もう一つのギルド   作:mshr

94 / 102
第10章5話 戦力差

~~~モモンガSIDE~~~

 

シルトさんがツアーに会ったと言ってきた。

 

アケミちゃんさんの件を聞いたら直接殺したこと自体は否定されたけれども、自分の手が汚れていると言ったことと、完全に冤罪ではないと殺したこと自体は否定されなかったので、恐らくは直接ではなく間接的に殺している、と言ってきた。

 

後、トブの大森林にレイドボスが封印されているとかでレイドボスを倒したいけれども、許可が欲しい、そう言ってきた。

 

私達が倒したザイトルクワエは分体で本体は別にいる、と言ってきた。

 

倒しているところを確認したら、分体もろとも、炎系の魔法で焼き払った。

 

「どんな魔法を使った?」

 

何となくの予想は出来たが…一瞬事実を受け入れるのを拒否した。

 

「アインズ様、多分、朱の新星(ヴァーミリオンノヴァ)ではないかと。」

 

…一体何発放っているので?

 

「これは我々ナザリックに対する牽制とみて間違いないでしょう。

 

「とは言っても、実力自体は隠蔽してきたわけだ。」

 

「他の者は全く戦いませんでしたからね。」

 

「竜王キュアイーリムとゲヘナでは、現断(リアリティ・スラッシュ)、聖王国では、極地の爪(ポーラー・クロー)、これ以外の魔法は然程位階の高くない魔法しか使用してはおりません。」

 

「超位魔法も天地改変(ザ・クリエイション)のみだったか。」

 

「その辺りは徹底しているようです。

近衛の者も確認されたスキルはアンネのシールドバッシュにクスタフの武器破壊位ですが、どのクラスの武器破壊なのかもわかっていません。」

 

「ユグドラシル時代の情報も確認したのですが、アンネが天軍降臨(パンテオン)指輪の戦乙女たち(ニーベルング・I)の確認はしましたが、それ以外は、ギルドメンバーですら使用した形跡がありません。

寧ろ、シルト様が聖王国で天地改変(ザ・クリエイション)を使用したことにより、超位魔法を実は使えた、と言う事が分かっただけですら大収穫と言って良いほどです。」

 

千年王国、と言うよりもシルトさんとやりあった場合どうやっても勝ち目があるとは思えない。

 

間違いなく物理攻撃に穴を開けているのだろうけれども、それ以前だからな。

 

デミウルゴスに言った、10年負けたことが無い、はおそらく本当だ。

 

強さを誇示しながら情報を掴ませない、と言うテクニック、実際に戦うとなったらリク・アガネイアにやったような会話や土下座など一切無視してオーバーキルで攻撃してくるから、蘇生アイテムごと倒された例も確認できている。

 

だまし討ちで倒そうにも…せめて、子供が出来ないと下手したらアルベドが裏切りかねない。

 

支配下に置くのも難しすぎる。

 

アケミちゃんさんを嵌めて殺したと考えられるツアーと手を結ぶ可能性は低いとは思うけれども、今回のレイドボスの撃破もツアーへのイメージアップと言っていたから、同盟を結んで一緒になって評議国と戦ってくれるほどでは無いか。

 

法国の住民虐殺もシルトさんは相当嫌がっていたからな。

 

傾城傾国とロンギヌス以外に脅威は無いのだから、その二つをどうにかすれば良いでしょう、と文句をつけて来たからな。

 

南側は、威圧して投降させて済ませたそうだし。

 

シルトさんからは評議国と戦争は回避した方が良い。

ツアーには賠償させたらそれで良いでしょう。

 

と言ってきたけれども、俺の心の中はそんなことが出来るものか!と言う思いと、ツアー以外を巻き込むのは違うんじゃないのか?と言う思いが交錯している。

 

そんな心とは裏腹に、俺はアルベドとデミウルゴスに尋ねた。

 

千年王国(ミレニアム)とは敵対関係にならず、評議国を攻める間は背後を突かれないようにした上で評議国を落とせるのか?」

 

「評議国側に立って参戦してくる可能性はかなり低いと思われますが、我々、ナザリックを倒したいのであれば、それとは関係なしに戦争を挑んでくる可能性も否定できません。

今しばらくはある程度は友好的に接するしかないのでしょう。

今回のレイドボス討伐を許容したのもその一環です。」

 

「過去の資料を信じる限り、主体的となって攻撃を仕掛けてくる可能性は殆ど無いかと考えられます。

属国となったバハルス帝国、リ・エスティーゼ王国、ローブル聖王国でアインズ様が考えられた飴政策を行う以上は殆ど無視できる可能性ではないかと。」

 

確かにそうなのだけれども、最低でもシルトさんの言質は取っておきたい。

 

翌日、朝の挨拶でもないのにシルトさんから伝言(メッセージ)がやってきた。

 

『モモンガさん、緊急事態です。』

 

「シルトさんどうしましたか。」

 

『マモンらしき者を発見しました。』

 

「マモンですか…マモン??…は~~~!

って本当なのですか?

千年王国(ミレニアム)で倒したはずでは?」

 

シルトさんが焦って伝言(メッセージ)を送ってきた理由が分かった。

 

ワールドエネミー、七大罪の魔王の強欲のアモンだと~!

 

『遠視で見ているので確実ではありませんが、場所がトブの大森林なので確認に行って良いですか。』

 

「なんでそんな所を見ているのですか?」

 

『昨日行った場所の近くですよ。

ザイトルクワエを倒した場所の近くです。

分体が残っていないか再確認していたのですよ。』

 

一瞬焦って聞いてしまったが、見ていても可笑しくはない場所だった。

 

「理由は理解しました。

じゃあ、竜王が封印したのって?」

 

『こちらが本命の可能性がありますね。

一応確認しますが、大災厄(グランドカタストロフ)を大量に使用して良いですか?』

 

千年王国は次元障壁(ワールドシールド)をはって大災厄(グランドカタストロフ)の大量使用でマモンを撃破しているから聞いてきた理由は分かる。

 

シルトさんに確認したら、フレンドリーファイアーがあるから流石に迷宮内で使用するつもりはないらしく。外に出てきた場合限定らしい。

 

ワールドエネミーが外で暴れたらそれどころではないので確実に倒せる方法を考えてしまう気持ちは分かる。

 

先ずは、千年王国、ナザリックの合同調査を行う事になった。

 

調べたのだけれども、千年王国が初見で問答無用でハメ殺しをしただけあってマモンに関する資料は全然なかった。

 

別の大罪の資料を参考にするしかないな…

 

アインズ・ウール・ゴウンはワールドエネミーは何回も挑んだけれども結局倒せたのはセフィラーの十天使の第8のラファエルだけだよな。

 

メンバーが揃っている状態で何回挑んだのだっけ?

 

ワールドエネミーを倒す為には、弱点属性を探る必要がある。

 

しかも、形態が変化する毎に弱点が変わる上に、完全耐性の上の無効化をしてくるから弱点属性でないと殆どダメージが出ない鬼畜仕様だった。

 

ワールドエネミーの攻撃も、世界の守りが無いと完全耐性を突破してくるこれまた鬼畜仕様だからな。

 

普通に戦うと全滅するのが標準だったよな。

 

何回も戦って形態ごとの弱点や攻撃方法の情報を集めて行ってレギオン編成で、しかもかなりの上位のプレイヤーが集まってやっと倒せるのがワールドエネミーだったからな。

 

現状のナザリックではほぼ倒せない相手なのに、シルトさんは半ば反則的な方法とは言っても、倒す手段を持っている訳だ。

 

「アルベド、ガルガンチュアを除く全守護者を大至急集めろ。

シルトさんから緊急事態の連絡が有った。」

 

「どのような物でしょうか?」

 

「先程、口にも出したと思うが、ワールドエネミー、七大罪の魔王の一体、強欲のマモンと思われる者が見つかったそうだ。」

 

「ワールドエネミー、でございますか?」

 

「かつての仲間たちと何回も戦ったけれども、結局1体しか倒せていない最強のモンスターだよ。」

 

「どちらで確認されたのでしょうか?」

 

「トブの大森林らしい。

この、ナザリックからも近すぎる。」

 

……

 

ワールドエネミーの説明、その強さ等々をデミウルゴスを通じて説明させた。

 

ほぼナザリックの最高戦力と言ってよい、ナザリックからは俺以外にはアルベド、デミウルゴス、アウラ、マーレ、コキュートス、シャルティア、セバス、パンドラ。

 

千年王国からはシルトさん、アンネ、エレア、クスタフ、オックス、フェンデル、ステラ、ズワース、ダイダロスの9名…斥候のハサンは何故いない?

 

シルトさんは後18名出してレギオン編成にしても良い、と言っては来たけれども、双方の戦力バランスを考えて合計18名で、本当にマモンなのか、そして、その強さの確認をする為に挑むことになった。

 

おそらく第一形態の弱点を探るだけで精一杯とは思うが。

 

迷宮に挑む前に再度

 

「良いかお前達、ワールドエネミーなら一当てしてこの入り口から10km以上は退却だ。

外に出てきたらシルトさんが一気に叩き潰す。」

 

「そんなに強いんでありんすか。」

 

とシャルティアが千年王国勢を見ながらそう言ってきた。

 

「来る前にも説明しただろう、ワールドエネミー初見撃破例は一回しかないのだよ。」

 

ほぼ、あれはハメ殺しだから参考にはならないと言うのに。

 

「一回は有るのでありんすよね。

アインズ様なら大丈夫では?」

 

千年王国勢からあきれ返るような目で見られていた。

 

「今日は情報を持ち帰るだけのつもりでかかれ。

そんな風に嘗めていると死ぬぞ。」

 

現に俺も何回も殺されている。

 

しかし最悪だな。

 

こんな状態でまともに戦えるのだろうか?

 

この雰囲気を何とかしたいのかシルトさんが声をかけてきた。

 

「モモンガさん、本物でかつ活動しているなら最悪32体を倒さなくてはいけない事になりますね。」

 

普通なら気が重くなるような事なのに、何でもないかのような口調だった。

 

もう、運営はいないからハメ殺ししても文句を言ってくるものが居ないから自分が最悪何とかする、そう言う感じである。

 

シルトさん以外では、どう考えても馬鹿げた物言いだけれども、実績があるからな。

 

「シルトさん、一応は動かない可能性も有りますよ。

最後の一週間にイベントで見学用に出したものの筈ですから。」

 

殆どこれは願望に過ぎない。

 

多分、本当に活動している。

 

「活動していたら、糞運営!そう言ってやりますよ。」

 

「はは、違いない。

撤退した後に迷宮から出てくるようでしたらお願いします。」

 

少しはましになった雰囲気の元、迷宮を進んでいった。

 

ワールドエネミーが居る迷宮だけあって、難度もかなり高そうだった。

 

魔力消費が圧倒的に少ないので、妖精女王の祝福(ブレス・オブ・ティターニア)のような案内系や、罠を探知するような魔法はシルトさんが使用したのだけれども…装備品を変更したりアイテムを使用したりしていた。

 

「ひょっとしてシルトさんはサポート系魔法を覚えていないのですか?」

 

「この手の魔法ってステータスに影響が殆ど出ないじゃないですか。

その上、即座に使用しなければいけないような魔法でもありませんし。

だったら魔法習得の枠を埋めるよりもアイテムで代用した方が良いと考えたのですよ。」

 

確かに一つの考え方ではある。

 

魔法習得数は600程と言っていたけれども、魔法が使えるようになるアイテムはいったいいくつ持っているのだろう?

 

ふと疑問に思った。

 

非戦闘用の魔法をアイテムでどうにかしているなら、ひょっとしたら俺よりも戦闘時に使える魔法の種類は多いのではないかと。

 

最後の門に着くころには、始め舐めたような雰囲気が有ったナザリックメンバーもかなり真剣な雰囲気に変わってきた。

 

よく考えたら千年王国メンバーは傭兵NPCが主体だからマモンとの戦闘経験があるものがいるのか。

 

レンタル傭兵NPCまで含めると、それなりにワールドエネミーとの戦闘経験があるものが居るに違いない。

 

「前ここに来た時とルートも敵も同じだったな。

ここまで元通りとは。」

 

守護者達に聞いたら、スキルや魔力を半分近く使用していた。

 

対する千年王国組は省エネ戦闘に勤めていたから1/3も使用してはいないのではないか?

 

千年王国組は初めからマモン戦を意識していたのに、ナザリックメンバーは最初に対抗心から派手な戦闘をした結果がこれだ。

 

連携も比べ物にならないくらいの差が有った。

 

そう言えば、千年王国のレンタル傭兵NPCは他と比較しても明らかに強かったな。

 

「シルトさんは魔力は大丈夫ですよね。」

 

「スキルはとにかく、魔力の問題は無いので。モモンガさんは?」

 

「私は半分近くを消費しています。

守護者達も軒並みスキルや魔力の半分近くを使ったようでして。」

 

「普通なら、ここまでは大人数で最後に戦うレギオンメンバーを消耗させないように来るのがセオリーですからね。」

 

苦笑しながらシルトさんは答えていた。

 

シルトさんがヒーラーにここに留まるように指示を出すと、扉を開けた奥にマモンが居て立ち上がった。

 

全員が部屋に入るよりも早く、ワールドエネミーの口上を聞きもせずにシルトさんが魔法を使用した。

 

魔法陣も詠唱も無い為、何の魔法を使用したか即座に理解できなかったが、マーレが「いきなり小災厄(プチカタストロフ)?」と言った事で何を使用したかが分かった。

 

威力が更に上昇したのが目に見えてわかったので、恐らく連射したのだろう。

 

「なんて容赦ない、魔法三重化(トリプレットマジック)魔法最強化(マキシマイズマジック)現断(リアリティ・スラッシュ)

 

シルトさんが攻撃を開始しているのに何もしない訳に行かないので、マモンに向かって魔法を使用した。

 

効果範囲から飛び出してきたマモンをアンネが盾でシャルティアの方に飛ばし、シャルティアが反応してスポイトランスでマモンを突いた。

 

シャルティアだから即反応できたけれども、あれはやばいな。

 

狐だったマモンはハリネズミのようになっていた。

 

第一形態分の体力は削ったようだ。

 

「HP吸収が出来ない。」

 

シャルティアの発言から完全打撃耐性か無効化をもっていることが判明した。

 

デミウルゴスの炎も地獄の炎のスキルを使っても無効化、即死系、精神系等他、分かってはいたけれども兎に角、無効化が多い。

 

動きも尋常もなくは速く、炎のブレスやら雷や糸をばら撒くは、魔法も使用してくる。

 

まともに役に立っているのは糸を燃やしているセバスくらいではないか?

 

あの糸、行動を阻害している上にどうも毒が付与されているらしく、かなり味方の邪魔だ。

 

しかも、マモンはあの糸を使って急に方向を変えてくる。

 

恐ろしいほど強い。

 

既に千年王国のオーバーロードに後退命令が出ていて、俺も後退を開始した。

 

冗談抜きで、これ以上は死人が出かねない。

 

カルマ値正攻撃は効くようだけれども…あれが出来るメンバー自体がアンネの他に居ない。

 

マモンに匹敵する位の高軌道と各種防御魔法を使用しているシルトさんから、白色の光線がマモンに突き刺さった。

 

多分、善なる極撃(ホーリー・スマイト)だけれども、威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)とは比較にならない、まるで別物だ。

 

おそらくかなりの数を同時に発動しているのだろう。

 

マモンが聖攻撃でかなりのダメージが出たのを見たからだろう、シャルティアが清浄投擲槍、コキュートスも武器を持ち換えて切りかかった。

 

あれは数十発分まとめている攻撃だと気が付かなかったらしい。

 

清浄投擲槍を食らっても動きを止めなかったマモンの突撃がもろにコキュートスに当たり体中を串刺しにされた。

 

それを見たアルベドがマモンからコキュートスを引きはがしたが、後衛との間が空いたのを確認したのだろう、マモンが炎のブレスを放ってきた。

 

魔法三重化(トリプレットマジック)骸骨壁(ウォール・オブ・スケルトン)

 

とっさに使ったが、紙でも突き破るようにそのままブレスが俺に当たった。

 

かなりHPを削られた感触が有ったので、「大致死(グレーター・リーサル)」でHPを回復した。

 

千年王国の側はアンネが普通にブレスを防いでいた…あの盾はどんな性能だ?

 

転移阻害範囲からやっと出た俺は、「私は転移阻害範囲から出た、お前たちも撤退しろ。」と撤収を命じた。

 

コキュートスは大丈夫なのだろうか?

 

退避予定ポイントに転移すると、次から次へと転移して戻ってきた…予定通りパンドラは様子を見ているようだが。

 

コキュートスは千年王国の神官、エレアに治癒魔法を受けていた。

 

「アインズサマ、モウシワケアリマセン、ワタシノユダンデス。」

 

「コキュートス、大丈夫だったのか?」

 

「ギリギリシナズニスミマシタ。」

 

「無理するな、相手が相手だ。

他の者は大丈夫なのか?」

 

「アインズ様、全員が何かしらの負傷をしております。」

 

「ワールドエネミーに18人で挑んで死人が出ていないだけでも誇っていい成果だ。」

 

「パンドラとアンネ、シルト様がまだ戻ってきておりませんが?」

 

「パンドラには最後に戻るように先に言っておいた。

少しでも情報を掴まなければいけないからな。」

 

暫くしてパンドラが少し離れた場所に転移して、こっそり合流してきた。

 

「アインズ様、後で少しお話が。」

 

小声でパンドラが話しかけてきた。

 

「パンドラ、分かった。」

 

何か他の者に知られたくない情報を掴んだのだろう。

 

その後、アンネとシルトさんが戻ってきた。

 

「シルトさん、御無事でしたか。」

 

「モモンガさん、心配させてすいません。

マモンを引き離せなくて、どうも転移阻害の中心はマモンらしく、転移できませんでした。

まあ、なので倒しましたが。」

 

パンドラが話したいのはこの事だろう。

 

「ワールドエネミーなのでワールドアイテムは出たのですか?」

 

「マモンのワールドアイテムなら二回目は出ませんでしたよ。

同じワールドアイテムは二個にはならないようです。」

 

まあそうだよな。

 

エレアの「シルト様、アンネ隊長、お怪我は有りませんか?」の質問に。

 

「私はダメージを受けていないがアンネはどうだ?」

 

「私も受けていませんので大丈夫です。」

 

この二人、ひょっとして治癒魔法を使ってすらいないのでは?

 

「主殿、我らは足を引っ張っただけのようで申し訳ない。

今後精進いたします。」

 

「気にしなくてもいいよ、皆もワールドエネミーの強さが分かっただろう。

他にもいると思うから、見つけたら即座に撤退して欲しい。

しかし強すぎるだろう、くそ運営め。」

 

確かにマモンは強かったけれどもだ

 

「いや、無傷で倒した人に言われても。」

 

運営もシルトさんには言われたくないだろうな。

 

~~~

 

「で、パンドラ、あの後に何が有ったのだ。」

 

「父上は本当に世界征服をお望みなのでしょうか?」

 

「急にどうしたのだ?」

 

「私達は実質的にはマモンに手も足も出ませんでした。

マモンに与えたダメージの殆どはシルト様、そしてあの攻撃を凌ぎ切ったのもあの二人だけです。」

 

「皆その気だからなかなか言い出しにくいのだけれどもな、千年王国の戦力もシルトさんも倒すにはあまりにも厳しい、そう思っている。」

 

「それだけではありません。

ワールドエネミーもこの世界にやってきているなら今後も戦う事を視野に入れなければなりません。

ワールドエネミーにワールドアイテムは効かないのですよね?」

 

「効かないな。

自身のステータスを上げるような物は兎に角、ワールドエネミーに直接干渉する物は効果が無い。」

 

「であれば、ワールドエネミーに対しては我らが持っているワールドアイテムでは幾億の刃とヒュギエイアの杯以外はほぼ無意味、そういう事でしょうか。」

 

「他にもこの球が有るがな。

最も、ワールドエネミーの攻撃を防いで倒されないようにする必要はあるが。」

 

「我々ナザリックだけで倒せるのですか?」

 

「まず無理だな。」

 

「この際、千年王国に膝を屈するのも仕方が無いのではありませんか?

彼らは自分達だけでワールドエネミーを倒せるのですよ。」

 

「シルトさんはアケミちゃんさんの敵を討つことも嫌がっているようだが。

流石にこれだけは譲れない。」

 

「では、マモンからワールドアイテムを入手していないと言っていましたが、実際にはしています。

そこを突かれては?」

 

「シルトさんは嘘をついていたのか?」

 

「嘘を言っていないけれども何かを隠しているのではないですか?

同じワールドアイテムは二個にはならない、そう言っていましたから。」

 

「どうしてそう思う?」

 

「多分、私が隠れているのも気づかれていました。

シルト様の近衛のハサンが見当たりませんでしたが、私と同じく隠れて見ていた可能性が高いと考えます。

すぐわかる嘘はついていないのではないかと。」

 

「その件だけは黙って、どのように倒したのかを皆に説明してもらえるか?」

 

「わかりました父上」

 

~~~

 

…と言うようにマモンを倒した訳です。」

 

「事実上、二人で倒したようなものだな。

しかし本当に二人ともダメージを受けていないのか?」

 

「はい、シルト様は雷しか受けていませんが当たる直前で消滅していましたから、無効化していたのではないかと思います。

装備品か電気属性無効化(エネルギーイミュニティ・エレクトリシティ)魔法なのかは分かりませんが。

糸も全て焼いて当たっていません。

アンネの持つ盾は、どうも何も貫通しないようです。

味方の間に入ったり、マモンに攻撃する事でマモンの攻撃を逸らす、と言うような事もしていました。

味方が居なくなってからはアンネも完全回避をしていましたが。」

 

「つまりは、アンネは物理盾と回避盾を兼任しているのか。

盾は大会の優勝賞品で一番に選んでいるから、たっち・みーさんの鎧、コンプライアンス・ウィズ・ローと同格かそれ以上のスペックなのだろう。

で、シルトさんも回避盾のような動きをすると。

本人の発言が正しければ、紙装甲、高機動、高火力の魔法詠唱者(マジックキャスター)と言う、一般常識では理解不能な存在だな。」

 

弐式炎雷さんが聞いたら歓喜しそうな人だよな。

 

「アンネは盾役ですが、タゲ取りをして相手の攻撃を引き受ける、と言うようなことはしないようです。」

 

パンドラがアンネの事を解説していたが、アンネはシルトさん個人の盾役であって、パーティーの盾役ではないからだろう。

 

「の割に、千年王国メンバーは軽傷で済んでいたようだが。」

 

「我々ナザリックメンバーとは比較にならないくらい連携が取れていました。

マモンの攻撃がまともに当たらないように別のメンバーが横やりを入れたり、自分の役割を認識して動く、と言ったような事は見習わなければなりません。」

 

「アインズ様がザイトルクワエとの戦いで連携の必要性をおっしゃっておりましたが、この度はアインズ様のおっしゃることがとても重要な事であったと改めて痛感させて頂きました。」

 

 

このようにパンドラの説明を聞いて、自分たちが手も足も出ない相手に勝利を収めた事、千年王国側は全て軽傷で済ませていた事を受けて、デミウルゴスを始め自分たちのふがいなさを俺に謝ってきたけれども、千年王国の近衛とは戦闘経験が余りにも違いすぎる。

 

しかも、守護者としてばらばらに居たのと違い、始めから同じパーティーで戦ってきているのだから、この差は埋めるための努力は必要だけれども、相当大変だろう。

 

ザイトルクワエとの戦いで連携の必要性を教えていた理由が今更ながらに理解できましたと俺の株が何故か上がったのだけれども、これだけは疑問だ。

 

しかし、ヘイトコントロールをしない盾役、と言うふざけた概念なのにきちんと成立している盾役(タンク)を初めて見たと言っても良い。

 

盾役がヒット&アウェイで味方への攻撃を直撃をさせないようにしてパーティーの総ダメージを防ぐとか理解に苦しむ。

 

しかも回避盾と物理盾兼用とか言う頭が可笑しい存在でもある。

 

シルトさんも魔法の手数だけで押していると思ったら、紙装甲高機動高火力で回避盾の魔法詠唱者(マジックキャスター)と言う、意味不明な概念の戦い方をしている事も判明した。

 

シルトさんはキュアイーリム戦の映像で見ていたとは言っても、実際に直接見るとやはり意味不明だよ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。