言語その他諸々残念系主人公が兄の入間くんと共に悪魔の世界を満喫する物語。
「レディ。こんなところに迷い込んで、どうしたってんだ」
「あぁ可愛そうに。こんな悪魔だらけの場所で、親とはぐれたのか?」
「迷子の迷子の小さな人間。さーて、どうやって食っちまおうか?」
「いややわ兄さん、こんなガリガリで食いでのない人間、食うたって腹は膨れんで」
「ふむ、それもそうだな。悪運が強いなぁレディ?16になったら、お前を食ってやるよ」
「あぁでも、お腹のすく匂いやなあ」
「レディにこのリボンをやろう。しっかり食べて、大きくなる様に、
拝啓、前世のご両親へ。
私には記憶が無いのであなた達がどんな人間だったのか分かりませんが、少なくともこれだけは言えます。
──今世の両親よりはるかにマシ。
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気が付いた時には私は真っ暗な空間に居た。
「うん…?」
疑問に思って呟いてみたけど、無駄だった。すぐに分かった。この黒は何もかもを吸収して消す。なんかこう、光を吸収しない黒って感じ。
「えー、っと、これ、何?何も理解できないと対策もできないんだけど……」
伸ばしたはずの手のひらだって見えやしない。
どこが上か下か、どっちが右か左かだって分からないあやふやな世界で身体がフワフワ浮いている感覚。
だ。
……ふと気付いた。私は誰だ?
理解をするどころか欠片も思い出せないことに。何となく、自分が女であることは分かる。
口には出さずに頭で考える。この状況を打破する方法……。
「……打破する方法、無くない?」
『あるぞ』
よーし諦めるかあー!って潔く考えてたら背後、って言うのかな……私の意識の外側から声を掛けられた。
『わしの名前は……ふむ、便宜上じゃが堕天使と名乗ろう。主に人間の生死に関わる天使という役職の、まぁ堕ちた存在じゃ』
「……あの、厨から始まって二が間に入って病で終わる人はなんかもう疲れるからいいかなって思うんですけど」
『怖いもん知らずかこのクソボケっカス』
「口が悪い!」
自称堕天使に罵倒された。ぴえん。
発言にきれたのか一気に柄が悪くなった堕天使にコンコンと説明を受ける。
まず『天国』と『地獄』という物は死んだ後に行ける空間では無く扉らしい。
それにより生まれる時の家庭環境に差がある。ベルトコンベアー的なので振り分けていく様だが、死後の世界は工場かよと思った私は悪くない。
善人や良い行いをした人は天国の家庭環境。
悪人や悪い行いをした人は地獄の家庭環境。
『いい子』で無ければならない理由はこれだったのか。人間の遺伝子や本能で察していた様だ
そしてこの空間の話。一つの世界を会社だとすると社長が創造神。そしてその部下が天使らしい。細々とした神様は会社にお邪魔する派遣員やバイトみたいな扱い。……わかりやすいけどその例えはどうなんだ。
堕天使という存在は天使の中での不良。だから何も無い、──この時空の狭間という空間に堕とされるらしい。
時空の狭間は人間には視力の関係で真っ黒に見えるけど普通の牢獄の様。うーん、何も見えない。
『お前のような魂の不良品は時々この時空の狭間に落っこちてくる』
「落っこちてくる」
『割と酒のつまみになる』
「牢屋なのに?」
謎すぎる。
「まぁいいや。転生とかどうでもいいし余生?余死?を楽しむかあ〜!」
『何を言っとるんじゃ?』
「え?だって堕天使って要するにニートでしょ?天使という役職から解雇された不名誉なやつ。そんな牢獄みたいな場所で何も出来るわけ無いでしょ?それよりはこの場所で適応した方がなんぼかマシ!」
と言うか激しくゆっくりしたい。
死にたくないという当たり前の危機感情はあるけど、なら死なない環境でいいやーという怠惰もある。
『ダメじゃ。出ろ』
「いーーーやーーーでーーーすーーー!」
『ええいしゃらくさい!無理矢理転生させてやるわ!』
嫌だ!働きたくない!
駄々を捏ねても堕天使は頑として譲らなかった。このクソジジイ。
『お前みたいな魂は茶渋みたいな災厄がベッタリこびりついておるからのう、新しい生でも頑張るこったな』
「……!?聞いてない聞いてない!重曹取ってきて!?」
『言っとらん言っとらん。ほい〝リィンカーネーション〟』
あ、これ転生する。直感的にそう思った。
「このクソ堕天使いぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
『──今度の人生は、せいぜい人に殺されぬ様に立ち回ることじゃな』
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──十四歳。
「うん、だからね、二人とも吾輩の孫になってくれないか?」
「なんでやねん」
堕天使が言っていた災厄がなんなのか。嫌ってほど知った14年間の中で、もっともやばいピンチに陥っていた。
こんにちは、私は鈴木
兄の名前は鈴木入間。読みはあえて言わないけれど、どちらもとんでもねぇネーミングセンスだ。
私たちは双子で、私たちの両親はとんでもなく屑だった。とにかく非常識で論外。
『見てあなた!鈴音が立ったわ!』
『おお〜やったな!偉いぞ鈴音。──じゃあ、鈴音は今日から
『!?』
『アマゾンの奥地で珍しい食材を探しに行くぞ!』
生まれて一年後『立ったから自立』という自論を持ち出したよく分からない理不尽の塊によって社会に出された。
思い出したら腹が立ってきた。
悲しきかな、前世とは行かないけど兄より先に自我が芽生えたというアドバンテージのおかけで兄より先に修羅場をくぐる羽目になってしまった。
案の定獣に追われて迷子になるし、迷子の先でなんか変な人に会ったりもしたけど数ある修羅場の数ある出会いの中の一つ。ひとまず置いておこう。
『あなた!入間も立ったわ!』
『よし!マグロ漁に行くぞ!』
『んびゃあう!!(意訳:処すぞてめぇ!!)』
何も知らない赤子の兄。そして自我のある精神年齢高い私。もう、分かるね?私の胃がどれだけ悲鳴をあげたか。
流石に兄を見捨てるのも倫理的にちょっとしんどかったので、守らなきゃならなかった。
それからというもの。金を求めて東奔西走。
幸い世界は前世と似たような場所だったけど、巻き込まれる事件の数はえげつない。
お金を求めるのは当然だけど、お人好しの兄の頼み事を断れないという性格。私達はとてつもない苦労を重ねた。
──そして今。
よし、ここまでの整理整頓が終わった。
今の状況は両親が悪魔を召喚して、出てきた悪魔に金と引き換えに子供を売った。
うん!馬鹿!
悪魔と契約して悪魔を見世物にした方が稼げるし私たちが稼いでくる金額だって馬鹿にならないのに飼い殺ししなかった両親の馬鹿さ加減と先を見通せない残念さにため息が出る。
だが、ピンチはチャンス。
「そんなわけで入間くん、鈴音ちゃん!我輩の孫になってくれないか?羨ましいんだよ友だちの孫自慢!なんでも買ってあげるしでろっでろに甘やかすから!ねっいいでしょ!?」
兄は基本的に断ることを知らない。
だからこういった怪しい取り引きは、私の出番なのだ。
「お、おじいちゃん?(きゅるん)」
──ピシャアン!
その時。見えないけれど、確かに雷が落ちた。
「おじいちゃんです!!!!!(爆音ボイス)」
あっ、この悪魔多分ちょろいぞ兄貴。
「えっとね、おじいちゃん。私たちを食べるすたりせぬ?」
「ちょっ……………と待って欲しいかな。鈴音ちゃん。その言語は、日本語じゃないの?」
「あ、あの!鈴音は僕の代わりに色んな人と話してくれたから、色んな国の言葉がしっちゃかめっちゃかに混ざっちゃって」
「母国語すら危うきぞり」
「うん、ほんとにね」
「…………あの人間殺すべきだったかな」
私には欠陥がある。
怪しい取り引きは私が出番だってのはさっき言ったよね。
そう、方言やなまりが強かったり、外国語だったり。交渉する言語は様々。私は必死に覚えた。だって言葉が通じなければ意味が無いんだもの。
結果、会得言語は増えたけど、母国語ですらマスター出来なくなってしまった。
バイリンガルもびっくりだよほんと。人間の脳みそ欠陥能力がすぎる。
「……とりあえず理解した。うん、やっぱり孫になろう?」
「食べる、せぬ?」
「もちろんだよ!可愛い可愛い孫を食べたりするもんか!」
「美味しきご飯と、暖かき寝床と、それと命の保証。おじいちゃんが殺さぬ、ではなくて悪魔たちから兄貴と、鈴音を守るすて欲しきぞ!」
「うんうん!」
「私たち、なにもせぬすていい?生贄ぞされたり労働奴隷ぞしなくても良きですぞ?」
「もちろん!」
ならかなり条件はいいんじゃないだろうか。
「──だけど、条件がある」
私はその言葉に目を小さくだけど見開いた。やっぱり何か対価が必要なんじゃないか。これだから大人ってやつはよぉ。
兄貴を守るように立つ。でも兄貴は、そんな私の前に割り込んで両手を広げた。
──パチン
指パッチンの音がなり、ポンッと音を立てて兄貴はセーラー服に包まれた。
「……!?」
「!?」
「あぁ違う違うそっちじゃなくてこっち」
──パチン
今度は学ランのような、青色の衣装に包まれた。
「僕から出す条件は『学校に行くこと』だよ。君たちはあの両親のせいでまともに学校に通えてないんでしょ?」
ご最もだ。
「だから君たち2人には、僕が理事長を務める
この道の先にあるのが天国か地獄か。
悪魔的に言うと地獄なのかもしれないけど、それよりも。
「悪魔って社会的な構築ぞあるんだ……」
「鈴音のツッコミってそこでいいの?」
入学ほぼ当日に入学準備するな、とか?
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