もう一つのギルド   作:mshr

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第8章2話 口で女に勝つのは難しい

リ・エスティーゼ王国で内乱が発生した。

 

ランポッサ三世がガゼフを失って療養中となり、ラナーがシャンドラド千年王国に送られたためザナックが自動的に王太子兼摂政に就任した。

 

ザナック王太子は自身の王太子就任と先の戦いで当主を失った家の当主任命を名目で貴族たちを集めると、八本指と関係が有った貴族や役人を問答無用で捕縛して、そのほとんどを処刑した。

 

なにせ貴族や役人の半数を超えるのだ。

 

当然のように取り潰しとなる家の遺族を中心に反乱が発生した。

 

反乱を全て潰すのにかかった期間は三か月。

 

恐ろしいほどの短期間で終了した。

 

この三か月の間に、エ・ランテルと周辺がアインズ・ウール・ゴウン魔導国に譲渡された訳だけれどもこちらも滞りなく引き渡された。

 

多分、原作よりもエ・ランテルから逃げた人は少ないと考えられる。

 

なにせ、王国全体で内乱状態だったのだから。

 

何故、三か月で終わったかと言うと、結局長々とやっていたらアインズ・ウール・ゴウン魔導国が攻めてくる、と言う恐怖から双方が戦力を集めての決戦になった為で、戦いも別動隊によって反乱軍の本陣が強襲されたため徴兵された民衆の被害は最小限で終わった。

 

主要な貴族の当主が軒並み戦死したか殺されている上、動員した兵の質もさらに低かったのでまともに戦っても勝敗は変わらなかったと思う。

 

因みに

 

別動隊が転移魔法で送られた傭 兵(エルグリラ自警団)なのは気にしてはいけない。

 

ついでに、八本指の息のかかった商会やら拠点も軒並み潰された…とある国の商会が後釜に座った事も気にしてはいけない。

 

これらの結果、恐るべきことに、アルベドがリ・エスティーゼ王国に訪問するよりも早く、バハルス帝国に続く形でリ・エスティーゼ王国がアインズ・ウール・ゴウン魔導国の属国になってしまった。

 

これで、リ・エスティーゼ王国の住民虐殺は無くなった。

 

飴と鞭も、これで二か国とも飴になった。

 

鞭になる国は…わかるよね。

 

800万人ほどの犠牲と言われる虐殺を防いだのだから、先の戦争の虐殺を見逃した甲斐が有ったぞ…この後に鞭として1000万人以上の虐殺が発生しそうな国が残っている事を忘れてそう思う事にした。

 

ザナックも相当凄いと思うけれども、ほとんどがラナー発案なのがとんでもない。

 

ただ、ラナーがシャンドラド千年王国に来てしまったので、ザナックは鮮血帝と同じ悩み…文官不足による仕事の多さに頭を悩ませる事になったけれども。

 

本当に蛇足だけれども、フィリップ・ディドン・リイル・モチャラスは反乱軍に参加して死んだ。

 

この世界線ではモチャラス男爵は彼の兄なので、兄を見返すために反乱軍に参加していたのだが…傭兵の本陣強襲ではなく、味方に前線に送り込まれて兵に愛想をつかされて背中から討たれたに近い死に方だった。

 

正直、馬鹿すぎる。

 

~~~ステラSIDE~~

 

「図々しいのではありませんか?」

 

私は赤い背広の悪魔に対していった。

 

「何がでしょうか?」

 

「よくも私にシルト様への取次ぎをお願い出来ましたわね。」

 

シルト様の御命令とアレクが作った作戦計画が無ければこいつを八つ裂きにしたやる所だ。

 

「ちょっとした協力をお願いしたい訳で。」

 

ひょっとしてシルト様の後押しで二か国が属国になったから私達を甘く考えていませんか?

 

二か国共に名目上はアインズ・ウール・ゴウン魔導国の属国になった、と言うだけですのに。

 

現に、経済的にはリ・エスティーゼ王国を私達が抑えていると分かっていらっしゃるでしょう。

 

「もしもこれが、謝罪とか従属するとか言われるのなら、シルト様にお目通りできることを約束できましょう。

協力を要請するなら、魔導王などと言う不遜な君主号は変更なさっては?」

 

「シルト陛下も、千年王などと言う、中々に不遜な君主号では?」

 

「あら、私達は転移する前から千年王国でしたわ。

千年王国の王だから千年王、何かおかしなことがありまして?

最高の魔導士であるシルト様を差し置いて魔導王など、片腹痛いですわ。」

 

「その点に関しては意見の相違がありますね。」

 

「アインズ陛下が死霊系魔法詠唱者として最高と言うなら私も認めましてよ。

死霊王とか不死王とかが宜しくなくて?

不死王とか、千年王より長生きできそうで、あなた方のくだらない自尊心も満たせませんこと?

私は寛大だからその程度は許して差し上げましてよ。」

 

あら、顔が真っ赤になって怒ってらっしゃる。

 

シルト様の御意志やアレクの作戦は理解できているので、私からは手を出しませんが、出されたら仕方がないですよね。

 

「魔導王は魔を導く者と言う意味で有って魔導士の王、と言う意味ではありません。

その点を理解するところから始めるべきですね。」

 

「魔を導く、ですか…私もサキュバスですのでその魔に入るのでしょうか?

アインズ様に導いて欲しいとは思いませんわね。」

 

 

この悪魔とやりあっていたら、シルト様からメッセージがやってきた。

 

「はい、解りました。」

 

目の前にいる悪魔に向かって私は最後に言った。

 

「シルト様がお会いになるそうです。

ですが、シルト陛下が寛大にもお許しになっているから使える魔導王などと言う君主号を使っていられることの感謝をシルト陛下にしなさい。

魔導王など、このエルグリラでは全ての者が名が実を伴わない馬鹿馬鹿しい君主号と思っていますので。」

 

私は苛ついている赤い背広の悪魔を見ながら、席を立ちあがるそば付きの者に席を換えるように命令して脇に移動してシルト様が謁見の間に現れるのを待った。

 

~~~シルトSIDE~~~

 

都市長城館の謁見の間には二つの椅子がある。

 

片方は私が座る玉座で片方が都市長用の椅子だったりする。

 

玉座は転移してから急遽用意されたものだけれども、一々交換しているらしい。

 

面倒な事だ、と思うのだが、同じイスと言う訳にはいかないし、全員を第六階層で迎える訳にもいかない、と皆が言うのでこうなっている。

 

転移前なら別の部屋を用意いるのだけれどもな…。

 

転移するとデミウルゴスが胸に手を当て頭を下げていた。

 

内心どう思っているのかは分からないけれども、最低限の礼を弁えた行動はするらしい。

 

「同盟を解消したけれども国交を閉じた訳ではないので話ぐらいは聞いても良いよ。

ところで、何をお願いに来たのかな?

まあ、話を聞いても受け入れるかどうかは別だけれども。」

 

挨拶も労いの言葉もないのは、怒ってます、と言うアピールだ。

 

「シルト陛下には無理を言ってこのような機会を頂きありがとうございます。

ヤルダバオトの討伐依頼をお断り頂き、討伐依頼をモモン様、ひいてはアインズ・ウール・ゴウン魔導国に来るようにして頂きたいのです。」

 

「断る。

我々には全くメリットがないからな。」

 

私の言葉が効いたのか牧場の残虐行為は減少したのだけれど、全く無くなった訳ではないので、改心したのかどうかも分からない。

 

この話はどう考えても聖王国への対応だよね。

 

「メリットしましては、アインズ・ウール・ゴウン魔導国の属国の経済的支配を認めようかと思いますが?」

 

意味が無いな。

 

「あまり興味が無いな。

アインズ・ウール・ゴウン魔導国の、国名と君主号を変えるとかはどうかな?

また同盟が結べそうだし。」

 

「うっ、それは。」

 

そうだろうね、外圧で国の名前を変えるって、どう考えても屈服したイメージしかわかない。

 

「逆に提案するけれども、私がヤルダバオトを倒すのはどうだろう。

ちゃんと支払いはするよ。」

 

「支払いですか?」

 

「そうだな、少なくともナザリック守護者統括は賛成するのではないのかな?」

 

「アルベドを説得できる支払いですか?」

 

「オックス夫妻を呼んでくれ。」

 

私に呼ばれてオックスと真 祖(トゥルーヴァンパイア)、子供を抱えたサッキュバスが現れた。

 

「どうだろう、まだ真 祖(トゥルーヴァンパイア)との間の子供は成功していないけれども、サッキュバスとの間は成功したよ。」

 

モモンガさんとの間で子供をつくれる技術、アルベドが飛びつかない筈がない。

 

それが分かるのだろう、デミウルゴスの目が興奮して宝石になった。

 

「確かにアルベドは飛びつきますね…一部猛反対が出そうですが。」

 

「なので、真 祖(トゥルーヴァンパイア)との間で成功するまでお伝えしていなかった訳だけれども、ヤルダバオトを倒す役割を当方に譲る代金としては十分なのでは?」

 

デミウルゴスは苦渋に満ちた顔をしていた。

 

まあ、どう考えてもローブル聖王国を属国にできないからね。

 

「ところで、モモンにヤルダバオトを倒させて、何をしたかったのかな?」

 

本当はモモンではなく魔導王に倒させて、イメージの向上とローブル聖王国とアベリオン丘陵を支配する目的だった筈だからね…正直、私達が転移する前に描いたシナリオな筈で、星空事件の後、デミウルゴスが最初に目を付けた場所と国な訳だ。

 

場所的にも端から落としていくのは定石だから当然かもしれないけれども。

 

「実際にはアインズ様のイメージアップですね。

モモンの代わりにアインズ様が赴き、イメージアップを図る、そう言うシナリオです。」

 

「確かにヤルダバオトを出す際に、そう聞いていたね。

でも、同盟は切れたよね。

それを手伝う理由は無いかな?

ヤルダバオトはカルサナス都市国家連合辺りで出さないか?

そうすれば、アインズ・ウール・ゴウン魔導国の方が近いでしょう。」

 

多少の嫌がらせを言った。

 

何処で出しても、シャンドラド千年王国大使館に問い合わせは来そうだからだ。

 

「まあ、シナリオを聞きましょうか?」

 

個人的には、ヤルダバオトと妻のような貴族風の女を別の所で同時に別の場所で出しては?とも思うのだけれども。

 

あの貴族風の女はモモンガ追っていた片割れと言う事になっているからちょうど良くないか?

 

ブレインのせいで、シャルティア・ブラッドフォールンと言う名前が判明しているけれども。

 

等と思いながら聞いていた。

 

「…と言う訳です。」

 

「ローブル聖王国の国王を操り人形にしてしまう、と言う所は妥協しましょう。

けれども、その過程は承服しかねますね。」

 

「ですが…」

 

なおも話そうとするデミウルゴスに手を出して話すのを止めた。

 

「洗脳から解けた、メイドの五人と貴族風の吸血鬼を魔導王の元に送ることまでは約束しましょう。

そこまでです。

まあ、代わりに、十分すぎるほどのおつりは用意しましょう。」

 

「おつりですか?」

 

「例えばアンデッドでも洗脳できるワールドアイテムの話とか。」

 

デミウルゴスは再度、目が宝石になって絶句した。

 

「私は返答はお任せします。

アルベドがモモンガさんとの子をなす方法の伝授とシャルティアを洗脳したワールドアイテムについての情報。

ローブル聖王国とアベリオン丘陵、及びあなたの牧場の放棄と引き換えですがどうですか?」

 

「持ち帰って相談させて頂きます。」

 

こうしてデミウルゴスは帰っていった。

 

 

モモンガさんから嘆願されても商取引だから無償では情報源も教えられない。と突っぱねた。

 

ナザリックの全ワールドアイテムのリストを出して貰って、その内の一つと交換なら良いですよ。と答えたら流石に黙った。

 

ワールドアイテムの価値の方がどう考えてもローブル聖王国とアベリオン丘陵よりも高いからね。

 

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