4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第16話 なんと言おうとウォルターパークです

 

 終末日。

 つまりはまぁ、人間界で言うところの夏休み。

 

 家庭訪問もあったが特に問題なく終わり、クラスメイトの殆どでウォルターパークという遊園地に行くことになった。

 

『護衛も頼んでおくからね、とびっきりの』

 

「まさかこの人たちが来るとは」

 

 護衛

 ・オペラさん

 ・シチロウ先生

 ・カルエゴ先生

 ・ダリ先生

 ・アザゼル・アンリさん

 

 以上5名。

 

「お父様!?」

 

 兄貴に誘われてやってきた生徒会長さんが驚きの声をあげている。アンリさんも娘がいることは知らなかったのだろう。驚きの表情を浮かべていた。

 いやー多いね。

 

「イルマ君の家のオペラさんと、担任のカルエゴ先生はギリギリ分かるんだけど、なんでバラム先生とダリ先生と、えっと会長のお父さんが?」

 

 リード君が質問すると、アンリさんはメガネを押し上げた。

 

「……いや、こちらは別件だ。理事長から頼まれたわけではない」

「僕もアザゼルさんと一緒で別件だよ。ウォルターパーク楽しんでね!」

 

「僕は皆と一緒に行くから。楽しもうね」

 

 ダリ先生とシチロウ先生がそういうが、未だに首を傾げているクラスメイト。

 

「あー、その疑問分かるです。実は、カルエゴ先生とシチロウ先生って同級生だったですぞ!」

「「「「えぇ!?(カルエゴ先生友達いたんだって顔)」」」」

 

 あ、カルエゴ先生が無言で拳を構えた。

 

「しかも、その2人とオペラさんは在学時代同じ師団(バトラ)で番ちょモゴ!」

「リィン、その下手くそな言葉は慎むように」

「い、イエッサー」

 

 敬礼したら厳しい視線からようやく逃れられることが出来た。

 

「と、言うわけで僕とアザゼルさんと、あとついでにリィンちゃんは連れていくから。皆はウォルターパーク楽しんできて!」

「え〜、リィンちゃん来ねぇの?」

「うん。私も別件。この前行うすたバイトで少し用事が存在しますて」

 

 ついで、どころかメインなんだけどね。

 聞いてないと言いたげな兄貴の視線と、心配そうに見つめるシチロウ先生の視線が突き刺さる。穴あきそう。

 対象的に楽しそうなのはダリ先生。今からテーマパークにでも行くんかって感じのテンションだ。

 

「じゃあまた帰りに合流ぞしましょう!」

「お気をつけて」

「はーい!」

 

 私達が向かうのは、ウォルターパークの地下だ。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 ウラボラス監獄。

 

 収容囚魔数約1600名。ウォルターパークスタッフが看守を兼任。

 囚魔管理の為の施設も多く備わっている地下要塞。

 

 囚魔の義務は労働と魔力提供。

 その魔力が上にある遊園地の動力となっている。

 

「──以上がウラボラス監獄の説明だ」

「ほー。なるほどぉ」

 

 テクテク歩きながらアンリさんに監獄の説明をしてもらった。

 

「魔力がなければ怪しい動きも出来ないし、監獄はいかにして魔力を無くすか、が鍵になっているんだよ」

「なるほど」

 

 私は今、魔関署の正式な許可を得てウォルターパークの地下にあるウラボラス監獄に訪問しています。

 

 いやね、人間の血とか栄養面について悪魔にどういった作用を起こすのか気になってね。流石に先生や同級生相手に実験は出来ない、でも早めに把握しておかないと困る。と、言うわけで選ばれたのは人権皆無君達ですよ。

 

「ようこそウラボラスへ!魔関署のアザゼル・アンリ様と悪魔学校(バビルス)のダンダリオン・ダリ様と……」

 

 看守の方が挨拶を交わす中、不思議そうに私を見下ろした。なんで子供が?って顔をしている。

 

「サリバン・リィンです。理事長代理で参るました」

「サリバン様の……!?」

「お孫さんです」

 

 流石ハイランク悪魔の身内。私のランクが2であろうと恭しい挨拶をしてくれた。うむ、良きにはからえ。

 

 キャハキャハと遊園地から聞こえる歓声や笑い声が労働場所にも響いてくる。いい趣味してるわ。

 

「確か面会でしたよね」

「ひとまずは」

「あんな低魔力でなよなよとした男にわざわざお2人が……?まぁ、少々お待ちください、すぐ連れてまいります」

 

 今回の訪問の表向きの理由は『悪魔学校(バビルス)から出た囚魔、アミィ・キリヲに経緯を聞きに行く』だ。

 

 案内の看守が駆け足で去っていったのを見て、私はダリ先生とアンリさんにチラリと目配せをした。

 分かってますよ。実験体の確保ですよね。

 

 先程の看守と、もうひとつの足音が聞こえてきた辺りで私は監獄の感想を呟いた。

 

「これ、全部悪き悪魔(ひと)?」

「リィンちゃん、よく見ておくんだよ。こいつらが悪魔のクズだよ」

「わぁ!いっぱいぞりぃ!」

 

 キャッキャと手を叩いて笑う。

 

「ねぇせんせぇ、私、誰かと遊びたいなぁ」

「そうだねぇ。僕とアザゼルさんが一緒にいるんなら遊ばせてあげるよ」

「やったあ!私の勉強のせいか、見せたいなぁ」

「うんうん、そうだよね!」

「魔力ぞいっぱいあって、体が丈夫だといいなぁ」

 

 ダリ先生と観察して遊んでいると、聞こえていたのであろう看守と1313という首輪をつけた緑髪の悪魔が現れた。

 

「やぁアミィ君。久しぶりだね」

「ダリ先生……?それに、その子は」

「こんにちは、リィンです」

「えっと、アミィ・キリヲです。はじめまして」

 

 私はにっこり笑みを深めた。

 

「2人きりで話ぞしたきです。先生、アンリさん、看守さん、よろしきですか?」

「流石に……うぅん……」

 

 ダリ先生が悩んだ素振りを見せる。しかし、人畜無害そうな表情のキリヲ先輩に看守さんは『まぁいいだろう』って顔をしている。

 

「ね、先生。いいでしょ?」

「……わかったよ。アザゼルさんも構いませんか?」

「アミィであれば問題あるまい」

 

 あえて『私のゴリ押し』という形で許可を取れば空き部屋に案内して貰えたのでキリヲ先輩の手を取って向かった。

 

「5分だよ」

「はーい」

 

 念押する先生に笑顔で手を振って、扉を閉めた。

 

 密室になった瞬間、私は深いため息を吐いた。

 まだ混乱した様子のキリヲ先輩。

 

「お久しぶりです」

「……お久しぶり、言うても僕と君は会うたことないやろ?」

「覚えてなきですか?まぁ、私はまだ赤ちゃんの時ですものね」

「んん?」

「……貴方の兄さんと一緒に、会うすたでしょ?」

 

 キリヲさんの喉から『ギュッ』と悲鳴に似た音が聞こえた。

 

「刑期たった2年の、見通しの甘き、小悪党の、アミィ・キリヲ先輩♡」

 

 ガブ子さんだっけ。魔力増幅の魔具で悪魔学校(バビルス)を破壊しようとしたんだったよね。確か位階(ランク)の廃止が目的だっけ。

 

 兄貴を利用しようとしたり、バリアだとかで防いだり、たどり着けようとさせなかったり。思うんだ。

 

「作戦、めっっちゃ甘きですぞねぇ」

 

 もう、本当に甘い。

 悪魔について詳しくない私から言わせて貰っても甘ったるいよ。

 

「…………リィンちゃんやっけ。そのリボン、覚えあるわ」

「でしょうね」

「どこが、僕の作戦の、一体どこが甘かったって?」

「全部」

 

 まず攻撃が一つだけだったっていうのも甘いでしょ。バリアなんて魔力の塊なんだから魔力の少ないキリヲ先輩なら高火力対決に負けるでしょ。その対策してないでしょ。理事長だけは封じ込めてたのか。でも私の手助けがなかったら多分当日も普通に学園にいたよね、庇護者同伴だったんだから。

 

「それに作戦の肝に家系魔術なのも悪しきですぞね、先生たちにすぐバレるのに。犯人自白してるようなものですし」

「あの、もう」

「せめてスケープゴートと言うか、罪押付けぞ可能な人物の用意皆無ですたね」

「もう堪忍して。……でも、君が悪魔学校(バビルス)を破壊するんやったら、一体どんな作戦を立てたん?」

 

 私が悪魔学校(バビルス)を破壊するなら?

 

「それは私の能力で、ではなく。私がキリヲ先輩だったらどうするか、ってことですぞね?」

「うん」

「まず暴動ぞ起こせそうな生徒を唆すでしょ?」

「うん?」

「それで日頃から多少の問題行動ぞ起こすすてもらう。あ、この時キリヲさんはパシリとか、いじめられっ子な立場ね。それで言うです。魔関署とか、キリヲ先輩のお父さんに『文化祭の時に警戒してくれないか』って」

「……でも、僕のランクはとーっても低いで。話しなんて聞いてくれるはずが」

「はい、無いです」

 

 だってランク制度をぶっ潰そうとしてるんでしょ?ならランクが低いから舐められて、悪魔学校(バビルス)の一大事になりそうな事を密告しようとしても、無視される。

 

「相談したのに、気付いていたのに。行動したって名目を作るすておきます。はい、次は当日。もう一度パシリ・キリヲ先輩の出番」

「うん……?」

「で、その日もキリヲ先輩は同じく、何も危険ぞないのに大声で『皆危ないよ!逃げるした方が!』なんて言い続ける。嘲笑と共に、でもなにかから隠れるように。うっすら注目は集まるでしょう」

「そう、だね?」

「はい、ここでガブ子さん。起動。アミィさんは地面にて大声を出します。『皆!逃げるんだ!危ない!』でもみーんな、何が何だかで分からず。ドーン。花火ぞ舞います」

 

「……つまらないね」

 

 おっと、まだ話は終わってないぞ。

 

「ここでキリヲ先輩の家系魔術。バリアの出番。落ちてくる爆発物。それを咄嗟に防ぐする。『うぉぉぉ!』民衆盛り上がるします」

「うん」

「で、ここでバリアが砕けるします」

「……え?」

「魔力不足で低ランク悪魔の精一杯。正式なところにも『相談した』し、生徒にも『避難を呼びかけた』。足掻いて足掻いて、でも、低ランクだからと間に受けず。悪魔学校(バビルス)はドッカーン。死者が出ても出ずとも、ランクが一因で学び舎がダメになりますた」

 

 助かる!そう思った時に崩れ去った方がより印象に残るだろう。しかもキリヲ先輩が守りの魔術なのが皮肉めいている。

 キリヲ先輩は頑張ったよ。頑張って避難を呼びかけたし、魔力を使い果たすまで防ごうと頑張った。もっとハイランクの悪魔が本気になって助けようと思えば助けられたのにね。

 

 爆発してない状態であれば危険性は低く見える。狼少年みたいに、目立ちたくて付いている嘘だと思われやすい。

 

「ね?こっちの方がよっぽどいい」

 

 実行犯は騒いでた人達だ、とかって押し付ければいいんだよ。常日頃から素行を悪くしていたんだし、パシリのポジションだったから情報をいち早く入手出来た。爆弾一つだけ。単純な攻撃方法でも馬鹿が考えることだからという納得材料になる。

 

 否定する素行の悪い輩と、密告したあと一歩及ばなかったパシリ。どちらの言葉を信じるかといえば。後者だよね。

 

「英雄は、作れるですよ」

 

 自ら危険を作って、自ら危険を防いで救えばいい。救えずとも、それはそれで行動した裏付けがあれば。

 

 今回に関しては目的が『破壊』だったから防げないという希望からの絶望に落とし込めてみたけど。案外出来るんじゃないかな。

 

「…………成程」

「ま、そういうことです。こんな話をしに来たわけでは無きですが、どうせキリヲ先輩に会いに来たはブラフですし」

「リィンちゃんは、人間やねんな?」

「はいです!あ、食べるすちゃダメですよ?先約がいる故に」

「先約って?」

「バールさん」

 

 キリヲ先輩の刑期って2年だったよね。2年後、私はバールさんに食べられる予定だけど、バールさんを回避したらキリヲ先輩が相手になる可能性があるのか。

 罪が軽いな。もう少し思い罪を押し付けたい。

 

「……キリヲ先輩、脱獄する気は?」

 

 16歳になる前の無事な無敵状態で、バールさんとキリヲ先輩と、あと事情を知りそうなバールさんの仲間……?まぁ、そいつらに罪を着せて、または暴いて刑期を人間の寿命以上にしたい。

 

「秘密やで」

 

 

 ==========

 

 

 

「あ、アンリさん?あいつ脱獄する気ですぞり」

「なぜ知れた?」

 

 顔がそう言ってた。

 

「先生ー!遊ぼー!」

 

 さて、嫌な相手との面会も終わったからお待ちかねの時間だ!

 ウォルターパーク(地下)に来たからには遊ばなきゃね!人間の血で囚魔がどんな反応するか、どれだけ耐えられるか楽しみだなぁ!

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