4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第14話 悪食と悪周期

 

 最近ふとした時視線を感じるような気がする。

 

 

 最近のイルマは文化祭の巡り巡ったお礼として3枚だけ手に入れたアクドルと言われるアイドルのステージを見に行ったのだ。私も誘われたけど、3枚しかないし流石にお断りした。

 するとテレビを見たらイルマ軍の3人がアイドルしてた。牛乳吐き出しちゃった。

 

 翌日問い詰めれば、アクドルのおしゃべり券が当たりおしゃべりをしたはいいが倒れてしまい、その間を繋ぐ為に披露したそうだ。

 

 

 

「その指輪、何?」

 

 イルマの悪食の指輪からぱっちりお目目のくびれがスラーっとした変なモヤが現れていた。

 

「リィン……!ようやく信じてくれる人がいた!」

「なにそれこわい」

 

 おじいちゃんに聞いても指輪が喋るわけ無い、と否定されて暖かい牛乳を飲まされ部屋でしくしく泣いていたそうだ。

 

「ご主人同棲してる女の子いたんだ?」

「妹!妹だから!」

「あーね?」

 

 無駄に声がいい一目の小人に私は首を傾げる。

 

「何者?」

「それを今聞き調べてる……。明日図書館に行ってみようかなって」

「私の方でも調べるすてみましょうか」

「協力してくれるの!?」

 

 同じ部屋に気味が悪いものが居ても困るし……。

 仕方ないからベットに横になって悪食の指輪に問いかけた。

 

「こんにちは。リィンです。悪食の指輪さんは、何者です?」

「悪食の指輪の化身……かな?急にしゃべれるようになってビックリしたぜ」

「ふぅん……」

 

 私は少し考え込む。

 その間に兄貴が補足説明をした。

 

「実験とかされそうで怖くて人前にでたがら無いんだ。前例があれば出てくれるって」

「なるほど。急に喋る可能とのことですが、自我はどうです?」

「そりゃーあれだ、ひっぱり事件だな。変態眼鏡の首根っこ掴んでヤバいやつだって教えたじゃん」

「あれそう言う意味だったんですか!?」

 

 どの事件だよ。そんな悪態を思い浮かべたらイルマにも伝わったのか師団見学でキリヲ先輩に会った時だという説明がされた。

 

 あー、なるほど。

 

「じゃあランクが影響すてそうですね」

「ランク?」

「だってこの指輪、飛行試験のランクの時に位階袋鳥に貰うすた指環じゃ無きですか」

 

 ランクが2.3と上がった段階で進化している。とても分かりやすい時期だ。

 

「「おおー!」」

 

 兄貴と指輪の化身は揃って拍手をしている。

 

「兄貴、4まで上げるぞり」

「え、うん……そうしたら悪食さんも成長できるってことだよね?出来るかな?」

「ドンドンランクぞ上げるすてもらわねば、ちょっと困るぞ」

 

 さて、本題に移ろう。

 

「過去、この指輪を使うすた事がある人物に覚えは?」

「いやー。それが全く。そのランク?上げりゃ思い出すかもしれないんだけど、俺ちんさっぱり」

 

 兄貴の持っている悪食の指輪は二つに分かれている。本来の指輪の部分と出力を変化する箇所だ。真鍮で出来ているようにも思えるし、金でできているようにも思える。

 真鍮と鉄で出来ていたのなら、ソロモンの指輪の説が大きいのだけど。

 

「……うーん、まぁ、それはそれか」

 

 ソロモン72柱だって、名前は一致していても中身は不一致だ。

 悪魔界に元ネタがあり、人間界に伝承が伝わったと仮定すれば多少の歪みや不一致さは見逃してもいいんだけど。実際どうなのかは分からない。

 色々敵に回しそうな仮定だけど、旧約聖書が全くの創作って可能性もあるんだ。

 

 わっかんないな。別次元にいるならともかく隣人として行き来できる世界線に生きているから。

 

「ご主人もご主人の妹も考え込むと黙っちゃうのね〜」

「そのご主人って言うのはちょっと……」

「じゃあイル坊な。俺の事は……」

 

 

 

「──アリクレッド」

 

 Arikured

 

 頭の中でピースがハマる音がした。

 

「アリク……?」

「ん?おおっ、そうだな、アリさんとでも呼んでもらおうかな」

 

 アナグラムだ。

 

 パッと頭の中にアナグラムが浮かんだ理由は分からないけれど。逆から読めばデルキラになる。

 

 

「……アリさん、これからイルマをよろしくね」

 

 彼がデルキラなのか、それともデルキラが人間でアリさんが魔力を保有していたのか。

 正体は分からないけれど、これで色々合点がいく。だってデルキラって名前の悪魔は居ない。

 

 ドラキュラが1番近いのかな?

 まぁそれはさておきだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 まさかアリさんのせいで悪周期になるイルマが見れるとは思わないじゃん……?

 

 

 

 

「──リィン!どういうことだ!」

 

 カルエゴ先生に凸られちゃった。

 

 えー、悪周期兄貴曰く、教室を王の教室(ロイヤルワン)に移させろと。

 そしてその許可証を3日以内に先生全員からいただくことを条件としてカルエゴ先生と交渉したのだった。

 

「どういうことも、私知りませぬぞ?」

「あやつ……!挙句の果てに使い魔にしてサインをもらおうなど……!」

「えっ、そこです?」

 

 私の首を傾げた姿にカルエゴ先生は不機嫌にも不思議そうな顔をした。

 そうか、この悪魔、別に人間に対して詳しいわけじゃないもんね。私がおかしいと思っている点が伝わらない可能性だってあるわけだ。

 

 だから私は簡潔に分かりやすく説明した。

 

「──人間に悪周期なんて存在しませぬぞ?」

 

「────シチロウ!緊急だ!おい誰がダリ先生を呼んでこい」

 

 大騒ぎになりますよね。まぁ。

 

 

「……で。説明をしてもらおうか」

 

 カルエゴ先生、シチロウ先生、ダリ先生が私の前で陣取る。シチロウ先生の準備室にて、四面楚歌だ。

 

「まず、イルマが人間という説明は一旦省きます」

「そうだね、入学式で正体をぶっちゃけたリィンちゃんがおかしいのであって、正体を隠しているのは仕方ないよね」

「ダリ先生ありがたい!そうです、私が異常です」

 

 そして私は3人の前に紙を配った。

 

「……移動…………許可書…?」

「ここからは有料ですぞ♡」

 

 意訳:サインくれたら喋るよ

 

 カルエゴ先生はギリギリまで渋っていたけれど、ダリ先生は面白がって、シチロウ先生は聞きたいが故にサインした。

 

「……だが、王の教室はこの世界の礎を築いた御方の残した尊き業火だ。この学園の門番として、その火に触ろうとする愚か者に許可を与える訳にはならない」

 

 ビリビリと肌が張り付くような威圧感に思わず息を飲む。

 

「──そのデルキラが関係しているというすても?」

 

 だけど、今までくぐった修羅場に比べればピンチも何も無い!

 

 

 

『で、リィン。お前にもサインを取ってきて欲しいんだが』

『あー。イルマ。ひとまず5枚担当すてもいい?』

『ほう?俺的にはマルバス先生とロビン先生を頼みたかったんだが、他にも手があるのか?』

『その2人ももちろん。でも──ダリ先生とシチロウ先生と、カルエゴ先生から取ってくるぞり』

『んな!?』

『カルエゴ先生!?』

『あのラスボス相手に初手で行こうと!?』

 

 

 宣言しちゃったんだよね。

 あと、兄貴が策を立ててクラスメイトの説得やサインを貰う計画などを立てているのを聞いて、ちょっとこいつの手のひらの上で転がされるのはごめんだなと思って。

 

 

「あの悪周期はデルキラの遺物によるものです」

 

 事実はしらんけど!

 微かな関連性で私は魔王関係だと睨んでいる。

 

 真実がどうであれ、私はそう思っているし信じている。そして嘘は付いていない。

 

 だからシチロウ先生の嘘発見器(推定)にも引っかからないのだ。

 

「デルキラの意思や共鳴と言っても過言ではなきですが、話、聞きませぬ?」

「……ーーーっ!」

 

 カルエゴ先生の長い葛藤と、シチロウ先生の後押しで、書類にハンコが押された。

 

「うふふ。ありがとうござりまーす!」

「話せ」

 

 凄まれてしまったので、私は改めて考察を兼ねて説明をした。

 

 

「まず悪食の指輪ですが」

 

 あれに意識集合体が宿っていること。本人は露見したくないこと。名前をアリクレッドということ。

 

 それらの3つを話した。

 

「アリクレッド……聞いた事ないな……」

 

 3人とも首を傾げるので私は紙に文字を書いた。

 

 Arikuredと。

 

「もしかすたら正式な綴りでは無きかもしれませぬけど、悪食の指輪が無意識で呟くすた言葉です」

 

 何かを思い出していたのかもしれないし、刻み込まれた名前なのかも分からないけれど。

 意味が無いことはないだろう。

 

 

「……っ!デルキラ!?」

 

 その名前を見たカルエゴ先生はしばらく考えたあと私と同じ結論を出した。

 

「袋鳥も1000年に1度の異常事態ですたでしょ?あの指輪、基本外れませぬけど。まぁ外そうと思うすたなら外せますしね」

「どうやってだ?本来悪食の指輪は死ぬまで持ち主に帰属するが」

「そんなの、指でも腕でもスパッとズバンと切り落とすれば良きぞです」

「悪魔か」

「考え方がおかしいよ」

「本当に人間?」

 

 人間を神聖なものだと考えてらっしゃる?

 邪悪なことを思いつくのが悪魔の専門だと思うなよ、むしろ悪魔って割と思いつく範囲は純粋だと思っている。

 

「もちろん兄なのでしませぬが、指輪とイルマは一心同体。故に……まぁ、王の教室に入れば何か共鳴する可能性ぞある」

「可能性、なぁ」

「ちなみにランクが上がれば上がるだけ悪食の指輪の能力が増える様ですので……」

 

 要経過観察、ということだ。

 

「──ところで三方に少し相談があるのですが」

「うん?」

「血液接種により悪魔がどうなるするか、実験したきですが。どうでも良き実験台ごほん悪魔とか、います?」

「え、じゃあ僕試してみていい?」

 

 ダリ先生の挙手に嫌そうな顔をする2人と私。

 

「よく考えてよ。人間は昔食料として食べられていたんだから体に毒とか悪影響は無いと思う。そして、もし僕が暴れてもカルエゴ先生が押さえつけられるし、シチロウ先生は観察や記録を取るべき、そうだろう?」

 

 り、理にかなっている。

 ダリ先生がどこまで強いのか分からないけど、カルエゴ先生が暴れる羽目になるよりは確かにマシだろう。

 

「なるべく早めにどうなるかだけでも知るべきだと思うんだ。あと純粋に食べてみたい。お腹空いた」

「そっちですね本音」

 

 ダリ先生の期待するような目に、私は仕方ないのでスプーンを出してもらった。ナイフで指を切ると血が滴り落ちる。

 

「…………これやっばいね。ガチで美味しそう」

「私は人間と隠す香水の使用ぞ低き故に、イルマより匂いが濃いかもしれませぬぞり」

「え、食べていい?食べていい?もういい?」

「うん、どうぞ。一応記録だけ取っておくね」

「よっし、じゃあいただきます!」

 

 全員がそれぞれの準備をしたことを確認して、ダリ先生はスプーンに盛られた血を、ヨダレの出る口へ放り込んだ。

 

 

──バキッ!

 

 ばき?

 

 

 私は一瞬にしてシチロウ先生の背中に庇われた。

 

「あぁ……これは、甘美な」

 

 背中から少し顔を出せば、カルエゴ先生が一瞬にしてダリ先生を押さえつけていて、シチロウ先生も植物を出して壁を作っていた。

 

「美味しい、美味しい!ねぇリィン、もっと血をくれよ!」

「ひょえ……」

「覚えておくといい、リィン。これが悪魔の悪周期だ。恐らく、通常よりも凶暴化してるがな」

 

 スプーン一杯で悪周期。

 髪も羽も真っ黒にしたガンギマリダリ先生、夢に出てきてしまいそうだわ。

 

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