4度目の人生は悪魔学校で   作:恋音

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第9話 学生生活の面の皮を被ってる

 

 

「選択科目、何にするの?」

 

 朝礼でカルエゴ先生に配られた紙を眺めていると、近くに座っていたエリザベッタ姐さんとが声をかけてきた。

 

「んー、迷い中です」

 

 紙の内容は1年生の授業について。

 

 必修は使い魔交流と占星術のみだけど、その分選択科目に幅があるのが悪魔学校(バビルス)の特色らしい。

 選択科目は薬草学、実技、座学、拷問学、女子限定科目や男子限定科目、家系魔術の限定授業だってある。

 

「姐さんは?」

「私は誘惑授業♡」

「ぽい〜!」

 

 得意科目っぽそうだもんね。

 皆が話している科目をちらほら聞いた感じだと、私以外の女子は誘惑授業を選択したし、男子は薬学や歴史学など一般的な授業を取っていた。

 

「リィンは誘惑授業一緒に受けない?」

 

 ケロリちゃんが誘ってきた。

 うーん、どうしようかな。

 

「正直……全部受けるすたい」

「えー。そうかしら?」

 

 学校に通いたくとも通えなかった、そして異世界っぽい多ジャンル。興味しかない。

 

「わかる」

 

 突然、シュナイダー君が話に割り込んで私に同意した。

 

「分かるよ、全部受けたい。別に勉強に積極的になるわけじゎないんだけど、知らない知識を逃し洩らしするのが嫌だ」

「あ〜分かるですわかるです。知識のコレクションがしたきですぞ」

「言語はわかんない」

「むぅん」

 

 納得いかないでござる。

 まぁいいや。

 どれもこれも参加してみたい授業が沢山あるから、教師の名前と教科だけを記憶する。

 

 そして1番気になっている授業に丸を付けた。

 

「えっ」

「うわ」

「えぇ……」

「げぇ」

「何?うっわ」

 

 私の提出用紙を見た悪魔から悲鳴に似たドン引きの声が上がる。イラッとしながら私はカルエゴ先生に提出に向かった。

 

「………………そうか、お前はそういう奴か」

 

 ──お前ら本当に悪魔か!?

 

 

 

 ==========

 

 

 

「はじめまして、選択授業でこんなに人数が少ない授業は初めてだと言われましたよ。ようこそ──拷問学へ」

 

 他人の嫌がることとかそれらを学ぶ精神がないだなんて、悪魔の風上にも置けないよ。

 

 さて、私が1番求めていた授業。

 それは拷問学である!

 こんなThe悪魔みたいな授業なのになんで少人数居ないの!?

 

「まず、自己紹介から始めようか。初めまして、担当教師のマルバス・マーチです」

 

 やる気満々で最前列に居たけれど、好んで前を座る人は少ないようだった。悪魔の風上にも置けねぇなぁ!

 

「ねーねーそこの美人ちゃん」

「んん?」

「美人ちゃんなんで拷問学選んだの?見るからに酷いこと出来ませんって顔してるけど」

 

 声をかけられたようなのでそちらを向くと帽子をかぶった茶髪のボブの悪魔とフードをかぶった男がいた。

 

「あ、おれシャオロン。こっちはゾム。D組なんだけど、何クラス?」

「私リィン。アブノーマルぞり……」

「えっ、アブノーマル!?我がライバルイルマくんが居るクラスじゃん!」

 

 おい兄貴、お前ここでもか。

 兄貴の名声が留まるところを知らないのいい加減にして欲しい。別のクラスまで悪名を轟かせるのは勘弁して。目立ちたくないとか言ってる癖に評判がついて回ってんだよ。見てよ私の隠匿具合。

 

「で、なんで拷問学?」

「1番危険故に……?拷問される時、拷問の知識が入手済みであれば対策が可能故に」

「ごめんなんて?」

 

 死ぬほど痛くても死ねない場所とか、どれだけ苦しくても死ねない範囲とか。例え拷問をされたとしても耐えられたり、はったりで拷問しようとしてくるやつの嘘を看破するために知識って欲しくない?

 人間界では拷問なんて禁忌に等しいし、魔術で回復を施せるなら無限に拷問出来ちゃうし、学ばないわけがなかろうて。

 

「そこ〜。お喋りは程々にしてくださいね」

 

 マーチ先生が私たちに軽い注意をすると、D組の2人はやべっと言いながら慌てて席に座り直した。

 

「まずはね、拷問学とはなんなのか知ってもらうために実際の映像を用意しました。まぁ映像って言っても簡単な軽いやつだから安心してね。映像を見て、レポートを書いてもらいます」

 

 黒板にディスプレイがかぶせられ、映像が流れ始める。ポップな音楽と文字で『はじめての拷問学!\入門編/』と表示された。

 その一秒後。

 

──ぎゃあ゛あ゛ああああああああ゛!

 

 メキメキ、ベチョ。グチャ。

 

 控えめに言っても放映禁止レベルを飛行機で飛び越したグロテスク映像。

 

 わぁ、悪魔って内臓は人間とそんなに変わらないんだァ。あと中々死なないんだぁ。あ、生きていくのが困難な体になった。

 

「せ、せんせー!!!シャオロンくんが失神しました!」

「えっ大変!早く医務室に連れてってあげて!」

「先生……私も気持ち悪い……」

「僕も……」

「僕ももう無理……」

 

 死屍累々とはこの事。

 バタバタと退出していく生徒が後を絶たず、残っているのは2人くらいになってしまった。

 

「うーん……1年生には早かったかなぁ……」

「先生!小レポート書けました」

「ロボロ君!君は体調大丈夫なの?」

 

 大丈夫、と返事をしたもう1人の残留生は顔に布を被った悪魔だった。

 

「リィンさんは小レポート出来ましたか?」

「うーん、あともう少しですぞり……」

 

 文字がね、ちょっと書きなれなくて。

 日本語って訳じゃないしなれてないから書き取りはね。

 心の中のカルエゴ先生が『書き取りじゃなくて会話もダメだろ』って言ってるけど気のせいってことにしとこ。

 

「うわー、細かいレポート。小レポートだから適当でいいと思うよ?」

「いやぁ、悪魔とは思えない丁寧さだね。適正あるみたいだし、真剣に取り組んでくれてて嬉しいよ」

 

 そうか。悪魔って飽きっぽいのか。

 程々に適当に生きなきゃ魔界じゃ浮いてしまうのか。

 

 でも、拷問学含め学習関係で適当にするのはちょっと勿体ないよね。生に直結するから。

 

「できるすた!」

「おめでとう」

 

 マーチ先生に褒められたので提出する。するとロボロ君と呼ばれていた男の子が私に声をかけてきた。

 

「そういえば、リィンさんだっけ?」

「はい!」

師団(バトラ)ってどこにするか決めた?」

 

「…………ばとら?」

 

 

 

 ==========

 

 

 

──ウ〜〜!

 

 警報音が爆音で響き渡る。

 邪魔者は潰して進め、と言わんばかりの……というか言ってる教師の号令がかかり、中庭にいた1年生が先輩たちの餌食となる。勧誘の紙や入団の紙が空に舞う。

 

「わ〜〜……阿鼻叫喚……」

 

 私は高みの見物をしていた。

 

「身長と体重の変化はほぼなし。いや、体重は多少増えたかな…?味覚も悪魔とほぼ変わらず、聴覚や視力は平均よりやや劣るけど一般的と言っていいくらい。うん、前回の診断と外的変化はほぼなしだね」

「ありがとうございます、シチロウ先生」

 

 週に1回の健康診断。

 人間と悪魔の成長速度の違いなどを調べるためだ。悪魔には見た目年齢と実年齢にバラツキが出るらしいから、同い年だと思っても圧倒的に年上だったりする可能性が大いにある。

 

 実際悪魔学校(バビルス)も同学年に年齢のバラツキがあるようだし。

 

「リィンちゃんは師団(バトラ)に勧誘されに行かないの?」

 

 師団(バトラ)とは。まぁざっくり言うと部活動。必ず入らなければならないという訳でも無いし、転部しても許される。

 

「あくまでも生徒の集まりですぞ。繋がりは貴重になると思うですけど、今最も優先すべきことに時間ぞかけるすたいです」

 

 正直興味あるよ。

 ギャンブルの店で出会ったオリアス・オズワルド先生が顧問をしている遊戯師団にも先に勧誘されてたし、部活なんて知識上だけでやったこと無かったし。

 

 でも今は魔界に入りたて。教師のトップや学園長が丸め込めたとて魔界的に見れば地位は弱い。ランクも低いし。

 だから今最も必要なことは地位を磐石にすることだ。

 

「それならいいんだけど……ところでリィンちゃん」

「はい?」

「そろそろ血の研究に入りたいなーって思ってるんだけど、どうかな?」

「…………まだ口には含めぬようにしてくださいね?」

「ありがとう!!!」

 

 これまでにない程の爆音のお返事来ちゃったな。




次回。再会
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