Route:lost   作:花見饅頭

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閑話2

 アルキメデスはレガリアとか王とかの話を一通り済ませると、仕事がと言って部屋を出ていった。

 

 わたしはマスターになった。こうすれば何か思い出せるやもしれないと思ったのだが、そううまくはいかないらしい。

 左手にまだ彼の感覚が残っている……というより、彼の存在が乗り移っている感じがする。これがマスターに特有の感覚なのかは覚えていないが、何にしろアルキメデスが常に側にいてくれるように思えて心が落ち着いた。

 

 しかし、その心の内は未だ見えない。

 穏やかな湖のようでもあり、入るものを切り裂く茨の茂みのようでもある。彼はいつもわたしに優しいが、「願い」のことといい何を隠しているのかまるで分からない。

 

 正直なところ、アルキメデスは()()

 隙が見えないというか、人間らしくないというか。初めて彼を見たときに感じた「何にも見えない」という印象がイメージの根底にまだ残っている。

 彼の温和な部分、冷淡な部分以外に、巨大な()()が存在する……ような気がする。

 

 その上でわたしはアルキメデスを信用している。

 こんな風に思うのはよくないかもしれないが、彼はわたしにマスターやレガリア所持者として以外の価値を見出しているのだろう。そういう意味では彼は少なくとも「わたしそのもの」を裏切りはしない……と思う。

 

 勿論もっとも大きな理由はアルキメデス以外の味方が「心臓のわたし」にはいないからだ。

 セイバーはわたしを認めてくれたし「精神の岸波白野」もこちらを敵とは見なさなかったけれど、セイバーはわたしを()()()()()()()()()()とはしなかった。

 

 献身の裏にどんな理由があるのはわたしには分からない。アルキメデスがわたしに見せる顔は何もかも嘘なのかもしれない。

()()()()()()()()()くれた存在に縋っているだけだと言われればその通りだけれど、彼が無知なわたしの救世主なのは本当の事なのだ。

 

 不安定なままのSE.RA.PHの大地でのわたしの寄る辺は、借り物の指輪と彼だけだ。

 わたしは生きたい。「心臓」の欲求にこれ以上に大切なものがあるだろうか。

 アルキメデスの目的がわたしたちの想像もつかないような傲慢なものであるのならば、マスターであるわたしも同じくらい利己的に生きることを選んでやる。

 

 わたしたちはこれから数週間の長い(短い)時間を過ごすことになる。

 

 すべてが終わるのはもっと先のこと。

 その間に何度戦い、何を得ることになるのか、それを教えてくれるのはわたしのサーヴァントだ。

 

 わたしは自分が何も知らないことを理解している。

 彼の隣に立つために、それ以外は今は必要ないだろう。

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