もう一つのギルド   作:mshr

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第9章5話 法国南側の戦い…

三か月たった。

 

スレイン法国に食糧倉庫を貸すことになった…まあ、戦争が始まったら難民用の食糧になるのだが。

 

このようにして、ある程度の難民を受け入れるようになったのは良いが、人属至上主義を捨てられる人間しか今のところは受け入れられない。

 

600万人くらいはどうにか守れるのか?

 

当然、スレイン法国の南部を占領した上での数字だけれども。

 

まだ戦争に至っていないのだけれども、このようにスレイン法国の避難準備が始まったのは、予想通りと言うかなんというか、アインズ・ウール・ゴウン魔導王=闇の神と言う説が流布し始めた事と、南北の多種族国家に対する過激派が増加しているからだ。

 

まあ、北が先行して、南はその後に発生しているのだけれども。

 

南に対する過激派はスレイン法国上層部と我が国の諜報部隊が流布している物だから…マッチポンプ以外の何物でもない。

 

過激派が未だに暴発していないのは、簡単に言うとどちらを先にするのかで揉めているから、と言うとんでもない理由だったのだけれども、正直言って時間の問題だと思う。

 

どう云う方法を使ったかと言うと、元竜王国民の扱いが悪く、奴隷的労働を強いられている、とか、アンデッドが排除されていない危険地帯に送り込まれた。

 

と言った事実無根に近いうわさを流しただけだよ。

 

前者は…元守護者を始めとするNPCや、ドルイド系のエルフの皆さんは確かに奴隷的労働な気がするし竜王国の元軍人や冒険者と言ったような者達は、確かにアンデッドが排除されていない地域に送り込んでいるのは事実なので、それを拡大解釈させて広めたと言うのが正しい。

 

スレイン法国は何とか抑えているけれども、特にアインズ・ウール・ゴウン魔導王=闇の神の勢力と、対アインズ・ウール・ゴウン魔導国過激派が衝突するのは時間の問題で、思うに、衝突したらこれを理由に宣戦布告してくるのだろう、と言うのは余程の愚か者でない限り理解できるので、既に軍や物資の移動が既に始まっている訳だ。

 

細かい話をすると、エイヴァーシャー大森林やアベリオン丘陵に接している西部も侵攻する予定だけれども…こちらは半鎖国の閉鎖状態にしないと大問題を起こすような気がする。

 

既にアインズ・ウール・ゴウン魔導国とどこまで占領するかの打ち合わせ迄済ませているからね…いつ開始するかだけになる。

 

「実際の動員戦力はどうなる?」

 

インチキ戦争をすることは決まっているけれども、六色聖典も実際には漆黒聖典以外にはまだ話していない。

 

このような状況で、更に一月が過ぎた時に、ついに、闇の神=アインズ教徒と対アインズ・ウール・ゴウン魔導国過激派が衝突して、アインズ教徒がアインズ・ウール・ゴウン魔導国に助けを求めると言う事件が勃発した。

 

かくして戦争が始まった訳である。

 

その直後に、我が国から逃れた元竜王国民(偽)から救助要請が届いた。

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導国の使節団がシクルサンテクスに到達するよりも早く、我が国にスレイン法国が宣戦を布告してきた。

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導国の戦力はかなりのレベルで知れ渡っているのに対して、シャンドラド千年王国の戦力はそこまで知れ渡っていないからね。

 

スレイン法国軍に、先行してシャンドラド千年王国領、元竜王国民居住地攻略作戦命令が発布した。

 

と言う訳で、アインズ・ウール・ゴウン魔導国の使節団がシクルサンテクスに到達したまさにその日、シャンドラド千年王国とスレイン法国の戦闘の火ぶたが切って落とされた。

 

「一番強力な漆黒聖典とは話は済んでいる。

他はどうだ?」

 

私は玉座の間で戦況を見ていた。

 

「既に先行して潜入してきていた、風花聖典、水明聖典の捕縛を完了しました。

また漆黒聖典、陽光聖典、火滅聖典の存在を確認しました。

陽光聖典は再建中と聞いていましたが、残り二つの聖典のバックアップのようですね。」

 

アランの説明を聞きながら、法国軍主力に先行する形で浸透してきている各聖典の状況を見ながら命令を下した。

 

「作戦通り、番外席次アンティリーネと交戦しろ。」

 

漆黒聖典と戦う為の部隊は、実に一個レギオン。

 

頭数だけでも漆黒聖典の三倍なので、漆黒聖典と戦う部隊の後方を襲おうとしている火滅聖典毎、制圧するのはどう考えても余裕だった。

 

実の所、別の意味でも期待している…アンティリーネの私へのロックオンを外せないかな…ちゃんとレイラの元から一時帰還させたエルフも入っているし。

 

どう考えても過剰戦力なので、文字通りあっという間に両聖典を制圧してしまった。

 

しかも、どう考えても漆黒聖典が真面目に戦ったようにしか見えなかったのは笑うしかない。

 

漆黒聖典とはマッチポンプな筈だったのにな…もしかして本気で戦ったのか?

 

ニグンが率いていた時よりも劣化していると考えられる陽光聖典も、漆黒聖典を全員捕虜にしたのを見せたらそのまま降伏した。

 

こうして、事実上スレイン法国の主力が消滅した。

 

「土塵聖典は出してこなかったのか?」

 

「避難先を我々の元のみに限定したくは無かったのでしょう。」

 

「あそこに1万人も避難出来たら奇跡ではないのか?」

 

転移門(ゲート)の魔法でも使用しない限り、大規模な避難は出来ないと思う。

 

「実際は一部の技術者などだけでしょうね。」

 

「我々も完全に信用しては貰えていない訳だ。

場所がばれた段階で、何ともならない筈だけれども。」

 

「少なくとも、我々の支配領域を超えない限りアインズ・ウール・ゴウン魔導国がやって来る事は無い、とでも考えているのではないですか?」

 

因みに、そこに神の血と言われるポーションや第4階位のスクロールの研究、製造機関がある。

 

マイがそこに居ても不思議ともなんとも思わない。

 

この場所を突き止めたのも最近だからね。

 

密偵の者が一方的な決闘(ロプサイデッド・デュエル)でついて行って場所が判明したほどだ。

 

アランが作った地図で何かしらの隠蔽がある、とされた場所の一つだったから、ここだったのか?と言う感じではある。

 

事前に人間が住んでいた事は知っていたけれども、スレイン法国の発祥の地だとは知らなかった。

 

個人的には、六大神の本拠地があり、スルシャーナの眠るカッツェ平野近郊にあると思っていたので。

 

八欲王の前の時代なら、ドォロール砂漠もその殆どが緑地地帯だった筈だから、その時代なら普通に北上しただけで済んだのだろう。

 

その時代にあったディ・グォルス帝国の人間牧場だった可能性も否定できないのだけれども。

 

多分、自分たちの本拠地に近い場所に人間種を連れて来た、と言うのが正しいのだろうね。

 

良く考えたら、カッツェ平野の周辺の四か国は全て人間種国家だったよ。

 

人間種領域の東方にも、虐げられたり食料にされているとは言っても人間種が居ない訳では無いので、周辺にあった国を滅ぼして、そういった人達もいるだろうし、その人数の方が多そうではあるけれども。

 

しかし、マイは何処にいるのだろうか?

 

アインズ・ウール・ゴウン魔導国が作戦を開始した以上、居場所をある程度は判明したはずだけれども。

 

私は未だにつかめない、マイ・ヤマー・カネーヤの居場所を最悪、隊長辺りに記憶操作(コントロール・アムネジア)を使ってでも確かめようとした。

 

見つからないと私のせいにされそうなので。

 

マイは何処にいるのだろうと言うようなことを考えている間に戦況は進んでいた。

 

スレイン法国軍本体は、捕縛したアンティリーネと共に現れた1パーティーと自警団や天使隊によって包囲された事によって丸ごと降伏した。

 

兵士たちに理解できなかった者はいたけれども、将軍クラスの者達は、漆黒聖典が勝てない相手に勝機がある訳がない事を知っているからだ。

 

結果4万名が降伏してきた。

 

この4万であるが、リ・エスティーゼ王国のように徴兵されたものではなく、バハルス帝国のように専業軍人だったりする。

 

しかも、スレイン法国南方軍はこれだけではないのだ。

 

ドォロール砂漠方面に大王国への対処として3万の軍が展開しているし、この同規模以上の軍が北方にも展開している。

 

聖典が我が国に来ている関係で、対魔導国方面の方が頭数は多いのだ。

 

この事実に自分でも驚きあきれ返ってしまう。

 

帝国は常備軍8万で、法国は常備軍20万。

 

どちらも後方支援部隊の数は入ってはいないし帝国は貴族の軍が入っていないのだけれども、王国が徴兵で無理やり集めた数と同じだけの訓練された軍を用意できるのは相当な物だと思う。

 

もちろん、南方だけで7万の軍を用意できたのはアベリオン丘陵とエイヴァーシャー大森林への対応の為の軍を減少させている為にできたとも言えるけれども。

 

いくらなんでも、武装解除に手間取ったので、本日の戦闘はここまでになった。

 

「今日は4万人、明日は3万人、明後日は更に2万人(西方軍)の捕虜が出る予定なのか。」

 

「事前に食糧が用意されていますので、さほど問題は有りませんが。」

 

「その食糧がスレイン法国産だと知ったら、どう思うのだろうね?」

 

「北の戦況を知った後ならさぞかし喜ぶでしょうね。」

 

「実は上層部とはグルだった、とは知られたくはないね。」

 

「状況証拠から言って怪しさは有りますが、彼らの最強戦力を倒して見せたのですからそこまで疑問に思われないのでは?」

 

「そう願いたいよ。

法都を魔導国よりも先行して制圧したいが大丈夫だよな?」

 

「魔導国の使節団は本日シクルサンテクスに到着して宣戦布告を行っていますから、よほどのことが無い限り先行できるはずです。」

 

「極力、傾城傾国以外は渡さないようにしたい。

途中の町や村は、可能な限り降伏させて、しなくても無視して進軍するのだったよな。」

 

「間違いないです。

人的被害はほとんど発生しない筈ですので。

多少の負傷者だけでしょう。」

 

結局、魔導国の戦争開始までの猶予期間だけで、事前打ち合わせが終わっていたラインまで進出出来てしまった。

 

転移魔法で途中をすっ飛ばしただけだけれども…

 

直ぐに法都を陥落させて魔導国に傾城傾国を送り届けることになった。

 

首都のシクルサンテクスは第二次世界大戦のベルリンのように分割統治の予定だったのだけれどもね…どうしたものか。

 

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