もう一つのギルド   作:mshr

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一応注釈を入れると、この話は同盟解消前の話です。


閑話 ナザリック防衛演習

ナザリック地下大墳墓の入り口に36名の姿を消した者たちが集結した。

 

ナザリック攻略の為である。

 

「ここからはどうする?」

 

「事前の打ち合わせの通りに5パーティーで突入する、

慎重に進め?」

 

30名の者達は音もたてずに入っていった。

 

~~~モモンガSIDE~~~

 

「全く罠に引っかからないじゃないか。」

 

「この世界の住民よりも相当強いようですね。」

 

「これが本当にエルグリラ市民からの選抜とは信じられないのだが。」

 

今もエルダーリッチ7体編成を問題なく撃破してしまった。

 

入り口の待機パーティーも問題なくナザリック・オールドガーダーを処理し続けている。

 

本当にあの中に元傭兵NPCが居ないのか?

 

ある程度の所で彼らは撤退して一日目を終えてしまった。

 

「損害は?」

 

「完全にPOPモンスターのみですので事実上の被害は有りません。」

 

「エルグリラ側は?」

 

「あちらも軽傷が何人かいたようですが、既に治癒魔法で回復済みとの連絡がありました。」

 

当初、呼び込もうとしていたミスリル級相当のワーカーよりも確かに断然強い。

 

地上部から帰還したプレアデスに話を聞いてみた。

 

「エルグリラの者達を見てどう思った?」

 

「あんなの余裕っす。」

 

「所詮はミジンコです。」

 

「アインズ様は、ぼ…私達が戦った場合の話をしている訳ではないのよ。

ナザリック・オールドガーダーを全力でぶつければ、その内に疲労で倒せると考えられますが、ナザリック・オールドガーダーを出すなり、侵入していた者たちが撤退を開始しました。撤退判断も正確と思われます。」

 

「LV100近い動きや攻撃力は有ったのか?」

 

「なかった…です。」

 

「前に戦った仮面女(イビルアイ)よりは弱そうです。」

 

「疲労を無視した場合、同数のPOPモンスターは問題なく対処できるようですね。」

 

とすると、市民選抜でもLV30~40にもなるのか?

 

一度シルトさんに聞いてみよう。

 

~~~シルトSIDE~~~

 

「誰も罠に引っかからなかった上に、直ぐに戻ってきたのか?」

 

私はフェンデルに聞いた

 

「地上部に埋めてあったPOPモンスターに気が付かなかった段階である意味で罠に引っかかっていると考えますが。」

 

「何故それだけ引っかかったのだ?」

 

「かつてのナザリック侵攻時の記録にはありませんでしたので。」

 

「ひょっとして先に予習してから臨んだのか?」

 

「そうですが?」

 

「それでは罠を見つけたり、進路を探したりする訓練にならないと思うのだけれども?」

 

「確かにその通りですが、地表部に新たに罠を仕掛けている事が確認されたので良かったと言うべきではありませんか?」

 

「明日は何も知らない者に入れ替えて貰えないか?」

 

「これは訓練の名を借りたナザリック侵攻の為のテストなのではないのですか?」

 

「違うよ。

大体本番があるとしたら、元傭兵屋の部隊か傭兵モンスターで挑むからPOPモンスターなんて鎧袖一触だろうに。」

 

「てっきり、自警団の者に露払いをさせると考えておりました。」

 

どんな考え方だ。

 

確かに自警団でもPOPモンスターを倒せるから、スキルや魔力の節約にはなるだろうさ。

 

「本番は傭兵モンスターや守護者が出てくるぞ。

自警団に露払いなんかさせたら、それこそ被害が甚大になる。」

 

POPモンスターと違って自警団は時間で回復しないって忘れてないか?

 

この場合、一日とか短い時間での話だぞ。

 

「確かにPOPモンスターにはPOPモンスターをぶつけるべきでした。」

 

せめてそうだろうよ。

 

一回、訓練で試して良かったよ。

 

~~~モモンガSIDE~~~

 

翌日

 

「中々、奥に入っていかないのだな。」

 

「かなり慎重ですね。」

 

シルトさんに聞いたら、全員がアダマンタイト級相当の強さだと言ってきた。

 

この世界に有る武技などを考えるとガゼフやラキュースと同等で有るとの評価だった…人間種なら。

 

実際は異形種や亜人種もいるのでステータスだけならそれ以上に強い者もいるらしい。

 

逆に言えば、ドラゴンみたいな例外はとにかく、この世界の住人なら、ほぼこの強さまでしか到達できないと考えていいらしい。

 

昨日は、過去のナザリック侵攻の資料を見て予習をしていた部隊だったらしく、今回は何も知らない者が来ているらしい。

 

それにしてもなかなか進まない。

 

「地図を作成しているな。」

 

どうも、地図を完全に作成しながら進んでいるらしい。

 

罠に追い込もうにも、絶対に慌てて撤退しないし、そもそもPOPモンスターよりも強いからせいぜい有利な場所まで戻る、と言う事しかしない。

 

しかも挟まれたりするのを防ぐ為に、各パーティーが連携して一定の間隔の距離で移動しているのだ。

 

「何と言うか隙が無いな」

 

雑魚のスケルトンなどをぶつけても、調子に乗ったり甘く考えずに淡々と戦っているのだ。

 

「アルベド、どう思う?」

 

「推定で宜しいでしょうか?」

 

「構わないぞ。」

 

「似たような罠がエルグリラにもあるのではないでしょうか?

そこで訓練をしていると考えるのが妥当です。」

 

だよな。

 

ユグドラシル金貨を消費する、毒をまく、みたいな罠は使っていないのだけれども、上に注意を向けて落とし穴がある、と言ったような罠には全く引っかからないのだ。

 

それどころか、止めている罠も発見されてチェックを受けていた。

 

転移の罠や分断の罠にも気が付くとは。

 

今日も、随分と余裕がある状態で退却をしてしまった。

 

~~~シルトSIDE~~~

 

「今日の撤退理由は」

 

「スキルと魔力の2/3を消費した段階での撤退です。」

 

「まあ妥当なのだろうな。」

 

そう言うしかなかった。

 

結局、シャルティアの元どころか第二階層にもたどり着いていない。

 

慎重に動いて、スキルや探知系魔法を大量に使用した結果、あっという間に消耗してしまったのだ。

 

「そもそも、このレベルでダンジョン攻略を行うこと自体が無謀だったからなあ。」

 

自警団はこの世界に来た時の魔法やスキルの保有数からの推定でLV20台と考えられた。

 

周辺のアンデッドやエルグリラのPOPモンスターを倒して、スキルや魔法を覚えた事からレベル上昇が確認された、と言ってもLV40に達している者はそう何人もいないと考えられる。

 

自警団が3000人近くいた事を考えると相当少ないと言って良い。

 

一般市民もLV上昇が確認された。

 

一方、ユグドラシル時代に用意していた衛兵は全くレベルが上がった形跡が見られないのだからこちらは拠点NPC扱いなのだろう。

 

普通に衛兵よりも一般市民の方がよほど強い…どうしたものか。

 

現状、市民は絶対に衛兵の指示に従うので問題がないだけだったりする。

 

LVよりもメンバーに作られた存在か否かで身分制度が出来ているようなものだからな…

 

話を戻すが、LV30なんてユグドラシル時代にはパワーレベリングなら一時間もかからずに上がったレベルだったりする。

 

当たり前だけれども、低レベルの人達で組んだパーティーでこのスピードのレベル上げは無理だぞ。

 

そんなレベルでダンジョン攻略など有り得ないのは分かって貰えると思う。

 

「しかし、モモンガさんはこれで防衛能力は分かるのかな?」

 

~~~モモンガSIDE~~~

 

「今日の相手は殺していいらしい。」

 

「どのような相手なのでしょうか?」

 

「なんでも情報を手に入れる為に攫ってきた犯罪者なのだとか。

シルトさんが言うには別にシャンドラド千年王国で犯罪を犯していないからどのように処理するのか悩んでいたから今回送り込むって言っていたよ。」

 

「彼らは人間種なのですか?」

 

「シルトさんが言うには一応は人間種らしい。」

 

「ユグドラシルでは見かけない容姿ですね。」

 

「なんでもエナ多種同盟国の傭兵団兼盗賊だったそうだ。

シルトさんが用意した行商人に食いついたらしい。」

 

「ソリュシャンに食いついた盗賊のような連中ですか?」

 

「そうらしい。

あちらは多数送ってその内の一つに食らいついたそうだけれどもな。」

 

「ちゃんと行動できるのでしょうか?」

 

「最終的にレベル上げの実験台にしたとかで、恐らく限界レベルまで上がっているそうだ。

多分ミスリル級相当になるのでは?と言っていたぞ。」

 

……

 

「元は薄汚い盗人だっただけはあるな。」

 

俺はシルトさんの配下の動きと、元盗賊の違いをまざまざと見せられた気がした。

 

慎重さもなく、あっさりと罠にかかり、ナザリック・オールドガーダーやハムスケ、恐怖公、そして俺にすべて倒されていった。

 

「何故、シルト様は彼らを持て余していたのですか?」

 

「エナ多種同盟国で盗賊として突き出すにはエルグリラの情報を知りすぎているらしい、と言っても、我々ナザリックに知られて困るほどの物では無いとも言っていたが。」

 

「どのような情報でしょうか?」

 

「エルグリラ第二階層だよ。

都市内に再生可能な鉱山があるとかPOPモンスターでLV30位迄は安全にレベル上げができるとかそう言った事らしい。」

 

「確かに我々ナザリックが知っても全く意味がありませんね。」

 

確かに、オリハルコンやらミスリルが、自国で幾らでも発掘可能と言う情報だけでもとんでもない事になるのは分かる。

 

しかし、ナザリックに侵入して半日過ぎたら釈放、と言う条件で送ってきたそうだ。

 

自分から侵入してきたわけではないけれども…なんだかなあ。

 

他にもシルトさんを信仰する神官を育てていたとか意味が分からない。

 

モモンガさんを信仰する宗教でも作れますよ。と言ってきた。

 

人の事は言えないけれども、ギャグセンスが無いな。

 

「それはさておき、この程度の支出で済ませれるなら、今後はアルベドに任せてもなんの問題も無いな。

エルグリラの住民の方があまりにも一般的ではない。」

 

「ありがとうございます。

それでアインズ様のお時間の方は…

 

~~~シルトSIDE~~~

 

「アラン、どの程度持った?」

 

「実質、一時間ほどです。」

 

「生命反応が分かるようにしただけだから、どのような死に方かは分からないか?」

 

「何人かは捕縛されたようですが?」

 

「実験台にでもしたいのではないかな?

その点は私もモモンガさんを責められないし。」

 

本当にそう思う。

 

この世界の住民が、どの程度の確率で魔法の資質を持っているのかとか、パワーレベリングで魔法やスキル、武技を覚えられるのかとか、ある意味やりたい放題だったからな。

 

因みに、才能が無いと凡そLV15位で頭打ちらしい、クライム君が平均的な人間種であったことが証明されてしまった。

 

ビーストマンも同じようなレベル帯で頭打ちだったっけ?

 

元々、LV95以上の侵入者を想定しているユグドラシル由来の拠点でこのような事をする理由は有るのか?個人的に聞きたいくらいだ。

 

「エルグリラでやる意味は無いよね。」

 

「第二階層の闘技場でいきなり駐屯している者と戦う事になりますので。」

 

そうなのだ、エルグリラはPOPモンスターで撃退するようにそもそもできていないのでこのような訓練の意味自体が無い。

 

LV100の者が数十名も待ち構えている闘技場をまともに突破はできない…シミュレーションでは、ガンダルフィーのせいで私とアンネのペアでも突破できなかった。

 

閉鎖空間で相手全員が一定時間無敵は反則だろう。

 

逃げる事も出来ん。

 

「現状、あそこを突破できる相手なら、第5階層で止める以外の手は無いよね。」

 

「多少は削れると思いますが。」

 

「本当に多少だよ。

しかし、なんで自警団はあんなに慎重なのだ?」

 

「普段から強者を見ているからではないですかね。」

 

「他の大抵の国では強者なのにな。」

 

ガゼフが雑魚な国って何かが可笑しいと思う。

 

こうして、ナザリックの防衛訓練は終了した。

 

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