もう一つのギルド   作:mshr

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第10章2話 ツアーとの会談

評議会が開始した。

 

私の査問会でないだろな。

 

バカでかいスペースを用意されていながら全然スペースを使っていないものが居た

 

白金鎧だ。

 

この鎧は穴が開いていないのだけれども、やっぱり複数体あったのか?

 

本体はあのスペースの大きさなのだろうな。

 

確か色々と守っているから動けないのだったね。

 

ドラゴンは5体を確認した。

 

数が合わないから1体は永久評議員ではないのだろうね。

 

多分、ツアーの左右の横の各2体が永久評議員なのだろう

 

穴から出ている一体はドラゴン?と言いたいのだけれども、ワーム・ドラゴンのザラジルカリア=ナーヘイウントなのだろう。

 

その、ミミズのようなドラゴンから声をかけられた。

 

「シルト陛下、及びシャンドラド千年王国の方々、ご足労をありがとう。」

 

「いえ、ドラゴンズブレスの街を楽しませて頂きました。」

 

実際は視察に近い。

 

流石に殺すとしてもここでは殺さないだろう。

 

余波だけでこの街が無くなるだろうから。

 

「評議長が来るまで少し待って欲しい。」

 

もういるのではないのか?と思って魔法を使って確認して見ると、現状では単なる置物だった。

 

HPが存在しないのだ。

 

時間になるといきなり鎧が話し出した。

 

「定刻になった、それでは始めよう。」

 

そう言うと、私以外の者が一斉に頭を下げた。

 

一瞬、釣られて頭を下げそうになったのは内緒である。

 

「お前がシルト・クレーテ・レイ・デ・ミレニアム千年王で間違いないか?」

 

何と偉そうに、と言いたいが、この世界で彼より上の存在は父親である竜帝くらいしかいないのだろう。

 

「そうですが、その鎧は本体ではありませんよね?

ところで、お名前はリク・アガネイアでは無かったのですか?」

 

アガネイアという姓自体、明美と金谷の合成に近いと思ったほどだ。

 

「その名前は何処で知った?」

 

「アインズ・ウール・ゴウン魔導王からですよ。

人形のようだった、とも言われましたが。」

 

「その名前で聞いているのなら、その名前と言う事にしてもらおうか?」

 

「貴方はこの国の評議会議長であるツァインドルクス=ヴァイシオンでは無いのですか?

それとも、その操り人形はリク・アガネイアとするのでしょうか?」

 

「ははは、やはりわかるのか?」

 

「と言うよりも隠す気が有るのですか?

状況から言って、そうとしか言いようがないと思いますが?」

 

「リク・アガネイアさんに来てもらっても良い、と言われたと聞いてね。

既に知っているのなら隠すまでも無いと思ったのだよ。

しかし、どうしてわかった?」

 

まさか、原作で知っていました、とは言えないよな。

 

「秘密です。

とは言っても状況証拠から言ってもそれしか考えられませんよね。」

 

まあ、こちらの諜報部隊が確認しているのに気が付いていたら一々突っ込みを入れてはこないと思うけれども。

 

因みにこの鎧、デザインから言ってもシャルティアやパンドラが戦った物とは違うし、どうもテレビ電話のような機能しかない魔道具のようだった。

 

何故分かるって?

 

生命感知(ディテクト・ライフ)に反応が無いからだ。

 

「まあ、議会のこんなところにあれば確かにそう思うか。」

 

多分、こちらの諜報に気が付いているとは思うのだけれども、気が付いていること自体が秘密なのだろう。

 

私も白金の鎧と言う情報だけで、細かい見た目は知らないと思わせているからお互い様だ。

 

「聞きたいことが有ると言う事でしたが?」

 

「聞きたいことはいくつもあるが、まず知りたいのはアインズ・ウール・ゴウン魔導国はアーグランド評議国に攻めてくるのか?」

 

「知っているとでも?

私から質問してもよろしいでしょうか?

あけみちゃん、または、アケミ・ヤマセを御存じですか?」

 

知らないとは言わせない。

 

「状況から言って今後の魔導国の動向を知っているとしか思えないのだよ。

アケミ・ヤマセはかつて魔神を倒すために一緒に旅をした仲間のエルフの名前だがそれがどうかしたのか?」

 

問題は、殺したことを認めるかどうかだよな…

 

「私は全く知らない相手なのですけれどもね。

アインズ・ウール・ゴウン魔導王の知り合いだったそうなのですよ。」

 

多分、あけみちゃんもエルグリラに来た事は有るとは思うのだよね。

 

と言っても来たことが有るだけとか、一回取引しただけ、とか言う人は多すぎて、知り合いとは到底言えない間柄なのだよね。

 

「やはり、お前と魔導王がぷれいやーなのか?」

 

「そう呼ばれている者ですが、影武者の存在を気にした方が良いですよ。

こちらのオックスが同じ装備を身に着けた場合、魔導王との区別はつきますか?」

 

私はユグドラシルから転移したことを別に隠していないからね。

 

「どういう事だ?

そういう事か。」

 

自身が戦った相手が影武者の可能性に心当たりがあったようだ。

 

「今日来ているお前も影武者なのか?」

 

「さあどうでしょう。

私にお前、などと言って周りが動かないのは、私が偽物だから気にしないのか、それとも私が抑えているだけなのかは想像にお任せしますが。」

 

「今日は偽物なのか本物なのかよりも質問に答えて貰う事の方が先だな。

魔導国は攻めてくるのか?

お前はリ・エスティーゼ王国でも色々裏で動いていたようだが。」

 

「先に質問に追加で聞きましょう。

スレイン法国の者から噂で聞き、あけみちゃんの娘のマイからも直接聞きましたが、ツァインドルクス=ヴァイシオン、貴方はマイ・ヤマーセ・カネーヤの両親、即ち、リク・カネヤとアケミ・ヤマセを殺したのですか?」

 

思わず直接聞いてしまった。

 

「殺したと言ったら?」

 

「それこそが答えですよ。

魔導国は評議国、と言うよりもツァインドルクス=ヴァイシオン、貴方を殺しに来ます。

違うのなら、間に立って取り持ちますが。」

 

「その論理なら私はお前を殺す権利があるな。

同じ真なる竜王で竜王同盟の一角であるキュアイーリム=ロスマルヴァーを殺したのだから。」

 

「むざむざやられる訳にはいきませんので反撃はしますが、その権利は有るのでしょうね。

その権利を行使するか、そもそも実行可能なのかは兎に角。

一応はお断りしておきますが、先に仕掛けてきたのはキュアイーリムの方ですよ。」

 

最悪、ツアーが私を殺しに来る可能性を考慮した上でここに来たので、躊躇なしにそう答えた。

 

「今はまだ、その権利を行使しない。」

 

「今はまだ…ですか。

将来そうするようにしか聞こえませんね。

であれば私は魔導国側で参戦しなければいけなくなりますが。」

 

若干脅しは有るが、バラバラに殺されるくらいならそういう事になる、と言う事くらいは分かっているのだろうな。

 

「お前は、魔導王を私が殺したとして、私に敵討ちを行うのか?」

 

「そんな理由では戦いませんね。

それは単なる私情ですから国家の戦争理由としては相応しくは無いのでは?」

 

人形のせいで表情が分からないが、試しに聞いてみた、と言う感じの口調だった。

 

なので聞いてみた。

 

「ですが私を殺しに来る、と言うのであれば正当防衛の権利を行使しますよ。

私は多くの者の命を背負っているので。

私が知っている限り、ユグドラシルプレイヤーは約100年毎に転移している。

今日現在で生存している者は私と魔導王のみだけれども、私や魔導王のように100年どころかそれ以上の寿命のものが居るのに誰も生きてはいない。

かつて竜王は六大神や八欲王、そう呼ばれた先人を殺そうとした、もしくは殺した。

私を殺そうとする状況証拠なら揃っています。

知りたいのは、どうして私達、ユグドラシルプレイヤーを殺そうとするのかですね。

キュアイーリムも問答無用で戦う事になりましたから。」

 

「この世界に与える影響があまりにも大きいからだ。

お前達ぷれいや-もえぬぴしーもレイドボスと呼ばれる者も、もっているアイテムも。

ギルド武器とかワールドアイテムと呼ばれる物は特に。」

 

「だから殺して奪うのですか?

それでは盗賊と何ら変わりませんね。」

 

「その力をもつ者、その力の使い方に注意を払い、その行動に責任を取る必要がある。

お前たちの多くは余りにも身勝手にその力を使いすぎる。」

 

確かにツアーは己に縛りをかけてそれなりの行動をしている、とは思うのだけれどもね…

 

「責任を取る行動ですか?

貴方と同じ真なる竜王、そう呼ばれている者もそうではないような行動をしていませんか?

であればお仲間も誅殺しに行くべきでは?」

 

魂の強奪なんてどう考えてもナザリック陣営以上の大量虐殺だろうに。

 

「我々の殆どは本来は無関心だ。

キュアイーリムも八欲王の件が無ければあんなことはしていないのだろう。

そうだな、お前は小さな虫がどうしているのか気になるか?」

 

「気になりますね。

と言っても貴方が言いたいことが分からないでもない。

昆虫趣味の者はとにかく、自分たちに益をもたらすのか害をもたらすのか、そのどちらでもないのならいちいち気にしませんね。

私達は害虫、そういう事ですか?」

 

「少なくとも私は、お前がおとなしくしているのなら何もする気はない。

おとなしく、と言うには少々動きすぎているようだが。」

 

「どの一件ですかね?

少なくとも私は、魔導国と敵対しない範囲で魔導国による被害を減少させるように動いてきたつもりですが。」

 

「その言い分については認めよう。

先ほどはあのように言ったが、キュアイーリムの敵討ちとしてお前と戦うつもりはない。

お前が力に溺れ、その力を無作為に使うのならその限りではないが。」

 

「まあ、私は部外者ですので余りこの世界に干渉はしたくは無いのですよ。

魔導王も部外者ですが、この先どうするのか?

と言っても私は彼を強制的に説得などできませんよ。

もう既にほとんど諦めていますので。」

 

ナザリックによる世界統一が行われたら、さぞや平和になるのだろう。

 

と言っても、つまらない世界にもなりそうだが。

 

後、違う意味で危険な世界になりそうなのだよね。

 

「説得を諦めている、と言うのか。」

 

「なので、被害を減らす方向では動きましたが、この先は世界中が破壊されるのでしょうね。」

 

「どうしてそう思う?」

 

「真なる竜王、そう呼ばれている者と魔導国が争えばそうなるのでしょう?

キュアイーリムと私の戦いだけでどれほどの影響が出たのやら。

私達が転移してくるのが嫌なら、転移する者が出て来ないようには出来ないのですか?」

 

「それができるなら既にやっているよ。」

 

表情が分からない鎧なのに、なぜかため息が聞こえてきそうだった。

 

「一応確認するけれども魔導国と戦う為に私と手を組む気は無いのだね。」

 

「極力中立でありたいと思いますので。

魔導国建国迄の魔導王とは同盟を結んでいましたが、理由は同盟を結ぶことで極力動きを制限したかったからなのですよ。

自身が強大な力を持っていれば増長する、そう言う貴方の意見には賛同していると言う事です。」

 

「お前自身は増長しないと?」

 

「逆に聞きますが真なる竜王は増長しないと?」

 

「確かにするな。

竜王以外をまともな生命しか認めない、そう言う考え方の者の方が多かった。」

 

「でしょう、なのに信用しろと言うのですか?

魔導王の暴走に思う所は有りますが、仲間として一緒に行動した者を殺した疑いがある者と手を結ぶ気にはなれない。

違いますか?」

 

「あの二人を私は殺してはいないのだよ。

と言っても私の手が穢れているのは否定はしないよ。

穢すだけの理由は有ったのだがな。」

 

「どのような理由で?」

 

この理由如何では魔導国を支援する必要に迫られると思う。

 

「アケミ、あの彼女(エルフ)はこの世界にレイドボスを呼び込んだのだよ。」

 

は~~?私は一瞬そう叫びそうになった。

 

「どのような方法でレイドボスを呼び込めるのですか?」

 

「彼女が持っていたワールドアイテムによってだよ。」

 

レイドボスを召喚できるワールドアイテムなんて有ったか…レイドボス化させるアイテムや、封印されているアイテムや支配できるアイテムならあるのは確実だけれども。

 

支配…テイムしてテイムしたモンスターを召喚できるアイテムと言う事か?

 

それなら可能性はありそうだ。

 

「何を呼び込んだのですか?」

 

「十三英雄の冒険の最後の敵、神竜、そう世間では呼ばれているのではないのか?」

 

…私は傭兵モンスターのドラゴンと思っていました。

 

アウラとマーレが帝城に乗り付けた奴みたいな。

 

「じゃあ、九体の女神ってなんだ?」

 

思わず口に出してしまった。

 

こちらがワールドアイテムによって召喚されたと一瞬思いましたよ。

 

ギャラルホルンで召喚したならそうならないか?

 

「巫女姫、そう言えば分かるのか?」

 

「叡者の額冠を装備した女性の事なのか?」

 

「そういう事だ。」

 

「叡者の額冠って着用者の自我を封じることで、人間そのものを超高位魔法を使わせるアイテムにするものなのでは?」

 

「本来は竜ではない者が竜の魔法(始原の魔法)を使えるようにするアイテムが元になったものだな。

元になった物は最早作れないが。」

 

「元の物は装備しても生命力が不足しそうですね。」

 

「同じ能力を持っている者はおるがな。」

 

「元竜女王、黒鱗の竜王(ブラックスケイル・ドラゴンロード)ドラウディロン・オーリウクルスですか?

もう少し情報を隠されるのかと思っていました。」

 

竜女王は国民の生命力を、叡者の額冠は魔力を使っているのか。

 

叡者の額冠で疑問だったのが、どうして魔力が足りるのか、だったけれども周辺の人々の魔力を使っていたのか。

 

つまり強制的に儀式魔法状態になると考えて良いのだろう。

 

そう言えばもう一つあったなそう言うアイテムが…聖王国の王冠。

 

どちらも信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)が装備していたな。

 

一種の儀式魔法だから同系統の魔法詠唱者(マジックキャスター)の魔力を使っているのか?

同じ神を信じるとか同じ系統の物の方が効率が良いとか、そもそもそれ以外の魔力をつかえないとかあるのだろう。

 

儀式魔法は他の系統は無理、とは言わないけれどもかなり難しいからな。

 

誰でも良いなら、竜女王は敵であるビーストマンの生命力を使って始原の魔法を行使できることになるもの。

 

国の象徴が行使する、と言うのも一つの回答なわけだ。

 

こうして考えると魂の強奪は文字通り強奪している訳だ。

 

とんでもないな。

 

「そうでもないのだが。」

 

他の評議員の手前、殺していないと言っているのか穢れている、と言う表現から言ってあけみちゃんが死ぬように誘導したのか。

 

多分後者なのだろうな。

 

嘘は言っていないが本当の事も言っていない、と言う所なのだろう。

 

「とはいえお前と話していて魔導国が攻めてくる可能性が極めて高いことは分かった。

ほぼ攻めてくると言う事だな。

直接正面からは戦いたくは無いのだが。」

 

「無理がありますね。」

 

「私が殺していない証明はできるのだが。

十三英雄の生き残りが証言してくれるが…まあ完全に冤罪と言う訳では無いからな。」

 

「魔導王に勝てるので?」

 

「直接で1対1なら勝てる、と先ほどまでは思っていたよ。

お前の判断はどうなのだ?」

 

「最終的には貴方が負けるでしょうね。

魔導王は最終的に勝てば、途中は態と負けてもいい、そう考えます。

ツアー、貴方が勝てると判断した、そのこと自体が魔導王の策に嵌っているのですよ。」

 

「手厳しいね。」

 

「実際に私と戦うとしても、勝てる、とは断言できないでしょう。」

 

「そんな事は無い、とはとても言えないな。

この情報だけでも助かったよ。

魔導国の事以外でも要請があるのだけれども。」

 

「何でしょうか?」

 

「シルト、そう呼んでも構わないかな?」

 

「それは大丈夫ですがツアーと呼んでも良いですね。」

 

「構わないよ。

私はシルト達がおとなしくしている確証が欲しいのだけれども?」

 

「お断りします。」

 

私はかぶせ気味に答えた。

 

「どういう内容か聞かないのかい?」

 

「大体想像できるのですよ。

代わりに、と言っては何ですが、レイドボス、特にワールドエネミー、そう呼ばれている者がいるなら私の方で倒しましょうか?」

 

「倒せるのかい?」

 

「私一人では無くて我々で、と言うべきでしょうが倒せますよ。」

 

何の気負いもなしに当たり前のように私は答えた。

 

この世界には運営はいないのだから、ハメ殺ししていいのならそこまで苦戦はしない筈だ。

 

「前に随分と竜王がやられたのだがな~。」

 

あきれるようにツアーが言っていた。

 

「多分、私よりも強い者はたくさんいる、と思っていたけれども、多分、ではなくなったようだね。」

 

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