4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第23話 妖精伝説

 

 ポイント集め。

 簡単に言えば簡単だけど、その実すこぶる難しい。

 

 人海戦術に頼ったとて、普通の悪魔で30分2000ポイントと言ったところ。

 

 収穫祭の獲物は植物を除き大体が10〜150ポイント。植物となるともっと得点は低い。

 一方でおよそ1人では収穫できないボスクラスも数体存在する。そのどれもが3000ポイントを超える大型食材であり、倒すには複数人と組む必要があるだろう。

 

 それから大事なことはこの環境に慣れること。約4日間というのは、余程の体力がない限り途中でバテる。

 なれないサバイバルに外敵に追われる事や焦りと生徒同士の敵対にポイント。

 

 だけど、我々の修行場所は森の中だ。

 

「端的に言えば、僕らは慣れてる」

「適応する必要も、生徒狩りから身ぞ守る必要も、皆無ですね」

 

 ひと足早くサバイバル経験を得た者として、慣れる必要は無い。

 兄貴はサバイバル慣れしているから心配はしていないけど、他の生徒もチラホラとサバイバル慣れしている人物はいるだろう。潰れるのはそれ以外だ。

 

「まさか泣くほど苦しかった生存修行がこんなにも役に立つとは」

「道すがら地形と種の確保ぞしつつ、計画通りに」

 

 私とソイ君はお手手繋ぎながら苦労して集めている生徒達の間を抜けていった。

 

 気配に敏感な悪魔であれば、おしゃべりしながら歩く私の姿を見つけるかもしれないが、学生レベルではそんな悪魔は存在しない。

 

 

「問題は触れてなきゃ出来ないって事だよね」

「そりゃそうぞり」

「そんじゃリィンちゃんよろしく」

 

 

 我々がポイント集めで取る作戦は主に三つ。

 

 

 

「はいよぉ。──アイテムボーックス!」

 

 私は、魔植物師団(バトラ)と言われる彼らの収穫物から三分の一程程奪う。

 

 通りかかる生徒、懐に仕込んだもの。いろーんなポイントが、収穫するまでもなくゴロゴロ転がっている。

 

 

 気配遮断チーム

 

 +600p

 

 +40p

 

 +200p

 

 +150P

 

 

「初日は人が多いだろうから、今のすきにやっておきたいね」

 

 

 その一、他人の収穫物の横取り

 

 

「上手く使えるすてよかった、アイテムボックス……」

「それなきゃこんな作戦立てられないから」

 

 

 私はこの授業中、新しい魔術を開発した。アイテムボックス。ファンタジーな物語によくある、オーソドックスな収納魔法だ。

 今の問題は触れなければ使うことか出来ないのだけれど、リボンに魔力を収納させているように魔の物を収納させているのだ。

 

 今後の目標としては、魔以外の物、例えば本なども収納出来るようになることと、視認での活用を可能にする事かな。

 

「どう?」

「最初はあまり取れぬ状態ですたけど、時間が経てば経つほど溜め込む人ぞ増えてきますたね。1時間2000ポイントくらい?あまり把握すてないです」

 

 とりあえず得点になりそうな物をひたすら触ってポイポイしてるだけだからね。

 

「上々でしょ。こちらは体力を使うこともなく魔力をそこまで消費せずにポイントをいいペースで確保出来るんだから」

「えへへ〜」

 

 私一人だと警戒されてしまうしいつかバレてしまう。けどソイ君が私ごと隠してくれているので、疑うなら協力関係の人達だ。

 

 特にソイ君の気配遮断に関しては家系魔術であり、彼は既に毎日毎時間使っているのだから、効果切れはほぼない。

 

 

「家系魔術を他の存在にもかけることが出来るのは僥倖だけど、僕くらいだと触れてなきゃできない。こちとら攻撃魔術も防御もそんなに得意ではないワケで、他の生徒とエンカウント、他の魔物とエンカウントした時点で負け確なんだかんだから。取るべき選択は隠れる一択」

「でもでも?」

「なんと?」

「期間限定で?」

 

 ソイ君はトランペットを取り出した。

 

「──目立たないように目立つことが出来ます」

 

 

──パパパーーーーーッ!!!

 

 

 爆音が辺りに響き渡る。

 トランペットの高音は管楽器の中でも華やかで主役級の音だ。パリッとした音は否応がナシに耳に入るし、響く。そして、目立つのだ。

 

「誰だこんな所でトランペット鳴らした奴は!」

「逃げろ逃げろ!」

 

「──大物が来る!!!」

 

 だから……危険な生物を誘き寄せてしまうのだ。

 

 蜘蛛の子を散らすように生徒たちは逃げ出した。のを、私とソイ君は安全を確保して見下ろす。

 

「修行中と同じように、僕が気配を消してリィンちゃんが仕留める」

「一撃離脱戦法で、特典配分の高き部位のみ……!」

 

 その二、大物を部分的に討伐

 

「その虎は髭の飴が得点箇所だね」

「あっちのフラミンゴはリンゴですけど、高さが必要にぞなる故に一旦ガン無視で、」

「誰かが取ったの奪う形で行く方針かな。と言っても気配察知も得意じゃないから目につくものをどんどんやっていくしかないね。さ、目下の高得点ポイントの準頭級(ボスクラス)を捌いていこう。リィンちゃんが」

「頑張る……」

 

 左手はソイ君と繋いだまま、私は荒ぶる魔物相手に、武器を撒いた。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「いやー、面白い戦い方するねぇ。気配が薄すぎてあんまり見えないけど」

 

 収穫祭本部横テント。

 そこには問題児(アブノーマル)クラスの師匠を勤めたものたちが集まっていた。

 

 知将

 フルフル軍曹

 

 誘惑族教師

 ライム

 

 号泣女帝

 ウェパル

 

 調教紳士

 Mr.ハット

 

 悪魔学校(バビルス)学園長

 サリバン

 

 弓使い

 バルバトス・バチコ

 

「……なぜ私までこんなところに」

 

 巻き込まれた番犬教師

 ナベリウス・カルエゴ

 

「だってだって、カルエゴ君だってリィンちゃん達の特別講師やってたじゃん?」

「……失礼ながら、私は教えてはいません」

 

 1日目の夜にして、得点は大きく動いていた。

 問題児(アブノーマル)クラスではイルマとリードのコンビ以外がポイントを獲得している。まだ報告筒に提出していないものもいるが、目を見張るものがある。

 

 ケロリ&カムイ

 14200p

 

 クララ&エリザベッタ

 9400p

 

 ガープ&アガレス

 8200p

 

 ジャズ&アロケル

 9600p

 

 イルマ&リード

 0p

 

 アスモデウス&サブノック

 (推定)14100p

 

 

 

 ──リィン&ソイ

 21300p

 

 

「まさか、初日で1人あたりの配当10000pをゲットするとはね……」

「どういう育て方をしたらそうなるの?」

「ドン引き…………………」

「本当に2万ポイントも?」

 

 特にプルソン・ソイは気配遮断の魔術を得意とするため、最初から監視がついていた。

 

 トランペットをかき鳴らした辺りでちょっと目を離せなくなってしまった為、皆がその惨劇を見ていた。

 

「あくまでも推定は、ですが。リィンが触れたものがぽっかり消える為、視認できてないものがあればもっと高いかと」

「不思議な魔術だヨ!初めてミタ!おかげで同じブロックの弟子の得点が、心做しか減ってる気がするヨ〜」

「今は第一ブロックの激戦区にいるのか。人の多いところから魔物の多い所へ移動しているという訳ですなぁ」

 

 悪魔学校(バビルス)にはピクシーと呼ばれるトランペットの使い手がいるのだが、まさか魔物を呼び寄せるために楽器が使われるなどと思いもしなかっただろう。

 

 

 

 特別講師達は流石に苦笑いを浮かべている。

 それもそのはずだ。トランペット以上に、衝撃的なことがあった為、浮かべる以外できない。

 

 

「まさか」

「ウン、まさか」

「よりにもよって……」

 

 

「「「「──料理が毒になるとは」」」」

 

 

 気配遮断チームには致命的な弱点がある。

 攻撃手段と防御手段が無いことだ。

 

 悪魔相手ならば気配を消し収穫物を奪うこともわけないだろう。しかし魔生物相手はそうでは無く、倒す必要がある。

 

 

 リィンとプルソンは同時に食事を作っていた。それぞれ偏食なのかと思っていた途端、リィンはその作りあがった料理を容器に入れ、プルソンの方を食べ始めた。

 ではなぜ料理を?携帯食か?そう思っていたところ。

 

『ぶちかませー!!!!』

『ソイヤッさぁ!』

 

 例えば空亀の甲羅に守られた鋼鉄と同じ硬さの中に入っているマンゴー。もちろん生物の凶暴性はあるから近付き殻を割るだけでも一苦労だ。マンゴーだけで8000ポイントは堅い。分配すればその分特典配分下がる為、複数人でも組みたくないだろう。

 

 

 しかしながら、リィンが自分で作った普通の料理を殻にかけるだけで……どろりと溶けてしまったのだ!

 

 これには流石に皆驚いた。

 不正にもならないようにきっちり監視していたのにも関わらず!

 

「気配を消して溶解性の猛毒で一撃……」

「一撃離脱戦法って彼らは言ってたけど、やることただの暗殺よ?」

「カルエゴ君、何したの?」

「いえ……何も……」

 

 本当に何も教えてはいないのでカルエゴは首を横に振った。やめていただきたい。責任を押し付けるのは。

 

 

「今回は……荒れそうですね……」

 

 

 

 

 

 

 彼らには、もうひとつポイントを取るための手段が残っている。

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