私は六大神の拠点だった廃墟の城に来ていた。
この拠点だけれども、元々廃墟だ。
因みに、この拠点の運営の付けた本当の名前は忘れてしまった。
ネコさま大王国が名付けた名前は風雲にゃんこ城跡である。
モモンガさんに手を貸す必要はないかもしれない、とは思ったけれども、何せアインズ・ウール・ゴウンとネコさま大王国は仲が悪かったからね。
原作で疑問だったのは、このギルドのNPCって殆ど戦闘用では無かったのだ。
なので魔神も従属神もその殆どが傭兵モンスターであると知って、逆に納得できたのだ。
ネコ系の愛玩用が多かったからな。
因みに第一層にネコカフェがあった。
何回も通ったので覚えている。
アンティリーネの情報ではまだいるらしいが、どう考えてもNPCの子孫だよな。
そう思いながらモモンガさんに声をかけ挨拶をした。
「転移前は仲が悪かったと思いますけれども、過去の禍根は忘れてくださいね。
私も魔法職傭兵ギルドのNPCと会いましたが、転移前の禍根は忘れて会談を行いましたので。」
「砂漠にあると言う天空城エリュエンティウに行ったのですか?」
やっぱり知っていたのか。
まあ、最終日まで天空城を維持していたのは三ギルドしかなかったからね。
「ナザリックよりもはるかに近いですからね。
使節団を送ったら会う事になりました。」
「誰かに会ったのですか?」
「都市守護者、と言われる守護者ですよ。
地上部分にしか行っていないのですけれどもね。
地上部分だけで30人の守護者です。」
「やはり元傭兵NPCですか?」
まあ、千年王国を知っていたら気が付くよね。
「恐らくそうですね。
戦力的にはナザリック以上の可能性が高いです。
八欲王も蘇生可能な状態で保管されているようでしたよ。」
確かかなりの警戒をしているのだったか。
場所から言って砂漠に手を出さなければ大丈夫だからね。
「しかし、大丈夫だったのですか?」
「まあ、大丈夫でしたよ。
地上部なら最悪脱出可能ですから。
過去に何があったかの話を聞きましたが、どこまで本当なのかは分からないのです。
ツアーが本当にあけみちゃんさんを殺したのかは聞いていませんよ。
私は何回も行きたくは無いので。」
「誰か行かせてみましょうか?」
「その辺りはお任せします。
そろそろ行きましょうか?」
しかし妙な気分だった。
私達二人は、こうして、それなりに仲良さげに話しているのに、私達の後ろにいる者達の間は微妙な雰囲気なのだ。
一番微妙な雰囲気を出しているのがアンティリーネだったりする。
他の者は…微妙では無いな。
彼らの主人が仲良く話していなければ、即一発の雰囲気だよ。
アンティリーネから私達を見たら、裏で組んでいて法国を二分割したようにしか見えないのだろうが、付いてきた近衛や守護者を見たら訳が分からなくなるだろう。
しかもここにいる全員が彼女より強いのだから微妙な雰囲気にもなるよね
私は実際にここに来るかどうかはかなり悩んだ。
来ない場合、この拠点を破壊しかねない事をアンティリーネに説明してここに来たのだけれども。
「彼女は転移魔法が使えませんので、スクロールを使用しますが、ここにいる全員で良かったのですよね。」
「大丈夫です。」
微妙な雰囲気の二団体をどのように受け入れてくれるのだろうか。
ネコさま大王国のギルドの指輪をはめたアンティリーネがスクロールを使い、
転移するとキャットタワーなどがある、いかにも猫の為の部屋で、猫に囲まれた猫の仮面の人が私達を出迎えた。
要するにネコカフェである…転移魔法を使うまでも無いじゃん。
まあ、そんなことはモモンガさんには分からないか。
「久しぶりだね、フーシェの嬢ちゃん。
他の者達はどのような人達だ。
アンデッドでも気にしなくてもいいよ。
私もだから」
そう言いながら彼は仮面を外した。
仮面を外した彼は、多分、オーバーロードだった。
ただ、頭蓋骨からいって人間ではない…ネコ科だよな。
ネコ科の骨はサイズが違うだけで猫なのか虎なのかライオンなのかは分からないのだよね。
二足歩行なのでケットシーのオーバーロード、と言うべきなのだろう。
仮面以外の装備品から言って前衛タイプのオーバーロードのようだ。
まあ戦士タイプのアンティリーネの師匠だからね。
「多分、先輩とお見受けしますが
「私はナザリック地下大墳墓の主人、アインズ・ウール・ゴウンと申します。」
…ユグドラシルの人に対して拠点名とギルド名は無いのではないかな?
とは言ってもここはアインズ・ウール・ゴウンと強い敵対関係にあったネコさま大王国なので。
「アインズ・ウール・ゴウンはギルド名では無かったですか?」
と聞いてきた。
「ああ、いえ、私一人しかこの世界に転移しなかったもので、ギルドメンバーの名を背負うと言う意味で改名しました。
前の名前はモモンガで、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターです。」
「それならばわかりました。
私は偉大なるスルシャーナ様の僕、ルージュです。」
アズスめ、微妙に間違えやがって。
「先輩と言われましたが私は
プレイヤーであるあなた方はスルシャーナ様とは同格。
気になされないでください。
ところで、どうしてここに訪ねて来たのですか?」
スレイン法国の守護神、とか言われているわりにはスレイン法国はどうでも良いのだろうか?
「マイ・ヤマー・カネーヤがここにいると聞きましたが会わせて貰えないだろうか?」
モモンガさんらしくない、焦っているのかな?
こういう時には少しでも情報を引き出すものではないのかな?
「確かにいますが、どのような関係で?」
「彼女の母親である、アケミ・ヤマーは私のギルドメンバーの妹なのです。
なのでぜひ会いたいと思いまして。」
「その人の名前は?」
「やまいこ、または山瀬舞子です。」
「確かにその名前は聞いています。
ここに呼びますが妙な真似はしないでください。」
こうしてマイがやってきた。
オッドアイの目のハーフエルフだ。
「あけみちゃんさん?」
「そっくりだ。」「少し違うけれどもものすごく似ている。」
モモンガさん、アウラ、マーレが次々そう言ったところを見ると、本当にそっくりらしい。
「あの、どなたでしょうか?」
ここから、彼女とモモンガさんとダークエルフの双子の間でやまいこさんやあけみちゃんさんの話になった。
間違いなくあけみちゃんさんの娘らしいとなり、盛り上がったのだけれども、ついに聞いてしまった。
「マイさんはどうしてここにいるのでしょうか?
私達、ナザリックは貴女をメンバーとして迎え入れたいと思います。
やまいこさんの残したマジックアイテムや装備品もあなたの物としますが。」
「私はここから出られないのです。」
「どうしてでしょうか?」
「
エリュエンティウの都市守護者を都市に閉じ込めているのだから、ある程度の予想は付いた。
アンティリーネもツアーの要求で、そうそう簡単に戦力としては使えなかったようだからな。
しかしツアーは順調にモモンガさんのヘイト値を貯めていくね。
「ここでも、このモモンガさんのナザリックでも外に出なければ大丈夫なのではありませんか?」
一応の助け舟を出してみた。
「確かにそうかもしれません、でもそうではないかもしれません。
父さんや母さんのように殺されたくは無いので。」
余程のことが無い限り、あの話が嘘だとは思ってはいなかったけれども…私が一番知りたいのはその理由だ。
魔神を倒す時は良いように使って、後は使い捨てか?
多分、あの二人以外は竜王から見たら脅威では無かったのかもしれないし、それ以外の理由があったのかもしれないが。
私の隣で怒りをこらえているのが分かるオーバーロードがいるし、アウラやマーレも「私達が倒しちゃうから気にしなくていいよ。」とか言っている。
「つらいことを聞くようですが、貴女のご両親は何故、ツアーに狙われたのですか?」
「それは私が答えましょう。」
代わりにルージュが返事をしてきた。
「彼女の母親が持っていたワールドアイテムを奪う為です。
私の主人もかなりのアイテムを人間種に渡すことで竜王達と和解した経緯がありますが、どうもワールドアイテムを狙っているようです。」
「何故、ワールドアイテムを狙っているのですか?」
「世界のバランスを崩すからとか言っていましたが、それだけかどうか?」
私の個人的見解では、始原の魔法を阻害する事も原因の一つではないかと思う。
そもそも、私達レベルの強さの存在は、それだけで世界のバランスを崩すのだと思う。
当然、私のこの考え方の中には真なる竜王も入っている。
ツアー以外の竜王はそこまでまともな考え方には見えないからな。
彼らはこの世界に元々いたのでその点を言われれば若干の後ろめたさは有るけれども、だからと言ってお互いさまではないのか?
おとなしくしている分には見逃して欲しいものだ。
「モモンガさん、私も貴方も狙われる可能性が高いですね。」
「マイさん、貴女が自由に外に出られるようにしますので、少し待っていてください。
ルージュさん、ここには遊びに来て良いのでしょうか?」
「この部屋しか認める気はないよ。
この部屋から一回でも出たら指輪は返してもらう。」
「分かりました。
今日はいったん帰らせてもらいます。」
「私はまだ聞きたいことが有りますがどうしますか?」
「じっとしていたくはない気分ですので。」
そう言うとナザリック一行は帰っていった。
「私はマイさんに会いに来たわけでは無いので。
ルージュさん、私が知りたいのはスレイン法国の成立経緯です。
貴方はスレイン法国の守護者、と言われているのに今回全く出て来ない。
現在のスレイン法国は八欲王を敵視しているようでしたが500年前は八欲王の介入がありましたよね?
どうしても理解できないのです。」
「スレイン法国と私のご主人様達は本質的には無関係なのですよ。」
どういう事?
「スレイン法国は六大神、そう呼ばれるあなたの主人達が建国した国では無いのですか?」
「スレイン法国の元は、ここよりかなり南の小さい国でした。
と言っても、当時の感覚で言えば、亜人や異形種の狩猟場に近い感覚で、彼らを排除したのがきっかけで、その中の人々が私達の近くまでやって来て国を成立したのが始まりですが、いろいろ相談をされたので、全くの無関係かと言われればそれもまた違うのですが。」
「つまりは、その小国の者達が国を作ったのですか?」
「他の者達は完全に亜人や異種族の支配下だったので、他の者達は国を作るとか運営する、と言う事自体が出来なかった為、と思ってもらえれば正解ですよ。
後は勝手にご主人様達を神として称え始めたのが六大神の始まりですから。」
これには少し驚いた。
もっと積極的に関与したと思ったよ。
「スレイン法国以外の国はどのように成立したのですか?」
「殆どは八欲王が起源ですね。
彼らが出てくるまでスレイン法国だけで、リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国に分裂する事になった国もありませんでしたから。」
意外な事実がここに。
「当時は聖王国とアベリオン丘陵、リ・エスティーゼ王国の領域も全てスレイン国の領域でしたから。
と言っても、点と線で結んだだけで、強者から解放された人達が取り合えずスレイン国に属しただけと言う有様でしたので。」
状況は何となくだけれども理解した。
「エルフの国とかドワーフの国のように人間種の属毎に国を分けてはいなかったのですか?」
「それどころではなく、協力しなければ他の種族には太刀打ちできませんでしたから。
当時は魔法も使えなかったのです。」
そう言えばそうだった。
「何故、今は分かれているのですか?」
「本当の意味でこの辺りが人間種の領域になったのは、八欲王の時代です。
彼らがひとまとめにするよりも別れた方が良い、と判断したようです。
判断理由の全てまでは分かりかねますが、当時の国の王や貴族は八欲王やその守護者の子供が多かったと思います。」
「単純に子供たちに分け与えたとは思わないのですか?」
「八欲王とは会いましたが、そう単純では無い様でした。
分けておけば全滅しないだろう、と言ったような事を言っていました。
実際に、亜人や異形種の子供は王や貴族になる事は有りませんでしたから。」
「と言うと、当時の王や貴族は自分の種族を守るための強者が付いていた、と言う事でしょうか?」
「大体は合っています。
表面上の理由なので先ほど言いましたように全てでは無いと思っていますが。」
生き残りはデケムだけだったものな…確かに彼を見ると本当か疑いたくもなるか。
かつてのダークエルフの王はザイトルクワエと戦って死んだらしいが、こちらは役目を全うしようとしたと言えるのかもしれないけれども。
「スレイン法国には王も貴族もありませんよね?」
「なんでも、八欲王が言うには、政治形態の多様化、と言うらしいです。
現在のスレイン法国はご主人様達に相談してできたので、ギルドのシステムに近い国家になっていました。
その影響の少ない所に王や貴族が置かれたようです。」
八欲王はリスク分散を知っていたのか。
「貴方の主人達は積極的には多種族を倒してはいないのですか?」
「私達と言う意味では、それなりに倒しましたが、どちらかと言うと傭兵モンスターを貸した形になっていましたね。
ご主人様たちは、人間種を贔屓にしていて、かなりの傭兵モンスターを用意したようですが、金貨にも限りがあるので限界はありましたが。
ご主人様たち自身は、強大な竜王を退けるのが精一杯な所がありましたから、人間種を守りたくてもそこまで手が回らなかった、と言うのもあります。」
「個人的に疑問なのですが、どうやったらあの竜王と戦えたのですか?
私は一体だけでもその強さは痛いほどわかったので。」
「主人様達の内、
傾城傾国とロンギヌスを持った状態なら竜王の魔法に抵抗できる事が判明したのは僥倖と言って良いと思います。」
「女性の方はいたのですか?」
六大神の事は本当に情報が無いからな。
「私の主人のスルシャーナ様とアーラ・アラフ様が女性でした。
他にもNPCで何人か。」
…オーバーロードにも性別があったのだ。
では無くて、死神プレイのスルシャーナは女だったのかよ。
名前の元ネタではないかと思うスジャーターは女性だけれどもさ。
「こういう言い方はどうかですが、戦闘に秀でたNPCは何体居たのですか?」
「私の他にも何体かいましたよ。
竜王に消されましたが。」
だよね。
何となくだけれども、貴方は守護者ではないのでは?
「私は風雲にゃんこ城跡に戦闘用の守護者が居た記憶はないのですが貴方は拠点に縛られていましたか?」
「私のご主人様はスルシャーナ様のみです。」
やっぱり、ここでもそうか。
傭兵NPCは計算を可笑しくさせるよ、本当に。
この後も話を聞いたのだけれども、どうもこのルージュさんはスルシャーナさんの夫の設定らしい。
設定と言うのは、アンデッドが結婚なのか?と言う事で、少なくとも恋人であったのは間違いないらしい。
他にも聞いたけれども、前にエリュエンティウで聞いた話とはそこまでの食い違いは無かった。
スルシャーナさんを蘇生して、受肉化してみるか聞いてみたけれども、別に興味はないと言われてしまったよ。
しかし一々猫獣人のオーバーロードにするって…やっぱりこのギルドは猫狂いだよ。
ああ、モモンガさんがさっさと帰ったのは…あのギルドは犬派で猫嫌いだからね。
設定から
準ワールドアイテム
モモンガ玉、ゴロにゃん大王等、
ワールドアイテムの200の中には入らないが世界の守りが発生する為そう呼ばれた。
欠点としては装備またはそのアイテムの能力を発揮出来るのが個人の名前が付いたその本人以外不可能な事。
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マヤー(沖縄語) チャぺ(アイヌ語)で猫