もう一つのギルド   作:mshr

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第8章5話 聖王国三人娘

私の前に三人の女性が居た。

 

内二人は蘇生したばかりだった。

 

因みに、真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)でないと蘇生は出来なかった。と推定される。

 

真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)はユグドラシル時代なら死体無しでも蘇生できたのだけれどもね…と言うよりも、プレイヤーは死ぬと死体なんて残らないから死者復活(レイズデッド)でも死体無しでも蘇生可能だったと言えば可能だったのだけれども。

 

推定される、と言うのは当然いきなり彼女達で試したわけではないので、実験の成果だったりする。

 

実験体?竜王国にいっぱいあるよ。

 

どうもビーストマンはレベルが揃っているようなので、実験体としては分かり易かった。

 

「カルカ・ベサーレス、ケラルト・カストディオ、レメディオス・カストディオ、面を上げよ。」

 

彼女たちの存在も色々面倒なので、第一階層は許可なく行動を許さない事にしている。

 

他の国の大使辺りに見られたり、大使館に逃げ込まれると困るのだ。

 

なので、第六階層の玉座の間での謁見となっている。

 

ついでに、今日はアンネも天使形態で背後にいる。

 

まあ、法国と同じく聖王国も天使が単なるモンスターではないようだからね、一種の威圧だよ。

 

アランの声で顔を上げたのは良いのだけれども、結果、玉座に座っている筈の私ではなく、面を上げた三人の視線がアンネの方に向いていた。

 

毎度の事だからもうあきらめるしかない。

 

「近衛隊長が天使なのが不思議なのか?」

 

私が声をかけて、ようやく私の方を見た。

 

「前に拝見しましたが天使だったのですか?」

 

「天使と分かると色々面倒なので普段は出さずにいてもらっているのですよ。

翼と頭上の輪が無い状態では弱体化しているのだけれどもね。」

 

レメディオスが複雑な表情をしていた。

 

聖王国でヤルダバオトと戦っていた時は全力で戦っていない、と言っている訳なので。

 

「シルト千年王陛下は人間なのでしょうか?」

 

「間違いなく人間ですよ。

断っておきますがエレア・ステラも人間ですし、クスタフもドワーフなので人間種です。」

 

レメディオスが今度は落ち込んだ。

 

多分、人間ではないから負けた、と一回思ったのだろうね。

 

「シルト陛下から言えば私達は非力と思いますが何をお望みなのでしょうか?」

 

「レメディオスから聞いていないのですか?

内政官や外交官が不足しているのですよ。

単純事務作業ならどうにかなるのですが、提案や提言をできる者となると限られているのです。

分裂気味の国家を10年維持した手腕に期待しているのですよ。」

 

「本音なのでしょうか?

てっきり私達を妾にでもする気なのかと思いました。」

 

「何故妾に?」

 

「ラナー殿下が妾になったと聞いていましたので。」

 

ラナーの話は知っていたのか…

 

「建前上ですね。」

 

「建前上ですか?」

 

「彼女を引き取ったのは、いくつも理由がありますが、やはり一番の理由は内政の提案ですよ。

配下にせずに妾にしたのは、ザナック殿下やラナー殿下のご了承の上で、実は幼馴染の護衛と恋仲でして、私の妾と言う隠れ蓑にして仲良くやっていますよ。

なので、子供が生まれても私の子供ではないので、側室にすらする事が出来なかったのです。

配下ならどうして子供が生まれるのだとなるので、妾はその配慮ですね。」

 

「そんな理由だったのですか?」

 

「内乱になる予定だったので、避難の意味もありますよ。

他にもアインズ・ウール・ゴウン魔導国に対する牽制の意味合いもありますが。

いずれにせよ、ラナーさんとはある意味で何の関係もありません。

配下としての政策の提案だけですね。」

 

実際に意外と役に立っている。

 

もっと何もしないと思っていたのだけれども。

 

「カルカさんには結婚の打診をしましたが、まあ、私は妻にしても良いですけれども、既に政略結婚としては意味をなさなくなってしまいましたので、白紙撤回をお願いします。

結婚するとしたらお互いが気に入ったら、になるのでしょうね。」

 

まあご希望の、〈我が儘は言いません。糸の一切ついていない、私という人間を愛してくれるお婿さんを!〉だ。

 

私でなくても誰か適当な相手でも良いのだけれどもね。

 

「私はある意味で誰でも良いのですけれどもね。

ただ、正直レメディオスさんだけは避けたいですが。」

 

「私は嫌なのですか?」

 

「一夫多妻でも嫌ですね。

思慮が足りなすぎますので。」

 

「今の姉さんを国王の妻にしたくはないのは本当だろう。

すいません陛下の前で。」

 

「私は年が離れていると思うのですが?」

 

確か25歳だったけ?

 

この世界ではすでに行き遅れ気味だけれども、気になるほどでは無いかな?

 

ところで私の年齢は何歳なのだろう?

 

1歳、13歳、29歳、100歳ごえ?

 

1歳は転移してからの年数なのでこれは無いとして、13歳はユグドラシルを始めてからの年齢で、29歳は転移前の人間としての年齢。

 

100歳ごえは前世が80歳くらいで死んだ記憶があるのでそれを加算した年齢だったりする。

 

「実は私は年齢が正確には分からないのですよ。

なので、カルカさんは若くも見えるし、同じ年位にも見えるし、お姉さんにも見える。

まあ、ご自身の年齢は気になされないでください。」

 

「シルト陛下が結婚に求めている物は何でしょうか?」

 

王としての重りが消えたからかやたらと食いつくね。

 

「王としては国益の為になる結婚ですね。

なので基本的に政略結婚を望んでいました。

個人としては癒しです。

実際は相当に難しいのですけれども。」

 

「相当に難しい、ですか?」

 

実際に結婚していたから良く現実を知っている。

 

単純に癒しだけならペットを飼った方が絶対に良い。

 

「元は赤の他人なのですよ。

もっと言えば、子供だって人格がありますから自分の思い通りになるものではないでしょう。

家族だけの時くらいは公務とかを忘れて自然な関係で居たいのですが、立場上それも難しい。

なので、お互いに支えあって家族を作って、子供が巣立った後にごく自然に傍に居られる関係で有ればそれで良い。

欲を言うなら、そうなれそうな人を妻に望みますね。」

 

気のせいではなく、他に聞いていた者達も耳が象か兎になっていそうな感じだったけれども、カルカにそう答えた。

 

「何と言うか、ごく普通と言うか、達観しているようなお答えですね。」

 

「先ほども言いましたが、本当に年齢が分からないのですよ。

ある意味では100歳を超えているのです。」

 

三人そろってエッと言う顔をされた。

 

見た目年齢が10代半ばだからね。

 

確か聖王国でも千年王の由来は言っていなかったっけ?

 

「不死不老化の魔法を使っていると言っていませんでしたっけ?」

 

「そう言えばそうでした。」

 

「まあ、肉体年齢にかなり引っ張られていますから、カルカさんをお姉さんとも思えてしまうのですよ。」

 

「先ほどの『若くも見えるし、同じ年位にも見えるし、お姉さんにも見える。』と言うのはそう言う意味ですか。

実際に生きてきた年齢から言えば私は小娘のようで肉体年齢から言えばお姉さんですか。」

 

「そういう事です。

この件のお話はここまでにしましょう。

聖王国ですが、カスポンドさんが聖王になります。

北部はかなり被害が出ましたので、シャンドラド千年王国からも支援を行いますので、飢餓には何とかならないと思います。」

 

「本当にありがとうございます。

私が王位についたままでは国が荒れる、そう判断されたのでしょうか?」

 

「実際、責任問題が発生しますからね。

あなた達の三人に責任を押し付ける事になるのでしょう。」

 

「そんなことが有って良いのですか?」

 

「姉さん!申し訳ありません。

私達も併せてですよね。」

 

「だれも責任を取らないよりも取る者が居た方が良い国なのですよ。

レメディオスさん、先に送った聖王国との同盟話とセットのカルカさんとの婚姻話と同様に、貴女達三人を援軍の代償としてもらい受ける話は、私なりの慈悲のつもりです。

ご理解して頂けましたか?」

 

「姉には後で言って聞かせますので。」

 

「よろしくお願いいたします。」

 

こうして、聖王国三人娘との話は終わった。

 

裏で何をするか分かったものでは無いラナーよりも聖王国最恐のケラルトさんに期待していたりする。

 

因みに、何を考えているのか今一歩分からないラナーよりもケラルトの方が恐ろしかった。

 

いやマジで。

 

彼女が恐ろしくて聖王国が分離しなかった、と言われたら納得してしまう提案が多数寄せられたのである。

 

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