの女と悪魔の方が明らかに強いですね。

あの女と悪魔を押さえますので後はお願いします。

アンネ、あの悪魔を倒してあの女をノックバックで上空に飛ばせ。」

 

「承知しました。」

 

アンネが突っ込んで行くのに合わせて魔法三重化(トリプレットマジック)魔法最強化(マキシマイズマジック)現断(リアリティ・スラッシュ)×6を魔将に叩きつけた。

 

ナザリック陣営には現断(リアリティ・スラッシュ)を使用したように見え、イビルアイには一瞬にしてアンネが切り裂いたように見えた筈である。

 

こうしてアンネとシャルティアの戦闘が始まった。

 

まあ、頑張って戦っているイビルアイには悪いが、シャルティアに訓練を付けているようなものだ。

 

そもそも、天使系は異形種の中でも特殊で、大抵の相手に対して分が良い。

 

でなければ、セラフィムが最盛期に一位などと言う事はおこらない。

 

まあ、カルマ値が高いので別の意味で制約が多くてカルマ値が下がりすぎると堕天使になってしまう訳だが。

 

シャルティアが私を狙おうと動いていたが、それはある意味では正解だよ。

 

アンネは良くも悪しくも盾役だからね、私を守ろうと動く。

 

でもね、真なる竜王の強化魔法や始原の魔法で作った武器のような耐性無視の攻撃でないのなら私も対処法は有るよ。

一対一として、シャルティアの場合、スポイトランスだから※|光輝青の体《ボディ・オブ・イファルジェントアクアマリン》で一発なら防げてしまうから突くスピードと私が魔法を使うスピード勝負になるかな?

 

逃げる私に追いつけるのならだけども。

 

ところで、アンネがそんな接近している状態で、清浄投擲槍が使える訳がないよ。

 

MPを消費して必中効果で私を狙ってもアンネの盾に阻まれて無効化されているじゃないか。

 

その(イージス)コンプライアンス・ウィズ・ロー(たっち・みーの鎧)と同じく運営の出した優勝景品なのだから、ギルド武器に匹敵していて、簡単に言うと範囲限定のワールドアイテムには効果が無い次元断層を常時展開しているようなものだ。

 

つまりワールドアイテムによる攻撃でない限り、盾に阻まれた攻撃はすべて無効化する。

 

回数制限もないのだから、ある意味、アルベドの鎧よりも質が悪い。

 

優勝してもワールド職はもらえないのか?と思ったけれども景品を選ぶ際にイージス(不壊の盾)のスペックを知った時は流石に絶句した。

 

鎧じゃないので盾でちゃんと受け止める技量は要るし範囲攻撃では意味がないけれども性能が壊れすぎだろう。

 

因みにプレイヤーは装備不可だった…と言うよりも多分NPCチャンピオンでなければ装備できないと思う。

 

実際の所、かなり一方的だったのでシャルティア以外にも冒険者や兵隊たちが戦う前線や、イビルアイ、モモン、ナーベへの援護射撃を上空から行っていた。

 

まあ、後ろの二人はしている振りだけれども。

 

ヤルダバオトが吹っ飛ばされてモモンさんが戻りフロストペイン改の攻撃に合わせてシャルティアをノックバックして同じように戻ってきた。

 

「本当にあなた方はお強い。」

 

「お前もなヤルダバオト。」

 

「それで一つ提案があります。

勝負はこれくらいにして互いに手を引きませんか?」

 

「ふざけるな、これほどの死と混乱を招いておいて何を…。」

 

「構わない。」「それが良いでしょうね。」

 

「シルト陛下、モモン様、何故?」

 

「このような頭の悪い女を何故連れて来たのか見当もつきませんね?」

 

「イビルアイさん、彼らが引くというなら損害と戦果が見合わないのですよ。」

 

「シルト陛下?」

 

「彼らを絶対に逃さず倒すことができるかは分からないですが、確実にこの王都は壊滅しますね。」

 

「モモン様もお分かりのようですが、あなたのお仲間が必死に戦っている以外にも王都全域で悪魔の群れを待機させております。

私がいつでも命令を下すだけで何時でも襲えるようにね」

 

「先ほどからかなり倒したはずなのに再度数が増えているし、魔力反応を隠しきれていないよ。」

 

「そうなのですか、ですがここで倒してしまえば。」

 

「その前にこの王都が壊滅すると言いませんでしたか?

彼は負けて撤退する場合の用意もしていたのですよ。」

 

「よくお分かりで、では撤収させて頂きます。

目的のアイテムを回収できなかったことは残念ですが、二度と出会わない事を祈っておきますよ。」

 

 

「行ったな。」

 

「行きましたね。

撃退したなら私達の勝ちでしょうか」

 

この後は首魁と戦った事と、私は他国の人間なのでと言う事で恥ずかしい勝鬨を上げるのはモモンさんに譲った。

 

ゲヘナはいろいろ動いたので原作よりもかなり少ない被害な筈だ。

 

連れ去られた人も二、三割は減少している筈…それでも約7000人か…偽善だな。

 

娼館の女性たちだが…流石に我々の用意した傭兵が護衛では殺すことが出来なかったので生き延びたが、帰る場所が無いと言う事でシャンドラド千年王国に来てもらう事になった。

 

過去を忘れて幸せになってくれることを祈る。

 




※シルトはランスだから刺尖だと勘違いしています。

刺尖なら完全耐性のあるアインズ様に効きませんね。
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