システム外スキルだよ……「月歩」   作:ナナの四六三

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2話前にこれをやるつもりだったのになぁ。


今回こそボス戦!

 今日はアインクラッド第一層ボス攻略の日!みんな、昨日はよく眠れたかな〜?どうも!一般TSチート転生者好き放題部の〜ヒビキです!今日は装備紹介のコーナーからやっていきます!わ〜いどんどんぱふぱふ!まずは靴!ドロップ品のちょっと良いやつです!効果:履き心地がいい。ズボン:履き心地がいい!胴装備は革製!アスナさんと同じくフード付きマントを装備しているぞ!一応一部で聖女などと呼ばれてるのでね!(アルゴ情報)武器は人を助けた時に貰ったドロップ品の大鎌!プラス3強化を施しており、攻撃力にプラス2丈夫さにプラス1となっていて、序盤では強い方だと思う。

 

 次にステータス。私のレベルは9。毎日フィールド狩りを続けて経験値を稼いだおかげでかなり上がった。確かずっと迷宮区で狩りを続けていたアスナで……10レベくらい?アインクラッドの安全なレベルがフロア数プラス10レベだったはずだ。今はここら辺がレベル限界なので私のレベルは足りているということだ。レベルアップポイントは今のところSTR:AGIに2:1で振っている。レベル6時点でスキルスロットは3つに増えたので鎌スキルともう一つ、機動スキルを設定してある。3つ目は2層で埋める予定だ。

 

 原作では出てこなかったこの機動スキルは行動速度や回避に補正がかかったりとAGIを補助してくれる有用なスキルだ。あんまりよく知らないのだけど死神って瞬歩使うんでしょ?という理由で選びました。リアルなら高速移動くらい簡単にできるんだけどね。

 

「装備点検よし!ユウキさん!行きましょう!」

「うん!行こう行こう!」

 

 昨日はユウキのとった宿屋で同じベッドで寝たぞ!めっちゃいい匂いしたけど意識を失うことでなんとか堪えたぞ!褒めて!きゃーヒビキちゃんえら〜い!そうだろうそうだろう。虚しいなこれ。

 

 私たちが集合場所に到着するともうすでにかなりの人が集まっていた。かなり人が多いと思ったらどうやら攻略に参加しない人たちも応援に来ているようだ。装備の質とかよくわからないけど初期装備の人がかなり少ないのを見るにそこそここの世界に馴染んできた人が増えたように感じる。これもきっといい傾向なんじゃないかな?たぶん。ちょっと待ってたらキリトとアスナもすぐにやってきたので合流する。

 

 昨夜にちょっとした事故があったので流石にちょっと気まずそうな雰囲気の二人──まあたぶん全部見ていない分原作よりマシだと思う──そしてアスナよりさらに避けられている私。まあこっちはモロに見たのを思い出したからだと思うけど。そんな気まずい空気の中でもちゃんとキリトにいちゃもんをつけるキバオウさんは流石っす。全く聞いてなかったけどディアベルはんの口上も終わったらしい。

 

「…………勝とうぜ!」

「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 頼んだぞ!頑張れー!生きて帰ってこいよー!などなど暖かい声援を受け、私たちはアインクラッド迷宮区へと進撃を開始した。パーティーで固まってズンズンドコドコと歩いていく。和気藹々としたおしゃべりが続き、時折爆笑している奴がいる。時たま飛び出してくるモンスターもなんのその。聞こえてくる話は心底くだらないものばかりで思わず笑いそうになってしまう。もしかしたら初めてのボス戦の緊張を紛らわせようとしているのだろうか?……きっとそれもあるのだろう。私はここでHPが0になっても死ぬ事はないから彼らの気持ちを真に理解することは出来そうもない。前世で災害の報道を見た時と同様自分に関係のない遠い世界の出来事を見るような気持ちだった。並の一般転生者ならなんだか後ろめたい気持ちに苛まれていそうな場面だったが私はこういう時に都合のいい言葉を知っている。できる事をやるだけだと分かっている。救えなかった人を見て自分がそこにいれば……などと考えるのは死者への冒涜だ。居合わせた時に出来ることを最大限。誰かがそんなことを言っていた!なんでも抱え込む系ヒーローは大嫌いだ。ご愁傷様です、で済ませる方がよっぽどいい。

 

「未来を知ってるからってなんでも出来るわけじゃないんです」

 

 だから私も全力を尽くす。余計なことは考えない!転生者のみんな!ヒーローの人達!気落ちするな!胸を張れ!出来ることをやりました!と言うんだよ!とまあなんかいいこと言ったふうな雰囲気出してみたけどこれオリ主最強系脳ガバ小説だからそういう鬱展開ないんだけど。なんだかこういうシリアスな事を考えたくなるのは思春期だから?体に引っ張られてるのだろうか?

 

「……誰かラノベ描いてくれないかなあ」

 

 目下1番の悩みはお気に入りのラノベの続きが読めない事だったりします。あ〜さっさとヒースクリフコロコロして帰りてえ。

 

 

◇◇◇

 

 

 迷宮区にたどり着いたのは出発からおよそ1時間後の11時ごろである。原作を読んでいる、あるいはアニメを見ている読者の皆様方なら当然ご存知のはずだが迷宮区は層を上下に繋ぐ大きな塔の形をしている。柱でも可。中はその名の通りちょっとした迷宮──ダンジョン的なものになっていて普段のフィールドより薄暗く、大変神経を使うものになっている。私は迷宮区初入りだったため少々不安だったのだがなんか聞いてたよりちゃんと見えるから拍子抜けだった。途中狭い通路で槍を振り回しづらいサポート部隊がモンスターに襲われた時、機動スキルを活かし、私が上から首を刈ることで事なきを得た。ちょっと変な目で見られたけど明らかに対応できていない緊急事態だったし別にいいよね?

 

 12時、最上階到達。ボス部屋に近づくにつれて装飾が重くなってくるなどとキリトが言っていたが低階層ではそんなに違いがないのだろうか?少なくとも私には分からなかった。

 

 ディアベルはんが武器を掲げる。攻略隊の全員が武器を掲げ返す。私はデカいのでちょっとだけだが。ディアベルはんが頷けば全員が頷き返す。

 

「──行くぞ!」

 

 重々しい音を立ててズリズリと大扉が開く。私の超絶よく見える目はその向こうに佇む巨大な影を隅々まで見せてくれた。正直キモかったし描写したら原作と一緒になると思うから書かないけどそんな力を入れる必要ある?ってくらいリアルでキモかった。まだ距離があるのにグルアアアアアァ!と叫び、跳躍するキモいデカブツ。イルファング・ザ・コボルド・ロードとの戦いが始まった。

 

 戦闘開始から数分後。事前情報との食い違いが発生した。取り巻きのコボルドがもう1匹湧き出てきたのである。他の取り巻きと違い、急に空中から湧出(ポップ)したそいつは取り巻きの攻撃をしているプレイヤーを後ろから襲おうとしていた。

 

「よっと、へっへへちょっと離れたとこにいてよかったね」

 

 まああっさり防がれたわけだが。流石はユウキ。アインクラッド制覇したキリト君に勝つだけのことはある。広い視野を持っているようだ。にしても原作ではこんな展開なかったよな?人数が(多分)原作より多いからその調整ってことならいいんだが。

 

「おい!取り巻きが途中で増えたぞ!」

「事前情報と違う!」

「ど、どうします?」

「……少し様子を見よう。人数は十分だ。まだ対応できている」

 

 ディアベルはんの言う通り最初の不意打ち以外は特に危なげなく順調にHPを減らすことが出来ている。私たちのパーティーも1匹のコボルドを相手に余裕でローテーションが回っている。はい、刃。柄。峰。と次々に出してくる攻撃を順番に受ける。そしたら隙ができるからバッサリ。すぐに交代(スイッチ)。一挙手一投足どころかこれから何をしてくるかまで全てが見える私には全てが単調な作業だった。だからといって最強の力って虚しいなぁとなることなく。手も足も出ないってどんな気持ち?と楽しくなってくる私にはある種才能があるんじゃなかろうか




多分メスガキの才能だと思う。
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