サイエンス国指導者に就任したアレクはまず傘下の貴族たちに自分への絶対的な忠誠を誓うことと今所有している土地の統治権をサイエンス国に委ねることを要求、もしこれを受け入れるのなら貴族たちが所有している土地はこれまで通り保証すると約束した。
だがこれはサイエンス国を建国する時にループが傘下の貴族たちに約束した条件を破るものであり傘下の貴族20家の内5家はアレクの要求を受け入れたものの残りの15家はアレクの要求を拒否、要求を拒否した貴族たちは館から出ていき数日後に手紙でアレクにサイエンス国から離脱して独立貴族になることを伝えた。
この手紙を受け取ったアレクは要求を拒否した貴族たちの懲罰戦争を開始することを決めた。こうしてサイエンス国は建国以来初めての戦争に突入することとなった。
アレクはサイエンス国軍から「反乱貴族討伐軍」を編成しその最高指揮官に弟のアルフレートを任命した。だがこの決定はアレクの独断で決めたことであり弟であるアルフレートはおろかアレクの側近とサイエンス国軍将校も驚愕、まだ15歳であるアルフレートに軍の最高指揮官をさせるのは荷が重すぎるとして側近と軍将校はアレクに任命の撤回を要求、アルフレート本人も辞退を表明したがアレクは側近と軍将校の要求を拒否、辞退を表明したアルフレートに対しては「お前は3年後ハプスルン家の当主になるんだぞ。ここで武功を上げてハプスルン家当主になる男は強い男であることを表明するいい機会だぞ。」と言って上手くアルフレートを言いくるめてしまった。
結局アルフレートを最高指揮官とした反乱貴族討伐軍7000が派兵された。対する貴族たちは領民たちも徴兵して8200の兵でこれを迎え撃った。
両軍はかつての聖地である「科学の森」から約15Km離れた草原で激突した。相手の貴族たちは兵力の有利がありこちらはほとんど近衛兵で構成された軍隊に対して相手は志願兵で構成された軍隊でありさらに派遣された軍の最高指揮官が15歳の若造であることもあり嘲笑し大したことないだろうと思っていた。
しかしいざ戦闘が始まると反乱貴族討伐軍はアルフレートの的確な指示のもと兵力差をものともせずに貴族連合軍を次々と蹴散らしていった。これには2つ理由があった。1つは元々アルフレートは当主になる予定がなく職業軍人になることが決まっていたため軍事学の教育を受けており軍事の才は貴族たちの中では随一だったこと。もう1つはアルフレートの指揮している兵士たちは毎日地獄のような訓練をこなしてきた兵士たちであり練度も高く近衛兵たちはその兵士たちの死をも厭わない攻撃に押されていったからである。
戦闘開始から1時間後には情勢は喫し貴族連合軍は敗走した。反乱貴族討伐軍はそのままの勢いで反乱を起こした貴族たちの館を襲撃し貴族たちを可能なら捕縛、無理なら殺害していった。
反乱発生から2週間後には反乱を起こした全ての貴族の館を制圧、反乱した貴族たちの内5家は一族全員を捕縛、残りの10家は一族全員を殺害して反乱を鎮圧した。
反乱鎮圧後アレクは反乱貴族たちの戦後処理を開始、アレクは捕縛した貴族たちに関しては再びロマノ家傘下の貴族になることとサイエンス国への参加そして所有している土地の統治権をサイエンス国(ロマノ家)に譲ることを呑むのなら恩赦を与え今まで通り土地は保証してやる言った。
このアレクの比較的寛大な要求に貴族たちは安堵しこの条件を呑んだ。ここで生き残った貴族10家を紹介しておこう。
反乱を起こした貴族は「グライズ家」「ヂャマン家」「フルマ家」「シュライク家」「タヒュン家」でありアレクの要求を受け入れた貴族は「ハイゼン家」「ゴップ家」「テレシメンス家」「ジュメル家」「アッバース家」である。以後この貴族の家はアレクが指導者の間は比較的従順であり続けた。
その一方で一族全員殺害して滅亡した貴族10家の処遇だがアレクはこの10家が所有していた土地を全てロマノ家の世襲領土に編入した。これによりアレクはロマノ家の領土拡大に成功したのであった。
この一連の反乱はのちに「サイエンス貴族大反乱」と命名され後世に教えられた。
貴族たちの反乱勢力を片付けたあとアレクはアルフレートを「サイエンス国副指導者」に任命、更にループの時代から使えてきた側近たちを更迭し自分と仲がいいものにすり替えた。これは父であるループの影響を完全に取り除こうとしたからである。
当のループはスキエンティア宮殿で妻マリアと一緒に残りの余生を楽しんでおりもはや政治に対する意欲は全くなかったのだがアレクは前言われた父の言葉を信じずに未だ警戒していたのである。
次にアレクは今までサイエンス国で行っていた行政体制を貴族たちの土地にも導入して行政体制を統一した。そのため貴族たちが統治していた土地では今まで勤めていた役員のクビが相次いだ。
これに一部クビにされた役員が抗議したがアレクは「お前らの能力が低いだけだ。能力さえあればまた採用してやる。」と励ましの言葉を送った。
そしてアレクは科学関連予算の削減と魔法関連予算の増額を決め、「サイエンス魔法大学とサイエンス魔法大学院」の設立を決定し建設を開始した。この決定にサイエンス国内の科学者たちは不満の意を表明したが逆に魔法使いや魔法研究員は喜んだ。
この頃にはループが行った教育政策のおかげで字の読み書きができる国民が増えてきた。これを受けアレクは「サイエンス新聞」を設立、領内各地にシューケースを設置し自国の政策決定のことや世界中から仕入れた情報を記事にして貼り出した。
さらにサイエンス国に住んでいる国民の正確な数を把握しようと「戸籍登録法」を制定。この戸籍登録法により今まで登録されてなかった者も無事登録された。
それだけでなく領内のインフラ改善や小作農家の救済などの政策も行いアレクは国民からの人気を獲得していった。
アレクが21歳の時にアルフレートが18歳になりサイエンス国副指導者を辞任、ループとハプスルン家が交わした約束によりアルフレートはハプスルン家当主となり姓をロマノからハプスルンに変え「アルフレート・フォン・ハプスルン」と名乗るようになった。
アルフレートがハプスルン家に行くときアレクはアルフレートに「お前がいなくなるのは寂しいなぁ。」と言いアルフレートは「たまに顔出しはするようにするよ。でも兄さんもいい加減父さんに会いに行ったら?宮殿で父さんアレクが来るのずっと待ってるんだよ。」と言った。
実はアレクは父であるループと3年間ずっと会っていないのである。アレクは「今さらどんな顔して父さんに会いに行けって言うんだよ。」と言った。アルフレートはそれに対し「俺よく会いに行ってるけど父さんずっと兄さんの顔が見たいって言って寂しそうなんだよ。それに母さんも。」と返した。
アレクはそれを聞いて「.......わかった、考えとく。」と言った。その後アルフレートはハプスルン家に向かって行った。
アレクはそれからずっと宮殿に行くか迷い続け、アルフレートがいなくなってから1ヶ月後にようやくループと会う決心を決め宮殿に向かった。
そこでアレクは3年ぶりにループと会った。3年ぶりに会った2人は暫くの間無言だったがそこに来たマリアが「あーちゃん、久しぶり!!」とアレクに抱きつき世間話を始めたためなんとか地獄な空気は抜けれた。
その時はループと全く話せなかったアレクだったが2週間に1回のペースでループに会いに行くようになりループと徐々に話せるようになり9回目の訪問の時にお互いかつてのことを謝罪し仲直りを果たした。
仲直りを果たしたあとアレクはループに今まで疑問だった「なんで父さんはそこまで科学を発展させようとしているの?」と聞いた。ここでループは初めてアレクにサイエンス国を建国した経緯を話し自分がユハン・サイエンスの弟子だということも話した。
ループは「ユハン先生は科学に並々ならぬ想いを抱いていたんだと思うけど正直先生は科学者としては向いていなかったと思うよ。科学の事教えるの明らかに下手だったし。」と言った。
アレクはそれを聞き「そうなの?」と問いた。ループはそれに対して「そうだよ。なんなら先生は元々神聖魔法大学院の魔法学専門教授の人間で帝国魔法教会から名誉教授の称号も送られる程の魔法学のスペシャリストだったんだよ。」と言った。
アレクはそれを聞いて「そんなに魔法学について詳しかったの!?」と驚いていた。アレクはそんな父の話を聞いてユハンについて詳しく知りたくなったためループに「ユハンのこともう少し詳しく教えて。」とお願いした。
ループは「多分俺の説明聞くよりユハン先生の自伝読んだ方が詳しくわかるぞ。」と言い今度アレクが来るまでに本を取りに行ってくると約束した。
その2週間後にアレクは宮殿を訪れループからユハンの自伝を受け取った。自伝はかなり分厚く600ページぐらいあるんじゃないかと思うほどであった。その日アレクとループは世間話をしてから別れ夜にアレクは寝室で本を読み始めた。
自伝にはユハンの生涯が書かれていて所々に絵が描かれておりその場面を想像しやすい構成になっていた。アレクは毎日少しずつ読み続け読み初めてから4週間経ちようやく最後のページに辿り着いた。
最後のページには「いつの日か科学と魔法の間で大戦争が起きることになる。そしてその大戦争で科学が魔法に勝利したとき世界は初めて科学が魔法に追いついたことを自覚するのだ。」と書かれていた。
この自伝を読み切りアレクは「銃」という言葉が気になった。気になったアレクは父であるループに「ユハンの自伝に書いてあるこの銃って何?」と聞いた。ループはユハンが作成した科学書をワイドから貰ってきてそれをアレクに見せた。
銃というのは遠くから敵を攻撃することができる武器と書かれており将来銃が主体の軍隊ができるとユハンの見解も書かれていた。
開発方法や必要な資源も全部書いてあったので銃が気になっていたアレクはこの銃の開発を進めることを決めループを通じてワイドに銃開発の依頼をお願いした。
開発を任された技術者ワイドは試行錯誤を重ねアレクからの開発依頼から約5年後に試作機を完成させた。そしてこの試作機の試し撃ちの時にはアレクとループ、ハプスルン家からわざわざ見にきたアルフレート、傘下の貴族、ジュラや科学者も多数参加した。
ちなみに開発した銃は火縄銃みたいな物である。いざ本番の時ワイドは10メートル離れた的に向けて火縄銃を向けそして引き金を引いた。
「ズガン!!」
引き金を引いた瞬間周囲に落雷が落ちたような轟音が響いた。この音にアレクたち見物人、銃を撃ったワイドは地面に尻餅をついて驚いていた。
そしてみんなが10メートル先の的を見ると的には見事に丸い穴ができていた。この銃の威力を見てこの場にいる全員が思った(この銃という代物もしかして魔法にも勝てんじゃね。)と。
特にアレクはこの銃をいたく気に入りワイドに銃の改良や大規模な生産体制を整えることを命令した。弾の装填に時間が掛かるという最大の弱点はあったもののこの弱点は改良を繰り返して後々解決される。
これ以降サイエンス国では銃の生産が活発となっていき後に銃はサイエンス国軍に導入されサイエンス国軍は銃を主体とした軍隊へと生まれ変わり今後ずっと他国を圧倒する軍事力を手に入れていくことになる。
だがアレクは科学関連予算を増やそうとはせずにこれまで通り魔法関連予算と同等の予算を割り当てていた。科学と魔法どちらかに偏るのはアレクとしては良しとしなかったからである。
サイエンス国がこうして発展している間に世界は大戦争に突入していことになる。アレクが30歳の時に三大超大国である神聖帝国や都市連合、アルフス王国が結託して魔王軍を壊滅させるために動き出したのである。
常に対立していた三大超大国のこの国たちが結託するのは異例の事態だった。この戦争には大魔法使いであるマギアも参加し冒険者ギルドにも参戦要請が出され世界中の人間が魔王討伐に動き出した。
これに対し魔王軍も本気で対抗する気配を見せ各地に散らばっていた魔王軍幹部で軍集団を結成、各地の街や農村を壊滅させた。そして魔王も大魔法使いマギアを討つ為に魔王城から出陣した。
もちろんこの戦いに神聖帝国臣下のアルフレートも参加することになる。この戦争中アルフレートは目覚ましい活躍をし続け報酬で亡くなった貴族の世襲領土を次々と接収しハプスルン家世襲領土を増やしていきやがて神聖帝国内1番の実力者となり「選挙皇帝制」を廃止してハプスルン家による「世襲皇帝制」を確立させ自分自身は「神聖帝国皇帝アルフレート一世」として皇帝に即位することになる。だがそれはまだ先のお話。
その一方サイエンス国はというとこの戦争に正式には参加しなかった。
なぜかというとかつてループが魔王軍と結んだ決まりがありあれにはサイエンス国が魔王軍に攻撃しないという約束もあったからである。この約束を決める時ループと交渉にあたっていた魔王軍幹部ギガンテスはサイエンス国がこの戦争中に攻撃してくるだろうと予想していたのだが予想に反してサイエンス国が全く攻撃してくる気配がなかったので魔王にサイエンス国は約束を尾行する律儀な国であり攻撃するべきではないと言って魔王が計画していたサイエンス国攻撃計画を辞めさせている。これにはサイエンス国が約束を決めてからずっと奴隷を欠かさず提供しているのも関係している。
ちなみに現指導者であるアレクもこの決まりのことを小さい頃から知っている。しかし快くは思っておらず父ループが生きている間は継続するが死んだあとはすぐに辞めるつもりであった。
あとサイエンス国がただ単にこの大戦争に首突っ込める程国力がなかったのも参戦しなかった要因である。この戦争中サイエンス国はずっと救援物資を他国に供給することに集中しそのおかげで莫大な利益を得ることに成功する。この莫大な利益が後に再開する蒸気機関の開発や街の整備、工場の建設等に使われることになる。
しかし全く軍を出さなかったわけではなく魔王軍と各地で死闘を繰り広げているアルフレートを手助けするために銃を主体としたサイエンス国軍約200を援軍として派遣している。
だがこの戦争に参戦しなかったことは世界中の国に不信感を与え後に起きる「第一次サイエンス国戦争」の要因の1つとなる。
作者が最近忙しくなって来てるのでこれから更新がかなり遅れて来ると思います。