4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第22話 収穫祭、開幕!

 

 1年生最終実技 収穫祭。

 弱肉強食の魔界において食物の確保は最優先。

 

 悪魔としての狩猟本能を呼び起こし生を喰らう姿こそ美しいというテーマで、悪魔学校(バビルス)の裏庭に巨大なジャングルが設置された。

 

 ダリ先生とスージー先生が元気に実況席でお話をしていた。食欲の秋だよね、みたいな会話の下、問題児(アブノーマル)クラスはボロボロの格好で集まってきた。

 

 

「皆……見違えたな……」

「長かった……」

「苦しかった……」

 

 久しぶりに問題児(アブノーマル)のクラスメイトたちと授業以外で見た気がする。

 

 兄貴はというと、森の端で師匠らしき女の人と話していた。

 私は皆から離れ、兄貴の元へ近寄った。

 

「イールマ」

「…!リィン」

「こんにちは、バチコさん。イルマが、『親切で、優しくて、根気強くて、かっこよくて、素敵』なる人だって言うすてますた」

「……。あんた、もしかして噂のリィンって子か?」

「どのような噂……?」

 

 兄貴、何言ったの?

 

「いや、リィンはすごく可愛い女の子だよって」

「──嫌がらせや人を手駒にすることに躊躇いも躊躇もない狡猾な子だって言ってたよ」

「イルマーーーー???」

 

 とんでもなく失礼。

 

「あの、バチコさん、素朴な疑問なのですけど」

「なんだ?」

「動物と話すことぞ可能だったりするですか?」

 

 バチコさんは大きく目を見開いた。

 

「……なぜ知ってんだ?」

「勘、です」

 

 ゴエティアという本に『バルバトス』の事が載っていた。人間界に伝わっている悪魔と、悪魔界の悪魔がどれほど一致しているのか分からないけれど、共通点を今後見つけて行きたいとは思っている。

 

 ちなみに、我が相方のソイ君は『プルソン』なので、一致点を探したところ、トランペットが好きだという所を発見した。

 

「じゃあ行ってきます!」

 

 パイモンさんの悪友出あるバチコさんとコンタクトを取れたし、今後もイルマの味方でいて欲しいな。

 

「リィンはどんな修行をしてたの?」

 

 私はその質問に、遠い目をした。

 

「え、何、何したの」

「教師……怖い…………」

 

 気配を消す、というやり方や獣の狩り方、サバイバルなどはまあ学べた。しかしそこからの修行は地獄だった。

 

「カルエゴの野郎……っ!!!!」

 

 私とソイ君に与えられた修行内容。

 

『……お前たちの次の目標は──教師陣の暗殺だ』

『『はぁぁあ!!???』』

 

 思い出してもぶっ飛んでる。

 サバイバル修行から始まった私たちの修行は、なんとびっくり『教師を暗殺する』という結末にまで至った。

 

 暗殺と言っても教師全員の背中になにか一言書いた紙を貼り付ける、という行事だ。

 もちろんバレてはならない。

 

 ラスボス理事長がえぐかった……。

 ちなみにチョロそうだと思ったロビン先生ですら気付かれかけたんだもん、教師、怖い。

 

「ま、見てろぞり、イルマ」

「ん?」

「見れるものなら、ね♡」

 

 私は手のひらを差し出して、姿を消したソイ君が私の手を掴んだ。

 

「!!??え、消えた!!??」

 

 ソイ君の家系魔術、気配遮断。

 

 ソイ君の魔術が私と触れ合うことで私も対象者になり、私も兄貴の視界から消えた。

 

 兄貴はアタフタと見失った私を探している。

 へへ、目の前なんだけどね。

 

「いいの?」

 

 ソイ君の確認。

 

「はい、私は今回の収穫祭、ソイ君と組むですから」

 

 どうやら問題児(アブノーマル)の皆様も修行ペアでバチバチに争う様子。

 普段は仲良い姐さんとケロリちゃんも冷戦を繰り広げているし、アリス君でさえ兄貴と別行動をするようす。

 

 アンコラやんのかコラと争ってるクラスメイトを見て、私は目を閉じる。

 

「──それに1番辛かったの私達ですぞ」

「禿同」

 

 クラスメイトが喚いているけど、教師陣の相手をしたりリアル命の危機でサバイバルにあってた私達の方が苦労してるに決まってるでしょ。

 

 

「散る前に問題児(アブノーマル)クラス集合!」

 

 リード君の号令になんだなんだと寄っていく。

 どうやら円陣を組んで気合を入れる様子。

 

「ソイ君は」

「僕リィンちゃんの後ろにいるから、代わりによろしく」

 

 輪の中に入らないソイ君の姿をちらりと見て私は適度な間に入った。

 

 兄貴は戸惑ったようだったけど、リード君の指示で声を張上げた。

 

 

「足引っ張ったらぶっ飛ばすぞーーー!!」

「上等じゃオラァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、制限時間は6666分。ソイ君、作戦をおさらいぞすましょう」

「うん」

 

 おおよそ4日間に渡って行われる収穫祭。

 報告筒という食材提出場で、食材をポイントに変え、そのポイントで競い合う競技だ。

 

 入口は1〜4番に別れている。

 問題児(アブノーマル)クラスはバラけている。

 

 前年度の優勝者はアザゼル・アメリ生徒会長。5万9000ポイント。

 それから伝説のリーフ。10万ポイント。

 

伝説の(レジェンド)リーフは諦める」

「はいです」

「それからイルマ君なら確実にそのリーフをゲットする前提で動く」

「はいです」

 

 兄貴のとんでもない摩訶不思議なパワーから考えれば、間違いなくゲットするだろう。それで私が何度苦労してきたことか。

 

「故に、我々の最低ポイントは──」

「──11万オーバー」

 

 事前に決めた作戦はこれに尽きる。

 

 ただ、1個15ポイントとかちまちま稼いでいたら途方もなく時間がかかる。休憩時間を考えたら1、2分で30ポイントのものを集めければならない。

 

 はい、無理な話でございます。

 

「狙いは、大物。しかも全部ではなく、ポイントとして換算する討伐(可食)部位のみ。それから、植物」

「いえっさー」

 

 さぁ、狩りを始めよう。

 

 気配の薄い悪魔と、人間にしかできない、優雅で最高で、圧倒的に──優勝しない勝利を。見せつけてやろう。

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