もう一つのギルド   作:mshr

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閑話 キュアイーリム=ロスマルヴァー

始まりは後に八欲王、そう呼ばれる汚物どもが世界を改変したため、真なる魔法を使えるものが生まれることが無くなり、位階魔法なる下等生命も使える穢れた魔法が世に広まったことから始まる。

 

その事を知った私を含む竜王は怒り狂い、世界を正す為に彼らに戦いを挑んだ。

 

殆どの竜王は彼らによって倒されたが私は生き残った。

 

と言ってもやつらに勝利した訳ではない。

 

多くの竜王を倒した魔法、大災厄(グランドカタストロフ)を我も食らったのだ。

 

我は強者だったから、まともにダメージを受けたのは初めてと言ってよかった。

 

言い訳をするなら、だから、あの痛みは耐えがたかった。

 

身体強化魔法を全身にかけその場からひたすらに逃げて、目についた山の洞窟に隠れるため隠蔽魔法を使った。

 

それから、我は傷ついた体と使った身体強化魔法の結果失った魂の回復に努めた。

 

回復を行いながら、汚物を倒すために仲間が戦う所を確認した。

 

大災厄(グランドカタストロフ)は交代で使用している事、一人で連発は出来ないのだろう。

 

八人全員が使える訳ではない事、多分五人だ。

 

複数で、一気に襲い掛かればあの巨大な効果範囲で一斉に倒されたが、時間差を置いて五回使わせれば我らに勝機はあった筈だ。

 

だが、まとまりに欠けていた同胞のほとんどは倒された。

 

生き延びたのは戦いから逃げた我のような臆病者か、そもそも戦わなかったのどちらかの少数だけだ。

 

我ら竜王のほとんどが倒された後、あの愚物どもは世界を征服した。

 

だがそれも長くは続かなかった。

 

あの愚物どもは勝手に自滅したのだ。

 

だが竜帝の汚物は100年毎にやってくる。

 

(竜帝)の愚行の結果の汚物は消毒しなければならないが今のままではまた同じように逃げて生き延びる羽目になる。

 

竜王たる我が、もう一度このような屈辱にまみれた事を行う事は許せなかった。

 

もっと強くならなくてはいけない。

 

一つの方法として自身をアンデット化する事を思いついたのだがそのままアンデット化しても自我を失ってしまう事は下等なドラゴンで試して確認した。

 

その後の研究でアンデット化する際に他の魂を捧げれば自我を失わないことを確認した我は、魂の強奪を生み出し、それを行う事で我はアンデット化した。

 

その際に発生した大量のゾンビどもを操り私の体表に張り付けた。

 

ゾンビどもを犠牲にすることで、あの大災厄(グランドカタストロフ)の範囲から離脱する時間は稼げるはずだ。

 

また自らを犠牲にしなければ使えない死なずに滅魂の吐息を放てるようになった。

 

次は打ち破って見せる。

 

そう思いながら我は長きに渡る眠りについた。アンデットになったから、眠りと言っても動かないだけだが。

 

あれ以来、愚物どもは戦力(拠点)を伴ってやってくることはなかった。

 

複数人で現れたものは、同胞のツァインドルクス=ヴァイシオンが処理したようだ。

 

下等生物だから別にいいが、汚物の残骸と戦わせて、仲間の振りをしてのだまし討ちは誇り高い竜王としてどうかだが。

 

ある時、我の隠蔽を突破して我を見ている存在を確認した。

 

幸い、見ている存在は魂の強奪の範囲からのようで、他にも多くの下等生物が範囲に存在していたので我を見ている者への攻撃と我は自身の強化を兼ねて魂の強奪を発動した。

 

しかし我を見ている存在は強奪できなかったようだ。

 

アンデットまたは、強奪できないほどの強者…恐らく汚物だ。

 

暫くして一人の人間の男と天使が転移してきた。

 

恐らくその男が汚物(プレイヤー)だろう、汚物の残骸(NPC)だとしても同じことだ。

 

「お前はプレイヤーだな、NPCだったとしてもやる事は変わらない。

我が名はキュアイーリム=ロスマルヴァー、元■◆の竜王、現朽棺の竜王(エルダーコフィン・ドラゴンロード)よ!!

竜帝の汚物は私が倒す」

 

次々と天使がやってくるのを止めるのと、この汚物を逃さない為に『世界歪曲障壁』を発動した。

 

『世界断絶障壁』と悩んだが、『滅魂の吐息』で一気に消す予定な事と、追加で汚物か汚物の残骸がやってくる可能性を考えて魂の消耗が少ない『世界歪曲障壁』を選択した。

 

予定通り天使が現れる転移門は消滅したが、その直後、大災厄(グランドカタストロフ)を使ってきた。

自身や天使を巻き込んで使ったとは思えない以上、効果範囲から出るのに一番近いのは汚物が居た方向になる。

 

事前に想定していたので迷うことなくそちらに飛んだ。

 

これも予想通り、表面に貼り付けていたゾンビは全滅したが我はダメージを受けずに突破できた。

 

その男が「攻撃せよ」と言ったとたん、天使たちの攻撃が始まった。

 

殆どは無意味に近かったが、中には私にかなりのダメージを与える存在が確認された。

 

だが無意味だ。

 

「八欲王と名乗る汚物が使った穢れた魔法を、今度は逃げん。

消えろ、『滅魂の吐息』」

 

天使たちは消え失せたが、その男はなに事もなかったかのように残っていた。

 

その男はスクロールを使ったが何も起きない。

 

新しく天使を呼ぼうとでもしたのだろうが『世界歪曲障壁』で発動しなかったのか。

 

『滅魂の吐息』が効かなかった理由については一つ心当たりがある。

 

『世界断絶障壁』を打ち破った汚物が持っていたアイテムだ。

 

「劣等な生命体が何故効かない…穢れたアイテム(ワールドアイテム)か!」

 

我はその男に攻撃を仕掛けた。

 

なぜかその男は天使に向かって「攻撃せよ」と話して以来、何一つ言葉を発していない。

 

ひたすらに我から逃げ回避に徹しているだけで、魔法も攻撃も行った形跡もないのに、切り傷が発生し炎がまとわりついて我はダメージを受けていた。

 

どういうことだ?と疑問に思うと後ろから気配がした。

 

振り返るとまたしてもゲートが開き天使がやってきた。

 

さっきのスクロールはこれで、うち漏らした天使でも隠れているのか?

 

天使たちが『世界歪曲障壁』の超えて近づいてくると我への攻撃を開始した。

 

『世界断絶障壁』にしておくべきだったか?

 

今更ながらではあるが、魂の消費をケチったことを後悔した。

 

こいつらを消して、あの男を殺す。

 

そう我は決心して、

 

「汚らわしい下賤の者がうっとおしい、『滅魂の吐息』」

 

天使たちを消し去った。

 

再度、男の方に向かおうとしたらまたしても大災厄(グランドカタストロフ)が発動した。

 

男の方に突進しながら思わず叫んだ「なぜまた使える、他にも汚物がいたのか?」

 

先ほどはゾンビたちを盾にしていたら確実ではないが、先ほどより、それどころか五百年前に受けたものより威力が破格に大きい。

 

私は死ぬのか?

 

せめて一撃でも…遠のく意識の中で我はそれを願った。

 

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