4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第10話 お茶だけは得意

 

 

師団披露(バトラパーティ)?」

師団(バトラ)による発表会もとい新入団員のお披露目会ですね。催し物や出店で賑やかなイベントです。そして何より、1年生の親が見学に来ます」

「なるほど……!(授業参観だ)」

「リィン様は師団(バトラ)に入られなかったようですが、イルマ様は確か魔具研究師団(バトラ)に入られたとか」

「はい!一緒に入らないかって誘ったんですけど」

 

 自宅にてイルマはオペラと師団披露について話していた。

 イルマは先輩の意見に感銘を受け、アリスとクララと共に同じ師団(バトラ)に入ることとなったことことを喜んでいたのだが、ひとつだけ不満がある。リィンが乗ってこなかったことだ。

 

「リィンに『今忙しいからまた今度ね』って断られちゃいました。リィンの知識って本当にすごくって、僕は勘で修理とかしか出来ないけどリィンなら改良しちゃうんですよ!」

「ほう、そうなのですね」

 

 オペラの感心したような声にイルマが自慢げに胸を張る。

 互いに苦手分野を補い合って来た2人。イルマは機械を修理するのが得意だが、知識的に改良や応用が苦手だ。対するリィンは記憶こそ無いが前世というアドバンテージがあるため学習に余念が無い。

 逆にリィンは食に対する意欲がほぼ無い。食べられるだけで満足なので毒であろうがなんでもかんでも食べる。対するイルマは食に関して貪欲で、なんでも食べるのは変わらないがせっかくなら美味しいものを食べたい。栄養バランスなどを考えてリィンに食べさせてきた。

 

 食欲と知識欲、お互いが生活の要だった。

 

 恐らくイルマがいなければリィンは栄養失調気味になっていたし、リィンがいなければイルマは余裕が無かっただろう。

 居なくても成り立つが、居た方が補い合えた。

 

「あれ、そういえば朝からリィンの姿が見えないかも」

 

 実はサリバン様も居ないのですが。

 オペラは忘れ去られた主人の所在を思い出してイルマの肩を叩いた。

 

 師団披露(バトラパーティ)用の荷物を用意するように命じられていたが、ひとまずイルマの疑問を解決することにしよう。

 

「リィン様は……──アルバイトをしに」

「アルバイト?」

 

 イルマは首を傾げた。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 ──同時刻

 

 魔界塔(バベル)665階。

 

「では、これより協議に入る」

 

 英傑次席のベルゼビュート。

 13冠の集い(サーティーン・ディナー)と呼ばれる魔界の英傑達による定例会議が一声で始まる。

 

「お待ちを」

 

 しかしそれに対して待ったをかけたのは天眼アスタロウだ。爪の先まで几帳面に整えられたかれは不在の2名について言及する。

 

 色頭アスモデウス。

 暗帝グラシア。

 

 欠席者は2名。それに対して『またか!』と声を荒らげたのは獣に近しい見た目をした四方筆頭のアマイモンだった。

 

「13冠の自覚が足りねぇな!」

「双方多忙なのだ。ここは呑み込んで協議を始めよう」

 

 ベルゼビュートの切り替えにまっさきに話し出した議題は食物問題について。

 食王べべモルトは芳醇な体を揺らして危機について話す。

 

「一番の問題は食物の乱獲だ。このままでは食物が尽きて飢え死にしてしまう」

「いやお前は少しは飢えた方がいい」

 

 アマイモンの発言を皮切りにアスタロウが『金回りも良くない』と新たな議題を話し出した。

 

「不正な物々交換の取り引きが多すぎる」

 

 正規の取引では無いため税が上手く回らないのだ、と不満をぶつけると、不正と言う言葉に反応した赤毛の男がメガネを正した。

 

「高位悪魔の不正渡航が増加しています。由々しき事態です」

 

 魔関署警備長のアザゼル・アンリが問題点を出した。東も大変だ、とアマイモンが同情し、もう1人にも話を振る。

 

「なあ嬢ちゃん」

「そっだらごといわれてもわたすは知らんべや。そっちで何とかしてくんろ」

 

 精霊主パイモンは湯気の立った紅茶を飲み込むとズーズー弁で素っ気なく答えた。

 

「あっだん、べろおかげでぐったな」

 

 驚いた。今日の紅茶は美味しい。

 独り言のように呟く間に議題は『魔王不在がやはり大きいのでは無いか』と言う話題へと変化していく。

 

 三傑

 ベリアール

 サリバン

 レディ・レヴィ

 

 その3人の中から魔王を選出し、魔界の統治を進めたい。

 やはりベリアール様が。いやいやレディ・レヴィ様が。いやサリバン様が。

 

 ヒートアップする議題に馬鹿らしく鼻で笑ったのは雷皇バールだった。

 

「アホクセぇ、小波が騒いだところで魔界は何の影響もねぇつーのによ」

「あぁ!?」

 

 ろくに会議に参加しない若造のその舐めた口に一触即発の文字が誰だって浮かんだその時。

 

「はーい、お茶のお代わりいかがですぞー?」

 

 会議にぴょこりと顔を出した給仕がポット片手に会議室に入ってきた。

 

「なんだァ?見たことない給仕だ……な…………」

「始めますて13冠の皆さん!雑用のアルバイトぞすてます。言語は少々不自由故に聞き取るしにくいかもしれませぬが。リィンです、以後、お見知り置きを!」

 

 青いリボンを付けた金髪ツインテールの美少女。

 

 

 

 ──そう、私のことである!(どーん)

 

 

 

 

 

 はい、こんにちはリィンです。兄貴が師団(バトラ)で同級生や先輩達と交流を深めてツテを作ってると思うので、私は兄貴の活動範囲と被らないように『13冠』とのツテを狙ってやって来ました。

 

 うーん、全員に媚び売れって警告が頭にガンガンと鳴り響いてくるなぁ。

 

「で、誰なんだ?」

「あっ、サリバンの孫ですぞり!始めますて」

「孫!?」

「えっ、というか娘か息子いたのか!?」

「まぁ色々ありますて。両親は蒸発中?まぁ、あまり気分のいい話では無き故に詳細はご勘弁すてください〜!」

 

 カルエゴ先生に教えられた魔界の権力者、13冠。

 その定例会議があると知っておじいちゃんにお強請りして連れてきてもらったのだ。お茶汲み雑用したいなーって。

 ちなみに拗ねるとめんどく……可哀想なので先に三傑と呼ばれる方々にはお茶だけ出てきたよ。孫自慢大会してた。

 

 そうか、魔界のトップがそれか。

 




ちょっと短いですけどバランス調節です
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