もう一つのギルド   作:mshr

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第10章4話 強欲のマモン

強欲の魔王マモンは過去に千年王国(ミレニアム)が初発見の初見で大災厄(グランドカタストロフ)の大量投下で撃破したものだから、攻撃パターンや弱点属性等の情報が全くない。

 

なので最後まで倒されなかった他のワールドエネミーよりも分かっていない。

 

ワールドエネミーなので数を集めてはダメな事は確定している。

 

ギルドは最大100名、複数のギルドが連合したギルド戦争では数百名、最大1500名編成が出来たのに36名が軍団(レギオン)と呼ばれたのにはしっかりとした理由がある。

 

ワールドエネミーと戦う場合に37名編成以上ではダメージが通らなくなるので36名編成以上は御法度なのだ。

 

(因みにある程度の経験値共有ができるのがパーティーで最大6名)

 

『先ずは確かめませんか。』

 

「当然確かめた上で、ですよ。

本物かどうか生きているかどうかの確認もしていないので。」

 

『まあそうですね。』

 

とまあこんな感じでナザリックと共同で現場確認をすることになった。

 

ナザリックからはモモンガさん、アルベド、デミウルゴス、アウラ、マーレ、コキュートス、シャルティア、セバス、パンドラの9名

私達は私、アンネ、エレア、クスタフ、オックス、フェンデル、ステラ、ズワース、傭兵NPCからダイダロスの9名

 

人数が同じなのは打ち合わせした為だけれども…本物なら人数が全然足りないので、一当てして即座に撤退する事になっている。

 

この期に及んでルべドとオーレオールを出してこないのか?とも思ったけれども、人の事は言えないので…

 

私が魔法解体(マジックディストラクション)を使うと、幻影が消えて巨大な門が現れた。

 

「同じだな。」

 

そう言うと近衛の三名が首を縦に振った。

 

「良いかお前達、ワールドエネミーなら一当てしてこの入り口から10KM以上は退却だ。

外に出てきたらシルトさんが一気に叩き潰す。」

 

モモンガさんも自分の守護者達にレクチャーしていた。

 

「そんなに強いんでありんすか。」

 

とあるポンコツ吸血鬼が聞いていた。

 

「来る前にも説明しただろう、ワールドエネミー初見撃破例は一回しかないのだよ。」

 

「一回は有るのでありんすよね。

アインズ様なら大丈夫では?」

 

こちらをチラチラ見ながらそう言っていた。

 

どこかの元聖騎士隊長と違って忘れたから聞いているのではなく、私達への対抗心のようだ。

 

因みに、最終日までに32体の内20体ほどしか撃破されていないのがワールドエネミーなのだ。

 

「きょうは情報を持ち帰るだけのつもりでかかれ。

そんな風に嘗めていると死ぬぞ。」

 

実際にワールドエネミーに倒されたことが有る人が言うと重みが違う。

 

「モモンガさん、本物でかつ活動しているなら最悪32体を倒さなくてはいけない事になりますね。」

 

そう、倒した筈のワールドエネミーなのだ。

 

最も、32体ともいる可能性が低い、と考えている。

 

竜王が何体かは倒したであろうしまだ転移していない個体もあるだろうから。

 

「シルトさん、一応は動かない可能性も有りますよ。

最後の一週間にイベントで見学用に出したものの筈ですから。」

 

そう、調べたらモンスターがノンアクティブになった最後の一週間に実物を見学できるように運営が倒したワールドエネミーも元に戻していたことが分かったのだ。

 

「活動していたら、糞運営!そう言ってやりますよ。」

 

「はは、違いない。

撤退した後に迷宮から出てくるようでしたらお願いします。」

 

外に出てきて暴れたら、大災厄(グランドカタストロフ)よりも被害が大きい、そう判断された為だ。

 

門から迷宮に入ると普通にモンスターが襲ってきた。

 

「前ここに来た時とルートも敵も同じだったな。

ここまで元通りとは。」

 

最後の門までたどり着いたがそれなりに消耗していた。

 

「シルトさんは魔力は大丈夫ですよね。」

 

「スキルはとにかく、私は魔力の問題は無いので。モモンガさんは?」

 

「私は1/3近くを消費しています。

守護者達は軒並みスキルや魔力の半分近くを使ったようでして。」

 

「本来なら、ここまでは大人数でワールドエネミーと戦うレギオンメンバーを消耗させないように来るのがセオリーですからね。」

 

「多分、扉をくぐったら転移魔法は使用できなくなるのでしょうね。」

 

「とりあえず、扉は閉めないようにしないと。」

 

私達が扉の前の所定の場所に着くと扉が静かに開いていった。

 

「エレアはここに残れ、全員入ると扉が閉まって逃げられなくなる。」

 

「わかりました。」

 

部屋の中心に奴はいた

 

アンネとシャルティアを先頭にゆっくり部屋に入っていった。

 

奴は目を開けると立ち上がった…やっぱりノンアクティブではないのか。

 

ユグドラシルではここから口上が始まってその間は無敵状態だけれども、そんなことを気にする必要はないだろう。

 

そう思って魔法三重化(トリプレットマジック)魔法最強化(マキシマイズマジック)小災厄(プチカタストロフ)を使用した。

 

先頭のアンネとシャルティアがこれ以上進むと範囲内になってしまうからだ。

 

フレンドリーファイアーが有るってこういう場合は本当に面倒だな。

 

威力も、全てを片っ端から蒸発させるような威力ではない。

 

アンティリーネが死ななかっただけあってかなり威力が低いな。

 

小災厄(プチカタストロフ)の効果範囲を確認して全体が停止したので、そのままそれこそ大量に叩きこみ、空気が白熱化した。

 

隣でモモンガさんが「なんて容赦ない、魔法三重化(トリプレットマジック)魔法最強化(マキシマイズマジック)現断(リアリティ・スラッシュ)

 

と言っていた。

 

「出てくるぞ。」

 

そう言うと、アンネが盾でその突撃をそらし、シャルティアが横からスポイトランスで突いていた。

 

何故か意外と連携が取れている?

 

黒い翼以外は文字通り、きつね色だったものが、毛が針のように変わり辺りに糸をはりめぐらし始めた。

 

動きもとんでもなく速い。

 

俊敏が低いモモンガさんやオックスでは対処できないのではないのか?

 

二人ともまだ部屋に入ってもいないけれども。

 

私も現断(リアリティ・スラッシュ)に切り替えたけれども…傷が出来ないし針も欠けない、効いていない?

 

「口上も聞こうとしない愚か者が。」

 

マモンはお怒りのようだった。

 

シャルティアが

 

「HP吸収が出来ない。」

 

とか言っているので、斬撃、刺殺は完全耐性のようだ。(※まだ勘違いしています。)

 

他のワールドエネミーの戦いを資料で確認して来たけれども、無効化をこれでもか、と言わんばかりに持っているのだ。

 

冗談抜きで弱点を突かないとまともにダメージにならない。

 

「地獄の炎、獄炎(ヘルフレイム)っな!」

 

既に半魔形態のデミウルゴスも絶句していた。

 

地獄の炎で完全耐性でも突破できると思っていたのだろう、無効化だからワールドエネミーには通用しないのだよ。

 

まあ、糸は燃えたけれども。

 

こちらのクスタフとダイダロス、フェンデルの攻撃も無効化されている。

 

打撃も、付与している風とノックバック、毒もだめか。

 

こちらは効くとは思っていなかったけれどもオックスの心臓掌握(グラスプ・ハート)も、動きを止める事も出来なかった。

 

ステラは魅了が効かないと分かって、バフ掛けに専念し始めた。

 

「オックス、後退しろ、お前が一番足が遅い。」

 

マモンから辺り一帯に雷がばら撒かれた。

 

これで雷が弱点属性なら笑えるのだが。

 

万雷の撃滅(コール・グレーター・サンダー)を放ったが…予想通り無効化された…知っていたよ。

 

マーレの地割れ(クラック・イン・ザ・グラウンド)も無効化された…何が効くのだよ。

 

アウラの矢、当然効いてない。

 

パンドラは多分暗殺系に変身したのだろう、見えなくなった。

 

セバスは竜化して糸を焼くのに専念している。

 

因みにまだ交戦開始から三分以下である。

 

完全に無傷なのは一番後方に居るエレアの他はアンネと私だけでは無いのかな。

 

他は一回は魔法や体の針や雷、糸が当たっているし…モモンガさんも耐性で無傷かもしれないけれども。

 

エレアが後ろからヒールを飛ばしているので、回復した結果、無傷ではいるのだろうけれども。

 

ナザリック陣営はまだ後退命令は出ていない…一番敏捷が低いのがモモンガさんだからね。

 

モモンガさんが下がり切らないと誰も下がらないと言うのは理解できる。

 

現にモモンガさんはオックスと共に後退を開始していた。

 

アンネが神炎(ウリエル)を放った。

 

無効化されていないのでダメージは出たらしいが…この魔法でまともにダメージが出るのは多分アンネだけだよね。

 

位階上昇を追加して善なる極撃(ホーリー・スマイト)を放った。

 

無効化はされていないから聖属性は効くようだ…悪魔だからね。

 

大罪系は聖属性が無効化はされていなくても耐性を持っていたりするので弱点かどうかは分からないけれども、まあ、私にはあまり関係ないので一気に20回、三重化なので60発分使用した。

 

流石に相当なダメージらしい。

 

そもそも、こんなふざけた回数、この短時間では1人では使えないのだ。

 

聖属性が効くと分かったからだろう、シャルティアが清浄投擲槍、コキュートスも武器を持ち換えて切りかかった。

 

コキュートスの攻撃は針で止められて伸びた針に体中を串刺しにされた。

 

クスタフとダイダロスの攻撃が当たっているのはアンネがサポートに入っているからなのに。

 

多分、善なる極撃(ホーリー・スマイト)を馬鹿げた回数をまとめて打ち込んだことに気が付かなかったのだろう、清浄投擲槍に合わせたのは良いけれども聖属性も耐性が有ったのだろう、動きが止まらなかったのだ。

 

アルベドが割って入って引き離したけれども、この結果、それまでアルベドはモモンガさんとマモンの間に陣取っていたので間が空いてしまった。

 

マモンが口から後方の三人に向かって炎を吐いた。

 

オックスとエレアの範囲は私と同じく魔法やバフで有り得ないほどの速度を誇るアンネが防いでしまったが、モモンガさんは発動させた三重の骸骨壁(ウォール・オブ・スケルトン)を一瞬で破壊されて当たってしまった。

 

大致死(グレーター・リーサル)を使ったところを見ると装備品で炎に完全耐性な筈のモモンガさんにダメージが出たようだ。

 

改めてアンネの盾は無茶苦茶だなと思った。

 

しかしこれ、アンネと私だけの方が良くないか?

 

「私は転移阻害範囲から出た、お前たちも撤退しろ。」

 

モモンガさんが言うと、ナザリック勢が後退を開始した。

 

「こちらもアンネ以外は撤退。」

 

しかし、今の所、カルマ値に影響を受ける魔法か聖属性以外に効いた気配が無いのだよね。

 

アンネが抑え込んでいるので、文字通り一目散に後退してきた。

 

「私はアンネと撤退するので転移魔法で逃げろ。」

 

「「承知しました。」」

 

何の躊躇もなしに全員が後退した…アンネに対する信頼がすごいな。

 

続いて、ナザリック勢も転移魔法で撤退を完了させた…これで邪魔者はいなくなったな。

 

「多分逃げられない、アンネ、倒すぞ。」

 

狭い空間に大勢居たので使いにくくてしょうがなかった範囲魔法がこれで解禁だ。

 

超酸の霧(ミスト・オブ・スーパーアシッド)を使用すると、体表の針が溶けた…どうも酸が弱点だったようだ。

 

と言う訳で、容赦なく放ったら、見た目が変更された…他のワールドエネミーの例から言うと、これでまた弱点が変わった筈なのだよね。

 

最後は竜になるのはお約束なのだろうか?

 

翼はカラスのような黒い羽の生えた翼なのは最初から同じなのだけども、顔も嘴だからカラスの顔の竜になった。

 

「承知いたしました。」

 

先ほどまではカルマ値(正)系統はダメージが出ていたから、アンネにはダメージは出ないので、アンネごと陽光爆裂(シャイニング・バースト)を使用した。

 

断っておくと天使ならダメージが無い訳では無いぞ。

 

彼女の防具はカルマ値に影響が出る魔法自体を無効化しているからだ。

 

だってカルマ値500だから逆の魔法なら最大ダメージになってしまうだろう。

 

結果だけれども、マモンもカルマ値系を無効化していたよ。

 

完全全属性魔法ってすごいよね…普通はパーセント消費だから一人一戦闘一回が上限だから何回も使える私が可笑しいのだけれども。

 

アンネが武器を持ち換えて聖剣サファルリシアを出した…レメディオスが持ったままやってきたので、彼女から借りたものだ。

 

ユグドラシル産でもなく、データレベルも低いのに意味不明な威力の武器である。

 

若干とは言えレメディオスがヤルダバオトにダメージを与えたのだから。

 

多分これも始原の魔法製だ。

 

最後の審判(ラスト・ジャッジメント)

 

アンネがスキルを使いながら剣を振った。

 

この剣で一日一回しか使えない技がこの技だ。

 

この剣も完全耐性や無効化を無視してきたのだ…このスキルを使うとカルマ値が極悪の相手には致命傷になる一撃になる。

 

アンネが使った場合、ナザリック、カルマ値マイナス勢でHPを削り切れないのは、鎧に受け流せるアルベドだけでは無いのだろうか?

 

持ち主がプラスでないと全く意味が無いけれども…ヤルダバオトは欲しくは無いよね。

 

カルマ値0でも攻撃力0でしかない、相手のカルマ値がプラスでも殆どダメージが出ない困った武器だけれども、LV100のカルマ値500の者が使うと言うのを想定して作ったのだろうか?

 

アンネがカルマ値−500の者に軽く当てただけでも驚くほどのダメージになった。

 

笑えない話だけれども、カルマ値が相当低い者の限定とはいえ私がアンネの為に用意した、ヴァルカンや政宗製のどの武器よりもダメージが大きいようなのだ…神器(ゴッズ)級よりもダメージが出るってそんな馬鹿なと言いたかった。

 

その上一日一回限定のスキルを使ったのだ。

 

マモンは流石に相当痛かったのか悲鳴を上げて動きが止まった。

 

動きが止まったのとあわせてアンネが一気に後退したので、再度魔法三重化(トリプレットマジック)魔法最強化(マキシマイズマジック)小災厄(プチカタストロフ)を大量使用した…何も考えなくて良いって素晴らしい。

 

流石に最後の変化とは思うけれども、もう一回有ってもアンネに効果範囲に押し込んでもらえば大丈夫だろう。

 

敵感知(センス・エネミー)生命の精髄(ライフ・エッセンス)共に、反応が無いことを確認して、小災厄(プチカタストロフ)の効果終了時間を待った。

 

そこには、一つのアイテムが落ちていた。

 

二十の一つ、陰陽太極だな。

 

前回も入手したので覚えていた。

 

前回マモンを倒した時に、これと錬成賢者の釜を入手したのだ。

 

多分、陰陽太極はワールドエネミー初見撃破報酬なのだろうと推測している。

 

まあ、逃げなかった理由はこれだ。

 

五行相克のスキル版だよ。

 

これを使って平行行動と言うスキルを作ったのだけれどもね。

 

「シルト様どうぞ。」

 

「ありがとう。」

 

私は拾ってきたアンネから陰陽太極を受け取りアイテムボックスに入れた。

 

「ワールドエネミー戦で死者数0は二回目の事例だね。」

 

私が確認した範囲だけれども、他の事例では、本当にぎりぎりで倒しているのだ。

 

通常は情報集めの為の撤退を視野に入れた戦いでも死者が出ていたのだ。

 

情報集めの戦いでも全滅は珍しくもなかった。

 

今回も、最悪そうなっていたよな。

 

「やはり、シルト様こそ最強です。」

 

「お世辞は良いよ。それよりも皆の元に戻ろう。」

 

転移魔法を使うと皆の元に戻った。

 

「シルトさん、御無事でしたか。」

 

「モモンガさん、心配させてすいません。

マモンを引き離せなくて、どうも転移阻害の中心はマモンらしく、転移できませんでした。

まあ、なので倒しましたが。」

 

若干嘘をついた。

 

とは言っても、素直に逃げられると思えなかったのも本当なのだ。

 

「ワールドエネミーなのでワールドアイテムは出たのですか?」

 

「マモンのワールドアイテムなら二回目は出ませんでしたよ。

同じワールドアイテムは二個にはならないようです。」

 

錬成賢者の釜は出ていないので嘘は言っていない。

 

「シルト様、アンネ隊長、お怪我は有りませんか?」

 

治癒魔法を聞いてきたエレアに、

 

「私はダメージを受けていないがアンネはどうだ?」

 

「私も受けていませんので大丈夫です。」

 

と答えたら、

 

「主殿、我らは足を引っ張っただけのようで申し訳ない。

今後精進いたします。」

 

クスタフが代表して謝ってきたけれども、可笑しいのはアンネの盾とファウンダーだから。

 

「気にしなくてもいいよ、皆もワールドエネミーの強さが分かっただろう。

他にもいると思うから、見つけたら即座に撤退して欲しい。

しかし強すぎるだろう、くそ運営め。」

 

「いや、無傷で倒した人に言われても。」

 

そう声をかけて来たモモンガさんの方を見たら、ナザリック勢が信じられない物を見たように絶句して固まっていた。

 

一人パンドラは演技しているように見えたけれども…多分残っていたな。

 

こうして、私の二回目のワールドエネミー戦は終わった。

 




実際には陰陽太極は初見撃破報酬ではなく、死者0名撃破報酬
流石に運営も、ワールドエネミーの仕様上、初見撃破する者が出るとは思っていなかった。
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