俺はエルグリラに住んでいる。
ここに移り住む前の事はよく覚えていない。
住み始めた時はまだまだ街は出来ておらず、同じように移り住んだ仲間と協力しながら生きてきた。
エルグリラは声をおかけする事も憚られる神にも等しい偉大な方々のお力によりすごい勢いで発展していった。
街は神にも等しい偉大なる方々に守られているが街の外は危険がいっぱいだ。
と言っても、まだ街の周辺は世界の中でも危険性が少ないと聞いている。
自警団として街を守る為に何度も魔獣と戦っているけれども、衛兵や魔導機械兵と一緒でなければかなり苦戦するのだから、まだ、安全なこの街に移り住めたことはよかったと思う。
何故、市民まで動員してこのような事をしているかと言うと、何時でも神にも等しい偉大なる方々のお力を借りられるか分からないし、偉大なる方々も少しずつ居なくなっているからだ。
と言うのが、都市長代行のステラ・ケルト・エルティア様のおっしゃっていることだ。
都市長代行のステラ・ケルト・エルティア様はこの街を管理するために神にも等しい偉大な方々によって直接生み出されたらしい。
神にも等しい偉大な方々や、その仲間の方々をお見かけした事は有るのだが、本当に別の世界に生きているのか、私たちの事をお気づきになられもしない。
移り住んだ時は不安に駆らたけれども、今は嫁が出来て子供までいて幸せに暮らしているが、一方で神にも等しい偉大な方々は減っていき、そのお仲間もどんどん見かけなくなってきた。
そんな中、神にも等しい偉大な方々の最後に残られた方でありその頂点にいるシルト・クレーテ様を称えるお祭りをする事を都市長代行ステラ・ケルト・エルティア様から伝達があった。
サッキュバスの頂点として、非常に色っぽい、ステラ・ケルト・エルティア様を見て、鼻の下を伸ばしてしまう事は、男なら仕方がないことなのだ、許してくれ。
一番は嫁だ。
お願いだからわき腹をつねくるのはやめてくれ。
祭りの日、街には屋台が並び、空には花火が打ちあがり、家族で楽しく街を廻った。
遠目で、シルト・クレーテ様をお見かけした。
嫁が「シルト・クレーテ様、何時までも私達を見捨てずにお導き下さい」と祈っていた。
嫁だけでない、子供達も周りの人たちも、そして俺も。
シルト・クレーテ様は私たちの事を気が付きもしないのか、お仲間の方とお話をして立ち去ってしまったが、お姿をお見かけしただけで不思議と幸せな気持ちになれた。
翌朝、ステラ・ケルト・エルティア様から全市民に伝達が入った。
「エルドラド全市民に対して通達します。
エルドラド全域が、原因不明の事態によって転移しました。
又、ワールド・エネミーに相当するものを発見、その攻撃範囲にエルドラドは入っています。
従って、エルドラドは特級警戒状態に入りました。
全市民に対し第二層への避難命令が出されました。
これは訓練ではない。
再度繰り返します。
エルドラドは特級警戒状態に入りました。
全市民に対し第二層への避難命令が出されました。
なお、シルト・クレーテ様のご厚意により、階層転移門以外の12か所でも転移門を開きます。
第一区の住民はガンダルフ公園に、…
住民は衛兵や魔導機械兵の指示に従い速やかに避難を
衛兵や魔導機械兵も全住民の避難を完了次第第二階層へ避難を
以上です。」
私は、妻と子供を連れ、慌てず急いで第二階層に避難した。
避難した人たちは大丈夫だろうか?と言いあった。
ワールド・エネミー、世界を亡ぼすほどの魔物。
前に神にも等しい偉大な方々によって一体が葬り去られたことは知っているし、神にも等しい偉大な方々に匹敵する方々によって何体も倒されたとは聞いているが、逆に返り討ちにあったこともあるらしい。
神にも等しい偉大な方々が揃っておられるならここまで不安にはならないだろう。
しかし今はシルト・クレーテ様しかおられない。
避難が終了したのだろう。
第二階層が分離され、隔離状態になった。と第二階層守護者のフェンデル様より通達があった。
農園エリアの領域守護者のレイラ様が
「現在、各階層守護者の方々とシルト・クレーテ様が作戦協議中です。
皆さん心配せずに待っていてください。」
と声をかけていた。
美しいレイラ様に見とれていると、嫁にわき腹をつねられた。
レイラ様は既婚者だから見ているだけだよ。
嫁が一番だからわき腹をつねくるのはやめてくれ。
しばらく時間が過ぎ
「シルト様が出陣なされる。」
空に、闘技場にいる、シルト・クレーテ様と何時も護衛についているアンネ・レンブラント様が写された。
アンネ・レンブラント様が召喚魔法で天使を次々召喚していた。
あの召喚された天使だけで、エルドラドの一般市民が束になってもかなわないだろうことがなんとなく解った。
アンネ・レンブラント様が闘技場から退避され
召喚天使が要るとはいえ、シルト・クレーテ様は私達を守るためにお一人で向かわれるようだ。
俺たちの事を気にもかけていないと思っていたのに。
そう思っていたのは俺だけではないらしく、周りから「シルト・クレーテ様が御自ら?」とか「まさか、シルト・クレーテ様お一人で?」と言いう声が聞こえる。
後で知ったのだけど、今回の敵は世界の守りが無いと問答無用で消滅させられてしまうために、シルト・クレーテ様お一人での出陣となったそうだ。
近衛や守護者の方々は同行できないことを非常にやるせなく思っていたそうだ。
シルト・クレーテ様が
シルト・クレーテ様は?と疑問に思ったのだが、次から次へと現れる天使たちによってどこにいるのかが分かった。
余りに大きさが違っていたのだ。
シルト・クレーテ様の攻撃魔法のようだ。
余りの凄さに驚愕していると、光の柱から白い竜が飛び出してきた。
その竜に天使たちが一斉に攻撃を開始した。
多分、シルト・クレーテ様も攻撃を行っているのだろうけれども、あまりに攻撃が多くてどの攻撃がシルト・クレーテ様か判別ができなかった。
白い竜の口から黒いビームが放たれ、天使たちが居なくなった。
シルト・クレーテ様もその範囲に入っていたのだが、御無事のようだ。
皆も一瞬やられたと思ったのだろう、一斉に息を吐く音がした。
巨大な光の柱が消え、砂煙が発生する中、シルト・クレーテ様は白い竜からひたすらに逃げていたが、ただ逃げている訳ではないのは、白い竜があちらこちらから血が噴き出したり、炎がまとわりつくのでわかった。
白い竜を挟み撃ちにする形で天使たちが現れ攻撃を開始した。
白い竜は天使たちの方に向くと、先ほどの黒いブレスを放ち、またしても天使たちが消滅した。
その間に白い竜からシルト・クレーテ様は一気に離れ、巨大な光の柱が発生した。
光の柱からまたしても飛び出してきたが、既に見た目はぼろぼろで、そのまま落ちて行った。
光の柱が消えると、大量の砂が発生してそのぼろぼろになった竜を覆い隠してしまった。
終わったのだろうか?
暫くすると画面が変わり、透き通った男性が映り
「守護者統括のアランです。
シルト・クレーテ様から倒されたとの報告がありました。
特級警戒状態及び避難命令を解除します。
第一階層への被弾は有りませんでした」
との報告が入った。
「やったー」「エルドラド万歳」「
周りが一斉に沸き上がった。
私も妻と子供たちを抱きしめて同じように叫んでいた。
更に画面が変わり
都市長代理ステラ・ケルト・エルティア様から
「エルドラド市民の皆さん。
シルト・クレーテ様のお力は絶大です。
ですが全てをシルト・クレーテ様に頼り切っては我々は見捨てられてしまうでしょう。
今回のように、どうしてもシルト・クレーテ様のお力を借りねばならない時は有ります。
ですがそれ以外の事は皆さんと共に力を合わせて行っていきましょう。
至高なるシルト・クレーテ様万歳、
我々シルト・クレーテ様の
そう、いざという時にはシルト・クレーテ様がおられる。
シルト・クレーテ様の為にも、俺のできることをしていかなくては。
第二章本編を後一話書けていません。
第二章の閑話の完成まで待つと数日…どうしたものか。
4/11追記
読み返してみて分からない人もいるかもなので
ここで言う仲間(最初の一回は除く)は、同じプレイヤーの事でギルドメンバーではないです。