4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第18話 媚びを売るなら計画的に 

 

 

 イルマがサバトに行ってきた。

 ちなみにサバトというのは人間界で言うところの合コンである。

 

 さぞかし可愛い女の子引っ掛けて来たんだろうな。

 

 急にサブロ君からグループマインで他クラスの女子と写った写真が送られてきた時は度肝抜かれたよね。

 

「……まぁまぁ。リィンちゃんにはこっちの方が興味あるんじゃない?」

 

 おじいちゃんがニコニコ笑顔で連れてきてくれたのは──貴族会(デビラム)だった。

 

 

 

 

 定期的に行われる貴族悪魔の交流会、それが貴族会(デビラム)というものらしい。

 

「リィンちゃん、僕ちょっと用事あるから離席するけど、リィンちゃん1人でも大丈夫?」

「大丈夫!」

 

 言語的にはなんにも大丈夫じゃないけど。

 おじいちゃんは私を気遣いながら去っていった。さぁ、人脈作りもしくは印象付けの舞台だな。

 

 綺麗なドレスを来て、綺麗な髪型にして、可愛ーく微笑む。

 すると、ザワザワとした気配がしたのでそちらに目を向けると見知った顔があった。

 

「あむちゃん挨拶してくる〜」

「──アリス君?」

 

 ピンク色の髪をした悪魔がいた。

 

「……っ!リィン様!」

 

 アスモデウス・アリス君。イルマとお友達で私のクラスメイトの姿がそこにあった。

 

「リィン様も貴族会(デビラム)に?まさかイルマ様も」

「私1人」

「……そうか……そうか……」

 

 一気にズン、と肩を落とすアリス君。ごめんね、イルマにはまだこういうの早いと思って。

 

「アリスちゃん、その子は?」

「あ、挨拶が遅くなりますた。アリスくんのお姉さん。リィンと申します。アリス君とは同じクラスで、仲良くさせていただくすてます」

「まあまあまあまあ!アリスちゃん聞いた!?お姉さんですって!」

 

 アリス君のお母さんは嬉しそうに目を輝かせた。

 迷惑そうな顔をしたアリス君のなんとも言えない気持ちを代弁してあげよう。余計な真似を、だね。

 

「リィン様、この人は姉じゃない。母だ」

「えぇ!?」

「というか、その言語能力でよく社交界に出ようと思いましたね?」

「可愛きでしょ?」

「はい、可愛らしいです。イルマ様の次に」

「んむう」

 

 私がわざと拗ねていると、アリス君のお母さんが私をぎゅっと抱きしめた。

 

「あなたがリィンちゃん!はじめまして、アリスの母のアスモデウス・アムリリスよ。アムちゃんって呼んでね」

「母上……」

「アムちゃん?」

「リィン様……」

 

 疲れ果てたアリス君の顔を見てくすくす笑った。へへ、ざまぁみやがれ。

 

「アムちゃんは、もしかして色頭のアスモデウスさまですか?」

「そうなのよ〜」

「やっぱり!バールさんとアンリさんに色頭様はとでも美しい方だって教えるすてもらってたです!」

「……ん?13冠だな?」

「私此の前の13冠会議のお茶くみバイトすてた故に。アムちゃんとあと一人以外の13冠とは知った顔ぞ」

 

 驚愕の顔。

 私がしめしめと笑っていると、ミニマムアリス君みたいな小さな女の子が二人、アリス君の足元でズボンを握りしめていた。

 

「アリスお兄様……」

「ビオレ、リリー」

「お兄様、この方は?」

「イルマ様の妹君のリィン様だ」

 

「…………どうしましょう、可愛いわ」

「……じゃあ、アリスお兄様が好きなイルマ様って、もしかしてもっと……!?」

 

「……すまん、親戚の子だ。イルマ様に並々ならないライバル心を抱いている」

「簡潔な解答ぞありがとう」

 

 アムちゃんは『私は挨拶回りしてくるからね』と去っていってしまった。ソシテビオレちゃんとリリーちゃんも『ご飯を取ってくる』と言って去っていった。

 

 

 周囲はアリス君に話しかけようとするのに、仲良さげな私がいるせいで挨拶に二の足を踏んでいるような気がする。

 

「……アリス君やアムちゃんくらいかぁ」

 

 あんまり、媚びを売るべき悪魔がいないかもな。

 

 

 私には『媚びを売るべき人物(悪魔含む)』がわかる勘を備え付けている。それがいい人か悪い人かは分からないけれど、私にとって有益になったり逆に敵対しかねない力を持っているから警戒し懐柔する必要性があるというか。

 まぁ、そういう事だから貴族会(デビラム)悪魔学校(バビルス)と同じくらい勘にひっかる悪魔がゴロゴロいたりするんじゃないだろうかと考えていたけど。

 

 これがまたいねぇーーんだわ。

 

「どうした?」

「んー」

 

 私はアリス君の胸にポスリと体を預けた。

 アリス君は不思議そうにしながらも難なく受け止める。

 

「……貴族会(デビラム)より大きな社交界って、何?」

「……大貴族会(デビキュラム)だろうな。全てが一流で、それこそ13冠クラスがゴロゴロいる」

「あ〜〜〜〜……」

 

 初耳だけど納得したように頷いてみた。

 

 周囲の悪魔が私とアリス君を見てザワザワと沸き立っている。

 私はアリス君にバレないようにこっそり笑みをふかめ、牽制した。

 

 私を差し置きながらアリス君に手を出す女悪魔が来るんじゃねぇぞ、と。生徒会長クラスじゃないと。

 

「リィン様?」

「んー。アリス君はイルマの右腕だもんねぇ」

「もちろん」

「……アムちゃんなら心配要らぬですけど、そんじょそこらの、イルマの害になるような女を引っ掛け無きようにすてね」

 

 私はそれだけ忠告した後、自分の足で立ち上がった。

 

「アスモデウス?」

 

 真っ赤な髪のパンツ姿の悪魔が奇遇だな、と片手を上げた。

 

「会長……!」

「アメリ会長!」

「む?リィンか。どこぞの女に絡まれているのかと思えば」

「えへへ、立ちくらみすたです」

 

 アメリ生徒会長だ。

 アンリさんとの面識があることが生徒会長にも分かっているためか、割と気軽な仲になっている気がする。

 

 それにだよ。

 アメリ会長、多分兄貴のこと好きだもんねぇ。

 

「アスモデウスとリィンがいるということはイルマは」

「居ません…………」

「そうか……そうか……」

 

 そうなんだよね。

 

「アメリ、お姉様」

「義姉……っ!?」

「ウォルターパーク以来ですね」

 

 私がにっこり微笑めば、義妹フィルターがかかったためかアメリ会長は頬を少し赤く染めた。

 

「なんだ、その、2人とも端で少し話さないか」

 

 

 

 ==========

 

 

 

「──そうか、母上に引きずられてきたか」

「母がはしゃいで大変なので、普段はあまり同行しないのですが」

「アムちゃんのテンションだと確かにアリス君はきついですね。でも割とイルマ相手にしてるアリス君、あんな感じ」

「えっ」

「否定しないな」

「会長まで」

「まぁ、私も父につれて来られたわけだから、気持ちは分からなくは無いがな」

「では会長も引きずられて……?」

 

 他愛もない雑談に花を咲かせていると、アリス君がダンスに誘われた。

 

 どうやら、他の悪魔に誘ってこいと言われて引き立て役として使われているらしい。

 

「おい、お前達……」

「角と牙を手で隠す、そういう挨拶があります。まぁ古い礼法ですから、知らずとも恥ではない。彼女が優秀だっただけです」

 

 礼節を重んじる悪魔はその女悪魔とダンスを踊った。

 

「礼節、か」

「リィン?」

「いえ。私は作法をあまり知らぬ故に。誰かに教わらねばなと思うすたです」

 

 心当たりはアリスくんを含めて二人ほど。

 私はアメリ会長を見上げた。

 

「アメリお姉様は、イルマとデートとかせぬのですか?」

「デッ!」

「私、応援すてますから!」

 

 ──利用価値がある内は!

 

 

 

「……なぜだろう、嬉しいはずなのに背筋が凍る」

「風邪ですかね」

「違うと思う」

 

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