もう一つのギルド   作:mshr

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第8章6話 爆弾

「モモンガさん、お久しぶりです。」

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導王の君主号が決定して以来、初めて直接会う事になった。

 

場所は、エ・ランテルだったりする。

 

「シルトさん、お久しぶりです。

デミウルゴスと取引した支払いですが、なんでシャルティアを洗脳したワールドアイテムを知っていて教えてくれなかったのですか?」

 

「そちらより先に、別の商品をお見せしますね。」

 

階層守護者が勢揃いしていたエ・ランテルの謁見の間にオックス夫妻を呼びよせた。

 

「先に、デミウルゴスさんにはお見せしましたが、オーバーロードとサッキュバスとの間の子供です。」

 

デミウルゴスは内密にしていたのかデミウルゴス以外の守護者の表情が即座に変わった。

 

真 祖(トゥルーヴァンパイア)との間で子供ができる方法は未だにわかりません。

別の組み合わせでも試しているのですが、母体がアンデッドの場合の成功例がまだないのです。」

 

異種族交配魔法が母体側の種族で生まれてくる関係上、母体側の影響が大きくかかわるらしい。

 

何せ、アンデッドなので既に一切成長しないし、肉体は死んでいるのだ。

 

「質問ですが、ダークエルフとの間に子供はできるのでしょうか?」

 

アウラが聞いてきた。

 

「成功していないのは母親がアンデッドの場合のみですね。

アンデッドの父親と人間種の母親との間は成功しています。」

 

シャルティアは無茶苦茶に悔しがっていた。

 

「しかし、骨しかないのにどうやって子供をつくれるようにしたのですか?」

 

「受肉化、異種交配、活性化の魔法で成功しています。」

 

「そんな魔法が有ったのですか?」

 

「転移前は何の為にあるのか分からないような魔法だったので知らない方が普通でしょうね。

千年王国(ミレニアム)でも私の他は後一人しか使えない魔法ですので。」

 

「ひょっとしなくてもファウンダーの装備条件ですか?」

 

「装備条件の魔法ですね。

守護者の1人に、ファウンダーを装備できるように設定しましたのでもう一人いますが、他の者は使えませんね。」

 

まあ、実際には使えるようになるアイテムはあるのだけれども、子供を大量に作られても困るからね。

 

「子作りをしたい場合はエルグリラ迄お越しください。

モモンガさんのお子さんに限り無料と致しますので。」

 

私はそう答えた。

 

当初、スクロールなどで渡そうと思ったのだけれども、こちらが上位のスクロールでも日産で枚数限定があるとは言え製作されている事を一々教える必要はないからだ。

 

「モモンガ…アインズ様、ぜひ私との間で子供をつくりましょう。

何人が宜しいのでしょうか?」

 

予想通りアルベドが暴走を開始した。

 

もう、何というか残念美人である。

 

「アルベド、せめてシャルティアを洗脳した者が分かってからにしないか?」

 

「そうでした、失礼いたしました。

で、どこの誰なの。

私も探しているけれども、影も形もないのだけれども。」

 

もう、何というか今更である。

 

「その前に、もう一人呼び出します。

モモンさんが知っている人ですよ。」

 

モモンガの間違えではないよ。

 

呼ぶのはクレマンティーヌだから。

 

モモンガさんもモモン?と首をかしげている。

 

転移で出てきたクレマンティーヌを見て、あっ、と言う感じになった。

 

「ご存じですよね、モモンさんが倒した後に冒険者組合から逃げ出した彼女です。

モモンガさんが持っているスティレットの持ち主です。」

 

彼女は完全に性格が変わってしまっていて、周りを見ると、私の後ろで生まれたての小鹿のように震えていた。

 

「彼女がどうしたのですか?」

 

「クレマンティーヌ、事前に言っていたように自分の出身と知っている事を話せ。

ちゃんと話したら私が無事を保証する。

モモンガさん、切れて無謀な行動はしないで下さい。

私の名前で無事を保証したので行動如何では敵対行動と見做します。」

 

「約束しよう、その女には手を出さない。」

 

「本当のことを言うだけで良いから話せ。」

 

「は、はい。

私は元スレイン法国漆黒聖典第九席次でした。

話すのは強力な洗脳するアイテムですよね。

スレイン法国の国宝で、ケイ・セケ・コゥクと言う物があります。

それではないかと思います。」

 

「何故教えてくれなかったと言われましたが、裏取りに時間がかかりましたので。

多分これがシャルティアを洗脳したアイテムです。」

 

「つまりはスレイン法国が犯人だったのか。」

 

「ただ、私もケイ・セケ・コゥクなるワールドアイテムは知りません。

で、確定させるためにこれを使う事にしました。

ご存じですよね。」

 

私は、無銘なる物品書(ネームレス・アイテムブック)を出した。

 

正直、使いたくは無かったのだが。

 

「シルトさん、それを持っていたのですか?

隠蔽場所を秘密にして手を出さないことになっていたのでは?」

 

守護者達が私を責めるモモンガさんに反応して構え始めた。

 

「入手したのはこちらに来てからですよ。

と言っても信じて貰えないかもしれませんが、正直、見つけた時に再度封印するか悩みました。

因みに、全く使っていないです。」

 

「本当なのですか?」

 

「ええ、正直に言ってほぼケイ・セケ・コゥクであると思っていますが、これで確認すれば絶対でしょう。

本来なら、あの時に居た他のギルドマスターも同席の上で使用すべきとは思うのですが、この世界では私とモモンガさんだけしか存在を確認できませんので。

ところで使用しますか?」

 

「理解しました。

お前達、警戒態勢を解け。」

 

「もう一つ、スレイン法国に複数のアイテムがあった場合の取り扱いですが、そのケイ・セケ・コゥク以外に一つ保有していた場合、その所有権を頂けませんか、まあスレイン法国の宝物庫を暴くとしたらですが。」

 

「もし、確定したらスレイン法国を滅ぼしますよ。」

 

「滅ぼす理由は?

私にではなく対外的にですが。」

 

「対外的ですか?」

 

「場合によってはアンデッドだから滅ぼした、そう言われる可能性も有りますよ。

その場合、世界の全てを敵に回しかねないですが。」

 

「その辺りは検討するとします。

他国から見て正当な理由が分かるようにした方が良い、と言う事ですね。」

 

「そうです。」

 

まあ、そう難しくない。

 

法国民を暴発させればいい。

 

その余波は確実にシャンドラド千年王国にも及ぶ可能性はあるから、最悪、南側は助けられるかもだけれども…竜王国民の比ではないくらい暴発する可能性がある国民を抱えることになるのか。

 

これはものすごいネックだよ。

 

この問題の解決方法が正直に言って殆どない。

 

殆どと言うのは、アインズ・ウール・ゴウン魔導国とシャンドラド千年王国の二者択一選択で我が国の方がまし、と言う選択をすると言う物だったりするからな。

 

国民の意識を変えるのに一世代近くはかかる計算だった。

 

従って、ほぼ、見捨てることになると思う。

 

結局は遅いか早いかだけと思いたい。

 

「わかりました、それでは調べてみましょう。」

 

私とモモンガさんで無銘なる物品書(ネームレス・アイテムブック)を使用してスレイン法国所有のマジックアイテムで検索をかけた。

 

当然、膨大な量のマジックアイテムがリストに出てきた。

 

追加で、ワールドアイテムに絞った。

 

予想通り二つのワールドアイテムがリストに出てきた。

 

「申し訳ないですが、これは絶対に譲れません。」

 

アンネを一回滅ぼしたワールドアイテムだ。

 

「そうでしょうね。

私にとってのケイ・セケ・コゥクと同じ意味でしょうから。

三個あったらどうしようと思いましたが二つで良かった。」

 

そこには、傾城傾国と聖者殺しの槍(ロンギヌス)が表示されていた。

 

「ロンギヌスは調べるまでも無いかもしれませんが傾城傾国の詳細を見てみますか?」

 

「見てみましょう。

しかし傾城傾国がケイ・セケ・コゥクですか。

かなり読み方が変わっていますね。」

 

「長い年月とはそう言う物ではありませんかね。」

 

〈傾城傾国 世界の守りが無いいかなる者も魅了して支配できる。〉

 

「相変わらず、全てを教えてはくれませんね。」

 

「ですが、これで決まりでしょう。」

 

「そうですね。

ご健闘をお祈りします。

私はロンギヌスをどうにかする方法を考えますので。」

 

「使用されてしまったら知りませんよ。」

 

「そう主張された場合は無銘なる物品書(ネームレス・アイテムブック)で本当かどうかを確認しますからね。」

 

「良いでしょう。」

 

「ところで、彼女の知っている他の情報は興味ないですか?

例えばスレイン法国の戦力とか。」

 

「確かに知っておきたいですね。」

 

これでパンドラの箱を開けることになる。

 

確か損害無視なら5年で世界征服できるのだったか。

 

この世界での被害を考えると恐ろしいものがあるが…どうせスレイン法国を攻め滅ぼす過程で知る事になるだろう。

 

「クレマンティーヌ、スレイン法国の最強の部隊は漆黒聖典で良いのだよな。」

 

「そうです、スレイン法国の特殊部隊、六色聖典で最強なのが漆黒聖典で…」

 

クレマンティーヌは各聖典の情報を話したが、その内、陽光聖典をあっさりモモンガさんが滅ぼした事を言ったら更にビクビクしていた。

 

とは言っても神人は相当強いと話し、特に最強の番外席次の話、そして聖典にはいない三人目の神人の話になった。

 

「…三人目の神人はマイ・ヤマー・カネーヤと言う名前で、強さは神人と言って良いのですけれども、スレイン法国では神人として認めてはいません。

六大神の血を引き継いでいないからです。」

 

「と言うと親は誰なのだ?」

 

モモンガさんが関心を持った。

 

関心を持つよね、フルネームを知った時に私も関心を持った。

 

やまいこさんの名前にあまりにも類似しているからだ。

 

そして親の名前をついに答えてしまう…

 

「十三英雄のリーダーのリク・カネーヤと祖たるエルフの特徴を持った者、アケミ・ヤマーです。」

 

私はこの話を初めて聞いた時に絶句した。

 

リク・アガネイアってリクはとにかくアガネイアは適当に言ったのではないのかと。

 

そこではない?

 

「アケミ・ヤマーと言う名前のエルフだと?

で、子供がマイなのか。」

 

そりゃあ、モモンガさんは反応するよね。

 

「で、その両親はどうしている。」

 

「ツアー、白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)ツァインドルクス=ヴァイシオンに殺されたと聞いています。」

 

これを聞いた時に、シャルティアが洗脳された以上に地雷だと思ったよ。

 

「それは本当なのか。」

 

私はクレマンティーヌに詰め寄るモモンガさんとクレマンティーヌとの間に入った。

 

「モモンガさん落ち着いてください。

どうかしたのですか?

まあ、この話が本当なら、この二人は先輩と思われるので私達も狙われる可能性があるとは思っていますが。」

 

本当は知っていても、知っている筈がない情報なので知らないふりをしてそう答えた。

 

「申し訳なかった。

とは言えこれが落ち着いていられるか。

あけみちゃんさんを殺しただと。

そして、その子供がいるだと。」

 

当然、ナザリックの守護者の中でもダークエルフの双子は顔色を思いっきり変えていた。

 

「お知り合いなのですか?」

 

「ああ、シルトさんは知らないのか。

アケミ・ヤマーは恐らくは山瀬明美が本名だ。

あけみちゃんと言うアバター名だった。」

 

「でもエルフですよね?

異形種ではありませんがリアルでのお知り合いですか?」

 

「エルフだったからギルド、アインズ・ウール・ゴウンには入れなかったのだけれどもな。

ギルドメンバーのやまいこさんの妹だ。

ナザリックにもよく遊びに来ていたよ。」

 

本当は知っているよ。

 

実質的に42番目のアインズ・ウール・ゴウンのメンバーだ。

 

「オッドアイだったのですか?

エルフの国を制圧したので知ったのですが、王族の証はオッドアイでしたから祖たるエルフの特徴とはオッドアイだと思うのですが?」

 

「アウラとマーレと同じオッドアイだったよ。

正確にはあけみちゃんさんを真似て二人がオッドアイになったと言うべきなのかもしれないな。」

 

「断っておきますが、彼女もうわさで聞いただけで裏は取れていませんからね。

まあ、私はユグドラシルからの転移者と言う理由だけでキュアイーリムと言う竜王に襲われましたが。」

 

「殆ど正解だと言っているようなものではないか。」

 

モモンガさんは感情抑制が入っているだろうに、未だにお怒りだ。

 

アレクは不思議がっていたけれども、どう考えてもナザリック陣営は竜王と、実質的に世界中を敵にまわして戦う運命なのだよ。

 

「デミウルゴス、アルベド、ナザリックの防衛を除いた最優先でスレイン法国とアーグランド評議国を攻める用意をしろ。

当然、マイ・ヤマーセ・カネーヤさんを丁重にもてなす用意もだ。

確かにシルトさん、デミウルゴスの牧場や計画を変更するのに十分すぎる内容でした。」

 

「私としては傾城傾国の件はとにかく、三人目の神人の話は竜王への注意喚起程度のつもりだったのですが。」

 

「いえ、それ以上の情報です。

お返しはいつか必ず致します。」

 

「いえ、お気になさらずに。」

 

本当にこの情報だけはどうするのか悩んだよ。

 

私は評議国だけは行けていない訳だけれども、ワールドアイテムが理由かプレイヤーなのが理由かは知らないけれども、共に戦った仲間ですら殺した相手はどうしても信用できないのだよ。

 

デミウルゴスの計画では、きっと私達を竜王にぶつけるつもりだったのだろうけれども、これでそれは出来なくなったよね。

 

しかし、どれくらいの者が死ぬことになるのだろう?

 

考えるとぞっとする。

 

しかし私に打つ手はないのだ。

 

アレクの計画通りに、ナザリックの世界征服が終わった時にモモンガさんを討つしかないのだろうか。

 

それまでに、正気に戻ってくれると良いのだけれども。

 

「最後にもう一回言わせてもらうと、世界中を敵に回すようなことは避けてくださいね。」

 

私はそう言うと、私達はエルグリラに帰還した。

 




第2章以外は7話編成だったので7話にしたかったのだけれども、6話にしかならなかった。
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