第9章1話 疑念
~~~モモンガSIDE~~~
シルトさんは何時から知っていたのだ。
そもそもあの女を何故確保していた。
シルトさんが帰った後に頭の中に疑問がグルグル回ってしまった。
「デミウルゴス、シルトさんの話をどう思う?」
こういう時には聞くに限る。
「元々、シャルティアを洗脳した者はスレイン法国の可能性が高いと考えていましたが、周辺諸国では一番の強国である為、私も調査には慎重を期していました。
実際、あけみちゃん様の事も、まだ裏が取れていないようですし。」
「そうだよな。」
シルトさんもアーグランド評議国に訪問する事を渋っていた理由は、あの話が本当ならツアーを信用が出来ないと判断していたからか。
「ところで、牧場を放棄する事になったが羊皮紙の供給にあては有るのか?」
「既に別の場所に牧場を用意してあります。
また、エ・ランテルの住民に、三階位までのスクロールを製作できる者もおりますし、リ・エスティーゼ王国やバハルス帝国からも入手可能ですので、問題は有りません。」
「では実質的な被害はないのだな?」
「聖王国で使用した戦力も、元はアベリオン丘陵の亜人が大半。
悪魔は私が召喚した者ですので事実上の被害はございません。」
※この世界線では頭飾りの悪魔も憤怒の魔将もデミウルゴスの側近では無くてデミウルゴスのスキルにより召喚
「新しい王のカスポンドはナザリックのドッペルゲンガーなのだろう?
シルトさんは何故許可したのだ?」
「ローブル聖王国でシルト教なる宗教が発生しました。
多分宗教的に支配を試みているのではないかと。
千年王国からは隣国のスレイン法国の意識を変える為の実験場にする、と言っていますが怪しいものです。」
「元聖王女や最高司祭、聖騎士団長をエルグリラでかくまっているのだったか。」
「シルト教が広まった状態でカルカ・ベサーレスを妻にすればカスポンドを追い出してローブル聖王国を支配する正当な理由になりますからね。
ところで、モモンガ様の御子の件は如何いたしましょう?」
俺の子供が欲しいのか?そもそも居るのか?
子供をつくった方が良いのだろうか?
ある意味でシルトさんは爆弾を置いていったよな。
どうしよう、とりあえずは未来に丸投げしよう。
「お前達には悪いが今はそれどころでは無いな。
スレイン法国の件とアーグランド評議国、ツアーの件を片付けてからになるな。」
「アインズ様、私に何か御不満があるのでしょうか?」
「そうでは無いぞ、アルベド。
スレイン法国とアークランド評議国の件を片付けない事にはお前自身に子供をつくる余裕はないと言う判断だ。」
「そういう事でしたか。」
「納得してもらえたようで良かった。」
「ところで、シルト様の御話を聞く限り、子供をつくれないけれども、作る為の行為自体は行っているようでありんすね。」
「子供をつくる為の行為って何なのですか?」
シャルティア、アウラとマーレの前で何を言っているのだ。
「お子様には分からない事でありんすよ。」
「アウラ、なんだ、その、シルトさんも言っていた魔法を使っている、と言う事だよ。」
何とか誤魔化したぞ。
「アルベド、デミウルゴス、スレイン法国を攻める正当な理由がいると言っていたが良い方法はあるのか?」
「そこまで難しくはないと思われます。
スレイン法国から仕掛けてきたら正当な理由になるでしょう。」
「統括殿のおっしゃる通りかと。
スレイン法国の国民感情はアインズ・ウール・ゴウン魔導国を認めないでしょうからそこを煽れば可能です。
他にも、スレイン法国を分断する方法も考えております。
ただ少しお時間を頂きませんと。
スレイン法国では何も活動をしておりませんでしたので。」
「最速で頼んだぞ。」
「「御意に。」」
「もう一つ、あけみちゃんさんの件なのだが。」
「アインズ様、あけみちゃん様についてお聞かせ願えればと思うのですが。」
「前に、私には真名があって鈴木悟と言うのは話したと思うが。」
「アインズ様の話された事はこのデミウルゴス一字一句、忘れることはございません。」
「それは私もです。」
「やまいこさんにもリアルの世界での真名があって山瀬舞子と言う。
その妹が山瀬明美で、ユグドラシルでの名があけみちゃんと言う
種族が異種族ではないエルフだったのでな、アインズ・ウール・ゴウンには加入できなかったのだ。
とは言ってもよく第六階層に遊びに来ていた筈だが。」
「ぶくぶく茶釜様、やまいこ様、餡ころもっちもち様、あけみちゃん様とで、よくおしゃべりしていました。」
「やまいこズ・フォレスト・フレンズと言うパーティーを組んでいたとも聞いている。
十三英雄のリーダーは単なる凡人だったが剣を振るい続けて誰よりも強くなった英雄、無限に成長できる強さの持ち主と言う伝承だったが、シルトさんの話ではギルドかギルドメンバーあたりがワールドアイテムを所持している事も転移の条件の可能性が高いと聞いていて、もしそうなら、何故、リーダーは弱かったのに本当に持っていたのか疑問だったのだが、あけみちゃんさんなら持っていてもおかしくはないのか?」
「シルト様による偽証の可能性も捨てきれません。
本人も裏は取れていない、と言っていましたので。」
「デミウルゴス、何のために偽証するのだ?」
「我々ナザリックと竜王ツアーと戦わせる為です。
彼らは、真なる竜王の一体と戦っていますから、その強さを良く知っている筈です。
ユグドラシルからの転移者やワールドアイテム所持者を攻撃してくるなら潜在的な敵です。
自分たちで戦わずに我々ナザリックに戦わせるなら十分にメリットがある話ではありませんか?」
「確かにデミウルゴスの言うとおりだが、シルトさんはあけみちゃんさんを知っていた事になる。
それは可笑しくはないか?」
「アインズ様、
その取引情報で知っていた可能性はありませんか?」
「その可能性もない事は無いな。
だが、あの女に嘘をつかせていないのなら、知っていたとしても十三英雄の祖たるエルフの特徴を持った者がアケミ・ヤマーがあけみちゃんさんでスレイン法国の三人目の神人で彼女の娘のマイと言う名前も姉のやまいこさんから付けた可能性が高く、状況証拠的にはほぼ確実になるのだが。
嘘を言っていたような兆候は有ったか?」
「嘘を言っていないとしても精神操作で操っている可能性はありませんか?」
「アルベド、デミウルゴス、この件はしっかりと調べて欲しい、そうだな、スレイン法国とアークランド評議国への戦争準備を最優先とは言ったが、この件を調べる事の方が優先度は高い。
スレイン法国がシャルティアを洗脳したことはまず間違いないが、何も考えずに攻撃してマイ・ヤマー・カネーヤを巻き込むのは不味い。
シャルティアには悪いのだが。」
「アインズ様にお気遣い頂き申し訳ないでありんす。
ですが、やまいこ様の姪がいる可能性があるのでありんすよね?
わらわもその辺りは弁えているでありんす。」
「アインズ様~、本当にツアーがあけみちゃんさんを殺していたのならアークランド評議国の方が優先順位は高くは有りませんか?」
「わたしもお姉ちゃんの意見に賛成します。」
確かにそうだよな。
「アウラ、マーレ、君たちの気持ちは分かるが、その件は恐らくはスレイン法国を滅ぼして、資料を調べた方が調査が早い。
そう言う事だよ。」
「そうだな、デミウルゴスの言うとおりだ。」
スレイン法国の元漆黒聖典が噂で知っていたのなら何かしらの資料か知っている人がいる筈だよな。
直ぐに返事をしなくて良かったよ。
俺にできる事は有るのか、シルトさんをもう少し問い詰めてみるくらいか?
何日かかまをかけてみたのだけれども、結局、彼女から聞いた以上の情報は無かったようだった。
本当に
昔奪われたから、
他にもいくつか間違っていたよ。
逆に、
「どうでしょうか?
と言いたいところですが、私が倒したキュアイーリムが持っていたのですよ。」
と、どちらともとれる返事が返ってきた。
直感だけれども、他にも入手したよな。