私達は半ば、モモンガさんを人質にとった状態でナザリックに侵入した。
ナザリックの外の小屋も襲撃してギルドの指輪も入手済みなので、1500人侵攻に参加した者を案内役として、転移魔法を併用して何の問題もなく階層守護者であるデミウルゴスの消えた第七階層の転移の間まで到達した。
オーレオールだけがギルド武器と共にここにいるのが気がかりだけども…金貨が有ればNPCを蘇生できるはずなのだけれども。
「いいか、絶対に攻撃するなよ。」
私は念を押した。
第八階層は流石に私も行くことにしたのだ。
第八階層に入ると歪な天使がそこに居た。
「申し訳ないけれども、無視させてもらう。」
あれらが有る階層で攻撃行動は危険すぎるからだ。
「ここを通す訳にはいかない?」
不思議な声でそう言ってきた
その天使を無視して、私は上を見ると10個の球体を見た。
十個の
「あれが発動して無に帰るのは嫌なのでね。」
知っていれば十分に回避する事が出来るギミックだったりする。
そう、答えは無視なのだ。
私は、一周見渡して、もう一つの階層転移門と反対にある、桜を目指した。
荒野の中に鳥居があるのだ、可笑しいと思わなかったのだろうか?
あれだけの人数が居て、誰も隠蔽を破れなかったとは思えないのだけれども。
その前に、ヴィクティムを倒したのが敗因だよな。
ああ、本来ならルべドが居るからそれも難しいのか。
ルべドがやたらと無効化していたのもあれらの影響を無くす為でもあるのか。
エルグリラと同型拠点のギミック、第一階層では戦闘も物をとってもいけない、この原則を
実際、文句なしに初見殺しだよ。
他のこのギミックが有る拠点のメンバーも、自分の所にあるギミックの欠点を教える者はいなかった訳であるし。
鳥居をくぐると神殿があり、桜の下にはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持った巫女装束の女が居た。
指揮官系統だったか?
「あれを止めて貰えませんかね。」
「止めると思っているのですか?」
「思わない。
例え可能性が無くても、ここで抵抗するのが貴方達
鳥居をくぐったところから別空間なのは分かる。
桜花聖域、ここにあれらの影響は出ないのだろうな。
オーレオールが戦闘態勢を取り、いきなり神殿から日本神話風の神の衣装の者が現れ、攻撃を食らったことで確信に至った。
と言っても多勢に無勢である。
いきなり私を狙ったのは良かったのだけれどもね。
一番苦戦したのが、勝手に行動するスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンだったりする。
これが無いと止められない可能性も有ったので破壊しないように行動を取り押さえるのに苦戦した、と言うのが正しい。
死んだオーレオールを蘇生してから記憶を抜き取り、あれらを停止して、階層転移門を正常化した。
「階層転移門をくぐったら一気に襲われる可能性があるな。」
「と言っても、シルト様には寄せ付かせませんが。」
アンネもろとも葬り去るのは流石にないか。
「ガンダルフィーを呼ぶ。
攻撃が来たら
最悪、
そう言うと、
「確実に倒しきれますね。」
諸王の玉座を除く、第九、第十階層の全てが消え去る可能性が高いので、少々もったいないが、倒したNPC達が総出の上、金貨限界まで召喚した傭兵モンスターが待ち構えている可能性がかなり高い以上、仕方がないと思っていた。
階層転移門をくぐると、意外な事にセバス一人がそこに居た。
「シルト様、お待ち申し上げておりました。」
「の割におもてなしの用意はできていないようだね。」
私は皮肉たっぷりに言った。
「アインズ様が言うには、ここでおもてなしをしても、
と
「ワールド・ガーディアンの存在はずっと隠してきたのだけれどもね、気が付いていたのか?」
「やはりおられましたか。
アインズ様の慧眼には改めて驚かされる次第です。」
「はあ、と言う事は、モモンガさんは私に負けると分かっていたのか。」
これで一つ疑問が溶けた気がした。
「何度もお諫めはしたのですが。」
「こうなる前にセバスとパンドラで止められなかったのか?」
「出来たのなら、こうはなってはおりません。
しかしシルト様、貴方はアインズ様の事を責められるような人間なのですか?」
「違うね。
それに別に私はモモンガさんを責めている訳ではないよ。
そんな人間なら、ずっと前に実力行使をして止めていたよ。」
実際、善人と言うレベルでは測るなら、私はセバスには大きく劣る。
しかし、セバスに相談をするように言ったのに。
「そうして頂きたかった、アインズ様もそれをお望みでした。」
「モモンガさんからも聞いたよ。
その点は申し訳なかった。
けれども、私の責任では無いよね。」
「そうですな。
申し訳ないと思うのでしたら私と1対1で戦ってはいただけませんかな。」
「セバスさん、私はずっと不敗で来た、何故だか理解はできますか?」
「やはり乗っては頂けませんか。
アインズ様が言っておられました。
シルト様はただの一回も1対1で戦ったことが無いと。」
「私が不敗でここまで来れた理由は、絶対に1対1ではでは戦わなかった為です。
実際にこの距離と状況でセバスさんとの1対1での勝算は、大甘で考えても50%ほどなのですよ。」
「ほう、そうなのですか?」
「だまして1対1のふりをしても良かったのですけれどもね。
それなら負ける事は無いので。」
「1対1の戦いを受けたふりをして他の者にも攻撃させるのですか?」
若干間違っているけれども本当のことを言う必要はないだろう。
単に、メンバーのスキルの影響下にあるからバスやデバフがかかっているし、アンネのスキルのおかげで、物理防御力が私基準ではなく、アンネ基準になっているからなのだけれども。
なんでって、アンネの肩代わりスキルのせいだ。
私に攻撃が成功してもダメージはアンネに飛ぶし、防御もアンネが基準になる。
アンネの弱点属性は私が無効化しているから、そもそも殆ど攻撃が通らないので、アンネを先に倒すのが正解だ。
「そこのスタッフを破壊しても良いのです。
ただ、私はナザリックの居住階層に来たことが無い。
モモンガさんが自慢していたので一回案内してもらえませんか?」
「良いでしょう。」
そこから第九階層を案内されて、第十階層、
「ゴーレムに襲わせないのですか?」
「背後から私を討とうとしないシルト様に敬意を表しております。」
「しかし凄いですね。
正直、いくつの拠点の居住階層に携わったのかも覚えていませんが、その私が感嘆するのですから誇っていいと思います。」
過去の建造物を落とし込んで作ったエルグリラとは全然違う。
これだけの物を一から組んだと言うのは相当に大変だったに違いない。
一つ言い訳をさせてもらうと千年王国メンバーに懐古主義者が多かったのもあるのかもしれない。
失われた自然や遺産を復元したかったのだ。
「最大級の賛辞と受け取らさせて頂きます。」
最古図書館、そして玉座の間にやってきた。
凡人の凡人たる象徴が矛盾した思考だと思っている。
二面性と言っても良い。
ラナーが私が話すまで理解できなかった事だ。
その矛盾の象徴がこの玉座の間には詰まっていると感じた。
攻略されたくはない、でも、ここまでたどり着いた者達をメンバーが総出で迎えうちたい。
その一方で、宝物庫に籠ってゾンビアタックを考えている。
本当に矛盾している。
宝物庫に籠る時にはこのスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは持ち込めないから破壊された後だろうから全く意味がなかったであろうに。(持ち込んだら一気に金貨が消費するので大した時間が稼げない)
しかも別空間では、設定する為の課金も維持費もかなりの物になる筈だから良くやるよ、とも思った。
「全員が揃っていた時はさぞや壮観だったのだろうね。」
「それはもう、その時に見て頂きたかったです。」
「宝物庫へは。」
「私は行った事は有りませんので。」
「あそこにギミックを作っても殆ど無意味だったのだけれどもね。
知らなかったのだろうな。」
「どういう事でしょうか。」
「独り言だよ。
気にしなくてもいい。」
この世界では、ギルド武器を破壊しても居住区が無くならないのは六大神の拠点で確認済みだから。
一々アイテムを取りに来なくてはいけないけれども、今すぐに行く必要はないだろう。
諸王の玉座は完全固定なのか。
持って帰れないか確認しようとしたらできなかった。
拠点としてのナザリックが失われた場合、次の難関拠点の初見クリアーでそこに出てくる仕様だったのだろうな。
そう思いながらナザリックのコンソールを開いて、全ギミックを停止させた。
これでスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを破壊できるか。
ちょっと嫌な予感がして、再度コンソールで調べたら、ギルド武器を破壊した際に発生するギミックを仕込んであった…やってくれる。
ユグドラシル時代でも、これは拠点がリセットされる時間までのタイムラグの間に発生するな。
自爆スイッチかよ。
如何にも悪の拠点らしいと言うかなんというか。
しかも、キーワードを入れないと解除できないって…良いのか?
結局、後日モモンガさんに聞いて解除したけれどもさ。
ナザリックが失われるのは嫌だったらしい。
結局、セバスさんとは戦わずに全てを終えた。
私がモモンガさんを消滅させるよりも早くから世界は混乱をしはじめた。
モモンガさんのレベルが下がってスキルが消失した時点からアンデッドが動きを止めたからだ。
と言っても、元々は存在しなかったのだ。
暫くして世界は落ち着き、確保していた内政人材に全てを押し付けて、滅んだ国々を復活させた。
結局、ユグドラシルからの転移を止めるのにそこからざっと300年かかった。
約400年後、誰も何も転移しない事を確認した私は、外の件に一切関与しないことにした。
そして、不老不死化の処置を切り余生を第六階層で過ごした。
十分に幸せな生涯だったと思う。
ツアーと同じく、この手は穢れ切っているからあるとしたら行く先は地獄だろうな。
転生するかもしれないけれども。
「アンネはどうするのだ?」
「私は何時までもシルト様のもとに居ます。」
「もう直ぐで寿命だよ。」
「それでもです。」
何回も聞いた事だ。
私の子孫は自分の子が守るからアンネは私だけを守るそうだ。
作り物の天使だと分かっていても
「次の人生が有るなら、せめて友をこの手で殺めない人生を頼む。」
「承知いたしました。」
意味がない返事だと分かっているけれども何だか少し安心した。
本当に途中で止めたかった。
結局、アレクの策に乗ってしまった私が、僕(しもべ)たちの暴走を止められなかったモモンガさんを責めることはできないから恨まれていてもしょうがない。
そもそも私の事を、友と思ってくれるのだろうか?
卑怯で酷い男だよ私は。
許しません、だったか。
一発殴ったくらいで許して貰えないかな。
そう思いながら私の意識は遠のいていった。
この最後はBADENDです。
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