科学国家「サイエンス国」   作:コラーゲン 

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サイエンス国の建国

ユハンの死後、ユハンの夢はループ・フォン・ハプスルンに託された。ループはユハンの遺言書によりユハンの財産を全て相続した。相続した財産には科学研究の資料も含まれていた。しかしそれが神聖帝国で見つかったらループもただではすまないため科学研究の資料はユハンの恩師である狭間の館で保管してもらうことにした。

 

一方神聖帝国は当然ながらユハンが死んだことを知らないので未だにユハンの行方を追っていた。帝国魔法教会は世界魔法教会にも協力を依頼しユハンを発見しようと必死だった。

 

だが神聖帝国以外の国は別にそこまでしてユハンを探さなくてもいいんじゃないかと正直思っている。

 

ループもユハンの教え子の内の1人だったために帝国魔法教会の元で矯正を受けたので表向きでは矯正された振りをしている。

 

ユハンの葬儀はユハンの知り合いだけで行われ静かに埋葬された。葬儀のあとループは早速建国に向けて動き出すのだがすぐに建国どころの話ではなくなってしまう。

 

それはハプスルン家で当主争いが発生したのである。当時のハプスルン家にはループ以外にも男児がおりループは次男であった。貴族の慣例に従うなら当主になるのはループの兄であるアロイス・フォン・ハプスルンなのであるがアロイスはよく「人間ハント」を行い領民を大切にせず豪遊ばかりしていて誰が見ても当主の器ではなかったのである。

 

そんなハプスルン家の中で次男であるループを当主にしようという一派が現れたのである。ループも兄にはこの家の当主は任せられないと思っており三男のハインとも協力してアロイスが当主になるのをなんとしても防ごうとした。

 

しかしループたちの父であるグスク・フォン・ハプスルンは貴族の慣例に従いアロイスを次期当主にすることを一族全員の前で伝えた。

 

これにループとハインは反発、グスクやアロイスと大口論になった。それ以降ループとハインとその一派は話し合いでの解決は不可能と判断、アロイスを暗殺することを画策する。

 

だがその企みは失敗に終わった。事前に計画を知ったアロイスが館から逃げ出したからであった。暗殺失敗後自分を暗殺しようとしたループたちにアロイスは激怒、父のグスクにループたちの殺害許可を求めた。

 

グスクは流石に自分の息子であるループたちの殺害許可を出したくはなく話し合いで解決してくれないかとアロイスを必死に説得したがアロイスに効果はなくむしろ逆効果であった。

 

結局解決できないまま父グスクが亡くなり遺言によりアロイスがハプスルン家当主となった。当主となったアロイスは早速ループとハインとその一派の殺害を決断。彼らに兵を差し向けた。

 

兵士たちはループとハインの館を襲撃し当人の殺害を狙った。ループは部下の決死の奮闘もありなんとか命拾いし相続したユハンの家まで落ち延びることができた。しかしハインは運悪く命を落としてしまった。ループとハインについていた部下たちも悉く殺害された。

 

ループはここでハプスルン家当主となることを断念、ループは20歳で亡命貴族として暮らしていくことになった。

 

アロイスも力を失ったループに興味をなくしそれ以降は何もしてこなかった。ユハンの家で暮らすことになったループはまずは自分が生きていることを知人に手紙で知らせ当主争いのせいで全く整理してないユハンの遺産整理を始めることにした。

 

ここでループはユハンが莫大な財産を残していたことを知る。ユハンは神聖帝国で暮らしていた時から質素な生活を続けており豪遊を一切していなかったのである。

 

しかしループも豪遊をしない人間だったのでこれは万が一のために残しておくことを決めた。ループはその後遺産整理を終わらせ狭間の館に保管してもらっていた科学研究の資料や科学書を引き取り科学の勉強を始めた。科学者認定試験を受けるためであった。

 

翌年、ループは「科学者認定試験」を受験。これを安易と合格し科学者となった。

科学者となったループはユハンの書いた科学書の理解に務め、近隣住民とも親しくなり順風満帆の生活を送っていた。

 

そんなある日ループが雨の中買い物にいき自宅に帰った来た時自宅前で1人の娘が雨宿りをしていた。ループは娘に話かけ外では寒いから家の中に入らないか?と提案した。

 

娘はそれを了承しループの自宅にお邪魔した。雨が降り終わるまでループはその娘と世間話をした。話によると娘の名前はマリア、マリアは買い物に来ていたらしいが帰っている途中で雨に降られてしまいちょうど近くにあったループの家で雨宿りをしていたということだった。

 

それから2時間ぐらい経過して雨が止みマリアはループにお礼を言って去っていったがこの出会いがループの転機となる。これ以降もマリアはことあるごとにループの元を訪れた。そしてループは段々この娘に惹かれるようになり2人が出会ってから1年後にループはマリアに告白し2人は付き合うことになった。

 

しかし付き合って1ヶ月後にループはマリアに突然自分の館に来てほしいと言われループは自分の家まで迎えに来てくれたマリアと一緒にマリアの館に向かうことになったのだがそこには護衛の兵士もいた。

 

ループはちょっと不安を覚えながらもマリアの館に向かった。マリアの館は今は無き都市国家スキエンティアの首都スキエンティアに築かれている宮殿の近くにあった。館についた時にループは門に彫られている紋章を見た。そこにはロマノ家の紋章である二つ首の鷲が彫られていた。

 

そこでループはマリアがここら一帯を治めるロマノ家の令嬢であることを知った。マリアの普段の振る舞いからどっかの金持ちの家のお嬢さんなのかなと思ってはいたがまさかロマノ家の令嬢だとはループも予想外だったのだ。

 

館に入ったあとループはマリアと離され別室に案内され。そこでロマノ家現当主のサラザール・フォン・ロマノと対面を果たした。サラザールは緊張しているループを見て「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」と優しく言ったがループは「大貴族の当主といきなり対面したら誰だって緊張しますよ。」と答えた。

 

サラザールは早速ループに「君の名前はループと言うらしいが姓はあるのか?ないのか?」と聞いた。ループは「私は姓持ってますよ。」と答えた。

 

それを聞いたサラザールは「なら姓込みの君の名前を教えてくれ。」と返した。ループはサラザールの言う通りに「私の名前はループ・フォン・ハプスルンです。」とはっきり答えた。

 

名前を聞いたサラザールは「なるほど、神聖帝国のハプスルン家の者か。」と呟き暫くの間ループの目を見続けた。だがそうしている間に廊下の方がうるさくなってきた。

 

廊下の方からマリアの声が聞こえて来ておりループとサラザールの部屋に入ろうとしておりそれを止めている近衛兵と言い合っている。

 

サラザールとループは騒がしい扉の方を見たあとお互いの顔を見合わせ、苦笑いした。そのあとサラザールは扉の前で待機してる近衛兵に扉を開けろと命令しマリアを部屋に入れさせた。

 

サラザールは部屋に入ってきたマリアに「合格だよマリア。」と言った。マリアはそれを聞いて喜びピョンピョンと跳ねていた。

 

ループは何が何だがわからず唖然としていた。そんな様子を見たサラザールがループに説明を始めた。サラザールによると今のロマノ家には後継の男児がいなくお家の断絶危機に陥っており別の家の貴族から男児をマリアの娘婿としてロマノ家に迎え入れようとお見合いの話を進めていたのだがその折にマリアがサラザールに「恋人ができた。」と報告してお見合いの話を全て台無しにしたらしい。

 

しかしサラザールとしては娘が決めた愛する人でも身分が低かったら貴族社会で生きていけないことや何より庶民にこの家を継がせたくないという想いがとりわけ強くとりあえず恋人の身分を確認しようとループを呼んだとのことだ。

 

そしてループが貴族であるハプスルン家出身の者であることがわかり問題なしということになったらしい。

 

こうしてループはロマノ家令嬢であるマリアの娘婿となり姓をハプスルンからロマノに変え「ループ・フォン・ロマノ」と名乗るようになりロマノ家の次期当主となった。この時のループの年齢は24歳である。マリアは21歳。

 

はれてロマノ家一族の仲間入りを果たしたループは住居を今住んでいる家からマリアたちが住んでいる館に移ることになった。

 

娘婿になったループは近くに宮殿があるのにわざわざ近くに館を建てて住んでいることに疑問を感じサラザールに「何で宮殿に住まないんですか?」と聞いた。

 

サラザールの話によるとあの宮殿が宮殿らしくなってきたのはここ最近のことで遥か昔に神聖帝国によって徹底的に破壊された宮殿の修築作業を20年ぐらい前からずっとしている状態であり完全に修築が終わるまで住む気はなく今はどんどん直っていく宮殿の様子を見るのが毎日の楽しみだということも教えてくれた。

 

ループはユハンの家はこのまま所有しておくことに決めほとんどの荷物を館まで馬車を引いて運び出した。

 

ここでループは独立貴族であるロマノ家になら言ってもいいだろうと後日サラザールに館に住んでいる人間を全員集めてもらいそこで自分はユハン・サイエンスの弟子なこととユハンの夢を叶えるために動いていることを話した。

 

それを聞いたロマノ家の人間は驚いた。するとある1人のメイドが「じゃあ今でも師匠であるユハンと連絡をとっているんですか?」と聞いた。

 

ループはユハンは既にこの世を去っていること、自分が住んでいたあの家も元々はユハンの家であり彼が神聖帝国から去ったあとずっと住んでいた家であったことを話した。

 

ロマノ家もまさか自分たちの世襲領土に神聖帝国が全力で行方を追っている男が住んでいたことに驚いていた。ループはこのあとサラザールたちの質問攻めにあった。

 

それから1週間後にサラザールは晩餐会を館で行った。その晩餐会にはロマノ家一族は勿論のことロマノ家の傘下に入っている貴族や各学会の有名人などが参加していた。

 

晩餐会の開催演説の時にサラザールは参加者たちにループを紹介しループが次期ロマノ家当主になることを伝えた。貴族たちはそれを盛大な拍手で迎えた。

 

この晩餐会でループはのちに蒸気機関の開発を共にすることになる工学者ペロンや発明家ブラント、物理科学者のドミニク、技術者のジュラなどと知り合い科学の話で盛り上がりさらに貴族たちと親睦を深めることに成功した。

 

ループはロマノ家次期当主として領内各地を巡察、現地の役人とコネクションを作り地元住民と会話して住民が抱えている問題を把握し解決に努めた。

 

その地道な努力もありループは地元住民からの支持を獲得することに成功した。そしてループが25歳の時にループとマリアとの間に第一子が誕生した。

 

産まれた子どもは男の子であり跡取りができたことにサラザールは安堵した。この子どもが後のロマノ家当主となるアレク・フォン・ロマノである。

 

長年課題だった後継者問題の解決とループの領内からの人気を考慮してサラザールはループが26歳の時にロマノ家当主の座を譲り自身は隠居することを決めた。

 

突然サラザールから「俺もう隠居するからこれからのロマノ家よろしく。」と軽いノリで当主の座を譲られたためループは混乱。「まだ隠居するには早いんじゃ。」と言ってサラザールをまだ当主の座に留めようとしたがサラザールはこれを拒否、「俺は修築がやっと終わった宮殿に移り住んでそこで趣味のオペラや演奏会をして余生を過ごす。」との一点張りだった。ちなみにサラザールは45歳。

 

ループはサラザールを説得することを諦め素直にロマノ家当主の座を譲り受けた。こうしてロマノ家当主となったループはまず傘下の貴族たちを招集し自分がロマノ家当主となったことを報告。そしてロマノ家の領土を一纏めにして国を建国することを発表した。貴族たちにも是非この国の一部になって欲しいということだった。

 

一部になってくれるなら今所有している土地の保証と統治は代々その貴族の家に任せることを条件にだした。この条件を貴族たちは呑みループに従った。

 

そしてループは当主となった1ヶ月後にロマノ家の世襲領土と傘下の貴族たちの世襲領土を一纏めにして恩師であるユハン・サイエンスからサイエンスを貰い「サイエンス国」の建国を世界に向けて宣言した。

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