もう一つのギルド   作:mshr

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第7章5話 即一発になる

ラナーが本気で立ち回るのなら多分大丈夫とは思う。

 

立ち回ればだけれども…

 

さて、もう一方だけれども、黒き豊穣への貢(イア・シュブニグラス)の発動は阻止できたと思いたいけれども…正直言って多分使用される。

 

使用しなかったとしても魂喰らい(ソウルイーター)500体にデスナイト500体…結果は同じだ。

 

ちゃんと役立たずを選別して戦場に送ってくれよ、本当に。

 

バハルス帝国にはかなりのレベルで、リ・エスティーゼ王国にはある程度はアインズ・ウール・ゴウンの強さを教えた筈だからあの大虐殺よりはましになる筈だ。

 

対応に差が出てしまっているのは、皇帝の一存で動く帝国の場合は教えてその情報がちゃんと活用されるけれども、王国は派閥間争いが激しすぎてまともな思考で動けないと言う事情がある。

 

王様ランキングでは中間あたりにいたランポッサⅢ世だけれども、貴族たちの調整役として考えると十分に優秀だと思う。

 

ザナックの評価は〈慈悲深いがそれだけの人間、だが補佐する人材には恵まれている。己より優れた人材を集めることに秀でている〉だけれども、私欲におぼれず、優秀な人材を発掘して権限を与えられる人物なら国王として十分に優秀だよ。

 

普通中々できない。

 

敢えて言うなら国王としては優しすぎるのが問題だな。

 

この辺りはカルカ聖王女に通じるものがある。

 

ランボッサ三世、ガゼフ、ザナック、ラナー、レエブン侯で話し合いが行われたようだけれども、ランボッサ三世は良い顔をしなかった。

 

ランボッサ三世以外の全員が、エ・ランテル近郊を譲り渡すしかないと言う意見で統一されているのにだ。

 

まあ、戦いもせずに領土を明け渡すなんて出来ないのはある意味で当然なので、全員がそこは納得したのだけれども、被害を最小限に食い止める策まで拒否するのはどうかだ。

 

まあ、フィリップ・ディドン・リイル・モチャラスの首を差し出せなかった時点でこの辺りはお察しである。

 

かくして、レエブン侯とザナックが必死になって裏工作を開始した。

 

ラナー、彼女は恐るべきことにメイドに流す情報を相手によって変えるだけでそれを達成していた…信じられない。

 

実際に私やアンネの戦いは多くの者が目撃したし、蒼の薔薇の評価も、レエブン侯のお抱えの元オリハルコン冒険者も同じ結論で、モモンを含め、私達は余りにも強いので強さが分からない。と言う評価をしていて、その上でアインズ・ウール・ゴウンは同格であると言われたら当然の結論なのかもしれないが。

 

少しさかのぼるけれども、リ・エスティーゼ王国とは別に我がシャンドラド千年王国でも一つの問題が発生した。

 

「ナザリックが建国するのは良いとして、国号と君主号は本当なのでしょうか?

即座に抗議するべきです。」

 

アレクが強い口調で言ってきた。

 

「魔導国で魔導王ですか、なんという図々しい名前でなのでしょう。

今直ぐに手を切るべきです。」

 

ステラもお冠だ。

 

「暗殺命令を頂ければ、即座に実行いたします

既に部隊も整えております。」

 

皐月も同じく。

 

「何を言っている、暗殺などでなく堂々と徹底的に身の程を教えるべきであろうに。」

 

フェンデルもこれだ。

 

「これが私達から手を出させるための策略ならどうするつもりなのです?」

 

ステラが冷たい目線で二人を見て答えていたが、アレクも似たような目線で二人を見ていた。

 

「まだ、正式に布告をした訳ではない筈ですので一回は抗議文を送るべきでしょう。

当然、断られた時の対応準備は同時に行うべきであると進言いたします。」

 

アランが各員の意見をまとめたような発言をしてきた。

 

階層守護者が一斉にお冠だけれども、立場上、口に出していないだけで近衛の全員も全く同じで、この件を市民が知ったら暴動を起こす可能性があるらしい…

 

全員の意見はただ一点、『シルト様を差し置いて魔導王などふざけるな!』である。

 

デイバーノックの二つ名である不死王に切れたセバスと同じ現象だと思って良い。

 

意味的には魔を導く者の意味だけれども、魔導士の王とも読めることが問題だよ。

 

モモンガさんが使える魔法数718だったか…私よりも多いのだけどもね。

 

これは一々覚えなくても使えるようになる装備品やスクロールなどのアイテムで代用すれば良いのではないか?と考えてしまった私との差だな。

 

100は馬鹿げた魔法で潰しているので600以上も習得しているのだけれども、全部の魔法を暗記しているモモンガさんには完全に負けるよ…魔法を覚える為の前提魔法って目的の魔法を覚えたら使わないから忘れてしまうのだよね。

 

例えば、前越智魔法なので習得しているけれども虚偽情報・生命(フォールスデータ・ライフ)虚偽情報・魔力(フォールスデータ・マナ)を私は使用しない。

 

上位魔法の虚偽情報(フォールスデータ)を使用しているからだ。

 

装備品を含む全ての情報を偽情報で隠蔽してしまう関係上、本来のMP消費量は二つの魔法を使うよりも多いのだけれども私の場合はどうせ同じMP1しか消費しないのだから使わなくなる理由は分かると思う。

 

こんなだからモモンガさんが魔導王でも良くないって思ってしまう私は可笑しいのか?

 

多分、アルベドの意見の至高王でも全員が怒り狂うものだと考えられる。

 

セバスの意見のシンプルな王で済ますかにするか、せめて死霊王とか不死王にしてもらえないかな。

 

「そんなにこだわる事かな?

習得魔法数だけならモモンガさんの方が上だろう。

そもそも、魔を導く王だから、どちらかと言うと魔王でしょう。」

 

正直名前よりも、この後の陰謀を全て止める事の方が重要だと思っている。

 

事前にモモンガさんに提案した敵対関係になる事でお互いのNPCの行動を縛るのは最適な状況なのか?冷戦をイメージして提案したけれども、自分でも自信が無かったりする。

 

「とは言っても抗議はするよ。

でも、向こうが決めた名称を止められないからね。

それに実態と名称が違う場合もあるでしょうに。」

 

私がそう言ったことで若干は感情が収まったらしい。

 

「何と言うか、シルト様は寛大ですね。」

 

「勝手に名乗りたければ名乗らせておけば良い。

現実は変わらない、そういう事ですね。」

 

守護者達の発言からもわかるように、名前を勝手に名乗るのは良いけれども、実態を理解できない愚か者、とイメージが変わった為だ。

 

私は絶対者だから何とか止められたけれども、分かっていても、負ける戦争や負ける戦いに突き進む国が出る理由が分かった気がする。

 

デミウルゴスやアルベド、パンドラ辺りなら、この名前に我々が激怒するのは分かっていそうな気がする…案外それが理由なのか?

 

だからか、事前に戦略構想を練っているアレクが抗議のみなのはわかるとして、ステラも同盟解除迄で戦争や暗殺には否定的だったな。

 

「万が一の場合に備えて防衛体制は取るけれども、当面はこちらから戦争は仕掛けないぞ。

私の予定が狂う。」

 

「シルト様の予定ですか?いったいどのような物で?」

 

「エリュエンティウからの要請は覚えているか?

人間種の防衛をナザリックにやらせる。

その為にバハルス帝国にモモンガさんを紹介したのだからな。

アレク、他の者にもどのような戦略か教えてくれ。」

 

アレクが私の基本政策と、それから派生した戦略、私とモモンガさんが仲違いした場合の戦略構想をこの場にいる者達に説明した。

 

「…基本的な考え方はシルト様が構想を練られました。

一部、どのように竜王とナザリック陣営を戦わせるのかは教えて頂けませんでしたが。」

 

原作知識なしでそんなことが分かる筈がない。

 

住民虐殺をすれば勝手にそうなる…他にも理由は有るけれどもそもそも原作構想は50巻分もあったようだけれども、ラスボスがツアーかその親の竜帝と推測される以上、物語の強制力でもそうなる。

 

モモンガさん、と言うよりも鈴木悟さんは仲間に対する思いが強すぎる。

 

シャルティアの件といい、エントマの件といい自陣営の損害を考慮していない段階で失格だよ。

 

為政者としては沸点が低すぎる。

 

私だって自身の配下に被害が出たら怒り狂う自信はある。

 

それでも、最大の責任者は自分自身であると考えるし、戦争の終わらせ方やどこまで要求するのかと言ったことを考えずに完全に叩き潰すのは違うと思っている。

 

兵ならとにかく、将になる者はそう考えるべきだ。

 

何の心構えも無くいきなりその立場になった一般人にそのような考え方になれ、と言うのは酷だと思うけれども。

 

かくして、ナザリックに魔導国と魔導王と言う名称に対する遺憾の意と言う名前の抗議文が送られた。

 

しかしNPCの自分達の創造主至上理論は本当にどうにかならないのかな?

 

エリュエンティウの要請を今一素直に聞く気にならないのは、都市守護者は私達を内心で見下していると考えている為である。

 

多分、彼らの創造主である八欲王の目的の為の駒にしようと考えているのだろう。

 

何となくだけれども、私が人間種である以上は人間種側につく筈で八欲王の争いを逆転させる為か、ツアーの元にあるギルド武器の回収要請があるのではないかと思っている。

 

事実、アべリオン丘陵は約300年前に人間種の領域ではなくなっているのだ。

 

200年前の魔神(実際には六大神の傭兵モンスター)の一件といい彼らとしても保険をかけたいに違いない。

 

しかし、魔導王の名はエリュエンティウの守護者も刺激するに違いない。

 

彼らも、自分たちの創造主こそが魔導王の名に相応しいと考えそうだからだ。

 

彼らの主人達を撃退、撃破してきた私でもギリギリではないのか?

 

ギルド武器を人質に取っているツアーによって行動が抑制されているとは思うけれども、原作のリ・エスティーゼ王国の皆殺しを開始すればツアーも許可を出す可能性が出てくる。

 

正直言って私とモモンガさんを仲間割れさせるにしても悪手だな。

 

返答次第では同盟関係の解消に動くしかない…やめて欲しい。

 

抗議文を送った翌朝

 

『おはようございます』

 

「おはようございます」

 

『大変申し訳ありませんでした。』

 

いきなり謝られた…何をかは分かる。

 

「抗議文に対してですよね。」

 

『そうです、確かにシルトさんがいるのに〈魔導王〉はないですね。』

 

「私はどうでも良いのですけれどもね。

モモンガさんの守護者も私が〈不死王〉、とか名乗ったら嫌でしょう。」

 

「実は、決めた後にパンドラに指摘されました、千年王国(ミレニアム)と戦争をするつもりなのかと。」

 

我々とナザリックの連絡役はパンドラと近江なので、多分その際に指摘されたのだろう…その段階で訂正すればいいのに、下手に完全無欠の支配者ロールなんてしているから取り返しがつかなかったのだろう。

 

「実際その話が出ましたが、私が止めました。

私達からの抗議ではなく、パンドラが指摘してきた段階で変更するべきでしたね。」

 

パンドラの指摘ならいざ知らず、私たちの抗議で今更変えられないだろうよ。

 

そのパンドラも、自身が作ったNPCだから他の守護者達よりも少し低い位置に置いているからな…何故変更できなかったのかの理由が手に取るように分かってしまう。

 

『どうしましょう。』

 

もう少し、自分で考えて欲しい。

 

本当に素になるとPVP(戦闘)と事前準備したプレゼン以外ではポンコツだよな。

 

「元々、軽い敵対関係になって自身のNPCの行動を抑制する方針でしたよね。

この際は利用するしかないでしょう。」

 

『シルトさんと表面上だけ敵対するのですか、上手くやれる自信が無いのですが。』

 

私はモモンガさんの感覚の方が心配なのだけれども。

 

「抗議は受け入れられないのでしょう?

同盟解消になるのは覚悟しておいてください。

最低限解消しないと、こちらの守護者も市民も納得しない筈です。

ナザリックが付いた側の反対の勢力に付く可能性が発生する事は理解してください。

その際に、ナザリックのNPCが傷つく事も了承をお願いします。」

 

『傷つくですか、それは困ります』

 

「戦闘になったら回避しようがないです。

逆に、私も自身のNPCが傷つくことを覚悟した上で言っています。

お互い様ですよね。」

 

正直、拠点外で戦った場合、本気で戦うなら頭数とレベル差から言って、圧倒的になると思うが、確実ではない以上ある程度の覚悟はしている。

 

と言うよりも私はこの世界に転移する準備をしている段階で覚悟していた事だ。

 

『それはそうですが…』

 

「嫌なら自身のNPCを抑制してくださいよ。

私も抑制しているのですから。」

 

『シルトさんの言う通りと思うのですが。』

 

「支配者ロールを辞めませんか?

それが一番早いと思いますよ。」

 

 

この後はグダグダだった。

 

でもでもだってって、子供じゃああるまいに。

 

こちらだって戦いたくないから最大級に気を付けても発生する可能性があるから保険をかけているのは分からないのだろうか?

 

世界征服の話も、強引に止めればよかっただけだろう?

 

デミウルゴスの口から世界征服の話が出た後は、問答無用でモモンガさんの責任だと思うのだよ。

 

「はあ、どうしたものか。」

 

モモンガさんとの伝言(メッセージ)のお話が終わった後に思わず口に出してしまった。

 

「シルト様が責任を感じる話ではないかと思います。

いざ、戦争になったとしても、確実に私がお守りいたします。」

 

隣で話を聞いていたアンネがそう言ってきた。

 

「そうならないように努力をするけれども…そうなったら頼んだよ。」

 

彼女の存在は反則だと自分でも思う。

 

アンネがワールドアイテムを所有した以上、複数人のPVPで負けるイメージは付かないのだよ。

 

例え相手がルべドでも…実際にどうかはとにかく、それくらい信用している。

 

アンネが他の者に訓練を付けている時間、つまり第六階層で執務中の私を襲う、ぐらいだろうね。

 




まあ、こう言っているけれども、シルトとアンネの組み合わせでも負ける可能性はあります。
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