もう一つのギルド   作:mshr

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第9章6話 法国北側の戦い

~~~モモンガSIDE~~~

 

「アインズ様、シルト様から傾城傾国が送られてきましたわ。」

 

「アルベド、千年王国の動きだけれども何と言うか早すぎるだろう。」

 

「我々と取り決めしたラインで軍を停止させたようですが。」

 

戦争開始から二週間も経たずに分割ラインまで進出したのは可笑しすぎとは思うけれども、説明自体は可笑しくないのが何とも困る。

 

「ところで、シルトさんはマイを見つけたのか?」

 

メッセージの連絡では未だ見つかっていないと言うより、まともに占領した町が首都だけだと言っていたからな。

 

「現在、首都の掌握と情報集めをしているようですが、法国の最高執行機関の殆どは逃げだした後で現在は書類などを精査する段階だそうです。」

 

パンドラ経由でも同じ報告しか来てはいないのか?

 

「我が軍はどうなっている?」

 

「明日にでもスレイン法国軍と戦闘になる予定です。」

 

「10万程の軍だったか?」

 

「その通りです。

法国は徴兵を開始しているようですが、そちらは、シャンドラド千年王国方面に送られているようです。」

 

「デミウルゴスはどう言っている。」

 

「千年王国軍は降伏していない町や村を放置して侵攻しています。

ですので、後方蠢動させるのは容易いと言っていましたが。」

 

「千年王国と事を構える予定にはないのだけれどもな。

軍だけを協定のラインまで前進させて、占領を殆どしていないのだったな?」

 

「どうもそのような感じです。

首都のマジックアイテムや資料を押さえる事を先行したようですが、シルト様本人はどう言ってきているのですか?」

 

「実際に、戦闘自体は余裕だったそうだ。

法国の特殊部隊の六色聖典の殆どがシルトさんの方に行ったらしく彼らを撃破した後に捕虜にした将軍から聞いた作戦では、聖典が千年王国軍を撃破した後に、元竜王国民を助け出す目的の軍で、訓練部隊や警備部隊を中心にした二線級の軍だったそうだ。

と言っても、聖典の殆どをまわしているので、戦力的には法国の主力が向かったと言う認識で間違いないらしい。

何でも、漆黒聖典だけで残りの法国軍全軍よりも戦力的には上と判断していたそうだ。

なので聖典だけなら移動させるのも難しくは無いから、千年王国軍を撃破した後、即座に北に送って我々と対峙する計画だったそうだぞ。」

 

「その聖典が千年王国軍に敗北したので法国の計画が狂った、と言う訳ですか。」

 

「そうらしい、既に、まともな軍が居ないと言う判断で、一気に軍を進めて、後方の町や村は適当に降伏勧告をしながら干上がるのを待つつもりらしい。

宗教戦争に介入したくないとも言っていたよ。」

 

「異常に軍の進軍速度が速かった理由は理解しています。

占領をしていないのですからね。

少し怪しさは感じますが。」

 

「シルトさんは約束自体は守っているからな、アルベドはどこまで追求するつもりだ?」

 

「直感では怪しいと思っても、もどかしいですが追求は出来ないですね。」

 

「そうだろうな。」

 

占領していないから、シルトさんの制圧ラインの内側にいる可能性も有るし、執行機関が逃げ出す際に連れ出した可能性も有ると言う訳か。

 

「いずれにせよ占領に手間取って進行速度が遅くなる、と言うこちらの予想は外してきたわけだ。」

 

「アインズ様のおっしゃった通り、首都以外を無視して強襲した事になります。

我々も転移魔法で一気に強襲した方が良かったのでしょうか?」

 

「アルベドが戻ってくる迄は戦争を始める事は出来なかったからな。

こちらが戦争を始めた時には法都シクルサンテクスが陥落しているのは想定外だったではないか。

可能性としては、先に千年王国が戦争をする可能性自体はデミウルゴスも指摘していたが。」

 

「勝手に先行して戦争をしない、と言う微妙な線をついてきましたね。

私が法都に宣戦布告を行ったその日に戦闘を開始しましたし。

私がナザリックに帰還した時には法都攻撃を行っていたので流石に対処しようがありませんでした。」

 

「評議国戦での戦力温存になった、とでも思うべきなのかもしれないが。」

 

実際にナザリックが同じような作戦をしようにも、シャルティアの転移門(ゲート)でモンスターを送り込んでもモンスターでは細かいことはできないし、全てNPCのみで法都攻撃の戦力を送り込めるシルトさんだからできた芸当だよな。

 

こう言う所でも差を見せつけてくれるな。

 

~~~

 

翌日、ナザリック軍と法国軍が正面に対峙していた。

 

「デミウルゴス、どう思う?」

 

「法国では信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)の数がかなり多いようですので、スケルトンやゾンビと言った下級アンデッドはかなりの数が排除される可能性が高いのではないかと考えられます。

ですが、デスナイトやソウルイーターならば問題はないかと。」

 

ナザリック軍が前進した。

 

スレイン法国軍側から大量の天使が召喚された。

 

いくらなんでも数が多すぎないか?

 

「これは、明らかに数が可笑しいですね。

これだけの数の信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)が居るとの情報は無かったのですが?」

 

デミウルゴスも少しあせっていた。

 

「アインズ様、千年王国の者が混じっているのではありませんか?

あのアンネと言う天使ならばこの数でも召喚できる可能性は有るのでは無いかと?」

 

「二人とも、その割に、高位の天使が居ないようだが?

彼女なら高位の天使で一気にアンデッドを片付けようとしないか?」

 

「言われて見れば確かに、ゾンビやスケルトンは排除されていますが、デスナイトやソウルイーターには殆どダメージが出ていないようで。」

 

「被害がスケルトンやゾンビだけなら想定の範囲内と言えば範囲内ですが。」

 

「デミウルゴス、気が付いたことが有るなら言ってみろ。

他の者にも分かり易くだ。」

 

何か気が付いたのか?

 

「確かアインズ様と戦われた者は魔封じの水晶で第7位階天使召喚(サモン・エンジェル・7th)を使い、エ・ランテルのアンデッド騒動の際にはンフィーレア様に叡者の額冠と言うアイテムを装備させて不死の軍勢(アンデス・アーミー)を使用して数千のアンデッドを生み出したわけですが、どちらのアイテムも法国の物であった筈です。

この天使の大軍ですが、天使の軍勢(エンジェルス・アーミー)ではないかと。

余りにも数が多いですが、ンフィーレア様の時と状況が似ているのではないですか?」

 

「確かにそうだな。」

 

「シルト様は確かに法都を制圧したようですが、叡者の額冠を装備した巫女姫は法都に居たのでしょうか?」

 

「そのような報告は来ていませんね?」

 

「であればこれは巫女姫によって行われている可能性が高いと考えます。」

 

「デミウルゴス、確かにそうだな。

だとしたら次はどのような手を使ってくると考える?」

 

「デスナイトやソウルイーターを倒せる魔法の行使かと。」

 

そのような事を言っていると、前進しているデスナイトとソウルイーターの中心に白い輝きが発生した。

 

陽光爆裂(シャイニング・バースト)か、流石にデスシリーズやソウルイーターには効くだろうな。

 

実際に白い輝きの範囲のデスナイトとソウルイーターは消滅した一方、天使たちは何事もないかのように残っていた。

 

結局双方ともに撤退してその日の戦いは終わった。

 

「周辺国最強は伊達では無いな。

こちらの被害はどの程度か?」

 

「スケルトンとゾンビはほぼ壊滅。

最も、直ぐに補充が効きますが。

デスシリーズやソウルイーターが合計で200体近くがやられました。」

 

「アイ~ンズ様、千年王国に確認しましたが、法都シクルサンテクスで巫女姫らしき存在は確認できていないそうです。」

 

「とすると、法国は聖典を千年王国に送り、竜王国民を助けた後でこちらに回す、その間を巫女姫の魔法で我々を押さえる戦略だったのでしょう。」

 

「本命はあくまでも私達ということかしら?」

 

「とは言え、手の内はほぼ見えたな。

巫女姫を倒せば殆ど障害は無いと言う事だ。

やれるのか?」

 

「本日の戦いで大体どのあたりにいるのかは掴めました。

シャルティア、やれるかい?」

 

「任せてくださいでありんす。」

 

翌日の戦いは一方的なものになった。

 

巫女姫を目指してシャルティアが突撃して、倒してしまうと、その後は魔封じの水晶によるものと思われる、散発的な反撃は有ったものの、10万の軍をほぼ全滅に追い込んだ。

 

軍を撃破した後、スレイン法国の最高執行機関の殆どが居る街が分かり、その街を攻撃して彼らを捕縛する事に成功した。

 

三回の質問で死んでしまうので情報を得るのは難しかったが、マイは法国の守り神と言われるスルシャーナの第一従者の元に居るとの情報を手に入れた。

 

シルトさんの情報で、スルシャーナの眠るカッツェ平野の中にある城の廃墟にやってきた。

 

「ここが、六大神の拠点なのか?」

 

「その筈です。」

 

「シルトさんが言うにはネコさま大王国の可能性が極めて高い、と言っていたが、一体、何層あるのだろうか?」

 

廃墟、と言うよりも正しくは廃墟風と言うべきなのだろう。

 

ネコさま大王国のギルドの指輪と思われる指輪も入手したけれども、行ったことが無ければ内部にいきなり転移できる事は無い。

 

居住階層を除けば、攻略時の設定から大きくは変更はできないので、元々廃墟の城だったのだろう。

 

廃墟を元に戻すことはできるのだけれどもやらなかったのだろうな。

 

私達は暫くシルトさんを待った。

 

 

シルトさんが数名の者と共に転移してきた。

 

「お待たせしました。

では行きましょうか。

こちらの者がここには来たことが有るとの事です。」

 

そう、紹介した女性は髪の半分が白銀で半分は漆黒、目も片目が白銀で片目が漆黒だった。

 

「彼女もオッドアイですが彼女がマイでは無いのですよね?」

 

「彼女はエルフの王だったデケム・ホウガンの娘なのでオッドアイなだけですよ。

スレイン法国の神人の1人、アンティリーネ・ヘラン・フーシェさんです。」

 

シルトさんがそう言うと、彼女は私に頭を下げた。

 

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