もう一つのギルド   作:mshr

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第9章2話 対スレイン法国会議

「スレイン法国の大使には伝えたのか?」

 

私はフェデリーと話していた。

 

「伝えましたがほぼ不可能であるとの事でした。」

 

「だろうな。」

 

私はスレイン法国にアインズ・ウール・ゴウン魔導国と戦争になる可能性が高い事。

 

それを防ぐ為に、一番いいのはケイ・セケ・コゥクとマイ・ヤマー・カネーヤをアインズ・ウール・ゴウン魔導国に引き渡して、頭を下げるのが一番である事を伝えたのだ。

 

理由も当然教えた上で。

 

それでも大使からの返答は上層部に言うだけ言ってみるけれども難しい、との返事だった。

 

「それが本当なら、戦争になった場合の避難民の受け入れの打診も来ましたが。」

 

「スレイン法国は勝てないと思っているのか敗北した場合の事を考えているのか。

まあ、スレイン法国最強の、番外席次「絶死絶命」よりも私達の方が強い可能性を示したからな。

それと互角の強さの者が何人もいる、と言う情報を直接的にも間接的にも伝えたのは私だし。」

 

番外席次「絶死絶命」と互角クラスのデケムを捕らえてしまったり、キュアイーリムを倒してしまったり、どう考えて私達の方が強いよね。

 

「ですがどうなさるのですか?」

 

「多種族国家の我が国に、他種族を下に見る国民か?」

 

「スレイン法国にはずいぶん助けられましたが。」

 

「言いたいことは分かるが、どこにかくまうのだ?

まだ今から教育できる子供だけなら良いけれども、子供だけでは当分生産に寄与しないだろう?

エルフの近くは論外だし、アベリオン丘陵も、かなり間引きされたと言っても、まともに空いているところは旧闇ドワーフの国(ガテンバーク)位と思うけれども、周辺との軋轢が凄そうだから、あっという間に死滅しないか?」

 

「ローブル聖王国は如何でしょうか?」

 

「現状は食糧難だぞ。

難民を受け入れ可能な状況にない。

寧ろローブル聖王国の難民がリ・エスティーゼ王国に向かっている程だろうに。」

 

リ・エスティーゼ王国も魔導国の戦争と内乱でかなり悲惨な状況だけれども、如何せん労働力がかなり減少したので、労働力となる男手込みなら難民を受け入れる余地があるのが現状だったりする。

 

「そうですよね。

他の国は既に表面上はアインズ・ウール・ゴウン魔導国の属国ですから。」

 

フェデリーも取り合えず言ってみただけのようだった。

 

「恩があるからどうにかしてあげたいは山々だけれど。

それなりの期間、情報をアインズ・ウール・ゴウン魔導国に渡していないとか、今回の情報を教えた事で恩は返したと思うべきなのか悩むな。」

 

結局は会議に持ち越しとなった。

 

生粋の千年王国以外の頭脳派も徴集してみた…ハーレムじゃないぞ。

 

「…と言う訳でどうするかの意見を聞きたい。」

 

「食糧をかなり融通してもらいましたからどうにかしたいシルト様の御気持ちは分かりますが、私を見るなり攻撃してきそうな国民ですよね。」

 

ステラはサッキュバスだからな、十分にその可能性はある。

 

「上層部はそうでもないのにな。」

 

「我が国でもそうでしたがスレイン法国では天使を神聖な者と崇めております。

その為にエルグリラとスレイン法国の間にある竜王国民の移民の居住地に警戒に召喚天使を活用していますが、この際はアンネ近衛隊長を全面的に出してスレイン法国を動かしてはしてはどうかと。」

 

「アンネの本当の姿を出して、無理やり服従させてしまうと言う手か。」

 

カルカの意見である。

 

まあ、一つの案だな。

 

「シルト陛下はアインズ・ウール・ゴウン魔導国がスレイン法国の国民を皆殺しにするかもしれないがそれを防げればよい、とお考えでしょうか?」

 

「そうだな。」

 

「でしたら簡単です。

スレイン法国の六大神の一角、闇の神のスルシャーナの容姿はアインズ・ウール・ゴウン魔導王に似ていると聞いています、

でしたら、アインズ・ウール・ゴウン魔導王はスルシャーナの生まれ変わり、もしくは隠れていただけで表に出てきた、とでも噂を流せば闇の神の信者は助かる事になると思いますが。」

 

ケラルトの意見である。

 

そう言えばそうだったか。

 

また一つスレイン法国の難民を受け入れがたい理由が出来てしまったぞ。

 

「確か近衛にもオックスなる闇の神のスルシャーナに似ている者が居りますよね。

この際、彼を旗頭にして闇の神の信者のみを受け入れるのは?」

 

ぱっと見、良い意見だけれども実行が難しい意見を言ってきたのがラナーだ。

 

ケラルトの作戦は実際にアインズ・ウール・ゴウン魔導国、と言うよりもデミウルゴスが行いそうな作戦だからだ。

 

極端な話、スレイン法国はモモンガさんの視点から見たら人質がいるようなものなので、アンデッドで問答無用で全滅させて行く訳にはいけないからだ。

 

と言うのも適当に全滅させて行って、そこにマイが居たら目も当てられないからだ。

 

逆説的に言えば、マイさえ確保したら、虐殺戦が発生する可能性が高い。

 

原作でも内心は民衆を虐殺するのは嫌だったのに、結局はやってしまったからな。

 

魔導王の君主号の時もそうだったけれども、自分のNPCなのだから止めろよ!

 

話を戻すと、双方が同じことをしたら相当にパニックになるし、結局は雌雄を決する為に戦わなくてはいけなくなるからだ…そんなことをしたら竜王との戦いをナザリックに押し付ける作戦がダメになってしまう。

 

ラナーはエルグリラとナザリックを戦わせたくて仕方がないのだろう。

 

ナザリックから言えば一種の裏切り者になっているのだから。

 

両天秤をかけるからこうなる。

 

「実際問題、今日現時点で受け入れ可能な難民の数はどれくらいなのだ?」

 

最悪、リ・エスティーゼ王国からの数百万の難民受け入れを想定していた筈なので一応は可能な筈だ。

 

「宗教問題はおいておくとして、今日現在では、50万人以下になります。

しかも、スレイン法国の余剰食糧を可能な限り我が国に搬送して、と言う条件付きで。」

 

「それだけしか出来ないのか?」

 

「竜王国の移民受け入れを行ったので、食糧がギリギリなのです。

一月後の収穫以降であればスレイン法国の余剰食糧をあてにせずとも一気に100万人以上に上昇しますが。」

 

そうだった、試算自体が原作の時間軸計算だったので、その計算は来年の収穫期を終えた段階だった…まだ、今年の収穫期にも入っていないのだ。

 

何せ、原作で言えばまだ聖王国編の終わる位の時間軸だ。

 

しかも、リ・エスティーゼ王国の難民も、スレイン法国の余剰食糧やリ・エスティーゼ王国の食糧をあてにした計算だったよ

 

まあ、収穫まであと一月なので、流石にこんなに早くに攻撃して来ないだろう。

 

「我が国の国民の為に申し訳ないのお。

逆にどうじゃろう、ビーストマン達を蹴散らせば、わらわの祖国跡に移民できるのではないかな。

提案だけでもしてみても良いのではないのかえ。

ビーストマン達と戦えば、人属優性思想など吹き飛ぶじゃろうて。

その後に移民として受け入れればよいのではないかとわらわは思うぞ。」

 

ドラウディロンの意見は一番参考になったが…ビーストマンと戦うのは当然、スレイン法国軍だよね。

 

一種の二正面作戦だよ。

 

とは言っても、一種の奇襲になるだろうから、妙な話、一番生存者が多そうではある。

 

どうせ、湖をそれほどの数は渡れないし、その後は来年の秋まで持たせれば良いのだから。

 

相対多数を生存させる、と言う目標に対しては一番効率的な手を打って来る。

 

アレクは本当にエルグリラ至上主義だからな。

 

スレイン法国が亡びるなら、漁夫の利でどれだけのか果実を手に入れるのか、と言う作戦ならお手の物のだけれども、少しでも多くの難民を受け入れる、と言うのには全く向いていない、と言うかその才能を使おうとしないのだ。

 

本気でスレイン法国を助けたいのなら、ナザリックを亡ぼせばいい。だったな。

 

確かにその通りだけれもさ。

 

ツアーに、この世界でおとなしくする保証としてギルド武器かワールドアイテムを預けろ、と言われても到底許容できないが、ツアー率いる真の竜王とは極力戦いたくはないのだ。

 

ツアーとナザリックで戦って貰うしかない以上、ナザリックを亡ぼすことができない。

 

自国の事を考えるとスレイン法国を見捨てるしかない。

 

そんなアレクは

 

「アインズ・ウール・ゴウン魔導国が攻め込んだら我が国も攻め込むべきでしょうね。

恐らく、シルト様が釘を刺したことを守ろうとするとスレイン法国民を暴発させるでしょうから、我が国にも戦争を行うように誘導してしまうのです。

我が国が占領した範囲の民衆は助けられるのでは?]

 

 

皮肉だろうか?

 

「その作戦を誰も言わないのは占領政策が余りにも難しいからですわ。

アインズ・ウール・ゴウン魔導国は住民を虐殺して居なくしても良いのですが、私達はシルト様がお許しになる筈もないのです。

大規模な内乱が発生した場合、確実にアインズ・ウール・ゴウン魔導国に突かれる位は分かりましてよね。」

 

ステラが一瞬、私の方に確認しながらアレクに答えた。

 

「彼女たちの話を聞いていたのなら方法はあるのでは?

先にスレイン法国の上層部にはどのような理由で攻め込むかを裏で通達した上で、天使部隊を全面的に出しておけば大丈夫でしょう。」

 

これまでの話を受けて私は答えた。

 

「通常、宗教や差別意識をなくすのは、冗談抜きで一世代はかかるのだけれどもね。

それをどうにかしようとすれば私が六大神のどれかの生まれ変わりを宣言するしかないのではないのか?

あまりやりたくはないのだけれども。」

 

八欲王の1人を宣言する方がまだ信ぴょう性がありそうだ。

 

「では、六大神を利用する事なしで達成しましょう。

スレイン法国の国民だからと言って全員が熱心な信者と言う事も無いでしょうから。」

 

……

 

実際の会議はもっと長かったけれども、内容的にはこんな感じだった。

 

ソ連と米英軍に攻められる第二次世界大戦末期のドイツのようなありさまだな。

 

全く戦争が始まっていないにも関わらずため息をつきながら今会議で出た提案をスレイン法国に伝える事にして終わった。

 

スレイン法国はどの提案を呑むのかは分からないのだけれども

 

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